■Phil McHugh / All Glory To You■
歳を重ねてもクリスマスは楽しく過ごしたいものです。 若い頃は「別にクリスチャンでもないのに」という冷めた気持ちを抱いたこともありますが、それも昔のこと。 クリスマスを迎える時期に、不思議と心を癒してくれる気分になれるのは、人々の暮らしと密接に関係してきた歴史があるからでしょう。
そんな前置きはさておき、「別にクリスチャンでもないのに」と自分が言われてしまいそうなレコードを取り上げてみました。 レーベル名が Jesus Folk Records という直球具合には驚かされますが、ミズーリ州から届けられた Phil McHugh のファースト・アルバム(1976年)です。 彼のセカンド「Canvas For The Sun」はすでに取り上げましたが、先日入手できたこのアルバムも素晴らしい内容でした。
アルバムのほとんどの楽曲が、Phil のギターと Greg(フルネーム不詳)のベースを中心に組み立てられ、時折、鍵盤やパーカッションが脇を固めていきます。 クリスチャン・フォーク特有の癒し感に包まれたミディアム「Jesus Stood By The Water」でアルバムは始まり、ややカントリー色のする「The Prince」、聡明で奥行きのあるバラード「Morning For The Whole World」と気品のある佇まいで進んでいきます。 つづく「The Last Generation」はポップなアレンジで彩られるため、雰囲気がやや変化した印象ですが、つづく「Saviour」はピアノのみの内省的な世界へと向かいます。 A 面ラストの「Backslider Blues」は唯一のブルース。 内容は悪くないのですが、他の曲との整合性は残念ながらとれていません。
B 面は A 面をさらに深化させた内容になっています。 「There’s A River」はめくるめくメロディーが高原のそよ風のように美しい楽曲。 間違いなくアルバムを代表する 1 曲です。 つづく「Children Of The Promise」はピアノ、ベース、パーカッションそしてストリングスが柔らかにボーカルを包み込み、リスナーに綿毛のような浮遊感を与えます。 そして、タイトル曲の「All Glory To You」は、メランコリックなマイナー調のミディアム。 後半みせる Phil McHugh の裏声を含んだボーカルが聴き所です。 優しく爪弾かれたギターを背景にした「Sometimes」は、しっとりとしたバラード。 ラストの「We Are Free」では、CCM ならではの禁欲的で且つポジティブな女性コーラスが心を解放し、希望に満ちた楽園へと向かうような気分にさせられます。
こうしてアルバムを聴き終えて、思い出したのが Phil Keaggy のソロ・デビュー作「What A Day」です。 こちらは 1973 年の作品なので、「All Glory To You」よりも 3 年前になりますが、同じ CCM のミュージシャンとして共通点は多く見出せるような気がします。 サウンド面では、Phil McHugh がウェスト・コーストに近い音で、Phil Keaggy がギター中心という違いはありますが、Phil Keaggy も Phil McHugh も共に、ポジティブで俗世界との接点を大切にしていると思うのです。 同じ CCM でも聖書や聖典の影響を強く受けた作品がありますが、そこまで宗教色が濃く表れているわけではなく、むしろ日常の暮らしと信仰との関わりの強さを表現していると思います。
一般的に CCM の特徴としては、予定調和な展開、シンプルなメロディー、まろやかなアレンジなどを挙げる人が多いでしょう。 それは、間違いではありません。 しかし、言葉でうまく形容できないのもこのジャンルです。 ひとたび、そこに包含された独特の安らぎに心魅かれてしまえば、もうあなたも CCM の虜。 新しい扉を見つけてはそこを開けて、その奥にある優しい光を求めて歩み出してしまうのです。 メリー・クリスマス!
