道彦の散歩道

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毎日の事件事故の記録

01/14 リンコレリア・ディグビアナ

2014年01月14日 | 豆知識

「リンコレリア・ディグビアナ」は、ラン科植物の1種。大きく広がった唇弁の縁が細かく裂ける。洋ランとして、またカトレア類の交配親としても重視される。かってはブラッサボラ属とした。

『特徴』

多年生の着生植物。全体にカトレアに似ていて、匍匐茎と偽球茎を持つ。偽球茎は長楕円状紡鐘形で高さは15センチくらいになる。先端に葉を一枚つける。葉は多肉で革質、長さ10-20センチでやや扁平、先端は丸い。

開花期は春から夏。花は偽球茎の先端から伸びる花茎の先に出て、花茎は長さ5センチほどで、花はその先端に一つだけ生じる。花径は10-15センチほどで、萼片と花弁は淡黄緑色、唇弁はより白っぽい。花弁と萼片は細長く、萼片は舌型から楕円状披針形、花弁は楕円状倒披針形。
唇弁は基部が筒状になり、先端は大きく広がる。形としては大きく三裂しており、倒裂片の基部が髄柱を抱き、その前方部分と中裂片が大きく広がる部分となる。その縁は細かな糸状に裂け、極めて独特の様子を見せる。夜間に強い芳香を放つ。
なお、同属の別種にはグラウカがある。葉姿と花形は似ているが、やや大柄で、唇弁の縁は波打つもののなめらかとなっている。

『分布と生育環境』

ホンジュラス、ユカタン半島に分布する。低地で日当たりのよい岩の上や樹幹に着生して生育する。

『利用』

洋ランとして栽培される。独特の花形と香りのために評価は高い。

だがそれ以上に交配親として重要で、カトレア類においてより唇弁が大きく広がる花の作出を目指して多用されてきた。かってはブラッサボラ属としていため、この種の交配親としたものは、たとえばカトレア属との交雑種はブラソカトレア属とした。これに当たる最初の種は1889年にサンダーリストに登録された。これに含まれたものは、そもそもカトレア属に本種の「美しい唇弁の性質を導入することにあった」のである。

なお、この組合せは、現在では本種の属が変更になったためにリンコレリオカトレア属となる。ちなみに唇弁は大きくなり、その縁には細かいフリル状の襞が生じる例が多い。本種のように細かく裂ける形になる例はごく少ない。

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01/13 リカステ

2014年01月13日 | 豆知識

「リカステ」は、ラン科植物の一つ。大きな偽球茎に大きな葉をつけ、多くはシュランに似た大きな花をっける。

『概説』

「リカステ」は、大きな偽球茎の先端に幅広い大きな花をっける。つけるランで、花は三角に整った形のものが多い。側花弁が慈柱に寄り添い、唇弁も基部は慈柱に平行し、先端が前に広がるものが多く、見た目でシュンランを思わせる、落葉性の種では葉が落ちた偽球茎に花をつける。

観賞価値の高い洋ランとして知られるものも多い。学名はトロイの最後の王プリアモスの娘で美人だったLycasteに由来する。南米高地に産するものが多く、そのようなものは夏の暑さ弱いクールタイプといわれる。

『特徴』

多年生草本で、着生種と岩の上に出るもの、地上種がある。偽球茎は大きく発達し、扁平な卵形で互いに接して生じる。葉は広披針形で幅広く、縦皺が多数有り、偽球茎の先端から2-4枚生じる。落葉性の種が多く、それらでは偽球茎が肥大した後に葉が枯れ、次に新芽が出る前に花が出る。なお、葉の落ちた後の偽球茎の先端部には棘が残り、怪我することがあるので切っておくように園芸書には書かれている。

花茎は偽球茎の基部から数本、あるいは多数出て、多くは立ち上がるが、ごく一部に垂れ下がるものがある。花は花茎の先端に一つつく。花は大きくて肉厚、色は桃色、黄色、緑色など様々。萼片三枚はほぼ同大でやや細長く、三方向に出るか側萼片はやや水平に伸びる。側花弁も細長い形で、前に突き出る慈柱を覆うように寄り添い、往々に先端が反る、唇弁の基部は慈柱の下に並び、その両側面は上に曲がって慈柱の下に回廊を造る。先端は反り返ってやや広がる。

メキシコからボリビアに分布する。高地に産するものが多い。分類は約35種が知られる。

『利用』

花が美しい洋ランとして栽培される。ただし、高地産のものは夏の暑さに弱いクールタイプであり、日本中部以南の平地では夏越しに困難がある。また、葉が大柄なので扱いに難がある。

