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神代辰巳監督『四畳半襖の裏張り』その2

2020-11-18 06:14:00 | ノンジャンル
 昨日の続きです。

 太鼓持ち(山谷初男)「もともと死ぬほど嫌な客なら来ない訳で、口説かれたら~。そんな様子を見せるのも芸者の見栄。初めての床に取り乱すまいとするのも女の意地なれば、その辺の呼吸をよく飲み込んだお客が神出鬼没。臨機応変の術にかかりて、知らず知らず少しおかしくなりかけたときには、いくら我慢をしようとしても、もう手遅れ。元来陰情強気は女の常。一つおかしくなりだしたとなったら男の良しあし。好き嫌いに関わらず、恥ずかしさを忘れず無常にかじりつき~。女がいく時の感じは首を絞められ殺される寸前に味わうことができるそうです」客「だったらお前やってみろ」。
 花江「松島~の♪」。
 男、部屋を明るくする。
“好き者の奥義はこらえるところ”の字幕。
 激しくセックスする男と袖子。
 花丸「おばさん、お銚子、もう2、3本。姉さん、一人で酔っちゃって。今日もまたお座敷よ」「人の情けを忘れてしまった。そうなっちゃいけないよ」「はーい」「そりゃ芸者修行のつらさはわかるけど、だからって度をすぎちゃ。ねえ、大きな声じゃ言えないけど、このところ一月も旦那が姉さんを避けてらっしゃるの。そのせいなんだよ」。
 酔っぱらう花江。
 境内の鳩を大声で一斉に飛ばす花丸。
“あゝ ××ます ××ます”の字幕。
 果てる男と袖子。袖子「恥ずかしい。初めてのお客にこんなに乱れて。こんなこと初めてなんですよ。あなた、どうにかしてちょうだい。紙が取れません」「このままでいいさ。でも少し重いな」「すみません」。
“大正7年8月 米騒動起る”の字幕。
 柱を抱き、セミの鳴きまねをしながら背中を竹刀で叩かれる兵隊。
 男「どうした? 起きなよ」袖子「だって恥ずかしくって」「お前さ」。“もっと××たいんだな”の字幕。(中略)
 男「お前さあ、くすぐったくないか?」「いいえ、あなたは? 男の人ってあの後はくすぐったいんでしょ」「いや、そうでもねえよ」。
“あゝ 又××ます ××ます”の字幕。
 男「よく見えるよ。お前さんも見たら?」。
“大正9年3月 朝鮮独立運動弾圧さる(万歳事件)”の字幕。
「私は単なる太鼓持ちです。旦那様のために死んだら妻も子供もいい死にざまと喜んでくれるでしょう。誰も死にたかないですよ。大の男が女のあの気持ちを知るためなんて。口は災いのもとと言いますがね。めったなことを言うものじゃありません。それを真に受ける旦那さんもひどいお方だ」。首を吊る太鼓持ち。“万歳事件”の字幕。
 失神から意識が戻った太鼓持ちに客「おい、どうだった?」「今日ほど馬鹿なことをした日はありません。閻魔様に訴えたら、地獄にも入れてやんねえと言われました」。
“大正6年 ロシア三月革命起る”の字幕。“大正6年 ロシア十一月革命”の字幕。
 激しくセックスする男と袖子。(中略)
 花江「お前、布団を敷いてきてくれ」「でもまだお座敷が」「あっちこっちで暴動で、すっかり不景気だ。世の中真っ暗闇。お前さんもお休み。今日は花魁におなり。私はお客になってお女郎屋ごっこでもしよう。お前いくつだっけ?」「17です」「おぼこだねえ。本当におぼこなのかい? 田舎で何にもなかったかい? 男だよ」「ええ、何も」「お前もいずれは水あげの作法を覚えておかなきゃ」。
「号外! 号外! 米騒動だよ!」。
 果てる男と袖子。
 花江「おいで」花丸「はい」「膝を揃えて脚からそっと入る。ぞくぞくするほどいい肌だねえ」。
 神社で突撃の練習をやる兵隊。
 袖子、起きる。「恥ずかしいわ。見ないで下さい。私どうなったか分からない。あなたのせいよ」「楽しませてもらった」「またからかう」「率直な感想だよ」「本当に悪いんだから。あなた、最後まで?」「どうだったかな。お前さん、わからなかったのか?」「あなた、人ばかり狂わせといて」「そうかな」「いやですよ。人ばっかし。ご自分は平気だったのね。嫌な人。本当に人が悪いんだから。嫌だ、嫌だ」「もうだめだよ」「大丈夫、あんた、ちゃんとして下さらなきゃ。何ぼ何でも決まりが悪いわ」「ねえ、どんな旦那さんなんだ? いるんだろう?」「いない」「そうか。おじいちゃんだってな」「あらっ、どうしてですか?」「やっぱりそうか」「でもどうして分かるんですか?」「その手つき」「いやーん。でも本当にお疲れすぎなのね」「残念だ」。フェラする袖子。「一度も出会ったことがねえ」。男の口を手でふさぐ袖子。
 日の出。海岸。漁船。
“知らず知らず馴染を重ねるうち、いっそ結婚した方が得と…”の字幕。
“社告。米騒動の報道を禁止する”の記事。
 男「変わったことがしたくなった」袖子「何ですか?」「まあ、来いよ」「あなたって本当に見境がないんだから」。

(また明日へ続きます……)

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