■David Pomeranz / Time To Fly■
「David Pomeranz はどうも甘すぎてダメ」という人も多いと思いますが、そんな人にお薦めしたいのが、このセカンドアルバム。 1971 年の暮れに発表された作品なのですが、知的で洗練されたサウンドは時代を感じさせません。 豪華なミュージシャンによるクオリティの高い演奏、難解な楽曲という要因もあり、時代を先取りしすぎたが故にまったく売れなかった SSW 作品と言えると思います。
このアルバムを買ってまず驚いたのが、参加しているミュージシャンの凄さです。 まだ 20 歳そこそこの無名のシンガーソングライターのために、どうしてこんな凄腕のミュージシャンが集結したのでしょうか。 その理由はわかりませんが、個々のミュージシャンの時代考証的にも非常に興味深い参加が目立ちます。
なかでも Chick Corea と Jan Hammer のクレジットには驚きました。 この二人が同じアルバムにしかもジャズ以外のジャンルのアルバムに参加しているというのは、おそらくこのアルバムだけでしょう。 さすがに共演していることはないのですが、Chick Corea は、「Return To Forever」のファースト・アルバム(1972年)のレコーディング直前だったのではないかと推測され、しかも「Return To Forever」のメンバーでもあった Joe Farrell と Airto Moreira も参加しており、その事実だけでちょっと興奮してしまいます。 一方の Jan Hammer も Mahavishnu Orchestra に参加した時期です。 この二人を引き寄せるには、かなり強力な人脈かギャラが必要だったのではないでしょうか?
アルバムの全般的な印象は、先進性に富み難解な楽曲が多いなか、時折見せるポップなテイストとクールな演奏が全体の輪郭を引き締めているという感じです。 A 面はB 面に比べてピアノ色の強い曲が多く、「Father Thoughts」などはまさにPomeranz の世界。 続く「Mr. Middle’s Summertime」は明らかにピアノの音色が違い(個人的にはJan Hammer が弾いていると推測しています)、Billy Joel に通じるポップ感を持つ曲です。 静寂な佇まいのなかに響くホーンやストリングスがさらに孤独感を高めるかのような「City Show」、シングルカットされたブルージーな「Dagger」と続いていきます。 しかし、このような地味な曲をどうしてシングルカットしたのか、狙いがよく判りません。
B 面では、「I Need Time To Fly」と「Day Prayer」が好みです。 前者は音数が少ないながらも緻密な演奏と美しくも複雑なメロディー、まだ若き David Pomeranz の美声とが絶妙に一体化しています。 ちなみに、この曲のピアノは Chick Corea ではないかと推測しています。 アルバムラストでもある後者は、繊細なピアノ系のバラードで、ラストのリフレインとストリングスがさりげなく心をしみる曲。 他の曲はギター系のリラックスした曲もあり、特に「A Fine Woman」は、豪華なサポートミュージシャンのプレッシャーから放たれたかのように和んでいます。
エンボス加工された二つ折りのジャケット。 鳩を放つ David Pomeranz の後姿。 ちょっとチープな感じもしなくはないこのデザインですが、個人的にはとても気に入っています。 このアルバムから感じ取れる孤独や希望といったものを、そのまま表しているように思えるからなのです。
■David Pomeranz / Time To Fly■
Side-1
First
Father Thoughts
Mr. Middle’s Summertime
City Show
Dagger
Side-2
I Need Time To Fly
A Fine Woman
We Loved Just Fine
Hideaway Suite
Part 1
Part 2
Day Prayer
Produced by Charles Calello
Arranged by David Pomeranz and Charles Calello
All songs written by David Pomeranz
David Pomeranz : guitar , piano , percussion , vocals
Chick Corea , Jan Hammaer : piano
Bill Cobham Jr. : drums
John Hall , John Tropea , David Spinoza , Jack Gerow : guitar
Jay Leonhart , Ed Gpmez : bass
Airto Moreira : congas
Randy Brecker : John Frosk : trumpet
Tom Mitchell : trombone
Jim Buffington : french horn
Joe Farrell : tenor sax
Don Ashworth : baritone sax
David Friedman , George Devens : percussion
Decca Records DL 7-5329
「David Pomeranz はどうも甘すぎてダメ」という人も多いと思いますが、そんな人にお薦めしたいのが、このセカンドアルバム。 1971 年の暮れに発表された作品なのですが、知的で洗練されたサウンドは時代を感じさせません。 豪華なミュージシャンによるクオリティの高い演奏、難解な楽曲という要因もあり、時代を先取りしすぎたが故にまったく売れなかった SSW 作品と言えると思います。
このアルバムを買ってまず驚いたのが、参加しているミュージシャンの凄さです。 まだ 20 歳そこそこの無名のシンガーソングライターのために、どうしてこんな凄腕のミュージシャンが集結したのでしょうか。 その理由はわかりませんが、個々のミュージシャンの時代考証的にも非常に興味深い参加が目立ちます。
なかでも Chick Corea と Jan Hammer のクレジットには驚きました。 この二人が同じアルバムにしかもジャズ以外のジャンルのアルバムに参加しているというのは、おそらくこのアルバムだけでしょう。 さすがに共演していることはないのですが、Chick Corea は、「Return To Forever」のファースト・アルバム(1972年)のレコーディング直前だったのではないかと推測され、しかも「Return To Forever」のメンバーでもあった Joe Farrell と Airto Moreira も参加しており、その事実だけでちょっと興奮してしまいます。 一方の Jan Hammer も Mahavishnu Orchestra に参加した時期です。 この二人を引き寄せるには、かなり強力な人脈かギャラが必要だったのではないでしょうか?
アルバムの全般的な印象は、先進性に富み難解な楽曲が多いなか、時折見せるポップなテイストとクールな演奏が全体の輪郭を引き締めているという感じです。 A 面はB 面に比べてピアノ色の強い曲が多く、「Father Thoughts」などはまさにPomeranz の世界。 続く「Mr. Middle’s Summertime」は明らかにピアノの音色が違い(個人的にはJan Hammer が弾いていると推測しています)、Billy Joel に通じるポップ感を持つ曲です。 静寂な佇まいのなかに響くホーンやストリングスがさらに孤独感を高めるかのような「City Show」、シングルカットされたブルージーな「Dagger」と続いていきます。 しかし、このような地味な曲をどうしてシングルカットしたのか、狙いがよく判りません。
B 面では、「I Need Time To Fly」と「Day Prayer」が好みです。 前者は音数が少ないながらも緻密な演奏と美しくも複雑なメロディー、まだ若き David Pomeranz の美声とが絶妙に一体化しています。 ちなみに、この曲のピアノは Chick Corea ではないかと推測しています。 アルバムラストでもある後者は、繊細なピアノ系のバラードで、ラストのリフレインとストリングスがさりげなく心をしみる曲。 他の曲はギター系のリラックスした曲もあり、特に「A Fine Woman」は、豪華なサポートミュージシャンのプレッシャーから放たれたかのように和んでいます。
エンボス加工された二つ折りのジャケット。 鳩を放つ David Pomeranz の後姿。 ちょっとチープな感じもしなくはないこのデザインですが、個人的にはとても気に入っています。 このアルバムから感じ取れる孤独や希望といったものを、そのまま表しているように思えるからなのです。
■David Pomeranz / Time To Fly■
Side-1
First
Father Thoughts
Mr. Middle’s Summertime
City Show
Dagger
Side-2
I Need Time To Fly
A Fine Woman
We Loved Just Fine
Hideaway Suite
Part 1
Part 2
Day Prayer
Produced by Charles Calello
Arranged by David Pomeranz and Charles Calello
All songs written by David Pomeranz
David Pomeranz : guitar , piano , percussion , vocals
Chick Corea , Jan Hammaer : piano
Bill Cobham Jr. : drums
John Hall , John Tropea , David Spinoza , Jack Gerow : guitar
Jay Leonhart , Ed Gpmez : bass
Airto Moreira : congas
Randy Brecker : John Frosk : trumpet
Tom Mitchell : trombone
Jim Buffington : french horn
Joe Farrell : tenor sax
Don Ashworth : baritone sax
David Friedman , George Devens : percussion
Decca Records DL 7-5329
発売当時ファイブ・スターのついたこのアルバムがいまだにCD化されないことも不思議だけど、
ほとんど誰もしらないことがもっと不思議でした。
こうしてここに「TIME TO FLY」についてのレビューがあるだけで感動ものです。
なんか嬉しい!
このアルバムへの熱い思いが伝わってきました。 早くCD化されてほしいですよね。