「リカステ・スキンネリ」は白から桃紫の大輪花であるうえ、萼片三枚がほぼ正三角形に整った名花で、三菱ランと呼ばれたこともある。

「リカステ・アロマティカ」は小型の黄色い花を多数つけ、また、この種では珍しく芳香が強い。その香りは香辛料的で、ニッキに似ている。

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01/12 マスデバリア・ストロベリイ

2014年01月12日 | 豆知識

「マスデバリア・ストロベリイ」は、ラン科植物の1種。小柄で、黄色い花を付ける。洋ランとして栽培される。

『特徴』

小型の多年生着生植物。根茎は短く、多数の葉を密生する。葉は長さ4-8センチ、線状楕円形で扁平、やや硬い。

冬に花を付ける。花茎は3-6センチで一株から多数出る。花は花茎の先端に一つだけつく。花茎はやや立ち上がって先端は斜めに伸び、花は横を向いて開く。

花冠は長さ5センチ、径7センチ程度で、萼のみがよく発達し、花弁はごく小さい。萼片は基部に癒合して筒状で、先端に向かって開く。色は全体に黄色く、開いた先端部はやや白っぽい。背萼片の先端部は三角で後ろ向きに反り返り、先端は長い尾状になって後ろに伸びる。
側萼片は左右融合し、やはり三角で背萼片よりやや大きく、先端はやはり尾状に伸びて後ろに曲がる。また、内側には白い毛状の突起が一面にある。花弁はいずれも萼片の筒上部の奥にあって目立たない。側花弁は長方形で白く、唇弁は先端が倒卵形でやや白い。

『分布と生育環境』

エクアドル南部、サモラ・チンチペの標高1400-1700付近に分布。疎林で樹木に着生している。

『利用』

花を観賞するために洋ランとして栽培される。この属のものは熱帯域でも標高の高いところに生育するものが多く、日本では往々に夏の暑さに負けて枯死する。その点、この種は比較的だが低標高のものであり、たとえばコッキネア等よりは栽培が容易である。
なお、交配親としても使用されており、ビーチアナとの交配品はエンジェル・フロストの名で呼ばれる。本種の特徴である萼片内面の毛状突起を受け継ぎ、ビーチアナの赤を受け継いで花色より鮮やかである。また、この交配品種が交配親として定評があり、さらに多くの交配品種が作出されている。

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01/11 ブラッサボラ・ノドサ

2014年01月11日 | 豆知識

「ブラッサボラ・ノドサ」は、ラン科植物の1種。細い花弁と先の広がった唇弁を持つ美しい花を付ける。洋ランとして栽培され、またカトレア類の交配親としても重視される。

『特徴』

多年生の着生植物。匍匐茎と偽鱗茎を持つ。偽鱗茎は細長い円筒形で長さ3-15センチ、立ち気味に出る。葉は偽鱗茎の先端に一つだけ付き、線状披針形。長さ15-30センチだが、葉幅は2-3センチしかなく、厚みがあって硬い。表面は溝状にくぼむ。

花は秋に咲き、偽鱗茎の先端から出る20センチほどの花茎の上に1-6個つく。花は径8センチ程度。萼片と側花弁は線状で先細り、緩やかに曲り、黄緑色。唇弁は白で、基部は髄柱を包んで筒状に巻き込み、その先で急に大きく広がってハート形。先端はやや尖る。花には芳香りがあり、特に夜間に芳香を放つ。

『分布と利用』

中央アメリカ、メキシコからパナマ、ベネズエラの標高500メートル以下の地域に分布。

洋ランとして栽培される。独特の花形に評判が高く、また夜間に芳香を放つことから欧米では「夜の貴婦人」と呼ばれている。
また、カトレア系交配種の交配親としても重視される。カトレア属との交配品はブラッソカトレアとなる。特にこの種との交配品は独特の花形を受け継いだものが多く、細い花弁と先で急に大きく広がった唇弁が特徴となる。それらは往々にノドサ系といわれる。

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01/10 ドラクラ属

2014年01月10日 | 豆知識

「ドラクラ属」は、ラン科の植物群。マステバリアに似ている。花は地味な色のものが多いが、動物じみた異様な印象を与えるものが多い。

『概説』

この属は元々マステバリア属から分離されたもので、形態的にはとてもよく似ている。違いは細部に多いが、何よりもその不気味な花に特徴がある。色は地味な褐色系であり、そこにいぼや毛が生えて、それに小さいながらも突き出した側花弁が動物の目玉にも見え、花全体が動物の顔っぽく見える。

