一級建築士の「住宅のヒントと秘訣」

注文住宅を考えたら「住宅の考え方が180度変わる」住宅勉強会やセミナー、他では聞けない住宅や建築がわかるブログ。

FC町田ゼルビアクラブハウス構造見学会

2021年08月06日 15時51分48秒 | お勧め(建築編)
▲FC町田ゼルビアクラブハウス完成予想(ナイス(株)資料より)


スタッフも私も2021年7月末には2回目のコロナワクチン接種を終えたので
これで少し動きやすくなると思っていましたが、
デルタ株などの変異株でコロナ感染がさらに拡大を続け、終わりがみえなくなってきました。

常に事務所と現場の往復のみ、特定のお客様以外とは面談もしていませんでしたが、
まだそういう雰囲気は続きそうです。

さて、そんな中、2021年8月6日の今日、久しぶりにWEB以外の現地見学、
構造見学会に参加しました。
参加者にはみんな2メートル以上の間隔で並ぶようになっていました。

町田市にある、「FC町田ゼルビアクラブハウス」の上棟が終わり
施工会社のナイス(株)が、構造見学会を実施してくれました。

私が撮った写真は工事中で、その写真だけではよくわからないでしょうから
頂いたレジメの完成予想写真もアップさせて頂きました。
サッカーチームの2階建てのクラブハウスです。

この建物のポイントは、簡単に述べると構造体は重量鉄骨なのですが、
屋根部分に大きなスパン(間隔)にもかかわらず木質系を使っています。

もう少し詳しく述べると、
垂木にTJIジョイストという木質合成梁を使い、
野地板にCLT36ミリという無垢材を積層した木質材を使っています。

野地板は、外部屋根の仕上げ材を支えている板で
垂木は、その野地板を支えている部材です。

なぜ見学に行ったかというと、
垂木のTJIジョイストは、大きなスパン(間隔)に使えるからです。
言い換えれば、広い大きな空間ですね。
通常の木材の梁では、集成材を使ってもここまで大きな空間は無理です。

CLTは、いま注目されていて、ここでは12ミリの厚さの木材を3枚直行させて
36ミリの板をにしています。(他にもサイズはあります)

少し詳しい人は、このCLTは「Jパネルと同じ?」と思われるかもしれませんが
許容応力度計算において材料強度の取り扱いが異なります。
これを利用して建築してみようかと考えている建築家は増えていますが、
実現している人は、まだ少ないです。

現在のウッドショック問題で、全ての木材が高騰するだけでなく、
入手しにくくなっているので、少し水を差されています。

間もなく閉会をむかえる東京オリンピックですが
その国立競技場も鉄骨と構造材の補助として木材を使っていることで
注目されています。

国立競技場は、隈研吾建築都市設計事務所さんの設計ですが、
このFC町田ゼルビアクラブハウスの設計も同じ隈研吾建築都市設計事務所さんです。
鉄骨構造に木質を構造材の一部として利用するという考え方は同じですね。

大きな空間を造るのに、平屋か2階建ての2階なら
通常の木造でもいくつか工夫すれば可能ですが

2階建ての1階に大きな空間となると、通常の木造では
耐震性をクリアしにくくなり、難しくなります。

2階建ての2階でも、今回見学したFC町田ゼルビアクラブハウス
のようにここまで大きな空間となると、通常の木造の考え方だけでは難しいです。

そういうこともあり、実際に見ておきたいので見学させて頂きました。
写真や資料だけでは思っていたイメージと異なることは多々あります。

また、実際にどのような使われ方か、細かい部分まで
実際に使われているのを見ておかないとわからない部分もあります。
今回も、細部まで写真は撮っておきました。

 

▲▼2階内部の完成予想(ナイス(株)資料より)
下の写真は屋根の形状が複雑なので、梁も複雑になっています
この図では小さく見えますが、実際はかなり大きな空間です。



▲構造説明図(ナイス(株)資料より)2階に垂木のTJIジョイスト(こげ茶色)と、
 野地板(ナチュラル色)のCLTが描かれています。


▲▼現在の工事中外観 屋根部分に木質部分が見えます



▲現在の工事中1階内部 通常の鉄骨構造です


▲現在の工事中2階内部 かなり広いことと屋根部分が木質だとわかります


▲▼屋根の部分、鉄骨の上に垂木のTJIジョイストと、
  野地板にCLTを使っているのがわかります



▲クラブハウス前に駐車場があり、その前がこのサッカー場です

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ヤマハのキッチンはどこへいった(3)

2015年07月19日 09時03分02秒 | お勧め(建築編)
▲キッチンの扉の色は、和の単色114色 
にその他合わせて125色から選べます。


今回の工場見学は、当初、裁判所の調停委員の仕事が入っていて、私の予定が立たず
止むを得ずパスをしたのです。

ところが、行けなかった私のために、さらに日程を組んでくれて、
私ともうひとり工務店の人と、たったふたりのために4人の人が、
工場を案内してくれたのです。

このことと、この部分はインテリアスタッフに任せてきたのですが、
良い商品を知ってしまったので早く皆さんにお教えしないと
という思いで、久々のブログ連ちゃんで頑張っています。(^^)v

昨日は、ヤマハの人造大理石の凄さを説明しました。
その他の良いと感じた部分を、写真とともに説明します。


 


▲ハイバックカウンター 一体型で15センチと20センチがあります。
これは、通常4~5センチで、確かにここは汚れる箇所です。
シーリング部分で汚れ、つなぎ目で汚れます。

シンクと天板もシームレスで汚れませんが、この部分も汚れずお手入れ簡単です。
対面式でカウンターを低くという願いには、相反するので無理です。

通常は手元を隠すため、20センチくらい上げるので、それなら問題はありません。
また、その部分に調味料入れを造りたいという要望もありますが、

写真のようにレールが付いていて、フックをいろいろ掛けられます。
そこに調味料なども置けるので、掃除の面や機能面を考えるとこちらを
お勧めします。




▲換気扇が優れものです。これも、ヤマハがこだわって研究して
自社で製作しているので、他社とは次元が異なります。

現在の他社の製品もお掃除が簡単、となっていますが、実際はこの比ではありません。
また、音も他社と比べてかなり静かでした。

小さな二つのガラリは、簡単に外せて、食洗器にも入れられます。
耐油加工をすべてしてるので、拭き取りも簡単です。
他にも秘密はありますが、ショールームで確認、試してください。


