Reflections of Tomorrow

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Klender And Winchester

2010-09-19 | SSW
■Klender And Winchester / Klender And Winchester■

  ようやく秋の訪れを実感できるようになってきました。 秋は SSW を聴くには最もふさわしい季節だと思います。 特にセンチメンタルなサウンドはこの季節にぴったりです。
  そこで取り出したのは、メリーランド州出身のデュオ Klender And Winchester が 1975 年に発表したおそらくファースト・アルバム。 味気ないジャケットからは想像もつかないほど抒情的で聴き応えのある作品となっています。

  個々の楽曲は Richard Klender と Ted Winchester がほぼ半分ずつ書き下ろし、共作が3曲という構成となっています。 全 10 曲のなかから選りすぐりの楽曲から紹介していくことにしましょう。
  悩んだ末にベストの 1 曲にあげたのは、A-3 の「Love Song」です。 素朴なメロディーにさわやかなハーモニーが駆け抜ける様はこの手のサウンドの頂点ともいえる完成度をみせており、扇情的なストリングスとマンドリンが交錯する後半のインスト部分などは映画のエンドロールを見ているかのような気分にさせられます。 永遠の生命を与えるべき名曲と言えるでしょう。 この曲と最後まで迷ったのが、ラストの「Sing Me」です。 ♪Sing me, I’m s song♪ から始まるサビが幾度となく繰り返され、いったん終わったと思ったら子供たちの声で再度表れるというニクい演出も鮮やかです。 曲調はソフトロックのようなタッチで、歌詞は Bruce Johnston の「I Write A Song」のようです。 この 2 曲とも、Ted Winchester の作曲ということで、彼のソングライティングの才能に感心するとともに、彼と僕の相性の良さを感じました。
  つづいては、やはり Ted のペンによる「Ron’s Song」を挙げておきましょう。この曲は Ron という友達の結婚式のために作られたという美しいワルツ。 このような曲に駄作があるはずがありません。 

  Richard Klender の曲は、Ted に比べてアップテンポだったり、カントリー色が強い傾向にあります。 とはいえ、オープニングを飾る「Welcome To My Life」のような感傷的な小曲は素晴らしいですし、唯一のインスト「Ballet For Donna」では、クラシカルなギター・テクニックとストリングスのアレンジを絡ませて、ヒーリング的な味わいの濃い空間を作り出しています。 ほとんどの楽曲で聴ける息の合ったハーモニーこそが、Klender And Winchester の最大の魅力でもあることを考えると、このふたりが対等に渡り合ってこそ、この名盤が生み出されたと言えるでしょう。

  ちなみに、彼らには「This is my life … This is my soul」というタイトルのアルバムがもう 1 枚存在します。 夕日にたたずむ二人のシルエットが美しいジャケットで、何としても入手したいと思っている作品なのですが、どちらがファーストアルバムなのかが定かでありません。 品番が 1443 なので順当に考えれば、「This is my life … This is my soul」のほうがセカンドアルバムなのですが、ネットでは 1974 年作品と言う表記もあったりして本当のことが判らないのです。 そんな謎を解明したい気持ちもありますが、それよりも彼らの音楽をすべて聴きたいという気持ちが優っています。

■Klender And Winchester / Klender And Winchester■

Side 1
Welcome To My Life
We Ain’t In It For The Money
Love Song
9 To 5
Arizona
Ron’s Song

Side 2
Little Bit Of Rhythm
Down By The Sea
Gene
Ballet For Donna
Sing Me

Produced and arranged by Klender and Winchester
Recorded at Sheffield recording Lyd, Timonium, Maryland

Richard Klender : vocals, acoustic and electric guitar, 12 string, electric piano, bass, percussion
Ted Winchester : vocals, acoustic and electric lead guitar, 12 string bass, bamjo, mandolin, trombone
Charles Deck : organ, steinway and honky tonk piano
Tom Simpson : drums
Tony Sweet : drums
John Glik : fiddle
Mary Rigle : classical guitar

K/W Productions 1442


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