そのため「吸血コウモリに似た面妖な花の姿」とまで言われる。学名もこれに由来し、意味としては「小さな竜」「双翼の怪物」であるが、この花が吸血コウモリを思わせることから吸血鬼として名高いドラキュラ伯爵にちなんだものとされる。

着生植物で、花は垂れ下がって下向きに開くものが多い。そのの唇弁がキノコの裏面に似ており、キノコに集まるハエ類によって花粉媒介されると考えられている。

『名前について』

この属名は伝説の吸血鬼にちなんだものであるが、その影響か、種小名にもおどおどろしいものを採用している例が幾つかある。この属の代表的な種である「ドラクラ。キマエラ」は、種小名のキマエラも怪物である。また「パンピラD」は種小名も吸血鬼であり、「ブラト・テペスD」はドラキュラのモデルとされる中世ワラキアの領主ヴラド3世にちなんだ者でアル。

『特徴』

常緑性の多年草で、着生植物。全体にマスデバリア属に似る。偽球茎はなく、根出状に葉をつける。葉はマスデバリアののものより薄手で幅広い例が多く、また主脈はよりはっきりと出て、裏側に突き出る。

花茎は立ち上がる例もあるが、多くの例では水平に伸びるか下向きに垂れ、先端に花を単独で生じるか、連続的に少数の花をつける。花は萼片3枚はよく発達し、その基部は筒状に癒合、先端は広がって開出し、先端は尾状に伸びる。
花弁はこれよりずっと小さい。従って外見的ににはほぼ三角形の花である。花粉塊は2個。これらの点でもマスデバリアと共通する。

花色は黒みを帯びた暗色系が多い。ちなみに、側花弁の先端が膨らんでいる部分は、特にこれが濃く着色すると動物の目玉に見える。

『分布』

主としてコロンビアからエクアドルのアンデス山脈に分布するが、一部はメキシコ南部からパナマまで生育し、ペルーからも僅かに知られる。標高1500ー2500メートルにある湿地の高い雲霧林に生育する。樹上に着生し、原生林に多く見られ、乱獲された環境ではより少なくなっている。

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01/09 サイコプシス・パピリオ

2014年01月09日 | 豆知識

「サイコプシス・パピリオ」は、ラン科の着生植物。蝶の姿にも似た大きな花を一つずつ付ける。古くから花の美しいオンジジウムの一つとして知られてきた。

『概説』

この種はかってオンジジウムに所属させており、そのころから大型の花を付ける美麗種として知られてきた。その花は独特で、背萼片と側花弁、つまり上向き三弁が細長く尖って立ち、側萼片および唇弁、つまり下向き三片が幅広く広がり、縁がフリル状となる。

ちなみに種小名のpapilloはリンネが蝶類の学名として与えたもので、現在ではアゲハチョウ属の属名として残っている。この語自体は「パタパタする」と言う意味のpalに由来する。

この花では背萼片と側花弁が蝶の触角のように伸び、しかもそのような花を一輪だけ、とても細長く立った花茎の上に付ける。風が吹いてそれがゆらゆらと揺らめくさまは、確かに蝶を思わせる。

『特徴』

常緑の多年生草本で、着生植物。偽球茎は径3-5センチで、扁平な球形をなし、先端には一枚の葉がある。葉は長楕円形で先端が尖り、長さは15-25センチ、やや厚手で硬い。褐色かかった緑に赤褐色の斑紋があり、この斑紋は裏面のほうがはっきり見てとれる。なお、オンシジウム類では偽球茎の基部にある鞘にも葉身が発達する例が多いが、この種では見られず、偽球茎はほぼ裸出する。

花茎は偽球茎の基部から出て立ち上がり、長さ1メートルに達する。花茎は基部では丸いが、先端に向かって次第に扁平となり、僅かに翼状となる。花茎は分枝せず、一本の花茎の先端部のみに数輪の花を付けるが、一輪ずつ開花する。

花は非常に独特。まず背萼片と側花弁は互いによに似ており、いずれも線形で、先端近くが僅かに幅広くなる。色は赤褐色で、半ばが黄色。これらは長さ6-10センチにもなり、それぞれ斜め上に向かって伸びる。

