Reflections of Tomorrow

シンガーソングライターを中心に、知られざる未CD化レコードを紹介していくページです

Randy Edelman

2011-02-13 | SSW
■Randy Edelman / Switch Of The Seasons■

  SSWとしての Randy Edelman の現時点での最新作となるアルバムは 1985 年の作品です。 前作のロンドン録音から彼はさらに放浪し、今作はストックホルム録音となりました。 北欧でのファンの支持が根強かったのか、この流浪の理由はわかりませんが、リズム・セクションに現地のスタジオ・ミュージシャンを起用するなど、かつての西海岸で名うての名手を率いてレコーディングしてた過去のキャリアに比べれば地味な印象は拭いきれません。
  
  前作「On Time」が時代に乗り遅れた消化不良の作品だったことを考えると、この作品はモダンなジャケット・デザインから予測できるように、ピアノの音色は影をひそめ、きらびやかなシンセサイザーの音がアルバム全体の色を作り出しています。

  そのシンセのきらびやかな音色で始まる「Turn The World Around」は、イギリスのニューウェーヴのような出だしですが、まろやかで情緒豊かな Randy Edelman のボーカルは健在。 曲が進行するうちに安心感が増していきます。 70 年代だったらピアノで演奏したに違いない「Everything Is Possible」もやはりシンセをバックにした弾き語り。 時代が経るとチープに聴こえてしまうのは、当時のシンセの薄い音の仕業です。 平均的な仕上がりのミディアム「Growing Older」を挟んで、ピアノの音色が懐かしさを誘う「Young England」です。 1970 年代の Randy Edelman を彷彿とさせるメロディーとサウンドは、間違いなく A 面のハイライト。 軽快なポップの「The Music Still Plays」はタイトルともなった Switch Of The Seasons が歌詞に何度か出てくることもあって重要なナンバーなのでしょう。 当時の流行と Randy Edelman の持ち味がうまく融合したミディアムです。

  B 面に移りましょう。 パーカッションとシンセに導かれで始まる「Look Both Ways」は一瞬ですが、Patrick Morazのソロを思い出します。 つづく「It’s A Long Way To Heaven」は往年のキーボード・センスと壮大な展開があいまった傑作。 少年少女向けの SF 冒険映画の主題歌にぴったりな仕上がりです。 つづく「The Italian Star」はお得意のピアノ系バラード、メインストリームのポップな展開「Blowin’ Us Lovers Away」とレベルの高い曲が続き、品のある70年代の作風がよみがえってきます。 ラストの「My Ole Man」は予想外のアップテンポで陽気なお祭り気分でアルバムはエンディングを迎えました。 まだ次の展開がありそうな予感を残したかったのでしょうが、この曲を最後に SSW としての Randy Edelman は封印されてしまったのです。 

  さて、Randy Edelman はこのアルバムの前年 1984 年にセルフカバーアルバム「Randy Edelman And His Piano」をリリースしています。 同じ Elecstar から発売されたこのアルバムは CD 化されていますので、「Switch Of The Seasons」も是非 CD 化してほしいものです。 彼の最新作にあたるアルバムが、実は最も入手困難なレコードになってしまっているのも残念なことですので。

  と、ここまで語っておきながら、どんでん返しとなる情報を入手しました。 それは、Randy Edelman のニューアルバムが今年の 3 月 14 日に発表されるのです。 しかも、どうやらそれは映画音楽ではなく、SSW としての作品とのことでした。 「The Pacific Flow to Abbey Road」というタイトルとジャケット写真も発表されています。 無事にリリースされれば 26 年ぶりとなる彼の新作とどんな思いで向き合えばいいのでしょうか。 期待と不安が交錯しながら、その時を待ちたいと思います。

■Randy Edelman / Switch Of The Seasons■

Side 1
Turn The World Around
Everything Is Possible
Growing Older
Young England
The Music Still Plays

Side 2
Look Both Ways
It’s A Long Way To Heaven
The Italian Star
Blowin’ Us Lovers Away
My Ole Man

Produced by Pans Edvinson and Randy Edelman
Exective Producer : John Velasco
All compositions written and arranged by Randy Edelman
Recorded at Polar Music Studios, Stockholm, Sweden and Jacobs Studios, Surrey, England
Engineered and mixed by Pans Edvinson

Rutger Gunnarsson : bass
Magnus Persson : drums
Randy Edelman : keyboards and synthesizers
Mitch Dalton : guitar
Frank Ricotti : percussion

Backing vocal on ‘Growing Older’ and ‘Turn The World Around’ : Jackie De Shannon

Elecstar VCLP 010


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