電波兵器開発従事者の人物調査について
戦後ともいっても、敗戦直後の昭和20年11月3日発行の電波探知機なる本が発行されています。
著者は紀平信氏とありますが、ネット情報では彼の戦時中の経歴や戦後の経歴などの情報もありません。
本書のはしがきに、<「図解科学」、「機械化」に掲載したものを加筆したもので、多少ニュース的には古いと思われる点もあるだろうが、われわれの企画した警告が実現し得なかった経過を知る意味において、そのままとすることとした。>とあります。
特に、本書の内容が戦時中のレーダー開発技術全般を幅広く網羅しており、第一線のレーダー研究開発技術者には間違いありません。
ただし、著者の所属が明らかではなく、なんとか彼の経歴を知りたいと思っておりました。
もう一人は、新川浩氏ですが、この人の経歴については、ネット情報で明らかにすることが出来ました。
戦時中新川浩氏は技師の身分で、海軍技術研究所電波研究部伊藤庸二技術大佐の次席として、特にメートル波レーダーの開発にご尽力されました。
また、新川浩氏は、無線と実験 昭和21年2月号「敗れ去った日本海軍の電波兵器」を寄稿されており、戦後は国際電信電話株式会社 に勤められ、1959年通常無線通信主管庁会議を始め、CCITT、CCIR、インテルサット等の会議に数次に渡り参加され、特に前記主管庁会議において短波輻輳の救済を研究するために設置された「7人の専門家」の1人に選出されるなど、主に周波数に関連した諸問題の解決に尽力、貢献されました。とのことです。
今回ネット検索していると紀平信、新川浩両氏の戦時中の雑誌への投稿記事の本があったので、早速購入するこことしました。
副羊羹書店からの購入
[商品名]:図解科学 昭和19年1月(第3巻第1号)―特輯・電波兵器―電波探知機(紀平信)、超短波(小谷正雄)、真空管(椎名雄平)、電気と兵器(湯浅光朗)ほか 仁科芳雄 監修/紀平信、小谷正雄、椎名雄平、湯浅光朗、栗山一衛 ほか[36128]
1,000 円 x 1 個 1,000 円
本雑誌は陸軍検閲済みとあることから、紀平信氏は、軍技術研究所の電波兵器部門の技師の可能性が高いと思われますが、確定するような資料は未だ発見できません。
なお、軍の技術部門の人なら所属、階級、を含んだ氏名が記載されます。
[商品名]:科学朝日 昭和18年5月(第3巻第5号)―特輯・海軍電気兵器―海軍と電気兵器(森住松雄)、超短波応用の対空兵器(新川浩)、水中聴音機(松本倫平)、方向探知機(高原久衛)、無線操縦装置(田邊一雄)ほか 森住松雄、新川浩、松本倫平、高原久衛、田邊一雄、伊藤庸二 ほか[36124]
1,000 円 x 1 個 1,000 円
なお、図解科学:電波探知機(紀平信)、科学朝日:短波応用の対空兵器(新川浩)とも記事の内容は戦時中であることから、軍の検閲もあり平凡な内容で技術的には参考程度のものであった。
参考文献
電波探知機のPDFファイルアドレス
https://drive.google.com/file/d/1QgU-CCKaYUhLQi6xYFToS0r17PaAZocx/view?usp=sharing
無線と実験 昭和21年2月号「敗れ去った日本海軍の電波兵器」
https://www.radiodesign.net/PDF/MusenJikken/1946-2/kaigun-denpaheiki.pdf
広島戦時通信技術資料館及は下記のアドレスです。
http://minouta17.web.fc2.com/
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