Reflections of Tomorrow

シンガーソングライターを中心に、知られざる未CD化レコードを紹介していくページです

Dan Donahue

2006-10-30 | SSW
■Dan Donahue / Long Distance Runner■

 10 月最後のレコードは、カナダのウィニペグ産の SSW、Dan Donahue のファーストアルバムです。 1978 年に発表されたこの作品は、1978 年と云うある意味最良の時代のエッセンスに満ちた名盤と言えるでしょう。
 裏ジャケットの本人の写真から想像できるとおり、彼の声はハイトーンでプレインな感じ。 神経質そうな印象すらありますが、繊細で時折ファルセットに裏返るあたりは、僕の好きなタイプなのです。
 
 アルバムは全 10曲。 1 曲を除いて Dan Donahue 自身のオリジナルとなっています。 「Welcome Home Sister」は、明るいカントリータッチのナンバー。 心地よいリズムセクションやこもり気味のハーモニカなどが印象に残りますが、彼の声質にはあまり似合わないという気もします。 一転して、ミディアムなバラード「Ma」は佳作です。 途中で入る儚い女性コーラスや、抑え目のバック陣など、湿度の低そうな空気感すら感じることができます。 つづく「Good Times」は、プレAOR的でアコースティック・グルーヴ感あふれる曲です。 A 面はこの 2曲がいいですね。 つづく「Twin Otter Shuffle」は、唯一のインストですが、当時人気のあったアコースティック・ギター・フュージョンの Earl Klugh のアルバムはきっとこんな音だったのだろうと思ってしまいました。 オオカミの遠吠えから始まる「Wild Canada」は、夜のイメージに包まれた静かな曲。 唐突気味にフェードアウトしたあとは、朝の鳥のさえずりが聴こえてきます。

 充実の B面に進みましょう。 タイトル曲の「Long Distance Runner」は、「Welcome Home Sister」と同系列のサウンド。 エフェクトをかけたエレキ・ギターの音色が曲を華やかに染めています。 つづく「Just An Old Romantic」は、ノスタルジックなアレンジが包まれたジャジーなナンバー。 Dan Donahue の高い声に時折ファルセットが入ってきて素晴らしい出来です。 間奏の場面では、気取った口笛のソロなどが入るなど、予定調和な展開なのですが、そんな所もにんまりとさせられてしまいます。 唯一のトラッド「Skewbald」は単調なアップチューンで特に聴きどころはありません。 そして迎える「Madrid」は、アルバムを代表する名曲。 ピアノの弾き語り中心の曲なのですが、ひねくれポップ的な間奏など、風変わりな展開を違和感なく進めていくアレンジは見事です。 僕は、アルバムを取り出して、この曲に針を落としてしまうことも度々あったりします。 ラストのしっとりした小曲「Always A Mission」はリコーダーの音色も心温まるしっとり系のワルツとなっています。 久しぶりにアルバムを聴きましたが、ラストの 2曲がこんな並びだと、アルバム全体の評価が甘めになってしまいますね。

 Dan Donahue は、この作品の後に同じ Freckles Music からセカンドアルバム「Motion」をリリース。 僕は残念ながら持っていないので、早く聴いてみたいです。

 1978 年にこっそりとリリースされた Dan Donahue のファースト。 このアルバムは、同じカナダの Ian Tamblyn のアルバムが好きな方には、きっとカナダ産特有のカラッとした空気感と肌触りを気に入ってもらえると思うのですが。

 

■Dan Donahue / Long Distance Runner■

Side-1
Welcome Home Sister
Ma
Good Times
Twin Otter Shuffle
Wild Canada

Side-2
Long Distance Runner
Just An Old Romantic
Skewbald
Madrid
Always A Mission

All Songs Written by Dan Donahue
Except ‘Skewbald’ traditional
Produced by The Big Freckle

Acoustic guitar : Bob Putves
Electric Guitar : Dennis Petrowski , Chris Anderson , Dennis Fataci
Bass : Richard Maslove , Chrisn Anderson
Trumpet : Chuck Stensgard
Tenor Sax : Dave Pacez
Back up Vocals : Michael Heath and Caroline McCleod
Vocals , acoustic guitar , electric guitar , Synthesizers , piano , irish whistles , harmonica, banjo, bass :Dan Donahue
All Percussion : Randy Joyce

Recorded at Kolossal Studios , Winnipeg , Manitoba , Canada , 1977
Mastered at Roade Studios , Winnipeg , Manitoba , Canada , 1977
Mastered at Jamf Studios , Toronto , Canada , 1978

Freckles Music WRC 343


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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ども (きよ)
2006-11-03 08:45:14
これは私も好きなアルバム。そのうちブログで取り上げよう・・・と思ってたら先を越されちゃいました(笑)。
「Motion」は私も持ってないんで聴いてみたいですねぇ。
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