■Rick Neufeld / Hiway Child■
誘惑の品番 1001 を擁したアルバムを久しぶりに取り上げます。 前回の Rick Rawlings に続いてカナダ出身のシンガーソングライターとなる Rick Neufeld が 1971 年に発表したファースト・アルバムです。 彼のアルバムはこの 1 枚しか持っていませんが、1975 年に「Prairie Dog」、1978 年に「Manitoba Songs」というアルバムを発表しています。
タイトルの「Hiway Child」ですが、Highway としていないところが粗雑な印象を感じてしまいます。 Night を Nite と表現するのに近いような簡略語だと思いますが、特に SSW のようなジャンルには似合わないと思うからです。 とはいえ、Rick Neufeld も英語が話せない僕に言われたくないはずですので、さっそくアルバムの中身に話を進めていきましょう。
Rick Neufeld はマニトバ州ウィニペグの出身。 カナダ出身の SSW というとギターの弾き語りをメインにしたシンプルで枯れた味わいをイメージしがちですが、この Rick Neufeld のデビューアルバムからは、そんなカナダ産固有の雰囲気は一切感じられません。 リズムもメロディーもミディアムな楽曲が多く、バラエティに富んだという表現は使えません。 たった今アルバムを聴き終えながら書いていますが、マイナー調の曲がひとつもないことに気がつきました。 憂いのあるバラードもないことから、何度も繰り返して聴きたくなるようなアルバムではありません。
だいぶ辛口の評価をしていますが、個々の楽曲のクオリティが低いわけではなく、アルバム全体としての起伏・メリハリそして世界観が欠如しているという気がするのです。 ですから、「I Came To Play」や「Long Way Home」のような個々の佳作に対する評価は変わりません。 前者は雄大な楽曲はストリングスとコーラスが曲に厚みを持たせているミディアムで、A 面 3 曲目まで続いた平凡な流れを変えています。 B 面の「Long Way Home」は郷愁あふれるワルツ。 アルバムのなかでも最もエモーショナルな楽曲と言えるでしょう。 唯一といえる異色な楽曲は A 面ラストの「The Parable」です。 この曲のみポエトリー・リーディング風な楽曲で、分かりやすくいうと Bob Dylan の影響下にありそうな曲調となっています。 他の楽曲では「If You’ve Been Wondering」はアップテンポのカントリーながら完成度の高いという印象。 彼がアルバム制作以前に The Bells に提供してスマッシュ・ヒットしたという「Moody Manitoba Morning」はそれほど印象に残りませんでした。
クレジットされているメンバーのなかで目にしたことのある人物をピックアップしてみます。 スティールギターの Al Brisco、いまやラグタイムピアノの名手となった John Arpin、Bruce Cockburn のアルバムでみかける Jack Zaza 、Gordon Lightfoot 周辺人脈の Red Shea といった面々です。 たまたま Red Shea で検索していたところ、彼が 5 月に膵臓癌で亡くなったというニュースを発見しました。 このアルバムからすでに 37 年もの年月が流れているという事実を改めて思いながら、厳しい評価を付けすぎたことを少しばかり悔やんでしまいそうです。
■Rick Neufeld / Hiway Child■
Side-1
Hiway Child
Country Princess
Moody Manitoba Morning
I Came To Play
The Parable
Side-2
If You’ve Been Wondering
Medicine Man
Long Way Home
Don’t Go Away
The Song Singer
All Songs written by Rick Neufeld
Recorded at RCA Studios , Toronto, march 1971
Strings arrangements : John Arpin
Executive Producer : Bob Hahn
Produced by Gary Buck
The Singer : Rick Neufeld
The Players:
Rick Neufeld, Keith MacKay, Al Brisco, Terry Bush, David Brown, Ollie Strong, Bill Bridges, Gary Buck, Red Shea, John Arpin, Rick Haynes, Bruce Farquhar, Jack Zaza, Richard Newell
The Voices:
Laurie Bower, Stephanie Taylor, Bill Misener, Laurie Hood