唇弁は長さ4センチ、下に向かって伸びて大きく三裂し、側花弁は半円形、中裂片は広心形で中央が黄色、周囲が茶褐色で多少波打つ。側萼片は心片の外側に寄り添うように下向きで、葉は広くて先端が内側に曲がった鎌形、黄色の地に大きな赤褐色の紋があり、緑は細かく波打つ。髄柱は上向きで、その基部の側方には細かい鋸歯を持つ翼がある。

『分布と環境』

西インド諸島、コロンビア、ギアナ、ブラジルとアンデス山脈の東側に分布生きとし生けるものもつ。

『利用』

洋ランとして栽培される。その歴史は古く、ヨーロッパに紹介されたのは1824年。かってオンシジウム属としていたため、現在でもその属名で流通することがある。その場合、タイプとして厚葉系と呼ばれたものに含まれる。
アルバと呼ばれるものはいわゆる白化品扱いではあるが白花ではなく、普通花の黄色いところは黄色のままで、褐色に色づくとろが黄色になったもの。全花黄金色になって美しい。またこの場合は、葉のまだら模様も消える。

 

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01/08 イオノプシス・ウトリキュラリオイデス

2014年01月08日 | 豆知識

「イオノプシス・ウトリキュラリオイデス」は、ラン科植物の一種。オンシジウム似て、唇弁だけが大きく広がった花を付ける。

『特徴』

着生植物で常緑の多年草。偽球茎は楕円形でやや扁平、長さは1-2センチと植物で植物体としては小さい。葉は偽球茎の基部から2-3枚、偽球茎の先端には1枚の葉身を持つか、偽球茎先端に葉に欠く。葉は線形で長さ10-12センチ、硬い革質。

開花期は春から夏。花茎は偽球茎の基部にある葉の内側から伸び出し、長さ30-50センチと植物体を大きく抜き出て先端はやや垂れる。花茎は先の方で分枝し、多数の花を付ける。花径は1.5ー2センチで、萼片、側花弁は全て小さくて、側花弁がやや大きいものの唇弁よりはるかに小さくて目立たない。それらは互いに寄り添って筒状部になる。側萼片の基部は互いに融合して顎状になる。

唇弁は三裂するが、側裂弁は目立たず、中裂片だけが大きくて先が大きく広がり、先端は窪んでハート形。花色は変異があり白っぽいものから赤紫色まで、唇弁基部は黄色くて上面に小さな隆起が一対ある。

属名は「スミレに似る」の意で。種小名はタヌキモ属の属名からなり、「ミミカキグサまがいのスミレもどき」の意に取れる。

『分布』

フロリダ南部からメキシコ、パラグアイからブラジルに渡り、さらに西インド諸島、ガラパゴス諸島まで分布がある。標高1000メートルまでの、冬に乾燥する落葉樹林などに生育。群落をなすことが多い。

『利用』

洋ランとして栽培される。丈夫で栽培も容易とされる。属名の知名度は低いのでオンシジュームの名で販売されることもある。また、オンシジュームとの属間雑種をイオノジウムといい、ポップコーンはるりなどは本種を交配するもので、花色がピンクから黄色に変色することで知られる。

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01/07 エランギス属

2014年01月07日 | 豆知識

「エランギス属」は、ラン科に所属する植物の群。アングレカム属に近く、長い距のある白い花を咲かせる。

『概説』

エランギスはアフリカ、マダガスカルを中心に分布する着生のランであり、単軸性で、白くて長い距のある花をつけること、夜間によい香りを発するものが多いことなど、アングレカム属と多くの特徴を共有する。
区別は髄柱先端の構造や唇弁の形質などによる。たとえばアングレカムでは唇弁が幅広く、基部は髄柱を抱えるようになるが、エランギスでは唇弁は側花弁などとさほど変わらない。花粉塊はアングレカムでは2個が別個の柄に繋がるが、エランギスでは柄は1つにとまる。

学名の由来はギリシャ語のaer(空気)とangos(管)を組み合わせたもので、長い距に由来するものと推定している。

『特徴』

常緑性の多年生着生植物。茎は普通は短くて葉を密生し、下部からは根を出して着生する。葉は倒卵形や倒披針形など、先端がやや幅広い形で、革質で先端が小さく割れ、その両側が不均等な大きさになる。

花茎は葉脇から出て、総状、または単独に白い花を着け、花茎はジグザクになりかち。花は白が中心で距にピンクや透明なものがあり、また黄色みを帯びるものもある。
髄柱は白たが、赤いものもある。萼片と側花弁はぼ同型で、披針形からやや楕円形。唇弁は萼片や側花弁より幅広いものが多いがさほどの差はなく、形はほぼ同じで、長い距を持つ。花粉塊は2個で、1つの花粉塊柄につながる。

