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飴村行『粘膜人間』その1

2012-05-06 05:34:00 | ノンジャンル
 飴村行さんの'08年作品『粘膜人間』を読みました。
 15歳の長男・利一は、1年下の弟・祐二と、11歳の義弟・雷太を殺そうと決心します。おとなしかった雷太は、一ヶ月から名前を呼んでも返事をせず、鋭い目で睨み返してくるようになり、やがて利一と祐二を呼び捨てにするようになります。身長が195センチ、体重が105キロもある雷太は、次第に二人を顎で使うようになり、ある日父がそんな雷太を厳しく叱責すると、雷太は父に暴力を働き、全治一ヶ月の怪我を負わせます。雷太の中に制御できない破壊への衝動を見た二人は、慄然とし、やがては自分たちにその暴力が及ぶと思い、雷太を殺そうと決心したのでした。
 彼らは雷太の殺しを河童に頼むことにし、河童のことをよく知るベカやんに会いに行きます。ベカやんは五二式の自動小銃を持っていて射撃に長けている流れ者で、山の中の防空壕の中に住んでいました。ベカやんは自分の要求通り、祐二に自分のモノを手でしこらせた後、河童へものを頼む方法を教えてくれます。河童は3人兄弟で、弟のジッ太やズッ太が話しかけてきても、兄のモモ太だけを相手にものを頼まなければならないとのことでした。そして利一と祐二がベカやんの紹介であることを証明するため、ベカやんは村で自分しか持っていない五二式の銃弾を二人に与え、河童は純粋で間抜けだが、騙したりすると簡単に人を殺したりするので注意しろと言うのでした。
 二人が家に帰ると、父が他の男と逃げた雷太の母・和子のことを馬鹿にしたという理由で、雷太が全裸で縄打たれて正座させられた父にリンチを加えているところでした。二人はすぐにでも河童に会わねば自分たちが殺されると思い、翌日河童に会いに行きます。
 二人は沼に住む河童の家を訪れ、村の男らはみんな、モモ太と喧嘩してら負けると言っているだの、村の女どもはみんなモモ太とグッチャネ(セックスのこと)をしたがっているだのと、モモ太をほめあげます。モモ太は二人の頼みを聞く代わりに、村の女がほしいと言い出し、困った祐二は咄嗟に同級生の清美の名を言ってしまいます。清美は器量のいい娘でしたが、軍に召集された兄の幸彦が先日婚約者と逃走してしまい、一家は非国民となり、幸彦には銃殺刑、両親は強制収容所送りとなり、残された清美は完全な村八分となっていたのです。モモ太は本当に清美がいい女か見て確かめてから、約束を実行すると言い出し、祐二は清美宅を訪れ、清美をうまく騙して、その姿をモモ太に見せることに成功します。モモ太は明日雷太を殺し、その後に清美とグッチャネすることになります。
 祐二は昨晩利一と立てた計画をモモ太に話します。それは、利一と祐二の二人が、今の季節には誰も訪れない村のはずれの猟師小屋に和子が来ていると言って雷太を誘い出し、古井戸に和子が落ちたと言って雷太に井戸の中を覗かせたところを、後ろからモモ太が雷太を井戸の中に突き落とすというものでした。家に帰って来た祐二は、憲兵に拷問されて精神に異常をきたしたらしい清美の様子を思い出し、非国民である彼女を自分の便所女にすることを夢想して興奮します。
 翌日、念のため古井戸に先に来た祐二でしたが、やって来たのはジッ太とズッ太で、彼らは、モモ太が我慢できずに先に清美とグッチャネををしに行ってしまったと言い、自分たちがモモ太の代わりに雷太を殺すので、自分たちにも女を紹介しろと言い出します。祐二は適当な女の名前を言って、二人に殺しを頼み、ジッ太とズッ太は利一に連れられて来た雷太を井戸に落とそうとしますが、彼らの突進は雷太にはまったく通用せず、逆に彼らは雷太に惨殺されます。雷太が次に利一を殺そうとした時、小屋の中に手斧があったことを思い出した祐二は、背後から雷太の頭を手斧で叩き割り、雷太を倒すことに成功し、利一と一緒に河童の死体ごと井戸に投げ入れます。(明日へ続きます‥‥)

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