すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【サッカー日本代表】2016年にやりたい3つのこと

2015-12-26 11:07:35 | サッカー戦術論
(1)監督に言われなくても「自分の頭で」考える

 教え魔ハリルホジッチ氏が就任し、マニュアル脳の日本人選手がいちばん痛感したのはこれだろう。

「タテに速く」と言われれば、局面がどうあれタテに急ぐ。何でもかんでもタテを狙うーー。そんな混乱した状況で、ハリル丸は船出した。マニュアルを与えられれば機械的にその通りやる、愚直にそれ以外のことは考えない。選手がそんなマニュアル脳だったからだ。

 2016年はその指示待ち脳を卒業し、応用もこなせるようになりたい。

 例えばタテに速く攻めるのが有効なのは、相手チームが守備のバランスを崩しているときだ。つまり相手が攻めにかかっていたせいで自分から守備のバランスを失っており、こうした際にボールを失ったときである。

 この場合、敵は攻撃態勢にあったのだから、逆に守備するのには隊形が向いてない。こういうときにはタテに速く攻めれば、カンタンに攻め崩せる。

 だが逆に相手チームの守備態勢ができているとき敵がボールを失ったのなら、監督の指示通りタテに速く攻めても相手の守備が固くて攻め通せない。

 ならばこんなときにはタテに攻め急ぐのではなく、いったんじっくりポゼッションしてボールを落ち着かせることだ。つまり遅攻である。こうして時間を作り、パスをつなぐことで相手チームをタテやヨコにゆさぶって敵のバランスを崩してから攻める。これがかしこい。

 こんなふうに「自分の頭で考える」のが大事なのだ。

 ゲーム前に監督から言われてなくても、試合中に相手のウイークポイントを自分たちで発見し、そこを突く。自分の頭で攻め方を考える。あるいは試合中、自分たちのバランスのどこが崩れているかを自分たちで考え、そこを修正する。

 あらかじめ練習してきた譜面通りに演奏するのでなく、ジャズのアドリブ演奏のように試合中に即興で考え、実行する。

 日本が世界で勝つには、そんな自律的なアドリブ性が必要だ。

(2)相手のやり方に応じて急所を突く

 サッカーには相手がある。相手のストロングポイントを野放しにすればやられるし、逆に敵の弱点を攻めれば試合に勝てる。

 とすれば「オレたちのサッカーはこうだ」でなく、相手のやり方を見て柔軟に対応することが必要だ。自分たちのアイデンティティをしっかり持ちながらも、相手のよさを殺す老獪な試合運びをしたい。

 何も考えずただがむしゃらにやったら結果的に勝った、でなく、キッチリ計算した上で勝つ。試合巧者になるとはそういうことだ。

(3)いかにボールをゴールへ「パスする」か?

 Jリーグが始まったころ、日本人選手のシュートはといえば、とにかく目をつむって思い切り打つだけだった。当時とくらべ今ではだいぶマシにはなったが、それでも日本代表の課題は決定力不足であり続けている。

 なぜなら日本人は、ボールをゴールへ「パス」してないからだ。

 例えばゴールを味方の選手に見立ててみよう。相手にヘディングさせたいなら、(1)ボールを浮かして「頭を狙う」だろう。逆に相手の足元にパスしたいなら、(2)グラウンダーのボールを「きっちり転がす」はずだ。つまりコースを狙う。

 加えて味方の選手がマーカーに邪魔されることなくトラップするためには、(3)マーカーの「タイミングを外した」パスを送るだろう。

 すなわちゴールに対し、(1)~(3)のような「パスを送れば」高い確率で得点できる。

 ところが日本人選手ときたら、シュートする局面になるとたちまち頭がパニックに陥り、相変わらず何も考えずに思い切り蹴るだけだ。意図のないシュートを放ってしまう。

 永遠のテーマである決定力不足を解消するためには、いかにボールをゴールへうまくパスするか? 氷のように冷静な頭で、それを考えることだ。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【クラブW杯】ここから先は「個の力」だ。 ~バルセロナ3-0リバープレート

2015-12-20 22:25:33 | その他の欧州サッカー
ラストパスの精度とシュートのうまさが圧巻

 バルセロナが壮絶な決定力で勝ち切った。

 3位になった広島の躍進を見ればわかるように、組織戦術では日本のクラブもそこそこやれるようになった。だがここから先には、圧倒的な個の力の差が立ちはだかっている。

 同じようにリバープレートと対戦し、広島は前半の4度の決定機を1度もモノにできなかった。だが一方のバルセロナは、作ったチャンスをことごとく決めて見せた。

 アタッキング・サードで獲物を完全に狩り取る力ーー。

 ここから先、日本が越えるべきハードルは果てしなく高い。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【クラブW杯】日本が世界で勝つためのヒント ~広島0-1リバープレート

2015-12-17 09:43:25 | サッカー日本代表
強豪相手にはカウンター狙いがハマる

 広島はクラブワールドカップ準決勝で、南米代表の強豪リバープレート(アルゼンチン)と戦った。例によって広島はリトリートからのカウンター狙い。FWの佐藤寿人、浅野をともに温存し、ワントップに皆川を起用した。一方のリバープレートはポゼッションから攻める展開だ。

 広島は相手の名前に飲まれたかのようにたどたどしい立ち上がり。ブロックを低く構え、自陣でボールを奪うがいつものビルドアップができない。精神的なプレッシャーか? だがリバープレートの攻めもあまり機能せず、一進一退の滑り出しだった。

 だが広島はすぐに立ち直り、カウンターから鋭い攻めを連発する。前半40分まででなんと4度の完全な決定機を作った。チャンスを作るたび、「よし、いけるぞ」と広島の選手たちに力がみなぎる様子が見て取れた。

 フィフティ・フィフティのボールの競り合いになってもかなりの確率で広島が勝つ。「最後の一歩」が出る。リバープレートはポゼッション率こそ高いが攻めあぐね、広島にうまくハメられていた。そして前半終了時のスコアは0-0。かくて広島は「どこでFWを替えるのか?」が焦点になった。

 森保監督は後半21分と31分に浅野、佐藤を投入し、勝負に出た。だが後半27分にセットプレーからGK林のちょっとした判断ミスでリバープレートに先制され、これが決勝点になる。

 広島は後半に先制されるまでは完全にゲームプラン通りだった。ただ前半に作った4度の決定機を1度でも決めていれば、試合はまったく違った展開になっていただろう。もしFWの佐藤か浅野のどちらかをスタメンで使っていればそれが実現したかもしれない。

 だが勝負に「たら」「れば」はない。いずれにしろ今回のクラブW杯での快進撃は、広島にとって大きな自信になっただろう。同時に彼らは「日本が世界で勝つにはどんなサッカーをすればいいか?」の問いにひとつの解答を出した。

 特に守備で絶対に集中力を切らさない粘り強い勤勉さと、そこからのカウンターの掛け方には目を引くものがあった。日本サッカーの歴史にまたひとつ新たな1ページが飾られ、またひとつ世界が近くなった。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【クラブW杯】広島流うまい試合の殺し方。 ~広島3-0マゼンベ

2015-12-14 08:38:17 | サッカー日本代表
切れ味鋭い速いカウンターを繰り出す

 クラブワールドカップ準々決勝で、広島はアフリカ代表のマゼンベ(コンゴ)と対戦した。相手にボールを持たせるいつものカウンター戦術を仕掛け、セットプレーから2点、カウンターから1点をもぎ取り少ないチャンスをものにした。

 マゼンベは軽快でスピードがあり、プレッシングも速い。前半20分頃までは彼らがペースを握り、広島は相手の速さに戸惑いを見せた。だが15分頃から相手のプレスのスピードに慣れ、1~2タッチで巧みなビルドアップを始めた。30分以降はマゼンベの運動量が落ちて淡白になり、特に後半は広島が完全にゲームをコントロールした。

 広島は相手ボールになると5-4-1の形になり、ブロックを低く構えた。相手にボールを持たせ、前がかりにさせて敵陣にスペースを作る。そして粘り強い守備から、そのスペースを突く速いカウンターで仕留める戦い方だ。攻撃時には両サイドが大きく開き、ピッチを目いっぱい広く使った。

 彼らはハイプレスをかけられてもバックラインがボールをうまくコントロールし、あくまでグラウンダーのパスを繋いで組み立てる。相手のプレスをかいくぐるそのビルドアップは、芸術的とさえいえた。敵のやり方を見て、柔軟にそれに対応できる。ハリルジャパンにはぜひ見習ってほしいものだ。

 広島はボールの競り合いになっても絶対にあきらめず、粘りに粘って「最後の1歩」が出る。そんな泥臭い魂のサッカーで上位への挑戦権を勝ち取った。次は16日(水)の準決勝で南米代表のリバープレート(アルゼンチン)と戦う。相手にとって不足はない。日本の粘りのサッカーをぜひ世界に発信してほしい。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【クラブW杯】リトリートからのカウンターが見事に決まる ~広島2-0オークランド

