遅攻志向と速攻志向のちがい
森保ジャパンには世代交代ではなく「融合」が必要だ、との論調がある。つまり香川や乾らロシアW杯組が、中島、堂安、南野ら「三銃士」とそっくり入れ替わるのでなく、両者を融合させて相互補完の関係を作るべきだ、との趣旨である。
なるほどもっともな意見だ。一理ある。実際、香川や乾の能力は依然高く、代表引退するには早すぎるように感じる。だが両者の融合を考える場合、乗り越えるべき大きな壁がある。それはプレイスタイルのちがいである。
例えば先日のキリンチャレンジカップ、コロンビア戦で途中出場した香川は、短い時間だったが「三銃士」と共演した。この試合、香川のデキは悪くなかった。だが残念ながら「三銃士」との連携はギクシャクし、とても噛み合っているようには見えなかった。それは主に遅攻志向と速攻志向のちがいからくるものだ。
ポジティブ・トランジションを重視する「三銃士」
例えば敵チームからボールを奪った場合、「三銃士」はすばやいポジティブ・トランジション(守→攻の切り替え)から、速いタイミングで縦に仕掛けて攻め切ってしまおうとする。つまりボールを失った敵チームがまだ守備の態勢を整える前に、速攻で仕留めようとする発想だ。
直前までボールを保持し攻めていた敵チームは、自らバランスを崩して攻め込んできている。ならば、敵が守備のバランスを崩しているうちに速い切り替えから速攻を成就しようという狙いである。
一方、コロンビア戦での香川のスタイルを見ていると、敵からボールを奪ったら、まずパスをつないでポゼッションをしっかり確立させようとする。もちろんこれはこれで、ひとつのスタイルだ。両者は単にスタイルがちがうだけで、どっちがいい悪いの問題ではない。
ならば監督が「プレー原則」を示せ
だが両者の融合を果たすには、このスタイルのちがいを乗り越え、ある局面では片方がもう片方のリズムに合わせる必要がある。しかし選手にとって、長い選手生活で身についたカラダのリズムを変えるのはそう簡単ではない。
そこで監督の出番だ。
もし融合させるとすれば、監督が率先してリーダーシップを取り、「前からプレスをかけて高い位置で相手からボールを奪った局面では、切り替えを速くして速攻を仕掛けよう」などと、局面ごとにチームとしての「プレー原則」を選手に徹底させる必要がある。
だが、よくいえば選手の自主性を尊重する、悪くいえば選手まかせの森保監督に、最も欠けているのはこのプレー原則の徹底なのだ。さて、果たして森保監督はリーダーシップを発揮し、選手たちにしかるべきプレー原則を植え付けることができるのか? 森保ジャパンの浮沈は、ここにかかっている。
森保ジャパンには世代交代ではなく「融合」が必要だ、との論調がある。つまり香川や乾らロシアW杯組が、中島、堂安、南野ら「三銃士」とそっくり入れ替わるのでなく、両者を融合させて相互補完の関係を作るべきだ、との趣旨である。
なるほどもっともな意見だ。一理ある。実際、香川や乾の能力は依然高く、代表引退するには早すぎるように感じる。だが両者の融合を考える場合、乗り越えるべき大きな壁がある。それはプレイスタイルのちがいである。
例えば先日のキリンチャレンジカップ、コロンビア戦で途中出場した香川は、短い時間だったが「三銃士」と共演した。この試合、香川のデキは悪くなかった。だが残念ながら「三銃士」との連携はギクシャクし、とても噛み合っているようには見えなかった。それは主に遅攻志向と速攻志向のちがいからくるものだ。
ポジティブ・トランジションを重視する「三銃士」
例えば敵チームからボールを奪った場合、「三銃士」はすばやいポジティブ・トランジション(守→攻の切り替え)から、速いタイミングで縦に仕掛けて攻め切ってしまおうとする。つまりボールを失った敵チームがまだ守備の態勢を整える前に、速攻で仕留めようとする発想だ。
直前までボールを保持し攻めていた敵チームは、自らバランスを崩して攻め込んできている。ならば、敵が守備のバランスを崩しているうちに速い切り替えから速攻を成就しようという狙いである。
一方、コロンビア戦での香川のスタイルを見ていると、敵からボールを奪ったら、まずパスをつないでポゼッションをしっかり確立させようとする。もちろんこれはこれで、ひとつのスタイルだ。両者は単にスタイルがちがうだけで、どっちがいい悪いの問題ではない。
ならば監督が「プレー原則」を示せ
だが両者の融合を果たすには、このスタイルのちがいを乗り越え、ある局面では片方がもう片方のリズムに合わせる必要がある。しかし選手にとって、長い選手生活で身についたカラダのリズムを変えるのはそう簡単ではない。
そこで監督の出番だ。
もし融合させるとすれば、監督が率先してリーダーシップを取り、「前からプレスをかけて高い位置で相手からボールを奪った局面では、切り替えを速くして速攻を仕掛けよう」などと、局面ごとにチームとしての「プレー原則」を選手に徹底させる必要がある。
だが、よくいえば選手の自主性を尊重する、悪くいえば選手まかせの森保監督に、最も欠けているのはこのプレー原則の徹底なのだ。さて、果たして森保監督はリーダーシップを発揮し、選手たちにしかるべきプレー原則を植え付けることができるのか? 森保ジャパンの浮沈は、ここにかかっている。