すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【J1リーグ】なぜ柏は勝てないのか? 〜第17節 柏 1-2 札幌

2021-05-31 06:00:32 | Jリーグ
勝てないチームのジレンマが悩ましい

 コンサドーレ札幌は縦パスがいい。「ズバン!」と強くて速い良い縦パスを持っている。

 一方の柏レイソルは、いいサッカーをやっていながらなぜか勝てない。

 この試合も札幌が先制し、柏が追いつき、札幌が突き放す、という展開で進んだ。

 柏は第15節の横浜FM戦などをみると、非常に知的なサッカーで横浜FMの攻撃力を封じていた。

 なぜ柏は勝てないのか? 大いなる謎である。

柏4-1-4-1、札幌3-4-2-1でスタートした

 柏のフォーメーションは4-1-4-1。守備時5-3-2だ。スタメンはGKがキム・スンギュ。最終ラインは右から高橋峻希、大南拓磨、上島拓巳、古賀太陽だ。

 アンカーは三原雅俊。2列目は右からクリスティアーノ、椎橋慧也、ドッジ、仲間隼斗。ワントップはアンジェロッティである。

 一方、札幌のフォーメーションは3-4-2-1だ。スタメンはGKが菅野孝憲。3バックは右から岡村大八、田中駿汰、福森晃斗だ。

 中盤は右からルーカス・フェルナンデス、荒野拓馬、高嶺朋樹、青木亮太。2シャドーは小柏剛と駒井善成。ワントップはジェイである。

札幌の選手はイキイキしている

 札幌がずっとボールを握っている。中盤のデュエルが激しい。

 札幌の選手はイキイキやってるが、柏の選手は考え込みながらプレイしている感じだ。

 なかなか順位が思うようにあがらないチームのジレンマだろうか?

 前半18分。札幌の青木が敵GKと最終ラインの間を狙い、強いグラウンダーの好パスを出す。小柏がきっちり決めた。先制である。

 続く前半35分。今度は柏がPKを取る。クリスティアーノが右足でゴール左に叩き込んだ。同点だ。

 すると前半40分。札幌の福森がファーにクロスを入れる。

 一度クリアされたが、こぼれ球を岡村が拾い、ペナルティエリア左からクロスを入れる。

 するとボールが柏の上島に当たりゴールインする。これで札幌リードだ。

 途中から柏はフォーメーションを攻撃時4-2-3-1、守備時4-4-2に変えた。

 ネルシーニョ監督も手探りでベストを探している感じだ。

柏はエースの江坂を投入

 フォーメーションを4-2-3-1に変えた柏は、後半開始から三原を江坂任(トップ下)に、アンジェロッティを細谷真大(ワントップ)に代えた。

 だが「江坂効果」は感じられない。

 札幌は相変わらず強くて速い縦パスがいい。

 そして試合は終盤まで、中盤のデュエルが激しいエキサイティングな展開だった。

 スコアはそのまま動かず、札幌の勝利だ。

 なぜ柏が負けているのか、よくわからない。

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【J1リーグ】エキサイティングなスコアレスドロー 〜第16節 札幌 0-0 鳥栖

2021-05-30 05:10:52 | Jリーグ
中盤のデュエルが激しい

 序盤は中盤の球際のデュエルが激しく、壮絶な試合になるかと見えた。

 だが次第に中盤にスペースができて緩くなり、その後は中盤をどちらが支配するかの戦いになる。

 たがいのビルドアップにはたがいにハイプレスをかけ合い、おもしろい試合になった。

 札幌はハッとするダイレクトパスを多用して魅せた。

 スコアレスドローの引き分けとは思えない見どころのある試合だった。

札幌3-4-2-1、鳥栖3-1-4-2だ

 北海道コンサドーレ札幌のフォーメーションは3-4-2-1だ。スタメンはGKが菅野孝憲。3バックは右から田中駿汰、宮澤裕樹、福森晃斗だ。

 中盤は右から金子拓郎、深井一希、高嶺朋樹、菅大輝。2シャドーは小柏剛と駒井善成。ワントップはジェイである。

 一方、サガン鳥栖のフォーメーションは3-1-4-2だ。スタメンはGKが朴一圭。最終ラインは右からファン・ソッコ、エドゥアルド、中野伸哉だ。

 アンカーは松岡大起。2列目は右から飯野七聖、樋口雄太、仙頭啓矢、小屋松知哉。2トップは山下敬大と本田風智である。

アグレッシブなハイプレス合戦

 鳥栖の仙頭は要所で一列降りてアンカーの松岡と2CMFのようになる。

 鳥栖のビルドアップは攻撃的な左CBの中野伸哉が高く張り出し2バックで行う。

 その鳥栖のビルドアップに対し、札幌はすごいハイプレスで来る。GKにもプレスをかける。

 逆に札幌のビルドアップは、右CBの田中駿汰が上がって幅を取り、2バックで組み上げる。要所でCMFの高嶺が最終ラインに下りて3バックになる。

 札幌の3バックによるビルドアップには、鳥栖は前3枚の同数でプレスをかけている。こちらもハイプレスだ。

双方、惜しいチャンスを逃す

 前半21分。札幌CBの福森がジェイに目の覚めるような縦パスを出す。

 中盤でジェイがそれを落とし、受けた深井一希がダイレクトで小柏剛にすばらしい縦パスを入れる。

 だが小柏が惜しくもシュートをミス。寄せて行った鳥栖GK朴一圭のポジショニングがよかった。

 後半開始と同時に、札幌はジェイを引っ込めMF青木亮太を入れた。これで小柏のワントップ、青木と駒井の2シャドーにする。

 後半6分。鳥栖がプレスをかけてボールを奪い樋口が右サイドを走る。彼はゴール前にクロスを入れるが、受けた本田の胸トラップが長くなりボールロスト。チャンスがつぶれる。

鋭い縦パスが多くアグレッシブなゲームだった

 後半13分。札幌の田中駿汰がサイドチェンジ。受けた田中がダイレクトで前縦の金子にパス。

 金子はドリブルからマイナスのクロスを入れて菅がゴールネットを揺らす。だが金子がオフサイドを取られてノーゴールに。

 後半14分。鳥栖は山下に代えて林大地を投入する。

 後半27分。縦パスをもらった林大地がDFにカラダを入れられながらもすり抜け、ペナルティエリアに入る寸前で倒される。PKにも見えたがFKだ。

 キッカーの仙頭が蹴ったボールはなんとゴール前の密集を通り抜け逆サイドへ抜けてしまう。惜しいチャンスだった。

 試合全体に強く鋭い縦パスで局面を打開する場面が多く、非常にエキサイティングだった。

 弱い横パスやバックパスが多い試合にくらべ見どころのあるゲームだった。

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【J1リーグ】仙台がまんまとうまくハメた 〜第16節 名古屋 0-1 仙台

2021-05-29 17:09:14 | Jリーグ
仙台の放り込みとブロック守備が利いた

 ベガルタ仙台のゲームモデルはハッキリしていた。

 ポイントは3つだ。

 (1)マイボールになったらロングボールを放り込む。

 (2)相手ボールになれば素早く自陣に4-4のブロックを敷く。

 (3)名古屋にサッカーをやらせず、なるべくガチャガチャした展開に持ち込む。

 これにより名古屋グランパスは1点先行され、まんまとうまく必敗形にハメられた。

名古屋は速い切り替えをさせてもらえなかった

 名古屋はボールを奪ったら素早く攻めに切り替えたかった。

 だが仙台のネガティブ・トランジション(攻から守への切り替え)が速く、名古屋は攻めへの速い切り替えがうまくいかなかった。

 そのため名古屋はボールを持つと、常に敵の堅固な守備ブロックを相手にすることになった。

 これがすべてだ。

 終盤、ゴール前の混戦が続き、いつ名古屋に点が入ってもおかしくなかったが、勝利の女神は微笑まなかった。

 名古屋は伸ばした手に勝利をつかめなかったが、仙台は伸ばした足にボールが届いた。

名古屋は「人がよく」先制されると相手のペースにハメられる

 変な表現だが、名古屋は「人がいい」。先制されると、ズルズルと相手のペースにハメられる。

 そこでズル賢く切り返し、自分たちのゲームにすることができない。

 これはメンタルの問題だろう。

 逆にいえば仙台は「やること」(前述の3つ)が徹底しており、しっかりしていた。

 彼らは粘り強く自分たちのゲームモデルを貫いた。

 その結果の勝利だといえる。

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【カタールW杯・アジア2次予選】問題は最終予選だ 〜日本 10-0 ミャンマー

2021-05-29 06:38:14 | サッカー日本代表
大迫の5発などで快勝

 日本代表は大迫勇也の5発などでミャンマー代表に10-0で勝ち、2試合を残してグループ1位が確定。最終予選の切符を勝ち取った。

 さて問題は最終予選だ。

 アジア最終予選に進むのは12チーム。2次予選の8グループ各1位と、2位で成績上位の4チームだ。

 現在、2次予選・各グループで有利に立ち日本に対抗しそうなチームは、グループBのオーストリア、グループCのイラク、グループDのウズベキスタン、サウジアラビア、グループEのカタールなどがある。

 特にスペイン・カタルーニャ出身のフェリックス・サンチェス監督擁するカタールは難敵だ。2019年のアジア杯決勝で日本は完敗している。

 さて、最終予選もサクッと決めてほしいね。

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【J1リーグ】よくも悪くも「日本のサッカー」だ 〜第16節 広島 2-2 浦和

2021-05-28 05:35:25 | Jリーグ
世界では勝てない

 J1リーグの中位同士の対決だ。J1リーグでは悪くないレベルなのかもしれないが、「世界」という目で見れば「2部リーグ」に映る。

 浦和レッズは「ユンカー効果」で上位を窺う位置にいるが、彼がいなければ並のチームだろう。

 なぜ浦和のキャスパー・ユンカーがあれだけ飛び抜けて見えるか? それはあれが「世界標準」だからだ。

 サンフレッチェ広島もバランスが取れており穴がない、といえばいえるが、そこから頭ひとつ抜け出す爆発的な力がほしい。

 日本のサッカーが世界で勝つためには、まだまだ改善が必要だと感じた。

浦和4-2-3-1、広島3-4-2-1

 浦和のフォーメーションは4-2-3-1。守備時4-4-2だ。スタメンは最終ラインが右から西大伍、岩波拓也、槙野智章、明本考浩。

 2CMFは柴戸海と伊藤敦樹。2列目は右から田中達也、小泉佳穂、汰木康也。ワントップはキャスパー・ユンカーである。

 一方、広島のフォーメーションは3-4-2-1だ。スタメンは3バックが右から野上結貴、荒木隼人、佐々木翔。中盤は右から藤井智也、柴崎晃誠、ハイネル、東俊希。

 2シャドーは長沼洋一とエゼキエウ。ワントップはジュニオール・サントスである。

ガラパゴス化した日本式パスサッカー

 浦和は典型的なポゼッション・スタイルだ。攻撃型のチームで、守備に入るとやや心もとない。

 ただ浦和はインサイドキックの球質自体から変える必要がある。もっとボールスピードが必要だ(これは広島にもいえる)。

 一方の広島は守備時5-3-2で待ち受ける。ボールを奪えば器用にポゼッションもできる。よくつなぐ。エゼキエウは非常に危険な選手だ。

 ただ私の目には両チームとも、ガラパゴス化した日本式パスサッカーと映る。世界には通用しない。

 プレースピードが遅いしテンポもスローだ。もっと展開に一定以上のスピードがあり、もっとリズミカルでなければダメだ。

 常にトランジションを意識し、切り替えを速くするために一定以上のプレースピードを常時確保しておく必要がある。

 例えばマンチェスター・シティを見ればわかるが、彼らはものすごいハイテンポで90分間プレイし続ける。しかも2タッチ縛りで。

 あの頂をめざし、もうひと山越えるために両チームとも研鑽を積んでほしい。

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【J1リーグ】苦いドロドロの野菜ジュースみたいな試合だった 〜第16節 鹿島 1-0 C大阪