Astra AS-1001
誘惑の品番 1001 を擁したアルバムを久しぶりに取り上げます。 前回の Rick Rawlings に続いてカナダ出身のシンガーソングライターとなる Rick Neufeld が 1971 年に発表したファースト・アルバムです。 彼のアルバムはこの 1 枚しか持っていませんが、1975 年に「Prairie Dog」、1978 年に「Manitoba Songs」というアルバムを発表しています。
タイトルの「Hiway Child」ですが、Highway としていないところが粗雑な印象を感じてしまいます。 Night を Nite と表現するのに近いような簡略語だと思いますが、特に SSW のようなジャンルには似合わないと思うからです。 とはいえ、Rick Neufeld も英語が話せない僕に言われたくないはずですので、さっそくアルバムの中身に話を進めていきましょう。
Rick Neufeld はマニトバ州ウィニペグの出身。 カナダ出身の SSW というとギターの弾き語りをメインにしたシンプルで枯れた味わいをイメージしがちですが、この Rick Neufeld のデビューアルバムからは、そんなカナダ産固有の雰囲気は一切感じられません。 リズムもメロディーもミディアムな楽曲が多く、バラエティに富んだという表現は使えません。 たった今アルバムを聴き終えながら書いていますが、マイナー調の曲がひとつもないことに気がつきました。 憂いのあるバラードもないことから、何度も繰り返して聴きたくなるようなアルバムではありません。
だいぶ辛口の評価をしていますが、個々の楽曲のクオリティが低いわけではなく、アルバム全体としての起伏・メリハリそして世界観が欠如しているという気がするのです。 ですから、「I Came To Play」や「Long Way Home」のような個々の佳作に対する評価は変わりません。 前者は雄大な楽曲はストリングスとコーラスが曲に厚みを持たせているミディアムで、A 面 3 曲目まで続いた平凡な流れを変えています。 B 面の「Long Way Home」は郷愁あふれるワルツ。 アルバムのなかでも最もエモーショナルな楽曲と言えるでしょう。 唯一といえる異色な楽曲は A 面ラストの「The Parable」です。 この曲のみポエトリー・リーディング風な楽曲で、分かりやすくいうと Bob Dylan の影響下にありそうな曲調となっています。 他の楽曲では「If You’ve Been Wondering」はアップテンポのカントリーながら完成度の高いという印象。 彼がアルバム制作以前に The Bells に提供してスマッシュ・ヒットしたという「Moody Manitoba Morning」はそれほど印象に残りませんでした。
クレジットされているメンバーのなかで目にしたことのある人物をピックアップしてみます。 スティールギターの Al Brisco、いまやラグタイムピアノの名手となった John Arpin、Bruce Cockburn のアルバムでみかける Jack Zaza 、Gordon Lightfoot 周辺人脈の Red Shea といった面々です。 たまたま Red Shea で検索していたところ、彼が 5 月に膵臓癌で亡くなったというニュースを発見しました。 このアルバムからすでに 37 年もの年月が流れているという事実を改めて思いながら、厳しい評価を付けすぎたことを少しばかり悔やんでしまいそうです。
■Rick Neufeld / Hiway Child■
Side-1
Hiway Child
Country Princess
Moody Manitoba Morning
I Came To Play
The Parable
Side-2
If You’ve Been Wondering
Medicine Man
Long Way Home
Don’t Go Away
The Song Singer
All Songs written by Rick Neufeld
Recorded at RCA Studios , Toronto, march 1971
Strings arrangements : John Arpin
Executive Producer : Bob Hahn
Produced by Gary Buck
The Singer : Rick Neufeld
The Players:
Rick Neufeld, Keith MacKay, Al Brisco, Terry Bush, David Brown, Ollie Strong, Bill Bridges, Gary Buck, Red Shea, John Arpin, Rick Haynes, Bruce Farquhar, Jack Zaza, Richard Newell
The Voices:
Laurie Bower, Stephanie Taylor, Bill Misener, Laurie Hood
Astra AS-1001