長い距に蜜を貯め、強い香りを放つランは夜行性の蛾を花粉媒介者に選ぶものとされ、この類もそう考えられている。

『分布』

アフリカ大陸やマダガスカルに分布。河川流域や森林、サバンナに生育する。樹上に着生するが、希に岩の上に出現するものもある。約50種類が知られている。

『利用』

洋ランとして栽培されるが、アングレカムほどは普及していない。略称はアングレである。日本に導入されているのは20種類ほどである。交配品種も作出されている。栽培はアングレカムとほぼ同様ながら、より空中湿度を求めるという。

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01/06 アングレカム属

2014年01月06日 | 豆知識

「アングレカム属」は、ラン科植物の群の一つ。白く香りのよい花をつける。

『概要』

「アングレカム属」のランは単軸性で細長い葉を二列につける着生植物である。
花は白から緑白色で、派手な色は無い。多くはよい香りを夜間に放つ。花は唇弁が大きく広がる以外は特に大きな特徴はないが、とんどが長い距を持つ。特にこの属の一種「ア・セキスペダレ」はとても長い距を持ち、ダーウィンがそこからそれに対応する長い口吻を持つ蛾の存在を予言したことで知られる。
分布はアフリカ諸国に限定され、特にダマスカスで種分化が進んでいる。

多くの種が洋ランとして栽培される。学名は着生ランを意味するマレー語「angurek」に基づく。ただし、現在この種に所属するものに学名仮名読みに基づく種はない。日本での呼称は学名仮名読みに基づく。仮名表記としては「アングレクム」、あるいは「アングレークム」も使われているが、洋ランとしての呼び名は「アングレカム」で定着している。

『特徴』

着生の多年生草本。単軸性のランで茎は先端に向けて成長し続け、次々に葉を出す。偽球茎はない。茎のあちこちから根を出して着生する。

ただし、見かけではかなりの差がある。茎が長く伸びるものでは茎の上に間をおいて葉がつき、茎のあちこちから根を出しているので「バンダ」のような外見となる。茎が伸びないものでは葉は互いに接してつき、根出状に密集し、そこからそれぞれ反対向きに葉をのばし、フウランなどのような姿となる。草丈は小さい方は10センチ程度のものから、大型種は1メートルになるものがある。

葉は細長く厚みがあって革質で二列性。基部は鞘になって茎を包む。普通は中助沿いに二つ折りになって平らに広がる形である。が、一部には棒状になったもの、左右から扁平になった単面葉を持つなどがある。

花は葉腋から花茎を伸ばしてつける。花茎は斜め上から横に伸び、あまり垂れ下がらない。花は花茎に単独で、または少数、まれに多数が総状につく。
花はロウ質で外花被と側花弁はほぼ同型でやや細長くて比較的単純な形、唇弁は大きく広がり、一つながりか、あるいはごく浅くだけ三裂し、付け根近くはややずい柱を抱き、基部には普通長い距を持つ。
花色は白、あるいはそれに近い緑や黄色などの色を呈し、往々にして夜間に香りを放つ。ずい柱は全体に低くくぼんで短い。花粉塊は二個で、それぞれに独自の柄を持つ。

『代表的な種』

代表的な種としては、■大型の方の代表種「ア・セスクイペダレ」。■1メートルになる大型種「ア・エバーネレウム」。■小型の種「ア・レオニス」。■葉が独特な姿の「ア・ディスティクム」。■茎が細長く、葉も棒状でやや垂れ下がる「ア・スコッテイアヌム」。などがある。

『分布と分類』

熱帯アフリカ・南アフリカ、及びマダガスカルとそれに隣接するコモロ諸島などに分布する。特にマダガスカルにおいて分種化が激しい。

アフリカ近辺にはこのような単軸性で長い距のある白系統の花をつけるランは種類が多く、かってはそれらをすべてこの属に含めた。しかし、主として花粉塊の構造などを基に多くの属に区分された。

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01/05 ナリヤラン

2014年01月05日 | 豆知識

「ナリヤラン」は、常緑性の地生ランのひとつ。熱帯アジアに広く分布し、日本では八重山諸島(石垣島及び西表島)に自生する。沖縄島中部でも見つかっているが、栽培逸出の固体である。

