Reflections of Tomorrow

シンガーソングライターを中心に、知られざる未CD化レコードを紹介していくページです

Abner Burnett

2008-12-28 | SSW
■Abner Burnett / Old McDonald■
 
  テキサス出身の Abner Burnett は 1953 年生まれの現役シンガーソングライター。 1968 年に 15 歳でシングル・デビューしているという早熟な経歴を持っているわりには、アルバムの数も少なく、いまだに地元テキサスで地味な音楽活動を続けているようです。 Abner Burnett の詳しいキャリアについては、myspace のオフィシャルサイトに書かれていますが、比較されるミュージシャンとして、John Hiatt や Randy Newman をあげています。 これが自薦なのか他人によるものなのかは不明ですが、John Hiatt の持つだらりとした気だるさは共通のテイストを感じます。

  今日取り上げたのは、彼が 1979 年にリリースしたセカンド・アルバム。 テキサス州のお隣のニューメキシコ州でレコーディングされました。 オリジナルは少なく、トラディショナルやカバーで大半を占めているのですが、選曲やアレンジにAbner Burnett の意志が濃く反映されているようで、聴き応えのある内容になっています。 1979 年というディスコと AOR の時代に、このような作品が生み出されたのは自主レーベルならではでしょう。
 
  アルバムのなかで、まず目に付くのが今は亡き Townes Van Zandt の代表曲「Pancho & Lefty」と Bob Dylan の「Girl From The North Country」です。 特に前者は同じテキサス出身の 10 年くらい先輩にあたる Townes Van Zandt のカバーということで、敬意と愛情が感じられるカバーとなっています。 地元愛ということでは、トラディショナルの「Texas River Song」も素晴らしい出来です。 実はこの曲のことを知らなかったのですが、Lyle Lovett もしばしば取り上げるナンバーのようでした。 A 面の「In My Time Of Dying」もトラディショナルですが、こちらもお薦めです。
  他にもカントリー&ウェスタンの映画の BGM のような気分にさせられる曲が多いのですが、「High Noon」はまさに「真昼の決闘」のタイトルそのもの。 映画のオリジナルかどうかは確認できませんでした。 「Bed Of Roses」は Abner Burnett の音楽的な師でもある Buck Ramsey による曲。 彼のことは良く知りませんが、このアルバムを制作するには、Buck Ramsey の貢献なくしては無かったとのことです。
  Abner Burnett のオリジナル「Horses Grow Old」と「Ivory Thighs」はともに素朴で枯れた味わい。 ギターやハーモニカの演奏など、すっかり円熟しきっており、彼が 24 歳から 26 歳までにレコーディングされたとは思えません。 唯一のインスト「Hindu Pickin’ Cowboy」はかなりの異色です。 タイトルどおりヒンドゥー教の影響を受けたアシッドアシッドな雰囲気は素晴らしく、とくに Carl Erdman によるシタールの熱演は見事です。

  このアルバムはテキサス州のおとなりのニューメキシコ州ロズウェルでレコーディングされました。 ここは UFO 墜落で有名な「ロズウェル事件」の町。 1947 年に起きたこの事件が、クローズアップされたのは 1978 年のことなので、ちょうどこのアルバムのレコーディング時期と重なります。 Abner Burnett とは何の関係も無いことですが…



■Abner Burnett / Old McDonald■

Side-1
High Noon
Bluebird
Bed Of Roses
In My Time Of Dying
Honkytonkin’

Side-2
Horses Grow Old
Ivory Thighs
Texas River Song
Pancho & Lefty
Hindu Pickin’ Cowboy
Girl From The North Country

Produced by Abner Burnett and Benignly Bent
Recorded at Erdman Studios, Carlsbad, N.M, Roswell, N.M

Abner Burnett : acoustic guitars, harmonica, vocals
Paul Burnett : electric guitar on ‘Hindu Pickin’ Cowboy’
Carl Erdman : sitar on ‘Hindu Pickin’ Cowboy’
Kent Quereau : acoustic guitar on ‘Girl From The North Country’

Worpt Records CP-2