2021-05-27 04:13:31 | Jリーグ
鹿島のパスワークには「設計図」が見える

 試合冒頭の10分間、見ただけでも、両チームのレベルの違いがよくわかる。

 もちろん鹿島アントラーズの方が上だ。

 インサイドキックの球質のレベルがまるで違うのだ。

 鹿島のパスワークは「設計図」がよくわかる。一方のセレッソ大阪は何がやりたいのかまるでわからない。

 ただセレッソは相手にサッカーをやらせないよう試合を殺しに来たため、鹿島も苦労した。

 鹿島がポゼッションし、セレッソがカウンターの機会をうかがう、という展開だった。

4-2-3-1のミラーゲームだ

 鹿島のフォーメーションは4-2-3-1。守備時4-4-2だ。スタメンはGKが沖悠哉。最終ラインは右から常本佳吾、犬飼智也、町田浩樹、永戸勝也だ。

 2CMFはディエゴ・ピトゥカとレオ・シルバ。2列目は右から荒木遼太郎、小泉慶、白崎凌兵。ワントップは土居聖真である。

 一方、C大阪も4-2-3-1のミラーゲームだ。

 鹿島は相手ボールに対する寄せが速く、切り替えが機敏だ。

 獲物に襲いかかるスズメバチの群れのようである。

 セレッソはボールを持ってもほとんどまったく何もできない。

 なぜロティーナ監督を手放したのか? という感じである。

セレッソは正体不明のヌエのようだ

 セレッソは常に自陣にブロックを敷いてべったり引き込むわけでもなく、ミドルプレスだ。

 むしろラインは高い時さえあるのだが、なんだかふにゃふにゃした正体不明のミステリアスなサッカーであり、かえってその「ワケのわからなさ具合い」が鹿島の足を引っ張り鹿島にサッカーをさせない。

 そうこうするうち鹿島のリズムがすっかり狂ってくる、という非常に珍しい試合展開になっている。

「クルピ・マジック」と言えなくもない。

 そんなセレッソはいざブロック守備の態勢に入ると要所で6バックになり、(ロティーナ体制の名残りなのか)けっこう守備が堅い。

 ザ・アンチフットボールである。
 
 相馬アントラーズの切り替えの速いピリッと冴え渡るサッカーを見ようと意気込んでいたのだが、すっかりアテが外れてしまった。セレッソのせいだ。

 こうなったら途中出場するであろう上田綺世を見るのだけが唯一の楽しみである。

あとはどんな絵を描くか? だけのセレッソ

 鹿島のビルドアップは両SBを高くあげ、2人のCBが大きく開いて2バックで行う。

 セカンドボールをよく拾うし、特に小泉慶はスプリントがすばらしい。

 対するセレッソは藤田直之と原川力という「いぶし銀」が2人もおり、最終ラインには期待の星である瀬古歩夢がいる。

 もちろん、いうまでもなく至宝・清武弘嗣もいる。

 あとはどういう絵を描くか? だけなのに、非常に惜しい話だ。

 守備は堅いのだから残るはどうビルドアップし、どう展開し、どうフィニッシュするか? という問題である。

鹿島の荒木、冷静な切り返しで「勝負あり」の決勝点

 後半9分だった。ピッチの中央で鹿島のディエゴ・ピトゥカが組み立てのパスを出す。

 それを受けた永戸勝也が左サイドから、敵GKとディフェンスラインの間を狙ったすばらしいグラウンダーのラストパスを送る。

 決定的。「あとは打ってくれ」という話だ。

 だがドンピシャのタイミングでゴール前に入ったシューターの白崎凌兵が、セレッソ左SB、丸橋祐介の倒れながらのいいディフェンスに合いフィニッシュが決まらない。完全に1点ものの守備だった。

 そして大団円は後半27分に訪れる。

 セレッソのパスミスが鹿島にとっては超ナイスパスになり、このプレゼントボールを受けた土居聖真が左を上がってきた荒木遼太郎にラストパス。荒木は冷静に切り返しを入れ、右足でゴールの右スミに沈めた。

 決勝点である。

 下から足元に絡みついて水の底へもろとも引き摺り込もうとするかのような怨霊みたいなセレッソ相手の試合だ。

 それだけに鹿島にとっては、この試合に競り勝ったのは非常に大きい。

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【J1戦術論】名古屋はポジティブ・トランジションを磨け

2021-05-26 06:00:00 | サッカー戦術論
素早い切り替えから速攻をかける

 鋭いカウンター攻撃を武器にするチームは、たいていポジティブ・トランジション(守から攻への切り替え)が速い。

 例えば、敵はいままさに守備の備えを犠牲にし、自ら守備のバランスを崩して攻撃を仕掛けている。

 このとき敵がミスしてボールをロストした。さあ、ここがチャンスだ。

 ボールを失った敵の守備のバランスは、まだ崩れたままだ。

 つまり彼らはついさっきまで攻撃の態勢にあり、守備に穴がある。

 そんな状態でボールを失っている。

 ならば自チームは素早い切り替えから、敵の守備の態勢がまだ整ってないうちに攻め切ってしまいたい。

 ここがポイントだ。

 相手は攻めにかかって自分から守備のバランスを崩しているのだから、攻略は容易である。

名古屋は切り替えの速さにこだわってない?

 だが名古屋グランパスに関しては、実は上記の点で疑問がある。

 名古屋は守備の堅さを生かして相手にボールを持たせ、カウンターを狙うタイプのチームだ。

 もちろんボールを持てばポゼッション・スタイルもできるが、どちらかと言えば比重はカウンターだろう。

 だが彼らはトランジション(切り替え)の速さには、こだわってないように見える。

名古屋はポジティブ・トランジションに問題あり?

 彼らは守備意識が高いので、ネガティブ・トランジション(攻から守への切り替え)については問題ない。

 だが逆にポジティブ・トランジション(守から攻への切り替え)には問題があると感じる。

 わかりやすく言えば攻めへの切り替えが遅いせいで、敵がボールを失ったとき、相手が守備の態勢を立て直す時間をわざわざプレゼントしてあげてから攻めている。

 つまり相手が守備の準備を終え、ファイティングポーズを取って初めて、名古屋はポゼッションをスタートし攻め始めている感じがするのだ。

 そこで素早くカウンター攻撃を見舞うのでなく、敵に時間的な猶予を与え、自分たちはゼロからポゼッションを始めて敵を攻略するスタイルに見える。

 これは大きな損である。

 名古屋は守備力が高いのにくらべ、得点力・攻撃力が見劣りするのはおそらく上記の理由が原因だろう。

現代フットボールはトランジションで決まる

 せっかく守備の堅さを生かしてカウンターを行うなら、相手がボールを失った瞬間に素早く守備から攻撃に切り替えて即座に敵に襲いかかるのがベストだ。

 これにより破壊力は爆発的になる。

 なぜなら敵はまだ守備の態勢を崩しているうちに、奇襲を食らうのだから。

 そこで名古屋に提案したいのは、敵がボールを失ったら、瞬時に切り替えて攻撃にかかることである。

 現代フットボールはトランジションで決まる。

 できるだけ切り替えを速くして、攻めにかかることである。

【サッカー観戦術】ひとクラス上になるサッカーの見方

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【J1リーグ】勝者なきスコアレスドロー 〜第15節 徳島 0-0 名古屋

2021-05-25 05:06:04 | Jリーグ
名古屋がハイプレスで新境地を見せる

 徳島ヴォルティスのビルドアップに対し、名古屋グランパスが珍しくハイプレスで応じるなど、引き分けに終わったながら新境地が見られたゲームになった。

 マテウスは川崎Fとの首位決戦2戦目のCKからのゴールを経験し、すっかり得点に貧欲になりシュートを打ちまくる。

 これに対し徳島は杉森、宮代がキーマンになり、ボールを握って攻撃を組み立てるがなかなか得点には至らない。

 かくして1点を争う競ったゲームは膠着状態になり、最後はスコアレスドローという結果になった。

 リーグ2位のチームを相手によく戦った徳島は手応えを得たが、できればとどめを差しておきたかったゲームだった。

4-2-3-1のミラーゲームに

 徳島のフォーメーションは4-2-3-1だ。スタメンはGKが上福元直人。最終ラインは右から岸本武流、ドゥシャン、カカ、ジエゴだ。

 2CMFは鈴木徳真と岩尾憲。2列目は右から小西雄大、宮代大聖、杉森考起。ワントップは垣田裕暉である。

 一方、名古屋のフォーメーションも4-2-3-1だ。スタメンはGKがランゲラック。最終ラインは右から成瀬竣平、中谷進之介、木本恭生、吉田豊だ。

 2CMFは稲垣祥と米本拓司。2列目は右からマテウス、ガブリエル・シャビエル、相馬勇紀。ワントップは柿谷曜一朗である。

徳島・杉森のシュートはゴールならず

 相手のビルドアップに対し、今日の名古屋はいつもより高い位置からプレスをかけている。

 いつもならミドルプレスだが、心なしかゾーンが高い。

 前半12分。その名古屋が敵陣中央でFKを得た。

 キッカーのマテウスは左足で浮き球を前線に送ると、中谷がペナルティエリア内で抜け出してヘディング。だがシュートは枠からはずれて行った。

 一方、徳島はポゼッションして名古屋にしきりに圧をかけるが、なかなかゴールに至らない。果たしてボールを握っているのか、それとも握らされているのか? 彼らにもよくわからなかっただろう。

 そんな前半18分。徳島の鈴木徳真が敵陣中央をドリブルで攻め上がり、左の杉森にパスを出す。

 杉森はカットインし、ペナルティエリア手前左方からシュートを打つが、防がれた。

貧欲にシュートを打つマテウス

 マテウスは川崎Fとの首位決戦2戦目のCKからのゴール以来、ゴールに貧欲になっている。積極的にシュートを打つ。彼はFKからのゴールも虎視眈々と狙っている。

 前半28分。名古屋は敵陣左サイドでそのFKを得る。

 キッカーのマテウスが左足でロングボールを放つと、味方がドッとペナルティエリア内に走り込む。

 中央にいた柿谷がコースを変えると、ファーの味方が競り合いに。だがシュートチャンスにはならなかった。

 また前半47分。またもマテウスが右サイドの敵陣深い位置から米本にマイナスのパスを出す。受けた米本は痛烈なシュートを打ったが、敵DFにブロックされた。

名古屋は相手に「やらせておく」

 ゲームは後半に入ったが、大きな流れは変わらない。徳島がポゼッションし、名古屋はやらせておく、という展開である。

 とはいえ「相手にボールを持たせる」といっても、自分たちがまったくボールをもてないのでは得点機会は訪れない。

 そこで後半15分、名古屋は打開策に打って出る。シャビエルに代えて長澤和輝を、相馬に代えて齋藤学を投入する交代策である。

 これにより米本をアンカーにした3センターにシフトチェンジした。そして齋藤を左WG、マテウスを右WGとする3トップに変えた。

 名古屋は続く後半28分にも、今度は米本に代えて山崎凌吾を投入。これで2CMFに戻し、柿谷をトップ下に、山崎をワントップに据えた。

 すると後半30分。名古屋の齋藤が敵陣中央からスルーパスを送り、受けた柿谷が抜け出す動きをする。彼はペナルティエリア左からシュートを放ったが、ボールはゴールの右へ外れた。

徳島は自信を得たが勝ち切りたかった

 一方の徳島も無得点の状況に業を煮やした。後半29分。鈴木徳真に代えてクリスティアン・パトッキオ(CMF)を投入。

 また続く後半39分には宮代と杉森、垣田を引っ込め、渡井理己と藤原志龍、佐藤晃大を入れる3枚代えを敢行した。

 かくして終盤も徳島がポゼッションし、名古屋がカウンターを狙う展開になった。だが互いにゴールを割れず、痛み分けである。

 両者、得点がなかった試合の評価はむずかしい。

 上位を相手に健闘した徳島は勇気づけられる勝ち点「1」になったが、ぜひとも勝ち切りたかった。

 反対に劣勢の名古屋とすれば、「大ケガせずに済んだ」といったところだろうか。

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【J1リーグ】柏が横浜FM対策を開陳する 〜第15節 横浜FM 1-1 柏

2021-05-24 04:53:28 | Jリーグ
柏が4-4のブロックでスペースを殺す

 柏レイソルはハイラインが特徴の横浜F・マリノスを研究してきた。

 ライン裏によくコントロールされたロングボールを落とすなど、うまく裏を狙う。

 これに対し横浜FMのGK高丘が前に飛び出し裏の掃除をする。虚々実々の駆け引きだ。

 また柏は守備時に4-4のブロックでスペースを埋め横浜FMの攻め手を封じるなど、よく設計された戦い方をした。

 他チームにとっても横浜FM対策として参考になると思われた。

 さすが名将ネルシーニョだけのことはある。
 
 試合は引き分けに終わったが、戦術と戦術がぶつかるコクのある戦いだった。

柏は4-2-3-1、守備時4-4-2だ

 横浜FMのフォーメーションは4-2-1-3だ。スタメンはGKが高丘陽平。最終ラインは右から松原健、チアゴ・マルチンス、畠中槙之輔、ティーラトンだ。

 2CMFは喜田拓也と天野純。トップ下はマルコス・ジュニオール。3トップは右からエウベル、オナイウ阿道、前田大然である。

 一方、柏のフォーメーションは4-2-3-1、守備時4-4-2だ。スタメンはGKがキム・スンギュ。最終ラインは右から川口尚紀、上島拓巳、大南拓磨、古賀太陽だ。

 2CMFは椎橋慧也とドッジ。2列目は右から神谷優太、江坂任、仲間隼斗。ワントップは細谷真大である。

ハイライン裏にロングボールを落とす

 両SBを高く上げ2CBで行う横浜FMのビルドアップに対し、柏はミドルプレスで応じる。柏のラインは高い。

 一方、柏のビルドアップに対し横浜FMはいつものハイプレスだ。

 柏は時おり横浜FMのハイラインの裏に落とすロングボールで攻める。有効な攻めである。

 すると横浜FMのGK高丘は、ライン裏を狙うボールに思い切り前へ出てスイーパー化している。

 横浜FMの右SB松原は偽SB化し、CMF喜田の脇を埋める。左SBのティーラトンも同じ動きをする。

 横浜FMがしきりに攻め立てるが、柏はゴール前に人垣を作って防戦する。4-4のブロックがよく利いている。

 柏は非常にコンパクトだ。

 前半を終わって横浜FMのポゼッション率は65%。ただし彼らは攻め込んだときにライン裏があく。

 そこをカウンターで突かれたときにどうするか? が問題である。

堅固な4-4ブロックに手こずる横浜FM

 後半に入り、柏のやり方が変わった。

 最前列の2人がしきりに横浜FMの最終ラインにプレスをかけるようになった。

 中盤のボールのつなぎも交通整理され、非常にわかりやすくなった。
 
 ネルシーニョ監督がハーフタイムに指示したのだろう。

 一瞬、横浜FMのライン裏が破られかけたが、前田大然が最前線から猛ダッシュで戻りボールを強奪する。すごいスプリントだ。

 柏のCMF、ドッジは非常にいい選手である。その証拠に要所で喜田に削られている(笑)

 横浜FMは柏の堅固な4-4のブロックに手こずっている。

 で、横浜FMの選手はライン間でボールを受けようとするが巧妙に阻止される。

 この柏のやり方は横浜FM対策としてマニュアル化されるのではないか?

柏が先制、横浜FMが終了間際に同点に追いつく

 後半25分。なかなか点が取れない横浜FMはエウベルに代えてレオ・セアラを、マルコス・ジュニオールに代えて水沼を投入した。

 さらに後半35分。横浜FMはオナイウ阿道と前田大然を引っ込め、今度は仲川輝人と渡辺皓太を入れた。

 後半37分。柏は左サイドで江坂からパスをもらった仲間が、右足でインスイングのクロスを出す。

 これに途中出場のイッペイ・シノヅカが反応し、倒れながら右足でゴールを決めた。先制だ。

 一方、横浜FMはどうしても柏ゴール前の黄色い人垣を崩すことができなかったが、後半41分に念願かなった。

 まず仲川が左サイドからカットインし、喜田とワンツーをかまして右へ展開する。

 そこへインナーラップしてきた松原健がボールを受けると、ペナルティエリア手前の中央で右足を思い切りひと振りする。

 曲がりながらのシュートが豪快に左スミに突き刺さった。1-1だ。

 試合終了間際の同点弾で横浜FMはからくも引き分けに持ち込んだ。

 それにしても攻められながら受け流し、先制して見せた柏の試合運びは巧みだった。

 彼らのシーズン後半が期待される。

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【J1リーグ】鳥栖、値千金の勝ち点「3」〜第15節 鳥栖 2-1 鹿島

2021-05-23 04:21:14 | Jリーグ
鳥栖は6試合負けなしに

 激しい中盤の攻防がこの試合のカギになった。

 鹿島アントラーズは、サガン鳥栖のビルドアップに対してはハイプレスで応じた。

 彼らは中盤のプレスも激しい。その流れで鹿島の松村優太が先制ゴールを決める。白熱の攻防だ。

 だが受ける形になった鳥栖が倍の熱量で切り返し、山下敬大と樋口雄太が2点を連取し突き放す。

 鳥栖はワイドに開いたサイドを使い、鹿島の中盤でのプレスを回避してうまく攻めた。

 してやったりの勝ちだった。

 このところ引き分けが続いた鳥栖は3試合ぶりの勝利。これで6試合負けなしだ。

 一方、好調・鹿島の連勝は「4」でストップした。

鳥栖はワイドに開いたサイドを使う

 鳥栖のフォーメーションは3-1-4-2だ。GKは朴一圭。最終ラインは右からファン・ソッコ、エドゥアルド、中野伸哉だ。

 アンカーは松岡大起。2列目は右から飯野七聖、樋口雄太、仙頭啓矢、中野嘉大。2トップは山下敬大と本田風智である。

 一方、鹿島のフォーメーションは4-4-2だ。GKは沖悠哉。最終ラインは右から広瀬陸斗、犬飼智也、町田浩樹、永戸勝也。

 2列目は右から松村優太、三竿健斗、レオ・シルバ、白崎凌兵。2トップは荒木遼太郎と土居聖真である。

 鳥栖は立ち上がり、ビルドアップ時に仙頭がアンカー的に一列下りてボールを受けている。

 右へ流れた樋口への斜めの大きなサイドチェンジが目を引いた。鳥栖はワイドに開いたサイドを使って前進する。

 それに対し、鹿島は真ん中を使っている。

攻守の入れ替わりが目まぐるしい

 鹿島は中盤のプレスが激しく、両者ボールホルダーの入れ替わりが目まぐるしい。

 両チームどちらもボールを失うとその場でプレスし敵に襲いかかる。リトリートしない。

 いずれかがゆっくりボールを握る、という展開にはならない。息もつかせぬ攻防だ。

 また鹿島はセカンドボールに対する反応が速く、ルーズボールを拾ってチャンスを作る。

 彼らは敵のビルドアップに対して最終ラインを高く保ち、前からプレスをかけて行く。GKにもプレスに行く。非常にアグレッシブだ。

 また鹿島のGK沖は守備範囲が広く、ありえないボールに対し前へ飛び出しカットする。それは鳥栖のGK朴も同じで、非常に現代的なGK対決だ。

鹿島の松村が先制ゴールを取る

 先制点は鹿島だった。前半14分。鹿島の土居聖真がライン裏にスルーパスを出す。

 走り込んだ松村優太が抜け出し、ダイレクトで打った右足のシュートはマーカーに当たったが右のポストを直撃してゴールインした。

 続いて前半30分。鳥栖の飯野がドリブルでライン裏に切り込み、敵GKと最終ラインの間にグラウンダーの速い絶妙なクロスを入れる。だがGKに弾かれゴールならず。

 前半45分。鹿島の荒木がペナルティエリア右から浮き球を入れ、白崎がゴール前でヘディングシュート。だが惜しくもクロスバーを直撃した。

鳥栖、山下の一撃で同点に追いつく

 そしてゲームは後半に入り、鳥栖が同点に追いつく。

 後半5分。右サイドで鳥栖の中野伸哉が前縦の中野嘉大に繋ぎ、中野嘉大は深い位置からグラウンダーのクロスを入れる。

 これはGKがいったんセーブしたが、そのこぼれ球を山下がシュートし、詰めた。1−1だ。

 後半13分、鳥栖は本田に代え、FW林大地を投入。

 対する鹿島は後半19分。松村に代え、FW上田綺世を入れる。

 これで奇しくもU-24日本代表対決になったが、燃えに燃えてファイトした林大地に対し、この日の上田は存在感が今ひとつなかった。

鳥栖、樋口がうれしい決勝弾を挙げる

 そして決勝点を奪ったのは鳥栖だった。

 後半34分。途中出場の小屋松が左サイド深く侵入し、クロスを入れるがクリアされる。

 そのこぼれ球を仙頭が落とし、受けた樋口が低い弾道のシュートをゴールに突き刺した。2-1だ。

 後半37分、鳥栖は中野伸哉に代え田代雅也を投入。リードしたための守備固めである。

 このあとも鳥栖の選手はよくファイトし、うまく試合を終わらせた。

 連戦で引き分けが続いていた鳥栖は3試合ぶりの勝利になる。うれしい6試合負けなしだ。

 まだまだリーグを終わらせるわけにはいかない。

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【日本サッカー協会】批判は「悪」か?

2021-05-22 07:50:20 | サッカー日本代表
メディアが一体になった利権集団

 あるブロガーが「W杯最終予選が終わりW杯が近づくにつれ、対戦国も力をつけて森保ジャパンは苦しくなる。その時期に決まったように監督批判や解任論が出るのは残念だ」と書いていた。

 批判は「悪いことだ」という、典型的で「残念な」日本人の思考である。

 だが考えても見てほしい。

 日本サッカー協会は、いったいどれほど強力な利権集団か?

