まてぃの徒然映画+雑記

中華系アジア映画が好きで、映画の感想メインです。
たまにライヴや本の感想、中小企業診断士活動もアップします。

フローズン・リバー FROZEN RIVER

2010-02-01 00:00:00 | その他の映画(は~わ行)

カナダとの国境沿いの町、隣接してインディアンの居留地があり、そこは町の警察も手が出せない場所である。クリスマスを前にして、新しいトレーラーハウスのお金を夫に持ち逃げされたレイ(メリッサ・レオ)は、インディアンのライラとともに、不法入国の手引きをして大金を稼ごうとする。

不法入国の現場は居留地の凍てついた大河で、道なき道を轍をたどって対岸へとわたる。ライラが感じる白人との差別は、そのまんまアメリカの日常なのだろう。インディアンが車を運転していると、何もしていないのに警官に止められて、調べられるのだ。でも白人のレイなら大丈夫、警官はブレーキランプを注意して、ライラには密航の前科があるから注意しな、という忠告までくれる。

レイだって本当は犯罪の片棒を担ぐ気なんかさらさらなかった。ただ、クリスマスを前に手付金の1500ドルを支払った新しいトレーラーハウスを手に入れて、家族そろって新しい家に住みたかっただけ。でも100円ショップ(というか1ドルショップ?)の店員じゃあ、そんな金は一朝一夕には貯まりはしない。そんなときに、ライラがやっていた不法入国の手引きは一回2400ドルと、魅力的に映ったのも仕方がない。不法入国にはあんまり悪いことしてるってイメージもないしね。

ライラも亡くした夫との間に子供がいるんだけど、産まれたばかりの病院で夫の母親が連れて行ってしまい、稼ぎのないライラは引き取ることもできず遠くから眺めるだけ。いつか子供を取り戻したいと思っているけど、現実は不法入国で稼いだ金を子供のいる家の玄関先に置いてきても、投げ返されてしまい、まったく見通しもたたない。

そんな二人だったけど、ある密航のとき大きな荷物を凍った川の上に置いていったら、実は荷物の中身は赤ん坊で、急いで探しに戻って冷たくなった赤ん坊をさすって抱いていたら、何とか息を吹き返して無事に母親に渡すことができた。自分の手で赤ん坊を助けたライラは、やはり自分の子供を抱きしめたくなったりするわけで。

非合法なことをしてるという後ろめたさを覚えながら、何とか赤ん坊が助かった安堵感でいっぱいの二人はきっと改めて家族のことを思ったんだろうなあ。もう一回やれば、トレーラーハウスに手が届くレイは、ライラと一緒にいつもとは違うブローカーのところに行くんだけれど、そこで金の支払いで揉めて発砲する始末。何やら危険な予感は的中して、警察が居留地の中まで追いかけてきて、レイたちは川の氷の薄いところへ進んでいくが。。。


やっぱりアメリカ、普通のおばちゃんが日常的に銃を携帯しているなんて凄いね。テレビがレンタルだったり家がコンテナだったり、生活習慣の差は結構驚きです。レイもいわゆるサブプライム層なんだろうなあ。

インディアンの居留地を通って、凍った川を渡って不法入国させるというルートは真冬しか使えないけど面白いアイデアで、きっと密入国は日常的に行われていて、何年か十何年かに一回くらい、警告の意味をこめて摘発しているんだろう。

最後、ライラに罪を被せて逃げようと思えば逃げられたのに、戻ってきてライラに自分の家族を託すレイ、きっと二人の間には、何回かの不法入国で見えない絆ができていて、赤ん坊の件で母親としても信頼し合える者同士だとわかったのでしょう。だからこそ、居留地を時限追放されたライラも自分の子供を堂々と取り返しにいって、レイが帰ってくるまでレイの家族と一緒にいる道を選んだのだろう。あの新しいトレーラーハウスで、レイが戻ってくるまで家族のように5人で暮らすんだろうな。

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