道彦の散歩道

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01/19 サイハイラン

2014年01月19日 | 豆知識

「サイハイラン」は、ラン科サイハイラン属の多年草。

『特徴』

偽球茎は卵形。偽球茎の頂部につく越冬性の葉は狭楕円形で革質、長さ15-35センチ、幅3-5センチで先端は尖る。普通1葉がつく。葉の基部は鞘状になった茎を抱く。

花茎は直立し、高さ30-50センチになる。花期は5-6月で、淡紫褐色の花を総状花序に10-20花を下向きにつける。萼片と側花弁は線状披針形で長さ3-3.5センチ、幅4-5ミリ、唇弁は長さ3センチで紅紫色になる。

『分布と生育環境』

日本では南千島、北海道、本州、四国、九州に分布し、山地の林床に自生する。アジアでは樺太南部、朝鮮南部、中国(本土および台湾)、ヒマラヤに分布する。

和名(采配蘭)の由来は、花序の様子を戦場で指揮官が兵を指揮する采配に見立てたもの。

『栽培』

長期栽培や移植が難しい植物として知られる。採取・移植直後は偽鱗茎に蓄積された養分で順調に発育し、開花もする。しかし、新しい偽鱗茎が肥大不良となり、多くの場合は数年で養分の蓄積が枯渇し衰弱枯死する。

これは本種が光合成のみでは自活することができず、土中の共生菌からの養分提供に強く依存する混合栄養性の植物であるためと推測されている。本種の菌依存度がどの程度であるかは十分に研究されていないが、ヨーロッパ産の混合栄養種では、炭素源の約50%が共生菌から供給されている。

本種には「素心」や斑入り、「銀葉」と呼ばれる葉色紫色変異など、数多くの変異固体が発見されており、栽培も試みられている。しかし、それらが栽培下で増殖に成功した事例は報告されていない。無菌播種はエビネ類に準じた培地・技法で可能だが、培養容器から出して開花株まで育成した報告は、研究・営利・趣味、いずれの分野においても確認できない。

園芸店などで販売品が見られるが、すべて野生株採集個体であり、消費的に栽培と推定される。

『保護』

開発や園芸目的の採集で個体数は減少傾向にあり、埼玉県・千葉県てだ絶滅危惧Ⅱ類、群馬・山梨・奈良・鹿児島各県で準絶滅危惧種に指定されている。栽培技術・移植技術ともに未確立であるため、現在のところ自生地保護以外に効果的な保護対策はない。

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