 電通が仕組み巨大なお金が動き、サッカー協会会長を頂点にそれとナアナアな日本人監督が利益をむさぼっている。

 むろんサッカージャーナリズムも彼らに逆らえず、おべんちゃらを使うナアナア体質だ。

 この強大な利権集団にはだれも逆らえない。

 そんな利権集団がおかしなことをやったり、代表監督が失策したとき、だれも批判できないのでは組織はどんどん腐って行く。

 それを止めるためには、不偏不党の客観的な批判こそが必要なのだ。

 冒頭に上げたブロガー氏のように「みんな仲良くナアナアで」ではダメなのである。

 巨大利権集団に、批判は必要だ。ましてやサッカージャーナリズムがその利権集団と一体化し、ともに利益をむさぼる現状では、一蓮托生でだれも批判しなくなる。

 すると組織は腐りに腐る。

 それを防ぐためには健全な批判こそが必要なのだ。

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【J1リーグ】大味で低調なしょっぱいゲーム 〜第14節 大分 1-1 鳥栖

2021-05-21 06:24:47 | Jリーグ
鳥栖の先制点は前半11分だった

 立ち上がりは蹴り合いになり、ボールが頭の上を行き交う落ち着かない展開になった。

 その雰囲気が次第に鎮まり、グラウンダーのボールが行き交うようになる。

 サガン鳥栖のビルドアップは、今日も左CBの中野伸哉が高い位置に張って幅を取り、2バックで行う。

 また相手のビルドアップに対してはミドルプレスで対応する。

 鳥栖の先制点は前半11分だった。

 まずエドゥアルドが縦パスを出す。これにペナルティエリア手前で林大地がDFと競って潰れる。

 するとボールがゴール前へ抜けて来て、山下敬大が抜け出し押し込んだ。

 大分トリニータのビルドアップはたどたどしく、ボールを奪われてショートカウンターを食らったりしている。

鳥栖は相手に「お付き合い」してしまっている

 鳥栖のフォーメーションは3-1-4-2だ。スタメンはGKが朴一圭。最終ラインは右からファン・ソッコ、エドゥアルド、中野伸哉である。

 アンカーは松岡大起。2列目は右から飯野七聖、樋口雄太、仙頭啓矢、中野嘉大。2トップは山下敬大と林大地だ。

 一方の大分は3-4-2-1である。

 鳥栖は大分のレベルに合わせてお付き合いしてプレイしてしまっている印象だ。

 ゲームは1点リードしているが、いつものシャープさやアグレッシブさが失われている気がしてならない。

プレス対応が早く丁寧な鳥栖

 後半に入っても、鳥栖は相手のビルドアップにミドルプレスで対応している。ライン設定は高い。今日も林大地のフォアプレッシャーが目立っている。

 大分の3枚によるビルドアップに対し、鳥栖も3枚でプレスをかける格好だ。

 鳥栖はプレス対応も早くていねいだ。敵陣での大分のボールのつなぎに対し、いちいちその都度プレッシングを掛けに行っている。

 後半立ち上がりは大分の時間帯になっているが、鳥栖は粘り強く対応している。

 大分はよく浮き球を使って攻めてくるが、狙いがアバウトであまり形になってない。

 後半25分。鳥栖は中野嘉大に代わり小屋松知哉を、林大地に代わり本田風智を投入した。

 金明輝監督としては、「どうもうまく行ってないなぁ」という感じだろうか。

 大分のガチャガチャしたアバウトな展開に巻き込まれ、どうも雑になっている印象だ。お付き合い、である。

後半37分、大分が同点に追いつく

 そして大分がついに同点に追いつく。後半37分だ。

 ぽっかりフリーになった大分の下田北斗が、ぺナルティエリア左角からゴール方向へ浮き球を入れた。

 するとこれに反応した長沢駿がマーカーと競りながらヘディングでゴール左スミに叩き込んだ。

 鳥栖はアシストした下田をまるで真空地帯に入ったかのようにぽっかりフリーにしてしまった。こういうところが今日の鳥栖は変調だった。
 
 しかし浮き球のクロスをつないでフィニッシュに持っていったあたり、この日の大分らしかった。

あわや大分がPKで逆転か?

 続く後半39分には、大分の藤本がペナルティエリア内でファンソッコに引っ掛けられてPKに。

 キッカーの藤本はゴール右を狙い右足でシュートを放ったが、GK朴一圭は横に飛んでセーブした。

 これで引き分けだ。

 浮き玉を多用する大分の攻めに影響され、この日の鳥栖はいつものようにグラウンダーのボールを落ち着いて繋げなかった。

 このゲームのように鳥栖がバタバタとメンバーを多数交代させるのは初めて見た。

 鳥栖のポゼッション率は39%。「わざと相手にボールを持たせた」という展開ではなかっただけに、自分たちのゲームではなかったといえる。

 大分とすればしてやったりの勝ち点「1」、鳥栖は負けに等しい勝ち点「1」になった。

 鳥栖は優勢ながら引き分けに持ち込まれる、このテの取りこぼしが多いのが今季の課題だろう。

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【東京五輪】OA枠は吉田と酒井、遠藤に確定

2021-05-21 00:11:26 | サッカー日本代表
FW大迫は外れる

 森保監督によれば、東京五輪のオーバーエイジは吉田麻也と酒井宏樹、遠藤航の3人で確定した

 決定であるかのように言われていたFWの大迫勇也は外れた。

 まさか森保さんが私の言うことを聞くとは思わなかった(笑)

【東京五輪】大迫をOA枠で選ぶのには反対だ

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【J1リーグ】名古屋、フィッカ監督の復帰戦を飾る 〜第14節 清水 0-3 名古屋

2021-05-19 06:39:21 | Jリーグ
やはり監督がいると強い

 マッシモ・フィッカデンティ監督の復帰戦とあって、名古屋グランパスの面々には期するものがあったのだろう。

 全員がイキイキとフィールドを駆けた。

 結果は3ゴールを挙げてシャットアウト勝ち。完勝だ。

 彼らは終始試合を支配し、名古屋のいいところばかりが出た。

 やはり名古屋は監督がいると強い。

柿谷が倒れながら1点目を取る

 名古屋のフォーメーションは4-2-3-1。守備時4-4-2だ。スタメンはGKがランゲラック。最終ラインは右から成瀬竣平、中谷進之介、丸山祐市、吉田豊だ。

 2CMFは稲垣祥と米本拓司。2列目は右からマテウス、ガブリエル・シャビエル、相馬勇紀。ワントップは柿谷曜一朗である。

 見せ場はいきなり前半24分にきた。

 マテウスがFKを蹴り、ゴール前で混戦になったこぼれ球を柿谷が倒れながら叩き込んだ。1-0だ。

 名古屋は相手ボールになればミドルプレスで応じる。コンパクトだ。今日はいつもより最終ラインが高い。

 あの川崎Fとの首位決戦、攻められるたびディフェンディングサードまでリトリートしていたチームとはまるでちがう。

 監督がいるとこうも変わるものか?

