■The Family / The Mountains Sing■
ある晩、家族勢ぞろいした食卓でお父さんは言いました。 「なあ、家族みんなでレコードを作ってみるなんてどうかなぁ?」 それに対して、母は無言。 娘「えー、やだぁ。かっこ悪い~」、息子「ありえねえ~」…… そんな反応となるのが日本のごく普通の家庭ではないでしょうか。
しかし、30 年近く昔のアメリカでは、母「面白そうね~」、娘「それって素敵!」、息子「いいアイディアだよ、お父さん!」みたいなことがあったのかもしれません。 いや、そんな風景があったに違いないからこそ、このようなアルバムが存在しているのです。 1979 年、バージニア州での Clynard C. Belcher 一家では、おそらくそんな場面があったのです。
そんなことが現実となって、有体物となって僕の手元に渡ってきたのが、このレコード。 なんで、こんなレコードを持っているのかと聞かれても、うまく答えられないのですが、アメリカのおそらく裕福な家庭ドラマともいえるこのアルバムをご紹介しましょう。
まずは、「The Family」のことから。 Clynard C. Belcher と Anita A. Belcher 夫妻に、息子の Hugh と Kerry 、娘の Becky と Judy という 6 人家族構成となっています。 Becky と Judy はすでに結婚していて、それぞれMorecraft 、Rogers という名前になっています。 しかも、バージニアには住んでいないようです。
そんな離ればなれになっている Becky や Judy を集めて、1 枚のレコードを残すとは、家族愛にあふれた家族なのか、Clynard の家長としての求心力の強さの表れなのでしょう。
アルバムは、ゆったりしたワルツが多く、古典的なフォーキーなのですが、全曲オリジナルというところは驚きです。 なかでも素晴らしい出来なのが、Becky と Judy 姉妹のデュエット「Tell My Mountains I Said Hi (For Becky)」と「Granny Anne (For Anne Fuller Anderson)」です。 前者は姉妹の微妙なビブラートと清楚な歌声に魅了されるばかり。 後者のほうは、唯一の Becky 作曲のものなのですが、アルバムの代表曲と言えるでしょう。 Becky の澄んだソプラノをメインに、コーラスも伸びやかにサポートするのですが、曲の途中で「Amazing Grace」のサビの部分をうまく挿入してくるあたりが実に良く出来ています。
他の曲は、Becky や Judy のソロに近いものが多いのですが、「Hills of Virginia (For Tommy)」と「Take Me Back」は、長男である Hugh のリードボーカル。 彼の声はなんとなく James Taylor に似ており、リラックスしたアルファ波が出ていそうな雰囲気です。 クレジットを見てもわかるとおり、Clynard 夫妻は前面には出てきません。 二人の娘をフィーチャーしたかったのでしょう。
さて、そんなこの家族はいまも健在なのでしょうか? そんなことを探りたくなったので、検索してみたところ、Clynard 夫妻は、いまもバージニア州で保険業を営んでいるようです。 そこには住所もメールアドレスも掲載されていました。 4 人の子供たちも、すでに立派な中年になっているはず。 時折、このアルバムのことを思い出したりするのでしょうか。 もし、長男にインタビューすることができたら、きっとこんな答えが返ってくるのでしょう。
「レコーディングは楽しかったさ。 アルバムが完成したときは嬉しかったよ。 中身も悪くないと思うんだけど、あんまり売れなかったんだ。 僕たちは、それはお父さんの描いたあのジャケットのせいってことにしていたんだよ!」
■The Family / The Mountains Sing■
Side-1
Tell My Mountains I Said Hi (For Becky)
Hills of Virginia (For Tommy)
The Swallow – High Above A Mountain
Going Home To The Mountains
Side-2
So You Want To Come Back
Granny Anne (For Anne Fuller Anderson)
Take Me Back
Life Has Been Hard (For Sarah Raines Anderson)
Producers : Clynard C. and Anita A. Belcher
Cover Design : Clynard C. Belcher
‘Granny Anne’ written and composed by Becky B. Morecraft
The reminder of the songs written and composed by Anita A. Belcher
Singer Credits
Becky B. Morecraft , Judy B. Rogers , Hugh C. Belcher : lead
Becky B. Morecraft : soprano
Judy B. Rogers : alto
Hugh C. Belcher : tenor
Clynard C. Belcher , Hugh C. Belcher, Kerry G. Belcher
Musician Credits
Kerry G. Belcher : 6&12 string guitarc
Judy B. Rogers : 6 string guitar
Hugh C. Belcher : piano
Chuck Tipton : rhythm and bass guitar and harmonica
Bruce Rush : Arp Omni
Transworld Records TWL-034