▲小さいです。このガラリが簡単に外せます。
鍋桶にお湯を入れておいて、そこに付けて置くだけでも
油が落ちます。掃除はそれでOKです。



▲アイランド型の換気扇にも、同じ機能が付いていますが
本当にかっこいいものよりは、デザイン性がやや劣りますね。
どちらを優先するかは、あなたが希望される方で。



▲引き出しレールが、他社と違い、箱の横ではなく下に付いています。
その分、引き出しの有効幅が大きいです。



▲▼メインの引き出しですが、この細かい細工や仕組みは、製作するオーダーキッチンでは
マネができません。ショールームで確認してくださいね。これは、他社も似たような機能が
あるかもしれません。




次回、もう一度、明日頑張って、ショールムに展示してあった
システムキッチン商品をブログアップします。



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ヤマハのキッチンはどこへいった?(2)

2015年07月18日 09時43分45秒 | お勧め(建築編)
▲ヤマハの人造大理石は、他社の2倍の厚さがあり、強度も優れているので
裏補強の必要がない。従って、写真のように、光を良く透過するのです。 
ということは、他社と違いキッチンボックス内部が明るくなるというメリットもあります。


ヤマハのシステムキッチンが、現在は トクラス というメーカー名に変わって
生産されていると、昨日2015年7月17日のブログに書きました。

以下、ヤマハのキッチンと書いていたら、現在はトクラスなんだということに置き換えてください。

その工場に見学に行き、

「ヤマハの人造大理石だけは、他メーカーと違って別物、
むしろキッチンには、ヤマハの人造大理石を勧める」

とスタッフに翌朝のミーティングでコメントしました。

その理由は、私が心配していることをことごとく打ち崩されたからです。

耐久性、耐摩耗性、耐汚性、耐衝撃性に問題ないどころか
ステンレスより優れている点もあったほどです。

これは、ヤマハが日本で初めてキッチンの天板のために開発した人造大理石であること、
現在も、他社と異なり人造大理石まで自社生産をしていること
などからも、こだわりが違います。

人造大理石の生産工程も工場内で拝見しました。
気になる耐摩耗性も、後に紹介しますが、懸念は吹き飛び、完全に参りました。

厚みは他社の2倍、キッチンの天板部分とキッチンシンク部分、ユニットバスの浴槽の
人造大理石は、それぞれ用途に応じて種類が少しずつ変えています。

 

▲人造大理石でも、手間を掛けてわざわざつや消し加工をしています。
その理由は、汚れを擦り落としても、そこだけ他と光沢が変わらないようにです。
私が黒い油性マジックで、書き込みをしました。



▲そして、ナイロンたわしの硬いほうで、ゴシゴシと磨くと、マジックは
完全に消えただけでなく、擦ったあとも、どこから見ても全くわからないのです!
光沢の違いも細かい傷も見当たりません。

表面密度が細かく汚れにくいだけでなく磨耗性に優れているので、
例え毎日、同じ箇所を擦り続けたとしても、
私の計算では100年でも、余裕で大丈夫でした。


▲ナイロンたわしは、写真のスリーMとかキクロンのこげ茶の方で磨くのです。
100円ショップの安いものでは、磨耗剤が入っていないので、落ちにくいそうです。

ステンレスのたわしなどは、目が粗すぎてダメだそうです。
細かいサンドペーパーでもOKとのことですが、
他社の人造大理石やステンレスでは、これは、お勧めできません。
擦った跡の細かい傷や光沢が変わって目だちます。


▲耐熱性の実験です。280℃に熱した鍋を天板の上に置きます。
何ともないのです。



その他、醤油などをこぼしたとしても、密度が細かいので簡単には染みこまず
長い時間放置しないと変色しません。

1メートルくらい上から、缶詰めとか何か思いものを天板に落としたら、
他社の人造大理石は、表か裏にヒビが入ったりしても
ヤマハの人造大理石は強度が強く、なんともありませんでした。

といったことから、人造大理石の欠点の懸念が無いばかりか、
ステンレスをしのぐメリットもあるので、トクラス、ヤマハのキッチンをお勧めしよう

という結論に至ったのは、ヤマハの人造大理石の性質だけでなく、他にも理由があります。

その理由を、次回、頑張って明日の7月19日にアップします。




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ヤマハのキッチンは、どこにいった?(1)

2015年07月17日 12時23分36秒 | お勧め(建築編)
▲浜松にある社屋と工場 工場はもっとたくさん棟があります 


先日、30年位前に増改築したユーザーから建て替えの希望があり
現場を確認してきました。

すると見覚えのある木製玄関ドアーですが、塗装が30年も経ったとは思えない光沢があり
かといって、再塗装したようにも見えなかったのです。

お聞きすると、最初に私が取り替えたままの木製玄関ドアーで再塗装はしていない、

とのことでした。感覚的には、3~4年くらい前の玄関ドアーの光沢や塗装という感じで
ちょっと不思議でした。
陽当たりや風雨を避けている場所にある玄関ドアーだからでしょう、
ということがその理由でした。とはいえ、南道路に面しているのです。(^^)ゞ

当時は、室内ドアーも含めて、ヤマハ木製ドアーの色、デザイン、質感が好きだったので
私は多用していました。この木製玄関ドアーもヤマハ製でした。

残念ながら、現在ヤマハの木製ドアーは製造されていません。
システムキッチンやユニットバス、洗面台は生産しています。

ですが、現在は、ヤマハの会社名は使っていないのです。

以前は、正式にはヤマハリビングテックという会社名でした。
現在は、工場設備も社員も技術もそのままで、会社名だけが
トクラス という社名に変わっています。

他社に買収されたのではなく、ヤマハが音楽に特化することになり
なんと当事の社員が、みんなでその黒字会社を買い取ったということです。

どこかのテレビ番組に出てきそうな、感動的な話しになりそうです。

その工場見学に、2015年7月13日に行って来た報告です。


今回、ブログで何回かに分けて紹介するには、理由があります。

キッチンカウンターの人造大理石は、私は昔から否定派で、
ご希望の場合には、そのデメリット

傷が付きやすい、変色しやすく汚れやすい、熱に弱い、
何かを落とすとヒビが入りやすい

といったことを了解していただき、選択していただきました。


ですが、工場から戻った翌日にスタッフとのミーティングで

「ヤマハの人造大理石は、他社の人造大理石とは全く別物。
ヤマハのキッチンの採用は、むしろお勧めしよう。
他社の人造大理石は従来通り、デメリットを説明する。」

と説明したので、スタッフは仰天しました。
ヤマハだけとはいっても、昔から言ってたことが
突然、180度、変わったからです。

見学した私も、30年ほど前にキッチンハウスのメラミン天板の
説明を受けたとき以上の衝撃を受けました。

その理由を含めて、明日から連続で説明しますので
お楽しみに。

なお、分かりやすいようにヤマハと連呼しましたが、キッチンなどを造っている
現在の社名はトクラス ですので、置き換えて下さい。

また、ヤマハのキッチンもユニットバスも安く手に入って
工務店に支給してもメリットの出そうなルートが開けそうです。

では、明日以降をお楽しみに。


 


▲これは、塗装が特注のアニバーサリー特別非売品。
富士山の絵が描かれているのがわかりますね。

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健康住宅サミットから

2014年10月21日 10時13分21秒 | お勧め(建築編)
▲外壁の室内側で防湿をしっかり行って、
さらに外部側は、このように開放するのが結露防止には正しいのです。

このカナダの工事中の住宅を見れば、気密測定のC値を下げることに生きがいを感じている
日本の業界の人はたまげる人もいるでしょう。
日本の構造計算の考え方しか信じていない人もびっくりするでしょう。

日本の住宅は、欧米の真似をしたつもりが、間違って導入してきたことがたくさんありました。
断熱、結露、気密、構造と。今でも、少なくとも現場ではそれが頻繁に起こっています。



2014年10月に高松で行われた「全国健康住宅サミット」に
連日参加させて頂きました。

同時に4つの講演が行われていて、そのうちのひとつを選択して
いくつか受講することになります。


聞き逃した講演の方が多くなりますが、
後に発売されるDVDを安く購入できるので、
スタッフとDVDで受講する予定です。

参考になり参加して良かったのですが
気になってたことが、解決しませんでした。

結露に関して、注意が大切だという認識は
業界の人はみんなもっていますが、

気密測定の数値をあげれば解決すると思い込んで
いる業界の人がいることです。

現在の気密測定で、C値をいくら小さくしても
間違った考え方で気密数値を小さくしていれば
かえって問題になります。

日本の住宅は、過去もいつもそうでしたが

欧米から学んで取り入れるときに、

都合の良い部分のみを、
都合の良い解釈で取り入れ
肝心のポイントを無視するため

問題が生じています。


このことを私は懸念していて、

岩前教授と講演会後に率直にお話させて頂きました。
プロフィールを読むと、大学のゼミの後輩だと
思ったので、気安く話をさせて頂きました。

やはり、気密に関しては、外壁の外側で数値をあげる方法を
行っていれば危険、という認識は一致しておりました。

「現状は、そのことをわからずに、やみくもに行って
気密性をあげようとしているケースが、少なくありません」

ということを訴えておきました。

現場で起こっていること、なされていることと
理論を一致させないといけないのですが、

現場では、安易に形だけ、数値だけを求める傾向が強く
今回のことだけでなく、いつも監理では苦労しています。

プロの中でも知識のある方は、

「断熱材の透湿抵抗を計算して、
壁体内結露をしないかどうか計算しているから大丈夫では」

と思われるかもしれません。

これが、現場を知らない机上での考え方だと指摘しているゆえんです。

現場で何が行われているか、その理論ではOKとなっても
実際の現場をよく見ていただきたいのです。

「意味が無い」と私はよく言いますが、

現場で行われていることと理論とのギャップを知れば

「意味が無い」という私のつぶやきの意味が良く分かっていただけるはずです。

だから、現場の監理が重要と申し上げているのですが。

かといって
正しい知識や理論のわかっていない建築士がいくら現場を
毎日何時間見ても意味が無い、とも申し上げています。


本日は、業界に敵を作ってしまうかもという、
かなり問題な発言だったかもしれませんが、

マイナーな個人ブログなので、お許しを~(^^)v

一般の方には、何のことだか、さっぱりわかりませんよね。




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耐震性に優れている?(2)

2008年12月05日 16時13分24秒 | お勧め(建築編)
▲この柱には、ホールダウン金物 が2つ付いています。

通常の2階建てで、1本の柱に2つ付けなけれなならないということは、
ミタス一級建築士事務所では、構造計画を軽視した結果だと考えています。

但し、3階建てや特殊な形状で止むを得ない場合は有り得ます。


みなさん、こんにちは。ミタス一級建築士事務所の清水です。

本日、2回目の連続もののアップです。

本日初めての方は、耐震性に優れている? その1 からお読み下さい。

実際の例でお話しましょう。


フラット35を申し込まれた方がいらっしゃいました。
理由は固定金利の安心感ですが、この内容との比較で考えてみます。

フラット35では、耐震面での申請をするには
性能表示制度の耐震等級2以上となっています。

この前のブログで説明したように、この等級2以上というのは、
建築基準法の1.25倍ですが、

実際は建築基準法の耐力壁をクリヤーしていればほとんど同程度の
数値になります。

性能表示の場合は、その他にも水平面の床倍率などいくつか
チェック項目がありますが、

私がこの方の設計をした住宅は、

建築基準法での計算で壁量安全率が1.9倍~2.9倍あります。
1階と2階、それぞれ4方向で確認をしますので、それぞれ数値は
違います。この中で一番小さい値、1.9倍をとります。

