奥田英朗さんの'11年作品『純平、考え直せ』を読みました。
純平は、早くに父と別れ、男出入りの激しい母には幼い頃に養護施設に入れられるなど、愛情に飢えて育ち、若い日々はケンカに明け暮れ、少年院のやっかいにもなりましたが、現在は誰でも受け入れてくれる新宿歌舞伎町に組を構える、六明会傘下の早田組という小さな暴力団に属していて、やせていてハンサムで気のいいやくざとして、町の夜の女たちからはペットのようにかわいがられています。一回り年上の兄貴分・北島の舎弟として常に行動を共にしていましたが、ある日北島とともに債権の取り立てに向かうと、そこで半日で100万ももうける北島の仕事ぶりに改めて尊敬の念を抱きます。純平が組事務所に帰ると、同じ部屋の住み込みである安藤から、早田組と同系列の組の若頭が東雲系の若い衆に射殺され、出入りが近々あるかもしれないということを聞かされます。
北島が大阪に用事で出向いている間、純平は久々に自由の身になり、彼女にしたいと憧れている、ショーパブのダンサー・カオリに会いに行きますが、やくざと関わりを持ちたくないカオリは相変わらずすげない態度です。すると純平は、カオリの同僚でオカマのダンサー・キャサリンから、やはり同僚のオカマのダンサーのヒロシが不動産屋を通して引っ越し前の大家から敷金を取り上げられた上に20万払えと脅かされているので、何とかお金を取り戻してほしいと頼まれます。カオリにいい所を見せたいと常々思っていた純平は、即座にその申し出を引き受け、その足で件の不動産屋に行って凄むと、すぐに不動産屋のバックである関東稲村会の礒江組の3人がやって来て、即座に純平の身元を突き止め、組とは関係無しに個人の推量で純平が来たことを見抜くと、階段から純平を突き落として、彼にリンチを加えます。純平は馬鹿にされないために、北島の教えの通り、24時間以内に3人に復讐することを決心し、3人とも刺すことを心に誓います。
事務所に帰ると、組長が珍しく直々に話しかけてきて、東雲会のタマを取ることを純平に持ちかけ、純平が「やらせてもらいます」と即答すると、組長はその場で拳銃の調達代含めて30万を純平に渡し、決行までの3日間娑婆を存分に味わってこいと言います。取りあえずカプセルホテルに宿を取り、組長に教えられた台湾料理店を経て20万で模造銃を手に入れた純平は、一晩ぐっすり眠ると、昨日の不動産屋に行って拳銃で脅し、ヒロミの敷金を取り戻し、それをヒロミに渡しに行って、カオリに男ぶりをアピールすることに成功します。その夜、焼肉店で隣に座っていた派遣で働く理沙と加奈に話しかけられた純平は、彼女らから後でクラブに来るよう誘われます。一旦彼女らと別れた後、ターゲットである東雲会系松坂組幹部・矢沢が仕切っている違法カジノに行き、本人を確認した純平は、路上で知り合いのホステスから礒江組が純平を探し回っていることを教えられます。クラブに行き、生まれて初めて若者らしい楽しみを知る純平。その後加奈に誘われてホテルに行き、セックスに及んだ純平は、ついこれから人を殺すことになっていることを加奈に言ってしまいます。加奈をホテルに置いて、再びカジノの入っているビルに向かった純平は、そのビルの1階のコインランドリーで客を取っているオカマのゴローと知り合い、彼と携帯番号を交換します。一方加奈はケータイサイトに純平に人殺しを止めさせる方法を教えてと書くと、大量のレスが返ってきますが‥‥。
全270ページ超の中で、最初の40ページ辺りで結末が読めてくるのですが、期待していた内容とは真逆のラストに何とも言えない虚しさを感じました。『無理』以降の奥田さんの作品では、厭世感が漂うようになってきていて、読ませる力は抜群な方だけに(この小説も1日ちょっとで読破してしまいました)、今後また楽しい世界に戻ってきてくれることを祈ります。なお、詳しい最後までのあらすじは、私のサイト「Narure Life」(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto)の「Favorite Novels の「奥田英朗」の場所にアップしておきましたので、興味のある方は是非ご覧ください。
→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto)