ある晩、家族勢ぞろいした食卓でお父さんは言いました。 「なあ、家族みんなでレコードを作ってみるなんてどうかなぁ?」 それに対して、母は無言。 娘「えー、やだぁ。かっこ悪い~」、息子「ありえねえ~」…… そんな反応となるのが日本のごく普通の家庭ではないでしょうか。
しかし、30 年近く昔のアメリカでは、母「面白そうね~」、娘「それって素敵!」、息子「いいアイディアだよ、お父さん!」みたいなことがあったのかもしれません。 いや、そんな風景があったに違いないからこそ、このようなアルバムが存在しているのです。 1979 年、バージニア州での Clynard C. Belcher 一家では、おそらくそんな場面があったのです。
そんなことが現実となって、有体物となって僕の手元に渡ってきたのが、このレコード。 なんで、こんなレコードを持っているのかと聞かれても、うまく答えられないのですが、アメリカのおそらく裕福な家庭ドラマともいえるこのアルバムをご紹介しましょう。
まずは、「The Family」のことから。 Clynard C. Belcher と Anita A. Belcher 夫妻に、息子の Hugh と Kerry 、娘の Becky と Judy という 6 人家族構成となっています。 Becky と Judy はすでに結婚していて、それぞれMorecraft 、Rogers という名前になっています。 しかも、バージニアには住んでいないようです。
そんな離ればなれになっている Becky や Judy を集めて、1 枚のレコードを残すとは、家族愛にあふれた家族なのか、Clynard の家長としての求心力の強さの表れなのでしょう。
アルバムは、ゆったりしたワルツが多く、古典的なフォーキーなのですが、全曲オリジナルというところは驚きです。 なかでも素晴らしい出来なのが、Becky と Judy 姉妹のデュエット「Tell My Mountains I Said Hi (For Becky)」と「Granny Anne (For Anne Fuller Anderson)」です。 前者は姉妹の微妙なビブラートと清楚な歌声に魅了されるばかり。 後者のほうは、唯一の Becky 作曲のものなのですが、アルバムの代表曲と言えるでしょう。 Becky の澄んだソプラノをメインに、コーラスも伸びやかにサポートするのですが、曲の途中で「Amazing Grace」のサビの部分をうまく挿入してくるあたりが実に良く出来ています。
他の曲は、Becky や Judy のソロに近いものが多いのですが、「Hills of Virginia (For Tommy)」と「Take Me Back」は、長男である Hugh のリードボーカル。 彼の声はなんとなく James Taylor に似ており、リラックスしたアルファ波が出ていそうな雰囲気です。 クレジットを見てもわかるとおり、Clynard 夫妻は前面には出てきません。 二人の娘をフィーチャーしたかったのでしょう。
さて、そんなこの家族はいまも健在なのでしょうか? そんなことを探りたくなったので、検索してみたところ、Clynard 夫妻は、いまもバージニア州で保険業を営んでいるようです。 そこには住所もメールアドレスも掲載されていました。 4 人の子供たちも、すでに立派な中年になっているはず。 時折、このアルバムのことを思い出したりするのでしょうか。 もし、長男にインタビューすることができたら、きっとこんな答えが返ってくるのでしょう。
「レコーディングは楽しかったさ。 アルバムが完成したときは嬉しかったよ。 中身も悪くないと思うんだけど、あんまり売れなかったんだ。 僕たちは、それはお父さんの描いたあのジャケットのせいってことにしていたんだよ!」
■The Family / The Mountains Sing■
Side-1
Tell My Mountains I Said Hi (For Becky)
Hills of Virginia (For Tommy)
The Swallow – High Above A Mountain
Going Home To The Mountains
Side-2
So You Want To Come Back
Granny Anne (For Anne Fuller Anderson)
Take Me Back
Life Has Been Hard (For Sarah Raines Anderson)
Producers : Clynard C. and Anita A. Belcher
Cover Design : Clynard C. Belcher
‘Granny Anne’ written and composed by Becky B. Morecraft
The reminder of the songs written and composed by Anita A. Belcher
Singer Credits
Becky B. Morecraft , Judy B. Rogers , Hugh C. Belcher : lead
Becky B. Morecraft : soprano
Judy B. Rogers : alto
Hugh C. Belcher : tenor
Clynard C. Belcher , Hugh C. Belcher, Kerry G. Belcher
Musician Credits
Kerry G. Belcher : 6&12 string guitarc
Judy B. Rogers : 6 string guitar
Hugh C. Belcher : piano
Chuck Tipton : rhythm and bass guitar and harmonica
Bruce Rush : Arp Omni
Transworld Records TWL-034
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