Reflections of Tomorrow

シンガーソングライターを中心に、知られざる未CD化レコードを紹介していくページです

Buz Sencenbaugh

2008-12-20 | SSW
■Buz Sencenbaugh / Take The Time■

  今年もあと 10 日を残すのみとなりました。 月曜日を休んで雪遊びにでも出かけようとホテルの予約をしていたものの、肝心の雪が全くない状況なので、仕方なくキャンセル。 多忙な年末に何の予定もない週末を迎えました。 

  そんな夜に雪山を描いたジャケットをセレクトしてみました。 雄大な風景から予想できるとおりコロラド州デンバー産のローカルなレコードです。 Buz Sencenbaugh という珍しい名前とジャケットに魅かれて入手した作品ですが、素朴で大らかなサウンドは予想通りでした。 カントリー色がもっと強いと思っていたのですが、ペダル・スティールやフィドルが参加していないこともあって、「ド」がつくようなカントリー・ナンバーはありません。 それは 1985 年という時代のせいかもしれませんが、ギターよりもピアノがメインを張る場面が多いこともあって、心地よい清涼感あふれるサウンドが全体を貫いている印象です。

  両面合わせて 31 分弱なのに 11 曲収録ということからわかるように、ほとんどの曲が 3 分未満で、あっさりした仕上がりです。 そんななか、聴き応えのある曲としては「Take The Time」、「Three Wishes」、「Ships」そして「Ballad Of A Lonely Man」が挙げられます。 この曲すべてに共通しているのは John Russel によるピアノです。 彼の洗練されたピアノがこのアルバムを価値あるものにしているのですが、特にこの 4 曲でのサポートは脇役を超えた存在となっています。 雄大な「Take The Time」では中盤から登場して絶妙に絡み、「Three Wishes」では女性コーラスとのハーモニーに彩を添え、「Ships」のような華麗なワルツでは果敢に楽曲をリードする、といった具合です。
  B 面の「Ballad Of A Lonely Man」も「Ships」と並ぶ代表曲。 ピアノとベース主体のシンプルな楽曲ですが、アルバム最長の 4:25 という長さからも思い入れの強さが伝わってくる名バラードに仕上がっています。  John Russel はバック・ミュージシャンのクレジットにも筆頭に名前があることから、バンドのリーダー的な存在だったのでしょう。

  肝心の Buz Sencenbaugh は何をしているかというと、ボーカル、バンジョーとギターです。 楽器の方では活躍の場面は少ないのですが、朴訥とした味わいのボーカルは個性的ではないものの、サウンドにマッチしています。 バンジョーが聴けるのは各面の終わりの 2 曲だけなのですが、これらの曲を聴くと、彼は本当はもっと自身のバンジョーをフィーチャーしたかったように感じます。 アルバムは全曲が Buz Sencenbaugh による作曲なので、それは勝手な憶測に過ぎないかもしれませんが、曲順とボーカルの表情から、僕にはそのような気持ちが伝わってくるのです。

  さて、この Buz Sencenbaugh ですが、ネットで調べてもこのアルバム以外の情報は何もつかむことができませんでした。 おそらく、レコードはこの 1 枚だけなのでしょう。 「バズ・センセンボウ」...彼はいまもバンジョーを鳴らしているのでしょうか。



■Buz Sencenbaugh / Take The Time■

Side-1
Take The Time
Three Wishes
The Roommate’s Lament
Ships
The Sunrise
The Back Porch Pickin’ Blues

Side-2
Ballad Of A Lonely Man
Home To Me
Things That You Remember
It’s Always Sunrise Somewhere
The Banjo Pickers’ Song

All Songs by Buz Sencenbaugh
Produced and mixed by Mark Thompson of Never Summer Records and buz Sencenbaugh with JS Productions
Recorded at Reel Art recording , Denver, Colorado

John Russel: piano
Terry M. Patryas : harmony and lead vocals
Duane Gabel : bass, electric bass, digital keyboards
Jim Hilburn : mandolin and harmony vocals
David Goodrich : solo guitar
Mark Thompson : digital keyboards, guitar, drums
Buz Sencenbaugh : banjo, guitar, lead vocals

Chorus on ‘Take The Time’ : Bob Simmons , Duane Gabel , David Goodrich , Jim Hilburn , Terry M. Patryas and Janita Bennett-Williams

JS Productions JSP 1001