 また彼らは敵のビルドアップに対しては、4-4-2になり敵CBに柿谷とシャビエルがプレッシングしている。

マテウスが衝撃的なファインゴール

 ゲームは後半に入ってすぐ、またも急展開を見せる。

 後半5分。右サイドの高い位置でスローインからボールをもらったマテウス。

 ところが2タッチ目で彼は急に左へ切り返したかと思ったら、いきなり唐突に左足で狙いゴール左スミへ叩き込んだ。

 清水は何人もが飛んでいくボール目がけて足を出したが、誰ひとり触れない絶妙なコースにシュートが飛んで行った。

 衝撃的なファインゴールだった。これで2点リードだ。

 一方、清水は徐々にセカンドボールを拾えるようになり、その点では良くなった。

 だがパスワークがやはりスローモーでたどたどしい。考え込みながらボールを回している感じだ。

 守備も「なんちゃってゾーンディフェンス」で、ロティーナ効果は特に見られない。

4-1-2-3に変えて勝ちパターンへ

 名古屋はしきりにサイドを使って攻める。

 サイドチェンジしては、またサイドに基点を作る感じだ。

 後半35分。名古屋はガブリエル・シャビエルに代えて齋藤学を、相馬に代えて長澤和輝を投入する。

 これでシステムを3センターの4-1-2-3に変えた。中央を厚くするいつもの勝ち逃げパターンである。

 だが名古屋の祝祭はまだ終わらなかった。

マテウスの2点目も強烈なインパクトだった

 後半44分だった。きれいな縦パスが入り、これに柿谷のポストプレイから落としを受けた齋藤学が、ピッチを斜めに横切る絶妙なパスを右に送る。

 ボールを受けたのはこの日の千両役者、マテウスである。

 彼はまだ俺は満足してないぞと言わんばかりに短くドリブルした。

 そのあと左足のインサイドで、ゴール左スミを狙いコンパクトな振りでカミソリのようなシュートを放つ。

 ボールは激しくポストを直撃し躍るようにゴールへ飛び込んだ。

 結局、マテウスは3ゴールすべてに関与し、監督復帰戦という祭りの主役になった。

 これで「名古屋は先制すれば負けない」という神話が確定したようだ。

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【J1リーグ】徳島が雨中の激闘を制す ~第14節 広島 0-1 徳島 

2021-05-18 08:03:28 | Jリーグ
徳島はポヤトス体制で初勝利

 新任のダニエル・ポヤトス監督が就任してから勝利がない徳島ヴォルティスである。

 4バックの徳島は左SBの岸本武流を高く上げ、残り3枚が左にスライドし3バックでビルドアップする。

 一方、敵のビルドアップに対しては、ワントップの垣田裕暉がボールを保持したCBにプレスし、トップ下の宮代大聖が背中で敵CMFへのパスコースを切りながらカバーシャドウしている。

 雨中の試合の立ち上がり、サンフレッチェ広島がゲームを支配したが、次第に徳島もボールを保持するようになって行く。

 勝負はこれからだ。

徳島のシステムは4-2-3-1

 徳島のフォーメーションは4-2-3-1だ。スタメンはGKが上福元直人。最終ラインは右から岸本武流、カカ、福岡将太、ジエゴだ。

 2CMFは鈴木徳真と岩尾憲。2列目は右からクリスティアン・バトッキオ、宮代大聖、杉森考起。ワントップは垣田裕暉である。

 前半44分。徳島は垣田が左サイドでボールをキープし、1人抜いてペナルティエリアに侵入した。

 彼は敵GKと最終ラインの間に絶妙なグラウンダーの速いボールを入れ、バトッキオがシュートしたがゴール外のサイドネットに当たる。残念。

 後半16分、徳島はそのバトッキオを下げてMF小西雄大を投入する。

後半18分に徳島が先制点を取る

 そして後半18分。中盤でのねじりあいから徳島の岸本がボールを奪い、カウンター発動だ。

 岸本は垣田にボールを預け、オーバーラップ。ボールは垣田からまた岸本に渡る。

 抜け出した岸本は無人のライン裏をドリブルで独走し、最後はGKと1対1になり右足ループでボールをゴールに沈めた。1点リードだ。

 徳島は後半28分、福岡に代えドゥシャンを送り出す。

 彼らは1点リードしたが、しっかりラインを高く保っている。

 そして広島のボールになれば、最前線の垣田と宮代が走り回って前からプレスをかける。後半40分になっても徳島の運動量は衰えない。

広島・森島のシュートはバーに嫌われる

 後半45分。広島は右サイドで途中出場のMF藤井智也がペナルティエリア右角に侵入し、シュート。GKの正面で弾かれる。

 そのクリアボールを広島の茶島雄介が拾い、右から斜めのクロスボールを入れる。これを森島司がヘディングシュートしたが、惜しくもバーに嫌われた。

 続く後半45分には徳島がSHの杉森に代えてDF藤田征也を投入。これでポヤトス監督はシステムを5-3-2に変えて試合を終わらせた。

 徳島はリーグ戦5試合ぶりの勝利だ。

 同時にポヤトス体制になって初めての貴重な勝ちである。

 試合内容を見ても昇格組の徳島は遜色なく、J1リーグの中堅どころと対等に戦えることを証明した。

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