和名の「ナリヤラン」の「成屋」は、西表島の内湾にある小島、内離島にあった成屋集落(現在は廃村)に由来すると言われている。

『特徴』

新旧の複数の茎がまとまって生える。葉は長さ10-20センチで、線状披針形、2列に互生して上に伸びあがり、遠目で見た草姿はイネ科のアシに似ている。茎の基部には偽球茎をつけ、ひも状の根が多数ある。八重山諸島では草丈50センチ前後で止まる場合が多いが、熱帯域の尾大型系統では1-2メートル以上に達することもある。

花茎は茎の先端からさらに上に伸び、総状花序に複数の花をつける。花径は4センチ前後。
花色は通常は淡紅紫色、唇弁の先端はそれよりも色濃く、鮮やかな゛に紫色で中央に黄色の斑紋がある。花だけを見ると洋ランのカトレアによく似ている。ただし、花はカトレアのように長持ちせず、一つの花は数日でしぼむ。花期は特に決まっておらず、一定の大きさに育つと花をつける。熱帯域では1年を通じて開花する。

『その他』

西表島産は3倍体で、柱頭に花粉がつくと、それが刺激となって受精なしに種子が単為発生する。花粉親がどのような品種であっても、実生は基本的には種子親と同一の遺伝子構成になる。そのため、種子親として交配育種に使うことは不可能で゛ある。
他産地の系統に対ても、同様に単為発生している可能性がある。

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01/04 レブンアツモリソウ

2014年01月04日 | 豆知識

「レブンアツモリソウ」は、北海道の礼文島にのみ生息する野生のランである。

『特徴』

和名の由来は礼文島特産のアツモリソウの変種であることから。アツモリソウの和名は、袋状の唇弁を持つ花の姿を、平家物語などの軍記物語に描写された平敦盛の背負った母衣(ほろ:後方からの矢を防ぐ武具)に見立ててつけられている。この変種の特徴は、花色が紫ではなく、黄色であることである。

草丈は25-40センチ程度。花の色は淡いクリーム色で、5-6月に開花する。唇弁は大きな袋状で、長さ3.5-5センチ。側花弁は広卵形で先は短く尖る。

『受粉の仕組み』

この花は送粉者の食物となる蜜を分泌せず、花粉もラン科の通例どおり花粉塊となっていて昆虫の食物となるような形で大量に作られるわけではない。
にもかかわらず受粉が成立するのは、騙しによる受粉が行われているからであることが明らかになっている。このことは、この種の保護のための研究によって判明した。
送粉者はニセハイイロマルハナバチの、単独で巣を作り始めたばかりの越冬女王蜂であり、蜜や花粉が得られる花と誤認して花に潜り込むと、あふたかも食虫植物ウツボカズラの補虫蓑に捕らえられたかのように、袋状の唇弁に足を滑らせて落ち込む。
ここから脱出できる経路は限られており、花から出る時に背中の花粉塊が粘着する。この蜂が再び別の花に騙されて落ち込んで同じように脱出する時に雄しべの柱頭に花粉塊が付着し、受粉が成立する。

一説によると、ニセハイイロマルハナバチの越冬女王がレブンアツモリソウの花に騙されて誘引巣るのは、同時期に同じような淡黄色の花をつけるゴマリハグサ科のネムロイオガマの花と誤認するためでないかとも言われており、レブンアツモリソウの個体群を遺伝的な多様性を維持して保全するためには、ニセハイイロマルハナバチとネムロイオガマの保全が必要であるとする提言もなされている。

『生育状況』

かって島内各地で咲き乱れていたが礼文島の大部分を焼く大きな山火事が起き、木々に埋もれるように裂いていた花が人目に露出した為、盗掘にあって数は激減し、現在では北鉄府地区の保護区「レブンアツモリソウ群生地」以外は激減して数が少ない。礼文島の高山植物培養センターで培養研究がされており、平成13年6月には18本の開花に成功した。

アツモリソウよりも一足早く、1994年に「特定国内希少野生動植物種」に指定された。そのため現在では許可なく採集・販売などは出来ない。しかし園芸的に人気のある種類だけに、複数の民間業者が国の許可のもとに人口増殖を手掛けており、少数ながら安定した苗の生産・供給がなされている。
ただし、アツモリソウ同様に暖地での栽培は極めて難しく、これらの苗が一般に普及するには至っていない。

