Reflections of Tomorrow

シンガーソングライターを中心に、知られざる未CD化レコードを紹介していくページです

Lyle Swedeen

2008-09-07 | SSW
■Lyle Swedeen / Sunshine Inside■

  マイナーレーベルのレコードが多かったので、今日は隠れた SSW の名門 Fantasy Records からリリースされた Lyle Swedeen のアルバムを取り上げてみました。
  彼の唯一と思われるこのアルバムは、日本では SSW 好きの間では有名なものです。 しかし、海外ではほとんど語られることがなく、検索しても作品をレビューするようなサイトを発見することすらできませんでした。 その理由がどこにあるかの見当はまったくつかないのですが。

  レーベルが名門ということもあって、参加しているミュージシャンの豪華さが目を引きます。 Lee Sklar や Joe Osborn などリズムセクションを中心に名手が名を連ねていますが、最も影響を及ぼしているのは、アレンジを担っている Larry Knechtel でしょう。 オープニングの「Can’t Dance Without Music」で聴かれる鍵盤のイントロは間違いなく彼の発行する証明書に同意するようなものです。 ファンキーなオープニングにつづく「Meadowbird」は浮遊感のあるメロウなバラード。 そして、ブルージーなオルガンの音色に導かれて始まる「It’s All Over Now」はエモーショナルな曲調とサビでのコーラスが魅力の珠玉の名曲。 アルバムのハイライトとも言える楽曲だと思いますが、ここまで盛り上げきる展開は、まさに日本人好みといえます。 つづく「I’m Never Gonna Be Lonely Again」はライトなタッチが乾いた大陸性高気圧の天候に良く似合う曲。 そしてアルバムタイトルの「Sunshine Inside」は転調の激しいユニークな楽曲。 サビの部分でワルツになるところが奇妙な感じです。

  カラッとした青空のような「Of Your Precious Time」でB面はスタート。 この曲もハイトーンの Lyle Swedeen の魅力満載の佳作となっています。 ラストのコーラス部分の聴き応えも十分。 つづく「Easily」には、ギターの名手 Dennis Budimir が参加したしっとりした小曲。 一転して「If I Were A Rainbow」はハードで歌い上げるアップ・ナンバー。 スワンプ色の濃い「Horace Greely」に続いては、Bob Dylan の「It Takes A Lot To Laugh, It Takes A Train To Cry」です。 アルバムのラストにこの曲を持ってくる意図は読めませんが、無難にこのルーズな曲を料理しています。 
  こうしてこのアルバムのクオリティを再確認しながらも、欠点があるとしたら、その一つは David Kemper にあると思います。 ドラムスはすべて彼が叩いているのですが、全体に音に締まりが無く、僕の耳にはノイジーで雑に聴こえてしまうのです。 これは彼のテクニックの問題ではなくレコーディング機材やアレンジに依存するものかもしれまんが、Jim Keltner のような老獪かつシュアなタイプの人の方が断然似合っているように思いました。

  さて、冒頭にも Lyle Swedeen について語る英語のサイトがないことを書きましたが、ミュージシャンとしての彼らしき名前を見つけることができました。 それは Lazy Ike Band というバンドのメンバーとして、です。 このサイトでは、Lyle Swedeen はギターやスティールギターなど複数の楽器の使い手として Lazy Ike のバックバンドである Daredevils に参加していることがわかります。 残念ながらそこには写真が載っていないために、推測の域を出ませんが、NY や LA でセッションしていたとか、Joni Mitchell と共演したこともある、といった紹介のされ方から見ると、かなりの確率で本人に違いないと思います。 Lyle Swedeen がこのアルバムを発表した時に 25 歳だとしたら、今年で 59 歳… 、可能性はありうると思います。




■Lyle Swedeen / Sunshine Inside■

Side-1
Can’t Dance Without Music
Meadowbird
It’s All Over Now
I’m Never Gonna Be Lonely Again
Sunshine Inside

Side-2
Of Your Precious Time
Easily
If I Were A Rainbow
Horace Greely
It Takes A Lot To Laugh, It Takes A Train To Cry

Produced by Jackie Mills for Wednesday Child Productions
Arranged and conducted by Larry Knechtel
Recorded at Larrabee Sound , Holywood , California

Lyle Swedeen : acoustic guitar, keyboards, background vocal
Jefferson Kewley : acoustic guitar
Mike Stewart : acoustic guitar
Tony Peruso : electric guitar
Dennis Budimir : acoustic guitar
Larry Knechtel : keyboards
Lee Sklar : bass
Dave Kemper : drums
Bad Henry Davis : bass
Joe Osborn : bass
Ronnie Blakeley : background vocal
Tom Elkes : background vocal
Larrabirds (Carolyn Willis, Julia Tillman, Lorna Willard) : background vocals

Fantasy Records F-9471


最新の画像もっと見る

コメントを投稿