■Phil McHugh / All Glory To You■
Side-1
Jesus Stood By The Water
The Prince
Morning For The Whole World
The Last Generation
Saviour
Backslider Blues
Side-2
There’s A River
Children Of The Promise
All Glory To You
Sometimes
We Are Free
Produced by Tri-Art Productions
All Word and Music by Phil McHugh
Arranged by Greg Nelson
Thanks to
Keith for drums
Jeff for guitar on ‘Jesus Stood By The Water’ and ‘All Glory To You’
Glenn for steel guitar on ‘the Prince’
Greta and Curtis for strings on ‘Children Of The Promise’
Greg for bass on everything except ‘There’s A River’ and for electric piano on ‘The Last Generation’, ‘There’s A river’ and ‘All Glory To You’ , for piano on ‘We Are Free In Him’ , for percussion on ‘The Last Generation’ and ‘All Glory To You’
Jesus Folk Records JFR-4001
歳を重ねてもクリスマスは楽しく過ごしたいものです。 若い頃は「別にクリスチャンでもないのに」という冷めた気持ちを抱いたこともありますが、それも昔のこと。 クリスマスを迎える時期に、不思議と心を癒してくれる気分になれるのは、人々の暮らしと密接に関係してきた歴史があるからでしょう。
そんな前置きはさておき、「別にクリスチャンでもないのに」と自分が言われてしまいそうなレコードを取り上げてみました。 レーベル名が Jesus Folk Records という直球具合には驚かされますが、ミズーリ州から届けられた Phil McHugh のファースト・アルバム(1976年)です。 彼のセカンド「Canvas For The Sun」はすでに取り上げましたが、先日入手できたこのアルバムも素晴らしい内容でした。
アルバムのほとんどの楽曲が、Phil のギターと Greg(フルネーム不詳)のベースを中心に組み立てられ、時折、鍵盤やパーカッションが脇を固めていきます。 クリスチャン・フォーク特有の癒し感に包まれたミディアム「Jesus Stood By The Water」でアルバムは始まり、ややカントリー色のする「The Prince」、聡明で奥行きのあるバラード「Morning For The Whole World」と気品のある佇まいで進んでいきます。 つづく「The Last Generation」はポップなアレンジで彩られるため、雰囲気がやや変化した印象ですが、つづく「Saviour」はピアノのみの内省的な世界へと向かいます。 A 面ラストの「Backslider Blues」は唯一のブルース。 内容は悪くないのですが、他の曲との整合性は残念ながらとれていません。
B 面は A 面をさらに深化させた内容になっています。 「There’s A River」はめくるめくメロディーが高原のそよ風のように美しい楽曲。 間違いなくアルバムを代表する 1 曲です。 つづく「Children Of The Promise」はピアノ、ベース、パーカッションそしてストリングスが柔らかにボーカルを包み込み、リスナーに綿毛のような浮遊感を与えます。 そして、タイトル曲の「All Glory To You」は、メランコリックなマイナー調のミディアム。 後半みせる Phil McHugh の裏声を含んだボーカルが聴き所です。 優しく爪弾かれたギターを背景にした「Sometimes」は、しっとりとしたバラード。 ラストの「We Are Free」では、CCM ならではの禁欲的で且つポジティブな女性コーラスが心を解放し、希望に満ちた楽園へと向かうような気分にさせられます。
こうしてアルバムを聴き終えて、思い出したのが Phil Keaggy のソロ・デビュー作「What A Day」です。 こちらは 1973 年の作品なので、「All Glory To You」よりも 3 年前になりますが、同じ CCM のミュージシャンとして共通点は多く見出せるような気がします。 サウンド面では、Phil McHugh がウェスト・コーストに近い音で、Phil Keaggy がギター中心という違いはありますが、Phil Keaggy も Phil McHugh も共に、ポジティブで俗世界との接点を大切にしていると思うのです。 同じ CCM でも聖書や聖典の影響を強く受けた作品がありますが、そこまで宗教色が濃く表れているわけではなく、むしろ日常の暮らしと信仰との関わりの強さを表現していると思います。
一般的に CCM の特徴としては、予定調和な展開、シンプルなメロディー、まろやかなアレンジなどを挙げる人が多いでしょう。 それは、間違いではありません。 しかし、言葉でうまく形容できないのもこのジャンルです。 ひとたび、そこに包含された独特の安らぎに心魅かれてしまえば、もうあなたも CCM の虜。 新しい扉を見つけてはそこを開けて、その奥にある優しい光を求めて歩み出してしまうのです。 メリー・クリスマス!
■Phil McHugh / All Glory To You■
Side-1
Jesus Stood By The Water
The Prince
Morning For The Whole World
The Last Generation
Saviour
Backslider Blues
Side-2
There’s A River
Children Of The Promise
All Glory To You
Sometimes
We Are Free
Produced by Tri-Art Productions
All Word and Music by Phil McHugh
Arranged by Greg Nelson
Thanks to
Keith for drums
Jeff for guitar on ‘Jesus Stood By The Water’ and ‘All Glory To You’
Glenn for steel guitar on ‘the Prince’
Greta and Curtis for strings on ‘Children Of The Promise’
Greg for bass on everything except ‘There’s A River’ and for electric piano on ‘The Last Generation’, ‘There’s A river’ and ‘All Glory To You’ , for piano on ‘We Are Free In Him’ , for percussion on ‘The Last Generation’ and ‘All Glory To You’
Jesus Folk Records JFR-4001