■Harry Lipson / Fridays & Saturdays■
11 月に取り上げた Daring and Stahl の Mason Daring のプロデュース作品ということで手を出したレコード。 肝心の本人 Harry Lipson の経歴は、ネットで調べてみたものの全くわかりませんでした。 ジャケットはかなりの B級感があふれており、裏面のクレジットがなかったら手を出さなかったアルバムですが、Mason Daring のボストン人脈だと思われる参加ミュージシャンに魅かれて買ってしまった経緯があります。 渋めの名前ですが、Bill Staines、Jonathan Edwards、Guy Van Duser といった面々が参加しており、SSW 系のファンなら触手が伸びてしまうでしょう。
そんなアルバムですが、内容は A面とB面では趣を異にしています。 A 面のほうがバンド色が強く、B 面はメロウで味わい深い曲が並んでいます。
その A面 1曲目「Goochie Goochie Goo」は、英国のパブロック的な趣のあるナンバー。 Bobby Keyes の粘っこいギターソロがいい味を出しています。 「Gimme A Game Of Baseball」は、ボードヴィル調のスイングナンバー。 Billy Novick のクラリネットが和みテイストを演出しています。 「Summerglow」は、Mason Daring のアコギにハーモニカ、バイオリンという編成のほのぼのした楽曲。 「Weenie Weenie Ru」はサブタイトルに The College Football Song とあります。 それがどう関係しているのかはわかりませんが、鼓笛隊に通じる二拍子の能天気な曲です。 「Edward Villaret」は、最もフォーキーなテイストですが、鋭角なソプラノ・サックスのソロが入るあたりは、80 年代のサウンドだということを思い出させます。
レコードを裏返しましょう。 いきなり清楚なコーラスから始まる「Old Quadrangle (Tuscaloosa)」はアルバムを代表する名曲。 穏やかな気持ちにさせられるミディアムな曲ですが、Nancy Roche と Jeannie French の女性コーラスが効いています。 「Song To Bob」は、マイナーコードのフォーク。 ちょっと古臭いのでトラッドかと思ってしまうほどですが、このアルバムは全曲 Harry Lipson の書き下ろしです。 「Dance With Me Dancer」も同じくトラッドのような曲。 Harry Lipson の音楽的なルーツはカントリーやブルースではなく、イギリス系の音楽にあると思います。 「Christopher」も和み系の弾き語り。 朴訥とした歌いっぷりにピアノとコーラスが色をつけてくれます。 ラストの「Sailor」はアルバム中最も秀逸な楽曲だと思います。 どことなく淋しさあふれるボーカルに、Stuart Shulman のバイオリンと Billy Novick のリコーダーが交差する場面は、まさに至福の時間といえるでしょう。 ちなみに、この曲には、Jeanie Stahl も参加しており、Daring and Stahl の両方が参加していることになるのですが、そのこと自体がこの曲のクオリティに貢献しているとは言えません。
この地味なレコードが、ひっそりとボストンから生み出されたのは 1982年のこと。 どのくらいのリスナーがこのレコードに接したのかは、知る由もありませんが、このまま跡形もなく忘れ去られようとしていることだけは確かのようです。
■Harry Lipson / Fridays & Saturdays■
Side-1
Goochie Goochie Goo
Gimme A Game Of Baseball
Summerglow
Weenie Weenie Ru
Edward Villaret
Side-2
Old Quadrangle (Tuscaloosa)
Song To Bob
Dance With Me Dancer
Christopher
Sailor
Produced by Mason Daring
Recorded & Mixed at Music Designers , Inc. , Boston , MA
All Songs written by Harry Lipson
Harry Lipson : lead vocal
Stuart shulman : bass , violin
Billy Novick : horns , soprano saxophone , clarinet , recorder
Bobby Keyes : lead electric guitar
John Curtis : rhythm guitar , mandolin , back up vocals
Gene Melenderas : drums
Larry Luddecke : piano
Beverly Ketchen : triangle , bicycle horn
Guy Van Duser : nylon string acoustic lead guitar
Richard ‘Rosy’ Rosenblatt : harmonica
Mason Daring : acoustic guitar , glockenspiel , organ , piano , back up vocals
Jonathan Edwards : harmonica
Jeanie Stahl : acoustic guitar
Jeanie French : back up vocals
Nancy Roche : back up vocals
Bill Staines : back up vocals
Suzanne Boucher : back up vocals
