実務家弁護士の法解釈のギモン

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金利スワップ取引は単純?(4)

2013-08-05 11:32:03 | 最新判例
 次の疑問として、取引期間が6年間もあることである。かなり長い。この長い期間スワップ取引をし続けるのである。スワップ取引そのものがリスクのある取引であり、そのリスクのある取引を6年間もの間続けるのは、リスクの背負いすぎではないかという疑問がある。

 第3の疑問として、変動金利の金利上昇のリスクは、比較的遠い将来に問題となってくるはずで、近い将来は変動金利のままの方が有利なはずである。ところが、判例の事案は、契約時から1年後からの取引となっているようである。1年後から現実の差金決済が始まるのである。顧客側として、本当に一年後から「TIBOR」が2%あまりの金利より高くなる可能性があると思っていただろうか。
 判例の事案では、スワップ契約締結時はすでに超低金利時代に突入してしばらく経過していた時期だと思われ、銀行間取引はおそらく事実上のゼロ金利だっただろうと思われる。その金利が1年程度でたちまちのうちに2%以上に上昇するとは、考えにくい。
 つまり、変動金利を固定金利にヘッジする必要性があるとすれば、それはある程度遠い将来のはずである。1年後からではないと思う。何年も先を差金決済時とする金利スワップ契約ならヘッジする意味はあるかもしれないが、1年後からヘッジする意味があるとは思いにくい。