2015-12-10 22:58:04 | サッカー日本代表
サッカーはポゼッション率じゃない

 広島は相手ボールになるとリトリートして自陣に引き、オークランドにボールを持たせてカウンターからの速攻を狙った。このゲームプランが見事にハマり、うまく先行して危なげなく逃げ切った。広島はビルドアップが巧みで、うまくスペースに人が入り込み後ろから組み立てた。

 一方、前半のオークランドは自陣でせっかくボールを奪ったカウンターのチャンスにも攻めが遅く、鋭さがない。ポゼッションしようとするが、縦に繋げずビルドアップに苦しんだ。ポゼッション率が高いだけで広島に脅威を与えられない。後半はそこを修正し、速い縦パスから何度か好機を作ったが最後の決め手を欠いた。

 広島の柏は相変わらずタテに積極的に勝負し、クロスのタイミングも非常によくチャンスを作った。またDFの塩谷はビルドアップの一歩目になるパス出しがよく、ダイレクトプレーにもうまく対応していた。
 
 ケガで途中から退いた野津田は浅野同様、思い切りがよく、ぜひ90分間見たかった。彼はリオ五輪アジア予選を兼ね来年1月に開かれる「AFC U-23選手権カタール大会」に挑む手倉森ジャパンの主力選手であり、ケガの具合が心配される。

 広島は、13日(日)に行われる準々決勝で、アフリカ代表のマゼンベ(コンゴ)と対戦する。これに勝てば、次は南米王者のリバープレートとの準決勝だ。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【JリーグCS】スピードは力なり ~広島1-1G大阪

2015-12-08 15:38:04 | Jリーグ
 Jリーグ・チャンピオンシップ決勝第2戦は、思い切りのいい広島・浅野の躍動がすばらしかった。

 スピードのある彼が前のスペースめがけて走り始めると、何かが起きる予感が漂う。ぜひまた日本代表で見てみたい。

 なんだか森保ジャパンを期待させる一戦だった。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【JリーグCS】見習うべきは「大きなサッカー」か? ~G大阪2-3広島

2015-12-03 14:32:27 | Jリーグ
広島が粘りと決定力を見せた

 Jリーグのチャンピオンシップ決勝第1戦は、対照的なスタイルのチームによる組み合わせになった。徹底したサイド攻撃と放射状の浮き球のパスで組み立てる「大きなサッカー」の広島と、グラウンダーのショートパスを足元に繋ぐ「小さなサッカー」のガンバ大阪だ。

 広島はボランチの青山を経由してビルドアップし、彼がダイアゴナルなパスを左右に振って最後はサイドからクロスで仕上げる。また相手ボールになるとリトリートし、両WGが下がり5-4-1の形になって守備をした。

 広島は終始、ガンバにリードされる展開になったが最後まであきらめず、土壇場で決めるところを決めた決定力はさすが。特に途中出場した右サイドの柏は印象的だった。

 日本代表が見習うところがあるとすれば広島のほうだろう。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【サッカー日本代表】ハリルのキレ方は問題か?

2015-12-01 08:20:14 | サッカー日本代表
国や民族が違えばメンタリティも違う

 ハリルが試合中、キレるしぐさやイラついた表情をするのを問題視する人がいる。いや、彼らが言いたいことはわかる。確かに監督は冷静にふるまうほうがいいし、ハリルみたいに「ちくしょう!」的な身振りをするのはあんまりいい感じはしない。

 だが私がそれを別段、非難する気にならないのは、ハリルの背景にある歴史や文化を考えるゆえだ。例えばあのグランパス時代のピクシーの尋常じゃないキレ方を思い出せばわかる通り(彼は自爆してカードをもらっていた)、旧ユーゴ圏の人々は感情が激しやすく、あれがふつうなんだろうな、と思うからだ。

 国や民族が違えばメンタリティが異なるのは当然である。ハリルに対し「日本人らしく慎ましくふるまえ」などというのはお門違いだし、そもそも無理な話だ。また相手(ハリル)が故郷にしている民族ならではの価値観やメンタリティ、ライフスタイルを尊重するのは当然である。

 ゆえに私はハリルが試合中にキレるしぐさをしても、「ああ、あのおっさんはそういうおっさんだから」と考えて何とも思わない。だいたい高校生じゃあるまいし、監督のふるまいを選手が見て不安になったり、自信をなくしたりするのって大人のプロ選手とはいえないだろう。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする