■Bob Williston / Gypsy Fortune■
いよいよ 12 月です。 今年ももう終わりが近づいてきました。 我が家も暖房を試運転するなど、冬への準備が始まっています。 毎年、冬になると「暖炉に温まりながら聴きたい」とか「毛布にくるまれたような」という表現を使いたくなるのですが、ここ東京は暖冬傾向でそんな気分にさせてくれる日は滅多にありません。
さて、今日取り出したレコードも、「暖炉系」の心温まる一枚です。 ジャケットからは陽気なカントリーを想像してしまいますが、以外にもエレピをメインとした温もりと質感のあるサウンドが全体を包み込んでいるのです。 アルバムの印象としては、マイルドな AOR/SSW ファンには知られている Dobie Gray の「Welcome Home」に通じるものがあります。
レコードを買った後で知ったのですが、Bob Williston はクリスチャンミュージックの分野で活動してきた人物で、公式ページによるとカナダのバンクーバーで今も現役で活動を続けているようです。 しかし、残念ながらこのアルバムに関する記載は一切ありませんでした。 レコードにも発売年度が書かれておらず、いつの作品なのか全くわかりません。 おそらくは 1980 年前後だと思いますが。 さっそくレコードを聴きなおしましょう。
最初にこのレコードを聴いたときには、「Gypsy Fortune」のような音が出てくるとは思わなかったので、興醒めしてしまった覚えがあります。 しかし、覚えやすいメロディーとセンスの良いアレンジから徐々に引き込まれていきました。 ジャケットの裏にはギターのネックがイラストになっていますが、アコースティック・ギターはアルバムには一切使用されていません。 ちょっと騙しが入っていますね。 つづく「Blue Boy」は、中盤まで静かな展開ですが、一気にボーカルが歌い上げてきます。 抑揚が効きすぎている気がします。 「Sky-High Flying Dove」は、ポップな展開ですが、やや凡庸。 しかしアルバムは次の「Dare To Dance」で息を吹き返します。 この MOR の権化のようなサウンドには、頭であれこれ考えるより、身を委ねてしまったほうがいい…そんな曲です。 若い頃はこのような曲をいい曲だなんて思わなかったはずですが、季節感と心地よさ、肌ざわりみたいなものが自然に入ってきます。 僕の年齢のせいかもしれませんが。 余韻を残す「Serenade」がゆったりした時間を刻んで A 面が終わります。
続いて B 面の「Newspaper Daddy」へ。 この曲は新聞ばかり読んでいてなかなか話をしてくれない父親に対する愛情を表現した歌で、心優しいメロディーが耳に残ります。 つづく「The Dawn」は、Dale Jacob のフェンダーが心地よいバラード。 どこかのスタンダード・ナンバーを聴いているかのような非の打ち所のない曲です。 このようにクオリティの高い曲が続きますが、次の「How Richer Can We Be」も同様です。 この曲はメロディーやボーカルのスケール感が際立ち、心を浄化されていくのが実感できるような曲。 後半、転調してからのサビでのボーカルは、このアルバムの中でも最も気持ちが込められている場面です。 まさにハイライトです。 つづく「Touch Me Friendly」は親しい友達から囁かれているような曲なので、一転してボーカルも抑制気味です。 ラストの「Peace In The City」 は、平和が訪れた喜びをかみしめるかのようなナンバーで、まさにラストにふさわしい仕上がりです。
このようにアルバムをレビューしてみましたが、多くのクリスチャン系アルバムのように、曲名に Jesus とか、Lord という言葉は見当たりません。 歌詞についても同様です。 しかし、歌われていることは平和や愛といった普遍性のあるテーマのようで、やはり分類としてはクリスチャン・ミュージックと言えるでしょう。
冒頭のほうで、このアルバムのことを「暖炉系」と書きましたが、実は「クリスマス系」なのかもしれません。 Bob Williston のスピリチュアルなメッセージ、心温まるサウンドを聴くと、ミルクティーでも飲みながらゆっくりくつろぎたくなります。 ありきたりのクリスマス・ソングではちょっと過剰だなと思えるような場面でひっそりと流れていて欲しい...そんなマイルドなアルバムです。
■Bob Williston / Gypsy Fortune■
Side-1
Gypsy Fortune
Blue Boy
Sky-High Flying Dove
Dare To Dance
Serenade
Side-2
Newspaper Daddy
The Dawn
How Richer Can We Be
Touch Me Friendly
Peace In The City
Produced by Dale Jacobs
Musical Arrangements : Dale Jacobs
All Lyrics and Music by Bob Williston
Except ‘Blue Boy’ and ‘The dawn’ Lyrics by Stefan Neilson , Music by Bob Williston
Bob Williston : Vocals
Brian Harrison : Electric Bass
Doug Cuthbert : Drums & Percussion
Larry Kennis : Violin
Dale Jacobs : Fender Rhodes , acoustic piano , Roland RS-2000 synthesizer , Roland RS-201 String Ensemble , Orchestra Bells
