「イオノプシス・ウトリキュラリオイデス」は、ラン科植物の一種。オンシジウム似て、唇弁だけが大きく広がった花を付ける。
『特徴』
着生植物で常緑の多年草。偽球茎は楕円形でやや扁平、長さは1-2センチと植物で植物体としては小さい。葉は偽球茎の基部から2-3枚、偽球茎の先端には1枚の葉身を持つか、偽球茎先端に葉に欠く。葉は線形で長さ10-12センチ、硬い革質。
開花期は春から夏。花茎は偽球茎の基部にある葉の内側から伸び出し、長さ30-50センチと植物体を大きく抜き出て先端はやや垂れる。花茎は先の方で分枝し、多数の花を付ける。花径は1.5ー2センチで、萼片、側花弁は全て小さくて、側花弁がやや大きいものの唇弁よりはるかに小さくて目立たない。それらは互いに寄り添って筒状部になる。側萼片の基部は互いに融合して顎状になる。
唇弁は三裂するが、側裂弁は目立たず、中裂片だけが大きくて先が大きく広がり、先端は窪んでハート形。花色は変異があり白っぽいものから赤紫色まで、唇弁基部は黄色くて上面に小さな隆起が一対ある。
属名は「スミレに似る」の意で。種小名はタヌキモ属の属名からなり、「ミミカキグサまがいのスミレもどき」の意に取れる。
『分布』
フロリダ南部からメキシコ、パラグアイからブラジルに渡り、さらに西インド諸島、ガラパゴス諸島まで分布がある。標高1000メートルまでの、冬に乾燥する落葉樹林などに生育。群落をなすことが多い。
『利用』
洋ランとして栽培される。丈夫で栽培も容易とされる。属名の知名度は低いのでオンシジュームの名で販売されることもある。また、オンシジュームとの属間雑種をイオノジウムといい、ポップコーンはるりなどは本種を交配するもので、花色がピンクから黄色に変色することで知られる。