純平は、早くに父と別れ、男出入りの激しい母には幼い頃に養護施設に入れられるなど、愛情に飢えて育ち、若い日々はケンカに明け暮れ、少年院のやっかいにもなりましたが、現在は誰でも受け入れてくれる新宿歌舞伎町に組を構える、六明会傘下の早田組という小さな暴力団に属していて、やせていてハンサムで気のいいやくざとして、町の夜の女たちからはペットのようにかわいがられています。一回り年上の兄貴分・北島の舎弟として常に行動を共にしていましたが、ある日北島とともに債権の取り立てに向かうと、そこで半日で100万ももうける北島の仕事ぶりに改めて尊敬の念を抱きます。純平が組事務所に帰ると、同じ部屋の住み込みである安藤から、早田組と同系列の組の若頭が東雲系の若い衆に射殺され、出入りが近々あるかもしれないということを聞かされます。
北島が大阪に用事で出向いている間、純平は久々に自由の身になり、彼女にしたいと憧れている、ショーパブのダンサー・カオリに会いに行きますが、やくざと関わりを持ちたくないカオリは相変わらずすげない態度です。すると純平は、カオリの同僚でオカマのダンサー・キャサリンから、やはり同僚のオカマのダンサーのヒロシが不動産屋を通して引っ越し前の大家から敷金を取り上げられた上に20万払えと脅かされているので、何とかお金を取り戻してほしいと頼まれます。カオリにいい所を見せたいと常々思っていた純平は、即座にその申し出を引き受け、その足で件の不動産屋に行って凄むと、すぐに不動産屋のバックである関東稲村会の礒江組の3人がやって来て、即座に純平の身元を突き止め、組とは関係無しに個人の推量で純平が来たことを見抜くと、階段から純平を突き落として、彼にリンチを加えます。純平は馬鹿にされないために、北島の教えの通り、24時間以内に3人に復讐することを決心し、3人とも刺すことを心に誓います。
事務所に帰ると、組長が珍しく直々に話しかけてきて、東雲会のタマを取ることを純平に持ちかけ、純平が「やらせてもらいます」と即答すると、組長はその場で拳銃の調達代含めて30万を純平に渡し、決行までの3日間娑婆を存分に味わってこいと言います。取りあえずカプセルホテルに宿を取り、組長に教えられた台湾料理店を経て20万で模造銃を手に入れた純平は、一晩ぐっすり眠ると、昨日の不動産屋に行って拳銃で脅し、ヒロミの敷金を取り戻し、それをヒロミに渡しに行って、カオリに男ぶりをアピールすることに成功します。その夜、焼肉店で隣に座っていた派遣で働く理沙と加奈に話しかけられた純平は、彼女らから後でクラブに来るよう誘われます。一旦彼女らと別れた後、ターゲットである東雲会系松坂組幹部・矢沢が仕切っている違法カジノに行き、本人を確認した純平は、路上で知り合いのホステスから礒江組が純平を探し回っていることを教えられます。クラブに行き、生まれて初めて若者らしい楽しみを知る純平。その後加奈に誘われてホテルに行き、セックスに及んだ純平は、ついこれから人を殺すことになっていることを加奈に言ってしまいます。加奈をホテルに置いて、再びカジノの入っているビルに向かった純平は、そのビルの1階のコインランドリーで客を取っているオカマのゴローと知り合い、彼と携帯番号を交換します。一方加奈はケータイサイトに純平に人殺しを止めさせる方法を教えてと書くと、大量のレスが返ってきますが‥‥。
全270ページ超の中で、最初の40ページ辺りで結末が読めてくるのですが、期待していた内容とは真逆のラストに何とも言えない虚しさを感じました。『無理』以降の奥田さんの作品では、厭世感が漂うようになってきていて、読ませる力は抜群な方だけに(この小説も1日ちょっとで読破してしまいました)、今後また楽しい世界に戻ってきてくれることを祈ります。なお、詳しい最後までのあらすじは、私のサイト「Narure Life」(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto)の「Favorite Novels の「奥田英朗」の場所にアップしておきましたので、興味のある方は是非ご覧ください。
→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto)