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ジャン=ピエール・メルヴィル監督『いぬ』

2011-06-06 00:03:00 | ノンジャンル
 ジャン=ピエール・メルヴィル監督・脚色の'63年作品『いぬ』をスカパーの洋画★シネフィル・イマジカで再見しました。
 「“デュロズ”は隠語で“帽子”を意味する。だが警察や暗黒街でこの言葉が使われる時、密告者である“帽子を被る者”を指す。つまり警察の“いぬ”のことだ」の字幕。地下道を歩くモーリス(セルジュ・レジアニ)を斜縦移動で映す画面をバックにタイトル。立ち止まる彼に「選択が迫られている。死か‥‥ウソをつくか?」の字幕。風吹きすさぶ中、一軒家を訪ねた彼は2階で宝石と金属を分けていたジルに会い、彼がマテッチオ(ミシェル・ピコリ)とアルマンと組んでモーツァルト通りの強盗事件でその宝石を得たことを言い、間もなく彼らが訪ねて来るとも言います。明日の強盗の仕事のためにシリアン(ジャン=ポール・ベルモンド)と組むとモーリスが言うと、ジルは彼は警察の犬だともっばらの噂だと言いますが、モーリスは彼は自分の友人だと言って相手にしません。彼は拳銃をジルからもらうとジルを射殺し、宝石と現金を持ち出して逃げ出し、街灯の根元に拳銃とともに埋めます。モーリスの情婦のテレーズは現場の下見をしてモーリスの元に帰って来ると、そこへシリアンがやって来て金庫の穴開け機をモーリスに貸し、次に現れたジャンはジルがモーリスの元情婦を殺させたことを明かします。モーリスはレミと地下鉄でヌイイの邸宅へ向かい、金庫開けを始めますが、シリアンはモーリスの部屋を訪れると、テレーズを殴って失神させて縛り、ヌイイの現場の住所を聞き出すと、サリニャリ警部に電話します。警察がやって来たことに気付いたモーリスはレミと逃げ出しますが、レミとサリニャリは相撃ちで死に、モーリスも肩を撃たれて気を失います。気付くとジャンの仲間に手当てをされていて、ジャンは自分を裏切ったシリアンを探すため、自分に何かあった時にジャンに渡すようにと言ってジャンの仲間に街灯の地図を渡して、立ち去ります。クラン警部(ジャン・ドザイ)はシリアンを拘束してレミの仲間を言わせようとしますが、シリアンは自分は密告者ではないと言い張ります。クランはシリアンに罠をかけてモーリスがいそうな酒場に次々に電話をかけさせ、ジル殺しの犯人としてモーリスを逮捕しますが、その頃テレーズは盗難車の中で殺されているのを発見されていました。シリアンは街灯の根元から現金と宝石と拳銃を掘り出し、自分の元情婦で今はヌテッチオの情婦であるファビエンヌとよりを戻し、彼女からヌテッチオの部屋の鍵を手に入れます。ヌテッチオの部屋で待ち伏せしたシリアンは金庫を開けさせた後、ヌテッチオを射殺し、呼び出したアルマンも射殺して、二人が宝石を争って殺し合ったように偽装して、金庫の現金を奪い去ります。釈放されたモーリスは、シリアンとジャンから、ヌイイを密告したのは実はテレーズで、二人でテレーズを処分したことを教え、モーリスは自分の誤解に気付きますが、シリアンが去った後、拘置所で一緒だったカールから電話があり、拘置所で頼まれたシリアン殺しに着手すると言われ、それを思いとどまらせる前にカールに電話を切られてしまいます。シリアンを救うため大雨の中車を飛ばすモーリスは、途中でシリアンを知らずに追い抜いてしまい、先にシリアンの家に着くと、待ち伏せしていたカールに撃たれます。後から着いたシリアンは虫の息であるモーリスから屏風の裏にカールが隠れていることを教えられ、カールに銃弾の雨を浴びせますが、倒したと思ったカールから背中に一発受け、やっと辿り着いた電話でファビエンヌに「今夜は行けそうにない」と言うと、崩れ落ちるのでした。
 ジャズが流れる夜の雰囲気が濃厚な映画で、黒を貴重とした画面構成に魅せられました。ベルモンドののらくらした感じは、映画が終わった後も、彼は本当は“いぬ”だったのではないかと思わせるいかがわしさでした。夜の映画の巨匠メルヴィルの面目躍如といった感じの映画です。

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto