Reflections of Tomorrow

シンガーソングライターを中心に、知られざる未CD化レコードを紹介していくページです

Jeff Harrington

2006-06-11 | AOR
■Jeff Harrington / Jeff Harrington■

 ミネソタ・ミネアポリス出身、Michael Johnson とも親交のあることで知られている Jeff Harrington のセカンドアルバムをご紹介します。 このアルバムとファーストアルバム「Quiet Corner」が、めでたく Vivid Sound から CD 化されることになったので、取り上げることにしました。 ファーストの「Quiet Corner」はついに入手することができなかったので、この初 CD 化はうれしいですね。 7月19日に紙ジャケでの発売だそうです。

 さて、このセカンド「Jeff Harrington」は 1977 年に発売されたもので、ファーストよりは見かける機会が多かった作品。 なかなかつかみどころのない独特のワールドが繰り広げられており、大事に聴いてきたアルバムなのです。

 アルバムは全 8 曲。 曲数的には物足りなく感じますが、7 分を越える大作もあったりしてバラエティに富んだ内容です。 1 曲目「Smilin’ Again」は、チャッチーなメロディーに、Jeff Harrington のほんわかしたボーカルが重なり、まったりしたグルーヴ感を醸し出しています。 この曲にしか参加していないコーラスの Penny Birdsong という女性の名前はすごいですね。 つづく「Older Men」はアルバム中最もシンプルな編成によるミディアム・ナンバー。 Terry のギターとJeff のピアノが味わい深い名曲です。 
「Moonlight Shuffle」は、moog が二人もクレジットされている曲。 途中からファンキーなサウンドになったい戻ったりと、動と静のコントラストが特徴的な曲。 サックス・ソロのあたりは、ほとんど同時代のフュージョンです。 メロウな浮遊感が独特の「Caught You (with the ocean in your eye)」は、アルバムの代表曲。 アルバムを聴くたびに新鮮な気持ちにさせられます。 中盤の Rick Petersen の moog ソロや Tommy O’Donnell の fender rhodes ソロといったインストパートがボーカルパートよりも重要な役割を果たしています。 そういった曲の作り方に、卓越したセンスを感じざるを得ません。
 B面は、アルバムの中でも歌を一番じっくり聴かせるメディアム・ナンバー「How Many Lovers」でスタート。 この曲には、ギターとコーラスで Michael Johnson が参加しています。 ほぼ 4ビートのジャズのような「Kiss-A-Me-Ooo」は小洒落たセンスがアルバム全体のアクセントとなる曲。 Mike Elliott によるギターソロも上出来です。 ピアノの弾き語り風から始まる「Drunks And Fools」は 7分 48秒の大作。 曲の展開などはやや難解で、中期の Steely Dan の持つエッセンスに似たものを感じます。 中盤から後半のインストも盛り上がりますが、ここでは、Terry Grant とGlen Swanson のリズム・セクションの力量に支えられていることが分かります。 ラストの「You Will Repair」は可愛らしいフルートのメロディが印象的なメロウな曲。 次第にアップテンポになったり緩急自在な Jeff Harrington ワールドが展開します。

 久しぶりにアルバムを聴きましたが、このアルバムの屋台骨を支えているのが、全曲に参加している Terry Grant と Glen Swanson であることを再認識しました。 ユニークなアレンジメントもこの二人の貢献が大きいものだと思います。 そして、ミネアポリスにそんなにミュージシャンが多いのかと思ってしまうほど、ギターやキーボードなどは曲によってゲストを厳選しているあたりも、Jeff Harrington のこだわりを感じます。

 一部の熱心なファンの支持を集めていたこの名盤も、ついに CD 化されることになりました。 こんなアルバムを通勤途中に i-POD で聴くことのできる日も近いのです。



■Jeff Harrington / Jeff Harrington■

Side-1
Smilin’ Again
Older Men
Moonlight Shuffle
Caught You (with the ocean in your eye)

Side-2
How Many Lovers
Kiss-A-Me-Ooo
Drunks And Fools
You Will Repair

All Songs by Jeff Harrington except ` Kiss-A-Me-Ooo` and `Caught You` which were co-composed by Jeff Harrington and Terry Grant

Produced by Steve Wiese , Terry Grant , Jeff Harrington
Recorded And Mixed At Creation Audio Recordings , Minneapolis , Minnesota
Engineered by Steve Wiese

Thanks to Glen Swanson for his help with rhythm arrangements

Jeff Harrington : vocals , piano , fender rhodes , electric guitar , moog
Robert Rockwell : sax ,on ‘Smlin’ Again’ , ‘Moonlight Shuffle’ and ‘Drunks And Fools’ flute ,piccollo and horn arrangement on ‘Kiss-A-Me-Ooo’
Terry Grant : bass , electric guitar , vocals
Glen Swanson : drums

Larry McDonald : percussion on ‘Smilin’ Again’
Bruce Kurnow : harmonica on ‘Older Man’
Kinky Schnitzer : electric guitar on ‘Moonlight Shuffle’
Tommy O’Donnell : clavinet , Rhodes ,and ARP strings on ‘Moonlight Shuffle’ ,’Caught You’ and ‘Drunks And Fools’
Steve Wiese : vocals , moog on ‘Moonlight Shuffle’ , tambourine on ‘How Many Lovers’
Jerry Steckling : moog on ‘Moonlight Shuffle’
Rick Peterson : moog on ‘Caught You’
Michael Johnson : high stung guitar , vocals on ‘How Many Lovers’
Roger Dumas : ARP strings on ‘How Many Lovers’
Tom Bung : rhodes piano on ‘Kiss-A-Me-Ooo’
Billy Shiell : flugelhorn , trumpet on ‘Kiss-A-Me-Ooo’
Tony Novak : trombone on ‘Kiss-A-Me-Ooo’
Mike Elliott : electric guitar on ‘Kiss-A-Me-Ooo’
Lorin Walstad : electric guitar on ‘Drunks And Fools’
Mike Blaisus : flute on ‘You Will Repair’
Loring Johnson : electric guitar , vocal on ‘You Will Repair’

Patti Wickland : vocals on ‘Smilin’ Again’ and ‘Moonlight Shuffle’
Penny Birdsong : vocal on ‘Smilin’ Again’

Centerpiece Records 2601