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宮崎誉子『日々の泡』

2007-04-21 17:54:56 | ノンジャンル
 今日は秦野ビジターセンターのイベントで、丹沢の三ノ塔という山に登って来ました。途中で死ぬかと思いました。

 さて、今日で宮崎誉子作品の紹介も最後です。最後に紹介するのは「日々の泡」です。
 第一話「アルファベット・クッキー」 これは上司のイジメに耐えて、明るく生きる主人公の物語。靴屋で働く私・羊川繭美(まゆか)。王子様スタイルのチーフ、カマキリそっくりで私より女っぽい店長、店長に嫌味言われまくりのバイトの大学生・森田君、というスタッフ。バイトリーダーの背の高い眼鏡君・海野・23才は困っている時に助けてくれます。私はオヤジギャグ連発。私と意気投合して6足買うお客さま。大量の靴を履いて1足も買わない客。争い続ける対照的なカップル。若いのに白髪のおおい神経質な客をイジメる女性は、いつ引き金を引くか分からない気紛れ猫タイプ。
 第二話「POPザウルス(A面)」 本屋で働く鳥海疼良(うずら)・25才。時給は安いけど本が好きなので一番働きたかった職場。しかし現実は、本に白いヒモを掛けたり、輪ゴムで止めたり、ビニール掛けたり、と肉体労働。顔が始祖鳥の北野さんはコミック担当。18才の巨大な南田さん。甘い香水を過剰につけてる西山は性格が悪いが、私は好かれてしまう。通勤電車やスタバで隣の会話に全身耳オバケ。マスミちゃんと歌いながら朝までドライブ。私の誕生日に兄は飲酒運転で事故り、兄は歩けなくなり、同乗者の私は声が出ない体に。1日だけゴリラの着ぐるみのバイト。
 第三話「コーヒー・チェリー」 高卒の栗山茜はマイナス思考。輸入食材とコーヒー豆を売る店で働いています。この店では、高卒だけに押し付けられる仕事があります。社員は大卒でないとなれません。高卒は単純作業専門。同じ高卒の中村ちゃん、蚊の鳴くような声の小倉さんが仕事仲間。上司・鬼の高田が唯一高卒で社員だということが分かります。新入社員の市川さんが入って来ますが、中村ちゃんが突然首になります。高田が不正行為をしているところを見たかららしい。高田に中村ちゃんの再雇用を頼むと、ドライアイスを素手でつかんだら考える、と言ったので、私は実行し、ヤケドします。
 第四話「ピンクパンサー」 数字に弱い私は、会社を辞めたいと、クルーゾー警部似の伊藤課長を説得します。年齢不詳の小松部長に言っても、おちゃらけるだけ。私・井出今日子の仕事は郵便物の郵便区分・仕分け検査業務。つらい仕事なのに、鼻歌まじりの私。皆に無視されている警備の原さんの悪口の落書きを消します。日曜は久しぶりにホードスケーター。上達しまくりのグーフィーと話す。姉は結婚して、新興宗教にのめり込んでる、とのこと。妊婦で、必要以上に何でもかんでもつわりのせいにする森さん。ハラ違いの弟は少年院を出て、ペンキ屋で働き始めます。
 第五話「ビター・チョコレート」 「僕は3ヶ月後の誕生日に自殺しようと思っている。」生きてても面白くないから。ビルから飛び下りて、グチャグチャのチョコレートみたいになるのが夢。趣味でSF小説を書いて投稿している。靴屋で働く。ランチだけが生きる楽しみ。今日で退職するミドリさんに心中を誘われる。アシモフ顔の店長が、明日から新しい女の人が来ると言う。僕は自殺したくなくなった。新しく入った子がSF大好きなきれいな女の子だったからだ。ドーナツショップで彼女が僕の悪口を言ってるのを聞いて、僕は何故だか大声で笑っていた。
 エピソードの積み重ねで構成されているので、あらすじを書こうとするとこうなってしまいます。(ちなみにここではかなりのエピソードを削っています。)いくつかの作品では主人公がメールをもらったり送ったりしますが、このメールが実際に「題○○」(受信)文面、という形で、そのままメールの内容が書かれています。主人公の日常をなるべく忠実に表現するには、こうした工夫が必要でしょう。実際、仕事の合間にメールを見たり、書いたりしている人は多いのですから。また一行がそのまま詩になっている部分もいくつか見られます。これはこの作品だけでなく、他の作品でも見られる特徴です。基本的に2行に渡る文がなく、マンガ感覚で読め、会話も面白いのですからもっと売れていい作家だと思うのですが、皆さんはどう感じるでしょう? ぜひ一度読んでみて下さい。趣味を超えた面白さだと思います。より正確なあらすじは「Favorite Novels」の「宮崎誉子」のところをご覧ください。