この建物を住宅性能表示制度の耐震等級の計算方法で計算すると
2倍を軽く超えます。ちなみに耐震等級3は、1.5倍です。

耐震等級は最高3までしかありませんが、
敢えて等級をつくると、これは耐震等級5相当になるでしょう。



2階がリビングの方のプランですが、この場合での私の設計は
だいたいこの程度の強さになります。

1階がリビングの方の場合は、もう少し小さな値になりますが、
等級3がどうのこうのというレベルは、当然クリアーしています。

構造的には、2階リビングの方が強いとお勧めしている根拠の
ひとつです。

また、全体の強さだけでなく、壁のバランスの問題があります。
これは、偏心率という数値を計算してあれば、それを確認します。

木造2階建てでは、その数値が0.3以下であればOKとされていますが、
ミタス一級建築士事務所では、0.15以下としています。



この方の場合は、0.06、0.14、0.08、0.12と全く問題のない優良バランスです。

さらに、このように壁量を多くしますと、逆に柱に大きな引抜力が掛かってしまう
ことがよくあります。

これもチェックしてバランスを取ります。木造2階建てで同じ柱に
ホールダウン金物が2箇所必要とならないようにするのです。

このブログの最初に載せた写真のような例を避けるのです。


これらのチェックは、スタッフが自分で考えて入力した後、私がチェックし
スタッフに指示をして、すべてのバランスを数値と図面を観ながら
修正していきます。

価格は高いですが、このためのソフトを購入してチェックしていますので、
簡単にすべての計算ができます。

操作はスタッフがしますが、どこをどうするかは、すべて私が指示をしています。

画面と数値を観ながら、どこをどうすればさらに良くなるか、構造の計算を
知っているというレベルではなく、その意味を良く理解していなければ
指示はできません。


プランの段階で、これらの耐震を考慮しながら作成していますので、
このような数値に無理なくもっていけるのです。
当然、構造ブロックや直下率も考えながらプランします。

建売や注文住宅さえも、こういうことを考えないで作ったプランですと
いくら後から調整しても苦労するだけでなく、

ここまでの数値やバランスを求めるのは無理でしょう。


性能表示制度で確認する床倍率も、28ミリの構造用合板を剛床として
一律採用していますし、吹き抜けなどにも化粧火打ちを入れて、
見映えより構造面を重視しています。

リビングなどの大きな吹き抜けの梁についても、ジョイント部分を
考慮し、台風時に風圧で梁が横にたわまないかどうか、通常必要のない
その部分の構造計算を行ってチェックしています。

また、その梁のサイズも、安全を考えながら大きものになっています。

というように、少なくとも耐震面や構造面などではフラット35や住宅性能表示
の最高レベルよりよりはるかに高いレベルで、もともと当たり前のように
設計して監理をしてます。

わざわざ低いレベルの規定に合わせてお伺いを立てる書類を作成することに
私の貴重な時間を使いたくない、

余計な設計上の足かせをわざわざ、はめたくないという気持ちがあるので、
積極的にやっていないのです。

もちろん、余分に費用を支払うからそれでもお願いしたいという
場合は、行っています。



本日は、ややこしくて長い文章になってしまいました!
理解できましたでしょうか…?

わかりませんよね…。(^^)ゞ


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耐震性に優れている?

2008年12月05日 15時39分52秒 | お勧め(建築編)
▲屋根の垂木と呼ばれる部分、通常の1.4倍~2倍程度の部材を標準にしています。
理由は、屋根面の強度、水平面の強さ、断熱材の厚さを考えてのことです。
地震だけでなく、温暖化による大型台風の増加考慮に入れています。


みなさん、こんにちは。ミタス一級建築士事務所の清水です。

さて、先日の続きです。構造面の心配相談…


最初に誤解の無いように申しあげておきますと、

住宅性能表示制度やフラット35は、良いシステムだと思いますし、
日本の住宅産業のレベルアップには役立つシステムだと思っています。

でも、なぜ私が積極的に、これらをあまり使わないかを説明しましょう。

私は住宅性能表示制度が最初にスタートするとき、
その設計や工事をチェックする立場の評価員の資格を取得しています。
制度の内容や中味を連続4日間の講習と試験で詳しく理解しました。

そのときの私の感想は、

・低レベルの建物を無くすためには確かに良いし、第三者の保証が付くのも良い。

・中味は、あるレベル以上であれば必要のないものばかりだ

・意味の無い書類作成などに私の時間を費やしたくない。

・頼まれたら50万円もらっても、本来はやりたくない。
(コンピューターのソフトを購入すれば、簡単にできるようですが)

・これに費用を余分に掛けるくらいなら、その費用をアップグレードに廻した方が良い。

・制度の内容を良く見せるために、中味が無いのに無理やり項目を増やし等級を付けたものがある。

というような感想と、大きな声ではいいませんが、
これはハウスメーカーの工務店潰しの陰謀では?(笑)

というようなことです。

ちょっと過激な発言ですね…(^^)ゞ
これは、冗談ですから、本気にしないで下さいね。


おかしいと思える分かり易い例では、

住宅性能表示制度の耐震等級2は、建築基準法の1.25倍の強さという定義になっています。
ですが、性能表示制度の計算方法は建築基準法の計算にさらに加算して数値を出します。

この計算方法では、プランによって変わりますが、
耐震壁の壁量は0.1~0.3くらい加算されます。
これは、どういうことかといいますと、

建築基準法でギリギリの数値であっても、住宅性能表示制度で計算すると
1.25倍と定義している耐震等級2になってしまうことも珍しくないということです。

もしくは、建築基準法を満たしていない物件でも計算上は耐震等級2に
なってしまうこともあり得ます。

こんな矛盾した内容で、低いレベルを満たすために私は設計や監理をしていませんから、
そのために私の時間を費やし、予算の無い中、施主の予算を割いてやりたいとは思わないのです。

しかも、設計上、足かせになって邪魔になってしまうこともあるのです。

住宅の設計は、総合的に考えて選択をしていくものです。
個別に選択していくものではありません。

個別に一律の規制があると、その制約のために良い設計にできない場合があります。
低いレベルを規制するにいは良くても、全体で考えてより良くするために
邪魔になることがあります。

例えば、基礎の立ち上がりの高さは地盤から40センチ以上必要という規制があります。
これはこれで、防湿面や基礎の強度面を考えてのことですから、意味はわかります。

しかし、防湿面で問題の無いベタ基礎にして、立ち上が部分の強度を規定よりはるかに強くしても
この規制ははずれません。その規制をする理由を充分クリアーしていても
一律の判断ができないと、判定する側が面倒になるからです。

ところが、敷地が小さく斜線が厳しい条件の場合も多いですから、
室内の天井をあと10センチ余分に確保できれば、ロフトや2階などの
使い方が飛躍的によくなる、

という場合には、この一律の規制が邪魔になります。
強度、湿気、メンテナンスなどの面をすべて規定以上に性能ではクリアーしていても
ダメなのです。


歯医者さんの治療で、保険治療の範囲で行うとあまり良い治療方法を選択できない
ということは聞きますね。でも、保険が使えない場合は値段が高くなりますから、
どちらが良いかはその人次第です。

ですが、費用と手間を掛けて、わざわざ良い選択肢も含めて使えないように
自ら規制してしまう可能性があるのが、フラット35や
住宅性能表示制度の等級指定だというのが私の考え方にあります。

もちろん、設計や監理がそれ以上のレベルを保っているという自負があるからで、
わけのわからないところに設計や工事をお願いするなら、

一般的には、これを利用したほうが第三者が入るので安心ですよと、
矛盾したことを言うのは、最初の文章をお読みになりご理解下さい。

現在は、第三者の保証は住宅性能表示制度を利用しなくても、
もっと安く付けられますから、これだけは付けるようお勧めしています。


先日の方での実例で、もう少し説明しましょう。

長くなったので、本日2回目のブログへ続く!




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構造面の心配相談など…

2008年12月03日 12時12分50秒 | お勧め(建築編)
▲カナダ、5階建ての2×4工法工事中 の写真


みなさん、こんにちは。ミタス一級建築士事務所の清水です。

メールで相談がありました。
基本的なことですので、ここで回答いたしましょう。


「地震保険の保険料が2×4は半額(来秋から)との記事がありました。

在来工法と2×4工法ではそんなにも耐震性に差があるのでしょうか?
清水さんは在来工法、2×4工法いずれもOKとのことですが、
工法は地形や地盤、2階・3階建てといった特徴によって決めるのですか?
それとも予算でしょうか?

また、外壁が軽量気泡コンクリート(ALC)の木造建物は保険料が上がるそうです。

インターネットで調べたのですが、理由がわかりません・・・
普通に使用されている物と印象を受けましたが、
なぜ保険料が上がるのでしょうか?」

という内容です。


まず、在来工法と2×4工法に耐震性の差があるのかどうかですが、
最後まで読んで頂くことを前提に結論を最初にお話しますと、
保険屋さんの立場で考えれば、当然、差があります。

一般的な2階建ての木造住宅は、阪神大震災を経た今でも、

建築確認申請で筋交いの書類提出をしなくていいのです。ノーチェックです。
ですから、正しい知識がなくても感覚だけで設計できてしまう危険性がある
ということです。

そのため、最近でも新築建売で数百棟という大量な戸数の耐震壁量の不足が
一度に指摘されました。完成後です。でも、氷山の一角かもしれません。

ノーチェックですから、ユーザーの要望を短絡的に解決するため、

南側はできるだけ大きな窓で明るく、あっちもこっちも窓で、
1階リビングを大きくして開放的にという構造面を犠牲にした
安易な間取りができてしまうのです。

その結果として、耐震性が犠牲にされているのです。

テレビの大改造、劇的ビフォーアフターでも、
ほとんどそうだったですよね?

私が匠として設計と監理をした住宅は番組始まって以来、
初めて壁が増えたとディレクターに言われました。

ついでに、耐震補強についての説明や字幕スーパーを
出してもらったのも、私が初めてだということでした。




では、2×4工法はどうでしょうか?
2×4工法を日本に輸入し、許可したとき、耐震性を含めて
さまざまな制約を付けました。

その制約を守ると、何でもできてしまう在来工法と比べると
耐震性が良くなります。

建築基準法の耐震面の基準とは関係なく、
その前の時点で構造やプラン上の制約があるのです。


よく言われている、線と面での違いはどうでしょう。
正確な説明や内容は別にして、この点でも面の方が有利です。

日本においては、制約がなくて自由に造れてしまう在来工法と
制約があってその中で造っている2×4工法、どちらが地震に強いかというと
一般的には、あくまで一般的にはですが、制約のある2×4工法です。

カナダでも2×4工法をたくさん観ました。

カナダの2×4工法は耐震面での制約が少な過ぎて、
日本ではOKになりませんし、あれなら日本の在来工法と比べても
同程度以下だろうという建物はたくさんありました。

あちらは、それほど大きな地震が来ないから、それでいいのでしょう。


保険屋さんが心配で、在来工法の地震保険を2×4工法と比べて
高くする理由がお分かりでしょうか?

一般的に構造面よりユーザーの希望プラン重視で造られやすい在来工法が、
日本ではたくさん造られているのですから、統計学で保険料を決めると
高くなるのは、当たり前でしょう。


ですが、阪神大震災以降、2×4工法の耐震性の面で良い点は、
既に在来工法に充分取り入れています。構造用面材や水平面の剛床などの
考え方です。

この考え方に、平面状のバランスと、上下階のバランス、耐震壁の連続性、
耐震壁のブロック別、耐力壁の加算や基礎、地盤の強化を行えば、
耐震性に違いはでませんし、どちらが強いとはいえません。


そこまで考えて、設計をしている人が少ないだけの話です。

ミタス一級建築士事務所で言えば、そこまで考えて設計と監理をしています。

プランや地盤にもよりますが、むしろ在来工法の方が、必要であれば
さらに実質的な耐震強度を上げることが可能だと思います。
かなりのレベルですので、一般的には気にすることはないと思います。

この理由は、保有水平耐力という考え方と在来工法と2×4工法の違いを
良く理解している専門家にしか説明できないので、ここではカットします。

同じ壁倍率でも、在来工法と2×4工法では、実は根本的な考え方の部分で
異なっています。



ミタス一級建築士事務所では、
通常の2階建てであれば、指定がなければ在来工法を選択します。
地下室などが付けば、2×4工法で外壁は2×6を使って設計します。

その他、ご質問のようにプランの特徴により工法の変更を提案します。

指定があればどの工法も行いますが、それぞれのメリットと
デメリットを、お話して納得して頂いて最終決定しています。

ではなぜ、2階建てであれば在来工法を選択するのかというと、
対応できる工務店や職人が断然多いことと、
将来的な改築にも構造的にかなり対応しやすいからです。

大工さんも私の感覚ですが、

2×4工法の方がすぐに一人前の大工さんに成れるがゆえに、
現場での造作を頼んだり、難しい加工を頼んだりしにくい大工さんの
割合が多くなってしまうからです。

大工さんによっては、年輩の方でも造り付けや現場加工ができない
大工さんもいます。

我々のような設計事務所の面倒な設計では、
それだとお互いに非常に苦労しますし、断念することもあります。

ローコストや海外のデザイン性を売りにした2×4工法に、
かなりクレームが多いという印象を受けていますが、
その理由には、職人さんへの単価やレベルの差があるような気がしています。


また、設計監理の面でおいても在来工法の方がチェックしやすい
ということがあります。

といっても、この工法でなければならないと決め付けているわけではありません。
何事にも必ずメリット、デメリットがあります。

価格交渉でも、2×4工法の方が安いといわれていますが、
実際は、交渉選択の工務店が限られる2×4工法より
在来工法の方がメリットがある気がしています。


また、ALC版の木造住宅の保険料があがるということですが、
地震保険は火災保険と一体が条件です。

今までALC版の木造住宅は、火災保険も地震保険も安かったようです。
その安かった地震保険の部分を上げるという意味だと、メールから私は理解しました。

ALC版の木造住宅が地震に強いという理由は、ALC版とは関係の無い
ところで決まります。ですから本来、地震保険が安くなる理由はありませんね。

敢えてあげれば、地震時の火災には強いということが、あるでしょう。
そういったことを含めて、今までは安かったのだろうと推定しました。
この保険の部分は、すべて私の推定です。

真相は保険屋さんに聞かないとわかりません。


さて、今回に関係して

昨日、私の不在時に、現在設計監理している建物についての耐震性について
大丈夫だろうかと心配しているような、お電話を頂いたようです。

理由は、フラット35の申し込みをしていて、耐震性の部分での申請を
しなかったからです。


結論から申し上げますと、

フラット35の求めている耐震性能や
性能表示制度の最高ランクである耐震等級3のレベルにあるかどうかいという、

低いレベルでの設計や監理は、ミタス一級建築士事務所ではしていません。

この方の新築の例では、性能表示制度では耐震等級3までしかありませんが、
もしそれ以上の等級があると仮定すると、計算上は耐震等級5になるレベルです。


これについては、既にかなり長くなっているので、
理由を含めて明日かあさっての次のブログでお話しましょう。



横浜市 設計監理  

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設計事務所は信用できない?

2007年07月20日 18時13分44秒 | お勧め(建築編)
みなさん、こんにちは。

先日、何かのアンケートで、「設計事務所は信用できない」と思われている方が28%という数字を見てショックを受けました。姉歯さん事件以来、建築士の信用が落ちたのだと思います。

信用できると考えている方が、もちろん多いですし、28%という数字は他と比べてどうなのかということは、わかりません。お医者さん、弁護士、おまわりさん、学校の先生…と比較するとどうなのでしょうか。設計事務所ですから、病院とか法律事務所とかと比べるものかもしれません。


皆さんに知っておいて頂きたいのは、いつもみなさんから直接依頼を受けて仕事をしている設計事務所と、業者の下請けを中心に仕事をしている設計事務所とは、立場が異なるということです。

何度もお伝えしているように、みなさんから直接設計監理の依頼を受けていれば、鉄筋の量を減らして工事業者のご機嫌を伺う必要は無いのです。

例えば、

私は基礎鉄筋の量を少ないときでも2倍、地盤に不安があるときには建築基準法の3倍以上の鉄筋量を設計で指示しています。これは、地盤調査をして、地盤改良の必要がなく、10年間の第三者保証を有料で付けてもなお、私が不安を感じるときは3倍以上にしています。


10年保証がついていても、住宅は最低50年間はしっかりしておいて欲しいですし、地盤改良を行っていても地震で地盤に問題が生じて傾く可能はあります。

将来、万一、地盤沈下や不同沈下が起こった場合でもこのようにしておくと、基礎が折れにくく、折れなければ復旧は可能ですし、布基礎や鉄筋量の少ないベタ基礎に比べると対応が簡単になります。

鉄筋量を増やすと値段が上がるのでは?とご心配されると思うのですが、家全体の価格からしますと、僅かです。木造2階建ての基礎の鉄筋量を3倍にしても、40坪の家で、15万円くらいのアップでしょう。


もしこれが、業者から仕事をもらっている設計事務所ならどうなるでしょうか?

業者から、「勝手に余計なことするな!その金どうするんだ」と叱られるとか、お金の問題を皆さんに確認してクリアーしても、いつもと異なる面倒なことはトラブルの元なので非常に嫌がられます。そうすると業者からの仕事が少なくなります。

注文をくれる工事業者から評判の良い設計事務所というのは、皆さんの立場から見てどうこうではなく、工事業者の立場で考えてくれる設計事務所ということになります。

但し、そういう下請け的な立場でもがんばってポリシーを保ちながら仕事をしている設計事務所の方が、圧倒的に多いですから念のため。


では、設計と工事を一緒にしているところでは、どうなのかというと それ以上に工事業者寄りなのは、明らかですね。

一流のハウスメーカーの基礎でも、「僅かな鉄筋量をカットして、こんなところでコストを落さなくても…」と見ると疑問に思うことがあります。安い建売より少ない基礎鉄筋量というケースもあります。

1万棟を建てていれば、1棟につき1万円のコストダウンするだけで、1億円の純益です。大企業なら大した金額ではないと思われるかもしれませんが、有名ブランドの大企業でも赤字になり大幅リストラを行うことがあったように、1棟で1万円コストダウンというのは、たくさん造っているところほど物凄いことなのです。

そのため、いかにコストを落とすかを研究していますから、3千万円の家で10万円を落とすために、「重要な部分でも隠れてしまうところや、一般の方がわからない部分をカットしたり、品質を落とさないで欲しい」と思うことがあります。見える部分や見映えには当然お金を掛けますが…。


カナダでは、設計と工事は同一会社で行うことを禁止し、設計者の裁量と権限が大きく、同時に責任も厳しくなっています。工事の第三者検査も日本と異なり、義務として役所でその費用を徴収して、かなり回数も質も厳しく検査を行っています。

このように設計者が工事業者の上の立場にならないと、日本の住宅の質も上がらないでしょう。

ミタス一級建築士事務所のようにみなさんから直接仕事を頂くことだけで、スタッフを抱えながら仕事を行っている設計事務所は、日本では残念ながら非常に少ないのです。


大学の建築学科を卒業しても設計事務所に入ると修行で給料は安いです。本当に好きな人しか続かず、独立してかなり時間を掛けた割りには、僅かな設計監理料しか手にできません。継続して仕事があるとは限りませんから、何より不安定です。


そのため、独立しても常に仕事が入ってくる業者の下請け仕事は、慣れれば同じパターンでこなしていけるので、安くても掛ける時間を考えるとそちらの方が良いという考え方もあります。将来のために、今だけはということで行っている設計事務所もあります。



6月20日以降、建築確認申請費用が3倍以上になりました。
内容がともなってくれれば良いのですが、

本当に品質を求めるのであれば、以前から述べているように

・設計監理と工事会社は別にすること
・実際に住む人が設計と監理を建築士に依頼する
・工事中の検査をもっと厳しく行う

というパターンでなければ、期待するのは難しいのではないか、と私は感じています。

皆さんは、どのように思われるでしょうか?




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新聞見出しの 「200年住宅」

2007年06月01日 17時16分38秒 | お勧め(建築編)
みなさん、こんにちは。ミタス一級建築士事務所の清水煬二です。

6月が始まりました。

昨日の新聞の朝刊の一面に、

現在の30年程度で建替えられている日本の住宅を 「200年住宅」 にするべく、リフォームの経歴を残して住宅の寿命を延ばすよう推進していく…というような内容が書かれていました。

大変喜ばしいことですが、一流のハウスメーカーも含めて現在の日本の住宅産業の考え方で造られた家では、どうがんばっても200年は無理でしょう。構造体に構造用集成材を使っていては、そこまで持ちません。通常の鉄筋コンクリートでも無理です。合板フローリングを接着剤で固めた工事方法では、メンテナンスも難しいです。

いずれにせよメンテナンスや維持方法を、もっと真剣に考えていかなくてはいけませんが、その考えは全くと言って良いほど無視されています。高利益、ノークレーム、見せ掛けの見栄え、どんな職人でも簡単に、が重視されているからです。


ようやく今月、新しい別会社を設立予定です。世界に誇れる高耐久で快適な住宅を造るためにはどうすれば良いのか、研究開発していくための会社です。ミタス一級建築士事務所ではなく、別会社にして資金を投下していきます。

高校2年生の初めに、「快適な住宅を設計したい」と考えて以来、それを実現するために進んできました。私の目標はそこからスタートしているのですが、自分が何を求めて、今は何をすべきかといつも自問しながら、人の目を気にせず走ってきたつもりです。


志を持って、30数年経ち、今年50歳になるのですが、高校2年生のときに考えた「快適な住宅」という短い言葉の重さや奥深さに圧倒されています。同時に、もっと突っ込んでチャレンジしていきたいという気持ちで一杯です。

機能や断熱性能、熱環境はもちろん、耐震性、耐久性、耐風性、耐水性、間取りや演出、健康問題、家族との住まい方…。あらゆる方面を満たさないと本当に「快適な住宅」は実現しません。

その中でも、住宅において日本が先進国と比べて一番劣っている耐久性は問題です。断熱性能は、大学時代から正しい知識をインプットし、経験を重ねてきたので、かなりの自信と信念を持って設計も現場指導もできるようになりました。

新聞の見出しではないですが、「300年の耐久性をもった住宅」にする方法が無いかと、イタリアのフィレンツエから帰って来てから模索してきました。

そういったことを含めて「快適な住宅」を研究開発していく法人会社を設立し、私自身が資金を出して学んでいきます。ここで、研究開発と実証を進め、少しづつ改良を重ねていきながら、本当に「快適な住宅」を追求していきます。

