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和田誠監督『怪盗ルビイ』その1

2022-04-14 01:19:00 | ノンジャンル
 和田誠監督・脚本の1988年作品『怪盗ルビイ』をWOWOWシネマで観ました。
 パンフレットの「ものがたり」に加筆修正させていただくと、
「夏も過ぎようとしていたある日の朝、彼女は突然陽の光の中から彼の前に現れた━━
 彼、林徹(真田広之)はダイレクト・メール等を扱う会社アイワ・メール・システムに勤める平凡なサラリーマン。東京郊外の小綺麗なマンションで時たま近所の美容院の手伝いに出る母と二人きりの生活を送っている。いつものように遅刻して出勤しようとした彼に上の方から声が掛かった。徹の部屋の真上に彼女(小泉今日子)が引っ越してきたのだ。仰ぎ見る陽光の中から現れた若い女は小柄だが長い黒髪の美女。スルリと人の心の中に飛びこんでくるようなキャラクターの娘だった。そして、引越しのドサクサにまぎれて徹がこぼれていた彼女の水着写真をそっとポケットに入れてしまったことから、彼の平穏だった日々は大いなる変貌をとげることになってしまった。
 彼女の名前は加藤留美。仇名は“ルビイ”で職業はフリーのスタイリストということだ。━━ところがある日、ルビイは徹にビックリするようなことを打ち明けた。なんと自分の本業は犯罪者だというのだ。━━思わず、「どんな犯罪?」と聞いてしまう徹。「さしあたって泥棒ね」とルビイ。「お金のため?」「そ、でもそれだけじゃないわ。よくわからないけどサムシングがあると思うの。協力して!」と迫るルビイ。自分は犯罪者向きじゃないと逃げ腰になる徹にルビイの鉄槌が下された。「私のもの盗ったことなかった?」━━グウの音も出ない徹。「あなた素質があるのよ」とキッパリ宣告したルビイは、さっそくある完全犯罪のプランを切り出した。
 ターゲットは良い物ばかりを扱って小銭をためこんでいそうな食料品屋。親父(天草英世)一人の店だから“仕事”もやりやすかろう……。
 食料品屋の店構え、親父の行動を念入りに調査・研究した結果、売上金がまとまって親父が銀行へ持って行く時を狙うのが一番、とルビイは結論づけた。そして“襲撃”に必要なのは自転車の行動力━━徹が憮然とした表情で言った。「ぼく、自転車乗れない」。さすがに一瞬絶句したルビイだがすぐさま日曜日に猛特訓を命じる。決行の日は徐々に近づいてきた。その日を前に悪夢にうなされてしまう徹。
だが、彼の心配をよそに、ちょっとした手違いはあったものの計画は成功して、狙っていた親父のバッグは“怪盗ルビイ”と徹の手に入った。しかし……バッグの中身は予想を大きく裏切って収穫はほぼゼロ。調査や行動に使ったお金を換算すると収支は赤字になってしまった。何やらホッとしてしまう徹だが、ルビイはてんでメゲない。
「私たちは大犯罪者よ。こんなはした金じゃプライドが許さない!」とすぐに第2のプランを徹に打ち明けた。
「今度は確実にお金のあるところを狙わなくちゃね。確実にあるのはどこ?」「銀行!」「そうよ。今度は銀行を襲う。計画はもう立ててあるから」
 話を聞いて思わず飛び上がってしまう徹。だがルビイは映画みたいにギャングまがいのことはしあんくていい、簡単に、スマートにお金を手に入れる方法があると言う。再び始まる調査と研究の日々。徹にとってはまた悪夢に悩まされる毎日となる。「お前、何か悩みがあるんだったら話しておくれ」と心配した母が言うが、こんなことは話せるわけがない。そして遂に犯罪決行の日となった。
 心臓が爆発しそうな徹に比べ、ルビイは度胸満点だった。しかし今回も徹のちょっとした手違いから、襲撃は徒労に終わってしまう。
 でも、ルビイはあきらめなかった。「今度こそヘマはやんないからね」と第3の犯行プランを徹に話そうとするのだ。
 ちょうどその頃、徹はルビイにはずっとつき合っている恋人(陣内孝則)がいることを知ってしまっていた。また会社では年上だが色っぽいOL(伊佐山ひろ子)が徹をデートに誘おうとする一幕もあった。
 逡巡する徹。今度のプランは一人じゃ出来ないと迫るルビイ。「留美さんにはパートナーがいるんだろ…彼は君が犯罪者だってこと知ってるの」と徹。「知らない筈よ、言ってないから。打ち明けたのは、あなただけだったんだから」持ちルビイ。

(明日へ続きます……)