Reflections of Tomorrow

シンガーソングライターを中心に、知られざる未CD化レコードを紹介していくページです

David Pomeranz

2006-12-14 | AOR
■David Pomeranz / It’s In Everyone Of Us■

 David Pomeranz のアルバムを遡っていくことにします。 今日は 1975 年にアリスタからリリースされた 3枚目のアルバムをご紹介します。
 このアルバムを一言で言えば、青々しい青年がたたずむジャケットのとおり、爽やかで汚れのない David Pomeranz の現在に至るまでのサウンドが確立された作品ということになります。 前回もご紹介した 1999 年発表のベスト盤「Born For You」に、このアルバムから 2曲が再録されていることが、アーティストとしての方向性の定まったことを表していると思います。 プロデュースは、Anders & Poncia で有名な Vini Poncia。 アリスタで Vini Poncia といえば、このブログで以前取り上げた The Movies のアルバムと同じ組み合わせです。

 さて、アルバムは David Pomarenz を代表するバラード「It’s In Everyone Of Us」でスタート。 この曲は、このブログで取り上げた Barbara Meislin をはじめ、多くのミュージシャンにカバーされています。 David 本人のバージョンは、ゆったりと大らかな広がりを感じさせるアレンジとなっています。 そのうえに、Gary Wright、Alan O’day 、Patti Dahlstrom などの豪華な面々によるバックコーラスが厚みを加えているので、出来が悪いわけがありません。奥さんである Althea Pomeranz のことを歌った「Thea」に続いて、Barry Manillow のトップ 10入りのヒットでも有名な「Tryin’ To Get the Feeling Again」は前述の「Born For You」でも再録された David Pomeranz ファンにはお馴染みの代表曲。 空を駆け抜けるかのようなメロディーが Pomeranz 節とも言える「The Hit Song Of All Time」もファンには人気のありそうな名曲です。 つづく「Flying」はバルーンでもっと高いところに飛んでいってしまったかのような浮遊感が David のハイトーンボイスで綴られていきます。
 B面では、「Born For You」で再録されたバラード「If You Walked Away」が出色です。 この曲も David Pomeranz ファンには人気だと思いますが、このアルバム制作時、彼は 24 歳だっということで早熟な才能を感じざるを得ません。 Barry Fasman のアレンジ力が光る「High Together」、ピアノをベースとしたリズムレスのバラード「Clarence」が B面では聴きどころでしょう。 「Clarence」はちょっともったいぶりすぎて冗長な感も否めませんが。 

 久しぶりにこのアルバムを聴きましたが、1975 年という良き時代のサウンド・プロダクションが安定しており、Melissa Manchester や The Faragher Brothers などの渋いバックコーラスも楽しむことができる充実した作品だということを再認識しました。 できれば、「The Truth Of Us」に続いて世界初 CD 化を期待したいところです。 アリスタは、David Forman のような隠れた名盤が CD 化された実績もあるので、ぜひともお願いしたいところです。
 
 さて、このアルバムにも輸入盤と国内盤が存在します。 輸入盤は、二つ折り見開きジャケットなのですが、国内盤はコスト削減が狙いなのかシングル仕様となっています。 輸入盤の方が多く出回っているので、そちらをお薦めしますが、David Pomeranz の濃い胸毛は見たくなかったですね。 問題の国内盤ですが、僕の持っているものには帯はないものの解説が入っており、そこに表記された邦題には腰を抜かしてしまいます。 そのタイトルは、『賢人に捧げるバラード』。 当時のアリスタは東芝 EMI から発売されていたのですが、誰が名づけたのでしょうか。 『原子心母』や『狂気』という邦題を生んだレコード会社ですが、この邦題はいただけません。

 解説を書いている音楽評論家は 1971 年の前作「Time To Fly」の印象が強すぎたせいか、このアルバムを「前作に比べて鮮度が落ちることは否めない」とか「右の耳から左の耳ですんなりと抜けてしまった」と評しています。 このようにネガティブな評論をレコードの解説に堂々と掲載するところは潔しと思いますが、先に書いたように David Pomeranz のサウンドが確立されたアルバムとしての重要性と楽曲のクオリティをもっと評価すべきだと思います。 もっとも評論家に先を見通せというのも無理がありますが。
 
 

■David Pomeranz / It’s In Everyone Of Us■

Side-1
It’s In Everyone Of Us
Thea
Tryin’ To Get the Feeling Again
The Hit Song Of All Time
Flying

Side-2
Greyhound Mary
If You Walked Away
High Together
Home To Alaska
Clarence

Produced by Vini Poncia for Richard Pery Productions
All songs written by David Pomeranz

David Pomeranz : piano , organ , acoustic guitars ,clavinet , percussion
Emory Gordy : bass
John ‘Cooker’ LoPresti : bass
David Hungate : bass
David Wolfert : acoustic guitar , electric guitar
Jim Calvert : electric guitar
John Vastano : electric guitar
Jim Keltner : drums
Kirk Bluner :drums
Dennis St. John : drums
Lenny Castro : conga , percussion
Harold Huff : percussion
James Newton Howard : Arp Synthesizer
Jim Horn : tenor asx
Tom Saviano : sax
Rich Felts :trumpet

Backing Vocals : David and Althea Pomeranz , Gary Wright , Lorna Ellis , Alan O’day , Brie Howard , Patti Dahlstrom , Bob Strauss , Dennis Brooks , Peter Spelman , Vini Poncia , Melissa Manchester , The Faragher Brothers , John Vestano

Strings and Woodwinds Arranged and Conducted by Barry Fasman

Arista Records AL 4053


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
遂にCD化実現の模様 (elbow)
2007-03-10 23:28:40
はじめまして。
Amazon.co.jpを覗いていたところ、『イッツ・イン・エヴリワン・オブ・アス』が2007/04/25発売予定としてリストアップされております。
レコードプレーヤーもカセットデッキも不調になって久しいため長い間聴けなかったアルバムがCD化されると思うと、嬉しい限りです。
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Unknown (MILKWOOD)
2007-03-12 08:56:03
elbowさん。 貴重な情報ありがとうございます。このアルバムはAristaですから、BMGですかね。 いずれにしても楽しみです。
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