AEON
いよいよ 12 月です。 今年ももう終わりが近づいてきました。 我が家も暖房を試運転するなど、冬への準備が始まっています。 毎年、冬になると「暖炉に温まりながら聴きたい」とか「毛布にくるまれたような」という表現を使いたくなるのですが、ここ東京は暖冬傾向でそんな気分にさせてくれる日は滅多にありません。
さて、今日取り出したレコードも、「暖炉系」の心温まる一枚です。 ジャケットからは陽気なカントリーを想像してしまいますが、以外にもエレピをメインとした温もりと質感のあるサウンドが全体を包み込んでいるのです。 アルバムの印象としては、マイルドな AOR/SSW ファンには知られている Dobie Gray の「Welcome Home」に通じるものがあります。
レコードを買った後で知ったのですが、Bob Williston はクリスチャンミュージックの分野で活動してきた人物で、公式ページによるとカナダのバンクーバーで今も現役で活動を続けているようです。 しかし、残念ながらこのアルバムに関する記載は一切ありませんでした。 レコードにも発売年度が書かれておらず、いつの作品なのか全くわかりません。 おそらくは 1980 年前後だと思いますが。 さっそくレコードを聴きなおしましょう。
最初にこのレコードを聴いたときには、「Gypsy Fortune」のような音が出てくるとは思わなかったので、興醒めしてしまった覚えがあります。 しかし、覚えやすいメロディーとセンスの良いアレンジから徐々に引き込まれていきました。 ジャケットの裏にはギターのネックがイラストになっていますが、アコースティック・ギターはアルバムには一切使用されていません。 ちょっと騙しが入っていますね。 つづく「Blue Boy」は、中盤まで静かな展開ですが、一気にボーカルが歌い上げてきます。 抑揚が効きすぎている気がします。 「Sky-High Flying Dove」は、ポップな展開ですが、やや凡庸。 しかしアルバムは次の「Dare To Dance」で息を吹き返します。 この MOR の権化のようなサウンドには、頭であれこれ考えるより、身を委ねてしまったほうがいい…そんな曲です。 若い頃はこのような曲をいい曲だなんて思わなかったはずですが、季節感と心地よさ、肌ざわりみたいなものが自然に入ってきます。 僕の年齢のせいかもしれませんが。 余韻を残す「Serenade」がゆったりした時間を刻んで A 面が終わります。
続いて B 面の「Newspaper Daddy」へ。 この曲は新聞ばかり読んでいてなかなか話をしてくれない父親に対する愛情を表現した歌で、心優しいメロディーが耳に残ります。 つづく「The Dawn」は、Dale Jacob のフェンダーが心地よいバラード。 どこかのスタンダード・ナンバーを聴いているかのような非の打ち所のない曲です。 このようにクオリティの高い曲が続きますが、次の「How Richer Can We Be」も同様です。 この曲はメロディーやボーカルのスケール感が際立ち、心を浄化されていくのが実感できるような曲。 後半、転調してからのサビでのボーカルは、このアルバムの中でも最も気持ちが込められている場面です。 まさにハイライトです。 つづく「Touch Me Friendly」は親しい友達から囁かれているような曲なので、一転してボーカルも抑制気味です。 ラストの「Peace In The City」 は、平和が訪れた喜びをかみしめるかのようなナンバーで、まさにラストにふさわしい仕上がりです。
このようにアルバムをレビューしてみましたが、多くのクリスチャン系アルバムのように、曲名に Jesus とか、Lord という言葉は見当たりません。 歌詞についても同様です。 しかし、歌われていることは平和や愛といった普遍性のあるテーマのようで、やはり分類としてはクリスチャン・ミュージックと言えるでしょう。
冒頭のほうで、このアルバムのことを「暖炉系」と書きましたが、実は「クリスマス系」なのかもしれません。 Bob Williston のスピリチュアルなメッセージ、心温まるサウンドを聴くと、ミルクティーでも飲みながらゆっくりくつろぎたくなります。 ありきたりのクリスマス・ソングではちょっと過剰だなと思えるような場面でひっそりと流れていて欲しい...そんなマイルドなアルバムです。
■Bob Williston / Gypsy Fortune■
Side-1
Gypsy Fortune
Blue Boy
Sky-High Flying Dove
Dare To Dance
Serenade
Side-2
Newspaper Daddy
The Dawn
How Richer Can We Be
Touch Me Friendly
Peace In The City
Produced by Dale Jacobs
Musical Arrangements : Dale Jacobs
All Lyrics and Music by Bob Williston
Except ‘Blue Boy’ and ‘The dawn’ Lyrics by Stefan Neilson , Music by Bob Williston
Bob Williston : Vocals
Brian Harrison : Electric Bass
Doug Cuthbert : Drums & Percussion
Larry Kennis : Violin
Dale Jacobs : Fender Rhodes , acoustic piano , Roland RS-2000 synthesizer , Roland RS-201 String Ensemble , Orchestra Bells
AEON