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01/03 クマガイソウ

2014年01月03日 | 豆知識

「クマガイソウ」は、大きな花をつけるラン科植物である。扇型の特徴的な葉をつける。

『特徴』

「クマガイソウ」は、北海道南部から九州にかけて分布するラン科アツモリソウ属に属する植物である。低山の森林内、特に竹林、杉林などに生育し、大きな集団を作る。草丈は40センチくらいまで、葉は対生するように二枚つき、それぞれ扇型の特徴的な形をしている。

花はその間から伸びた茎の先につき、横を向く。花弁は細く楕円形で緑色を帯び、唇弁は大きく膨らんだ袋状で、白く、紫褐色の模様がある。唇弁の口は左右から膨らんで狭まっている。

『和名の由来』

「クマガイソウ」、「アツモリソウ」の名は、膨らんだ形の唇弁を昔の武士が背中に背負った母衣(ほろ)に見立てて、がっしりした方を熊谷直実(なおざね)に、優しげな姿の方を平敦盛(たいらのあつもり)にあてたものである。花色がそれぞれ白、赤っぽいため源氏の白旗、平氏の赤旗に見立てたための命名とも言われる。白花のアツモリソウほ昔はクマガイソウと呼んでいたという説もある。

『自生地の現状』

栽培のための乱獲によって自生を見ることは今や稀である。クマガイソウは無菌播種による増殖技術が確立されておらず、アツモリソウのように実生増殖をした苗を大量供給することはできない。にもかかわらず、悪質なマニアや業者に乱獲、盗掘さ続けている。このままなら絶滅するといっても過言ではない。

「クマガイソウ」は環境省のレッドデーターブックで絶滅危惧Ⅱ類とされている。日本の県レベルではさらに高いレベルで絶滅が危惧されている県もある。これを乱獲、盗掘することはもちろん、乱獲、盗掘さたものを取り扱う業者から購入することは、自生地の損失を助長する行為で決して行ってはならない。

『栽培』

「クマガイソウ」の地下茎は筋間が長く、全長はしばしば1メートル以上になる。しかも硬く柔軟性に欠け、普通の植木鉢に収めることは難しい。また、先端の成長点は鉢の内壁などに当たると枯死するため、鉢植えに適さない。
一般園芸店で販売品をしばしば見かけるが、一般向けの市販品は鉢に入れるために地下茎が短く切断されており、回復に長い期間を要する。回復せずに枯死してしまうことが多い。

適地であれば地植え栽培が可能であるが、生育適正条件が狭く、栽培場所は厳密に選ぶ必要がある。明るい日陰で、土壌の状態、湿度、温度が栽培に適したものであること、周囲に風よけになるものがあること、など制約が多く、単に美しいから、珍しいからといって初心者が気安く栽培できるようなものではない。

愛好家がどうしても栽培したい場合は、栽培に責任を持てる場合に限り、苗の入手が正規のルートを経由したものかどうかを検討して入手するなど配慮が必要である。

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01/02 日本最古の飴

2014年01月02日 | 食・レシピ

「桂飴本家 養老亭」が、12月31日を以て閉店した。
京都・桂御所(現在の桂離宮)に代々納めていた「桂飴」の357年に及ぶ歴史を後継者が居ないということで12代目を最後に閉店である。

「桂飴」は、麦芽を入れて蒸した穀類を一晩寝かせた後、濾過により糖を抽出して固める。大昔、幼児だった応神天皇を養育した飴が起源とされ、日本最古の飴として伝えられている。

養老亭は1656年(明暦2年)の創業で、長く宮家に飴を献上してきた。看板商品はもち米と麦芽で作る「常饌飴(じょうせんあめ)」。さっぱりしながら濃厚な甘味を楽しめる。

現店主(75)は、54歳で京都府長岡京市職員を退職すると、弟と分担して飴を作ってきた。「飴だけで生活が成り立つ時代ではない」と三人の子に家業を勧めなかった。
「先代が亡くなった67歳まで、70歳までと目標を伸ばしてきたが体力の限界」と話す。
蒸したもち米を木の棒でかき混ぜる昔ながらの作業が大きな負担となっていた。製造を受け継ぐ申し出をしたNPO法人があったが、断ったという。

障害者福祉に貢献したいと、2011年からは近くの障害者福祉施設「桂の泉学園」で販売し、利益の大半を利用者の工賃に充ててきた。住民は「桂の名物の一つだった」、「昔ながらの味がなくなる」などと惜しむ。