私の一生のテーマとして、少なくともあと20数年間、トータルで約55年間、今まで以上に追求していくつもりです。



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今年から注目される住宅の新しい課題

2007年01月09日 10時28分29秒 | お勧め(建築編)
皆さん、新年あけましておめでとうございます。

本日より、ミタス一級建築士事務所は2007年、平成19年の仕事が始まります。

今年は、皆さんの住宅の耐災害性に対する考え方が変わってくると思います。


阪神大震災以来、地震に対する意識が高まりました。私も強く意識していますが、以前から、これに加えて水害や風害も意識しながら設計や監理をしています。

一昨年、フレンツェに行ったときに、「こういう石造りで、耐震性も温熱環境も良いものがあれば、地震にも水害にも風害にも強く、耐久性も何百年という住宅ができるのに…。何とかできなものか…。」と考えるようになりました。すると、その数ヵ月後に、岡山県の田辺先生からお誘いがあり、田辺先生が生涯を掛けて追求し研究し続けている300年住宅に出会いました。



▲何百年も経った住宅が当たり前のように建っているのがうらやましい…




▲レオナルドダヴィンチの生家。500年以上経っています。


そのお誘いに喜び勇んで長野県の飯田市に見学に行きましたが、まさしくフィレンツェで考えた私が何とかできないかと考えていた住宅が現実のものになって、目の前に現れていたのです。既に70軒も建てながら改善を行われて、これなら大丈夫というものが出来たとのことで、そこに至るまでの苦労話もいろいろお伺いできました。阪神大震災でも、廻りがすべて倒壊や火災で跡形もなくなった状況の中でも、ポツンと1軒だけ完全な形で残って建っていて、神戸市からも表彰されたとのことでした。その写真も拝見しました。


この300年住宅の工法を採用して頂き、児童科学館を私財で建てて子供達のためにボランティアで運営を考えている方がいらっしゃいます。私も子供達のために、ボランティアで設計し監理をしようと思って、現在ミタス一級建築士事務所が設計を行っています。

この300年住宅は、ひとことではお話できない、もの凄いメリットと可能性を持っています。私が実際に建ててみて、その内容を完全に把握したいと思っています。


温暖化による影響と思われる強い台風や局地的な豪雨による水害、北海道では台風の被害もでています。今年は、規模も回数もさらに増えてしまうでしょう。地球温暖化は予想以上に加速的に進んでいるようです。

残念ながら、この地球規模のこの問題や重要性は正しく意識されていないように思います。今年は地震だけでなく、こういった耐災害性も考えた住宅にしていかなければならないと皆さんも認識されることでしょう。



さて、私の今年の課題は

①300年住宅の設計、監理、工事を通して完全に把握し来年には自身をもってお薦めできるようにする。

②木造住宅で、こういった耐災害性も考慮したベターな仕様を決め、価格を含めて公表していく。

③ドイツのエコ住宅を見学に行き、研究して無冷暖房住宅へ近づくヒントを探し具現化していく。

④コストパフォーマンスを上げるため、資材の指定や支給を行い、工事品質に責任を持つために職人の指定などもっと工事に絡んで監理していく。

⑤より良い住宅を求めていくうえで、研究への投資や時間を増やす。

⑥住宅の正しい考え方を、拡げていくために行動する時間を増やす。

ということですが、皆さんの課題や目標は何でしょうか?


では、今年が皆さんにとって幸せで充実した一年となりますように!


ミタス一級建築士事務所 清水煬二





神奈川県横浜市 注文住宅の住宅設計 ミタス 一級建築士事務所のホームページ 
http://www.mitasu.com/



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住宅の仕上げ材料を考えてみると

2006年10月19日 12時22分01秒 | お勧め(建築編)
こんにちは、ミタス 一級建築士事務所の清水煬二です。

もし、あなたが住宅の設計を頼むならどこにいくでしょう。

多くのかたは、ハウスメーカーや工務店ですね。
ここでプランを考えてもらって、どういう仕上げ材料を使ってというようにどんどん決まっていきます。

ハウスメーカーのパンフレットや説明でも、地震に強いとか耐久性が良いとか断熱性能が良いとか、快適、50年保証とか60年継続保証とか、やはり頼んで良かったと思うでしょう。

お待ち下さい。みなさんがわかりやすい例でお話しますと、仕上げ材を見てください。

屋根は石綿スレート版、一般的にいうコロニアル葺き、床はフローリングと書いてあるけど合板ですね。床暖ならなおさら合板を薦められます。

さらに、壁はビニルクロス貼り、トイレや洗面の床はクッションフロア貼りとなっている例が圧倒的ですね。

構造材は、強いというのが売りの構造用集成材です。

しかし、住まい手の立場で住宅を考えた場合、いずれも私は、お薦めしませんし選択いたしません。

これが、はたして住まい手の立場に立って考えた家の仕上げ材と言えるでしょうか。断固としてノーです。こういう仕上げ材の例は皆さんにもわかりやすい例ですが、実はこの住まい手を完全に無視した、造る側の都合とメリットを優先した考え方の前提で、設計においても実際の工事においてもなされているケースが多いのです。

前記のわかりすい仕上げの例で、今後、時間のあるときに説明していきましょう。

最初は、屋根です。一般的にはコロニアル葺きといいますが、石綿スレート版ですね。これは、日本だけのものだと思ってください。デザイン的には、石葺きやアスファルトシングルに似ています。

これをお薦めしないのは、メンテナンスの費用が掛かることと、放置しておくと毛細管現象で、雨が染み込みます。雨漏れで気づくくらい漏ってくれればいいのですが、じわじわと漏って、野地板(屋根の下にあり、屋根材を支えている板)が最近の合板では腐ってブカブカになっていることがあります。特に乾きにくい北側はそうです。

やはり家の耐久性を考えると、最低限50年は地震が来ても大丈夫という考え方で造るべきだと私は考えています。できれば木造でも100年…そうすると、やはりこの材料は、どんなにコストを安くして欲しいと頼まれても、私は選択しないのです。

もちろん、このことをわかった上で初期の費用を安く抑えて、後でメンテナンス費用を掛けるという考え方をされていれば問題ありません。このようにメリットとデメリットをわかった上で選択するのであれば、その方の考え方ですから問題ありませんね。

この屋根材はアスベストの含有が問題となっています。メーカーによって年数は異なりますが、10年以上前のこの屋根材は、解体時も気を付けなければならないのです。最近のものはノンアスベストに、なっています。





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