Pandemonium Records PA 531
11 月に取り上げた Daring and Stahl の Mason Daring のプロデュース作品ということで手を出したレコード。 肝心の本人 Harry Lipson の経歴は、ネットで調べてみたものの全くわかりませんでした。 ジャケットはかなりの B級感があふれており、裏面のクレジットがなかったら手を出さなかったアルバムですが、Mason Daring のボストン人脈だと思われる参加ミュージシャンに魅かれて買ってしまった経緯があります。 渋めの名前ですが、Bill Staines、Jonathan Edwards、Guy Van Duser といった面々が参加しており、SSW 系のファンなら触手が伸びてしまうでしょう。
そんなアルバムですが、内容は A面とB面では趣を異にしています。 A 面のほうがバンド色が強く、B 面はメロウで味わい深い曲が並んでいます。
その A面 1曲目「Goochie Goochie Goo」は、英国のパブロック的な趣のあるナンバー。 Bobby Keyes の粘っこいギターソロがいい味を出しています。 「Gimme A Game Of Baseball」は、ボードヴィル調のスイングナンバー。 Billy Novick のクラリネットが和みテイストを演出しています。 「Summerglow」は、Mason Daring のアコギにハーモニカ、バイオリンという編成のほのぼのした楽曲。 「Weenie Weenie Ru」はサブタイトルに The College Football Song とあります。 それがどう関係しているのかはわかりませんが、鼓笛隊に通じる二拍子の能天気な曲です。 「Edward Villaret」は、最もフォーキーなテイストですが、鋭角なソプラノ・サックスのソロが入るあたりは、80 年代のサウンドだということを思い出させます。
レコードを裏返しましょう。 いきなり清楚なコーラスから始まる「Old Quadrangle (Tuscaloosa)」はアルバムを代表する名曲。 穏やかな気持ちにさせられるミディアムな曲ですが、Nancy Roche と Jeannie French の女性コーラスが効いています。 「Song To Bob」は、マイナーコードのフォーク。 ちょっと古臭いのでトラッドかと思ってしまうほどですが、このアルバムは全曲 Harry Lipson の書き下ろしです。 「Dance With Me Dancer」も同じくトラッドのような曲。 Harry Lipson の音楽的なルーツはカントリーやブルースではなく、イギリス系の音楽にあると思います。 「Christopher」も和み系の弾き語り。 朴訥とした歌いっぷりにピアノとコーラスが色をつけてくれます。 ラストの「Sailor」はアルバム中最も秀逸な楽曲だと思います。 どことなく淋しさあふれるボーカルに、Stuart Shulman のバイオリンと Billy Novick のリコーダーが交差する場面は、まさに至福の時間といえるでしょう。 ちなみに、この曲には、Jeanie Stahl も参加しており、Daring and Stahl の両方が参加していることになるのですが、そのこと自体がこの曲のクオリティに貢献しているとは言えません。
この地味なレコードが、ひっそりとボストンから生み出されたのは 1982年のこと。 どのくらいのリスナーがこのレコードに接したのかは、知る由もありませんが、このまま跡形もなく忘れ去られようとしていることだけは確かのようです。
■Harry Lipson / Fridays & Saturdays■
Side-1
Goochie Goochie Goo
Gimme A Game Of Baseball
Summerglow
Weenie Weenie Ru
Edward Villaret
Side-2
Old Quadrangle (Tuscaloosa)
Song To Bob
Dance With Me Dancer
Christopher
Sailor
Produced by Mason Daring
Recorded & Mixed at Music Designers , Inc. , Boston , MA
All Songs written by Harry Lipson
Harry Lipson : lead vocal
Stuart shulman : bass , violin
Billy Novick : horns , soprano saxophone , clarinet , recorder
Bobby Keyes : lead electric guitar
John Curtis : rhythm guitar , mandolin , back up vocals
Gene Melenderas : drums
Larry Luddecke : piano
Beverly Ketchen : triangle , bicycle horn
Guy Van Duser : nylon string acoustic lead guitar
Richard ‘Rosy’ Rosenblatt : harmonica
Mason Daring : acoustic guitar , glockenspiel , organ , piano , back up vocals
Jonathan Edwards : harmonica
Jeanie Stahl : acoustic guitar
Jeanie French : back up vocals
Nancy Roche : back up vocals
Bill Staines : back up vocals
Suzanne Boucher : back up vocals
Pandemonium Records PA 531