実務家弁護士の法解釈のギモン

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「各自」の意味(2)

2012-11-01 10:47:57 | その他の法律
 それでは、連帯債務や連帯保証債務ではなく、被告2名に対し、文字通り500万円ずつ、合計で1000万円の支払を求める場合の請求の趣旨は、どのように書くか。

 もちろん、「被告○○は原告に対し、金500万円を支払え」「被告××は原告に対し、金500万円を支払え」と請求を二つ立てればもっともわかりやすい。しかし、同じ金額の支払いを求めるのであるから、「被告らは原告に対し、それぞれ金500万円ずつ支払え」とまとめて書いた方がすっきりするのも確かである。
 このまとめて書いた場合に、国語的な意味で「各自500万円ずつ支払え」と書くとどうなるか。裁判所はこれを間違いだから直せという。これは私が実際に経験したことである。「各自」とは、あくまでも連帯債務のようなものを意味するのだというのである。そのため、「各自」の部分を「それぞれ」など、別の言葉に直すように指示されるのである。

 しかしである。以上のような考え方をとった場合、私にはどうしても疑問が生じる。

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