Reflections of Tomorrow

シンガーソングライターを中心に、知られざる未CD化レコードを紹介していくページです

Taffy McElroy

2008-11-04 | Female Singer
■Taffy McElroy / The Heartbreak Kid■

  1982 年に開催されたヤマハ主催の世界歌謡祭に来日した記録が残っているTaffy McElroy の唯一のアルバムをピックアップしてみました。 当時は「タフィー」名義で「さよならにキッス」という邦題の国内盤も出ましたが、さっぱり話題になりませんでした。 内容とは裏腹にアイドル路線の売り方をされてしまったのも要因のひとつかも知れません。 
  たしかにジャケットからは洗練された AOR サウンドを想像するのは難しいかもしれませんが、カントリー風味を極力抑えたアレンジと Taffy McElroy の清楚なボーカルの組み合わせは今聴いても新鮮に響きます。 
  このアルバムを取り上げた理由は Rob Galbraith つながりです。 この作品には彼がプロデューサーとして深く関わっており、先に取り上げた名盤「Throw Me A Bone」とも多くのミュージシャンが重なっています。 それだけでも触手が伸びそうですが、作曲陣には、Robert Byrne, Randy Goodrum, Kerry Chater といった渋めの名前が連っています。 この選曲も Rob Galbraith によるものなのでしょう。

 さて、アルバムは総じてミディアムなバラードで締められており、1981 年という時代を反映して、セッション・マンの安定した演奏もあって、安心して聴くことのできる流れとなっています。 ややもすると予定調和で退屈とも言えますが、業界のベテラン達が Taffy McElroyのイメージを確立させようとした気配が十分に伝わってくるのです。

  主な曲についてコメントしていましょう。 まずは Tom Brasfield / Robert Byrne によるバラード「Who’s That Look In Your Eye」と「That Didn’t Hurt Too Bad」です。 前者は Michael Johnson や Rick Bowles による歌唱でも知られていますが、ここで聴かれる気品あるまろやかさも格別です。 後者も引けを取らない名バラード。 Dr.Hook のバージョンが有名のようですが、未聴です。 「最初の彼女になりたいの」とささやく「I Want You To Be The First」は Rob Galbraith が作曲に関わった唯一の曲。 この曲や失った恋の切なさを歌い上げる「When It’s Gone」、Randy Goodrum の「If I Hadn’t Me You」などA面は切ないバラードが並びます。 唯一のアップナンバーがタイトル曲の「The Heartbreak Kid」というのも意外。

  B 面では、「You Can Always Count Me」や「Out Of My Mind」といったバラードも悪くないのですが、さすがにここまでバラードだと消化不良気味になります。 そういった意味では、アップナンバーの「What’s On Your Mind」で聴ける後半のギターソロはかなり新鮮ですし、ノスタルジックな「Then You Can Tell Me Good-bye」で終わるラストも並びとしては最高です。 ちなみにこの曲が邦題の「さよならにキッス」の元となったのでしょう。 

  さて、冒頭で彼女が世界歌謡祭で来日したと書きましたが、公式な記録を残しているサイトによると、そこで歌われた曲「Just One Chance To Be Free」という曲です。 このアルバムには未収録で、作詞・作曲もアメリカ音楽界の裏重鎮とも言える Fred Mollin となっていることから、このアルバム制作後に用意されたシングル候補曲なのでしょう。 しかし、ネットで検索してもこの曲がシングルとなった痕跡は見当たりません。 この曲は世界歌謡祭で入賞すらできなかったことから、もしかすると彼女の音楽活動にピリオドを打つきっかけとなってしまった曲なのかもしれません。




■Taffy McElroy / The Heartbreak Kid■

Side-1
Who’s That Look In Your Eye
The Heartbreak Kid
When It’s Gone
I Want You To Be The First
If I Hadn’t Me You

Side-2
You Can Always Count Me
That Didn’t Hurt Too Bad
What’s On Your Mind
Out Of My Mind
Then You Can Tell Me Good-bye

Produced by Rob Galbraith

Acoustic piano : Bobby Ogdin
Electric piano : Ron Galbraith, Bobby Ogdin
Electric guitar : Bruce Dees, Reggie Young, Larry Byrom
Acoustic guitar : Don Roth, Bruce Dees
Bass : Warren Gowers, Steve Brantley
Drums : David Accorso, Kenny Malone, Larrie Londin, Steve Brantley
Trombone : Wayne Harrison
Trumpet : George Tidwell
Saxophone : Denis Solee
Percussion : Farrell Morris
Recorder : Billy Puett
Steel : Sonny Garrish
Background Vocals : Bruce Dees, Steve Brantley, Lea Jane Berinati, Donna McElroy, Marcia Routh, Rob Galbraith
Strings : Shelly Kurland, Concertmaster
Harmony : Taffy

Strings Arrangements : Bergen White
Horn Arrangements : Wayne Harrison
Rhythm Arrangements : Rob Galbraith
Background Vocal Arrangements : Bruce Dees

MCA -5191


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