Reflections of Tomorrow

シンガーソングライターを中心に、知られざる未CD化レコードを紹介していくページです

Dave Rudolf

2008-09-11 | SSW
■Dave Rudolf / Folks■

  朝晩の空気が乾いてきて過ごしやすくなってきました。 秋といえば、シンガーソングライターが良く似合う季節。 できれば秋らしくしっとりとしたアルバムを取り上げていきたいと思っています。 そこで、登場したのが地味なジャケットに「Folks」「Album」と書かれたセピア色のレコードです。 このジャケットからは、翳りのある弾き語りを予想してしまいますが、内容は意外にも明るくバラエティに富んだカントリー・ロックとなっています。 

 Dave Rudolf が 1976 年に発表したこのレコードは、アメリカのどこで録音されたかもわかりません。 いや、もっと言うとアメリカである確証すらありません。 丁寧な歌詞カードやメンバーの写真が載った 14 ページものブックレットが封入されているにも関わらず、そうした基本的な情報が抜け落ちているのです。

 そんなアルバムを振り返って見ましょう。 A 面はのどかな「Folks」でスタート。 アレンジはカントリー風で初めて聴く人は途惑うかもしれません。 つづく「The Night」ではボーカルにエフェクトをかけていて更に驚くことになります。 ジャケットの印象だけで決めつけてはいけないことを改めて痛感しつつ、バンジョーのイントロで「Jodie」へ。 この曲もオーソドックスなカントリーで特にコメントする点はないのですが、つづく「Nightclub Dancer」は個人的なお気に入りです。 リズムセクションを排除したこのバラードは、ピアノやギターの音色だけで物悲しい気分にさせられます。 一転してアップに転じる「Hindsight」はトロピカルなテイストすら感じさせる陽気な曲。 「Postscript」は、しみじみと思い出をなぞるかのような名曲。 ブックレットにこの曲の歌詞だけが漏れているのは意図的なのかミスなのかはわかりませんが、何か特別な思いを感じさせる曲となっています。

 お皿をひっくり返すと、「The Gambler」は軽快なロックンロール。 もうB面なので、「いったいどこが Folks なの?」と思うほうが野暮というものでしょう。 つづく「Number Blues」も大らかなカントリー・ロック。 その手の王道路線なので粗探しなどはできません。 歌い出しが静かな「Turning Pages」はスロー・バラードかと思いきや、メリハリの利いた展開となり、派手な B 面という印象を決定的にします。 しかし、次の「Who Takes Them Dancing?」で、ようやく渋みのあるスローを迎えます。 急に枯れた空気を運んでくるこの楽曲で流れが変わってくるのですが、次の「Friends」でラストとなります。 この曲も同じテイストとなるもの、より郷愁漂う感じがするのはハーモニカのせいでしょうか。 この 2 曲で日が沈むかのようにレコードは幕を閉じます。

 こうしてこのレコードを聴いてきましたが、両面ともに前半は盛り上がって後半は落ち着きを取り戻すという構成になっています。 逆よりはいいですが、曲順にはもうひと工夫あっても良かったかなという印象です。

 さて、Dave Rudolf ですが、きっとこのアルバムだけで消息を絶っているものと思っていましたが、どうやらそれは間違いでした。 彼の名前で検索すると一番上に出てくるページがあり、ここが彼の公式ページだったのです。 「The Wacky World of Dave Rudolf」という名のサイトには、クリスマス・ハロウィーンなどキッズ向けのアルバムが多く掲載されており、彼がそうしたジャンルに特化した音楽活動を続けていることがわかりました。 そうした理由からか、この「Folks」はここには載っていなかったのですが、サイトに写っている Dave Rudolf の顔写真とブックレットを見比べて同一人物と確信しました。 
  どのようなジャンルであれ、元気に音楽活動を続けていることはうれしいことです。 



■Dave Rudolf / Folks■

Side-1
Folks
The Night
Jodie
Nightclub Dancer
Hindsight
Postscript

Side-2
The Gambler
Number Blues
Turning Pages
Who Takes Them Dancing?
Friends

Produced by Dave Rudolf
Lyrics and Music (All Songs) : Dave Rudolf
Recorded at Pumpkin Studio
Album Design and Published : Dave Schaefer

Dave Rudolf : vocals, acoustic guitar
Greg Bigler : bass
Rich Benoit : drums, percussion
Marty Giardina : acoustic guitar, electric guitar
Fred Kane : acoustic guitar
Steve Small : pedal steel
Tom Caraher : piano
Gary Loizzo : backup vocals, electric guitar
John Burchfield : banjo
Ed Tossing : piano, string synthesizer
Pat Rzonca: piano

Tunesmythe Records



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