店主は「日本一の飴という誇りでやってきた。非常に長い歴史を持つが、これも時代の流れ。支えてくれた妻、飴を名物として愛してくれた地域の人に感謝でいっぱい」と話す。

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01/01 お年玉

2014年01月01日 | 豆知識

「お年玉」は、正月に新年を祝うために贈答される品物のこと。単に年玉ともいう。
現在では特に子供に金銭を与える習慣及びその金銭の意で用いられている。
年末に贈られる歳暮と異なり、目上の者が目下の者に贈るのが特徴。
子供から親への新年祝いなどの場合には表書きを「お年賀」とする。

『概要』

これをもって年の賜物(たまもの)であるとして「としだま」という名が付いたという説があり、また、古くは「餅玉」を与えたため「年玉」の名前が付いたとの説もある。

「たま」とは、「たましい」のことであり、「としだま」とは新年を司る年神への供え物の下げられたもののことであると民俗学的には説明される。
供え物には祀った神霊の分霊が宿るとされ、それを頂くことにより、人々は力を更新した新たな1年に備えるのである。

年玉の習慣は中世にまで遡っており、主として武士は太刀、町人は扇、医者は丸薬を贈った。

『日本以外のお年玉』

旧正月7に子供に金銭などを与える風習はアジア諸国でも見られる。中国では「圧歳銭」と呼ばれるが、これは中国語で「歳」と「崇」が同じ発音であり、年始に大人が子供に金銭を与えることで子供を襲う祟りが抑えられ、その1年を平穏無事に過ごすことが出来るという民間信仰から来ている。

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01/01 お屠蘇

2014年01月01日 | 豆知識

「屠蘇」または、「お屠蘇」とは、一年間の邪気を払い長寿を願って正月に呑む縁起物の酒であり風習である。

『概要』

「屠蘇」とは、「蘇」という悪鬼を「屠(ほふ)」るという説や、悪鬼を屠り魂を蘇生させるという説など、僅かに異なる解説がいくつかある。数種の薬草組み合わせた「屠蘇散」を赤酒・日本酒・味醂などに浸して作る。

屠蘇は、通常、屠蘇器(とそき)と呼ばれる酒器揃えによって供される。屠蘇器は、屠蘇散と日本酒・味醂を入れる銚子、屠蘇を注ぐ盃、重ねた盃をのせる盃台、これらを載せる盆からなる。屠蘇器には、漆器製、陶磁器製、ガラス製など様々な種類がある。

小・中・大の三種の盃わ用いて飲むが、「一人これを呑めば一家病無く、一家これを呑めば一理病無し」と言われ、日本の正月の膳などに呑まれる。

元日の朝、年少の者から年長の者への順に頂く。

『屠蘇散』

屠蘇散の初出は、一説には三国時代の名医・華佗の処方によるものと言われている。その処方は「本草網目」では赤朮・桂心・防風・枝契・大黄・鳥頭・赤小豆を挙げている。現在では山椒・細辛・防風・肉桂・乾藁・白朮・桔梗を用いるのが一般的である。人により、健胃の効能があり、初期の風邪にも効くという。時代、地域などによって処方は異なり、最近ではトリカブト(煎ってよく加熱しないと猛毒)やダイオウ(下剤としても使われる)など作用の強い生薬は使われない。

漢方薬と同様、ある人物の胃弱や風邪に効いたからといっても、他者にあてはめるのは危険である。白朮ひとつとっても、むくむほど水分滞留体質の人には良いが、水分不足体質や水分代謝機能の高い体質の人が飲むと、炎症悪化や血行不良等につながる恐れがある。生薬や屠蘇散の処方に関する専門知識を有する者に、飲用の是非を尋ねることが望まれる。
もしくは食用レベルにまで処方量を減らし、薄めることが無難である。

『風習』

正月に屠蘇を呑む習慣は、中国では唐の時代に始まり、日本では平安時代からと言われている。宮中では、一献目に屠蘇、二献目に白散、三献目は度嶂散を一献ずつ呑むのが決まりであった。
貴族は屠蘇か白散のいずれかを用いており、後の室町政府は白散を、江戸幕府は屠蘇を用いていた。
この儀礼はやがて庶民の間にも伝わるようになり、医者が薬代の返礼にと屠蘇散を配るようになった。現在でも、薬店が年末の景品に屠蘇散を配る習慣として残っている。

年末が近くなると一部の薬局・薬店でティーバックタイプの屠蘇散が販売・もしくは味醂に添付されている場合がある。日本種・味醂などをコップなどの容器に注ぎ、袋に入った屠蘇散を大晦日の夜に浸けて元旦に頂く。

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