すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【森保ジャパン】香川と「三銃士」はなぜ噛み合わないのか?

2019-03-28 09:06:04 | サッカー戦術論
遅攻志向と速攻志向のちがい

 森保ジャパンには世代交代ではなく「融合」が必要だ、との論調がある。つまり香川や乾らロシアW杯組が、中島、堂安、南野ら「三銃士」とそっくり入れ替わるのでなく、両者を融合させて相互補完の関係を作るべきだ、との趣旨である。

 なるほどもっともな意見だ。一理ある。実際、香川や乾の能力は依然高く、代表引退するには早すぎるように感じる。だが両者の融合を考える場合、乗り越えるべき大きな壁がある。それはプレイスタイルのちがいである。

 例えば先日のキリンチャレンジカップ、コロンビア戦で途中出場した香川は、短い時間だったが「三銃士」と共演した。この試合、香川のデキは悪くなかった。だが残念ながら「三銃士」との連携はギクシャクし、とても噛み合っているようには見えなかった。それは主に遅攻志向と速攻志向のちがいからくるものだ。

ポジティブ・トランジションを重視する「三銃士」

 例えば敵チームからボールを奪った場合、「三銃士」はすばやいポジティブ・トランジション(守→攻の切り替え)から、速いタイミングで縦に仕掛けて攻め切ってしまおうとする。つまりボールを失った敵チームがまだ守備の態勢を整える前に、速攻で仕留めようとする発想だ。

 直前までボールを保持し攻めていた敵チームは、自らバランスを崩して攻め込んできている。ならば、敵が守備のバランスを崩しているうちに速い切り替えから速攻を成就しようという狙いである。

 一方、コロンビア戦での香川のスタイルを見ていると、敵からボールを奪ったら、まずパスをつないでポゼッションをしっかり確立させようとする。もちろんこれはこれで、ひとつのスタイルだ。両者は単にスタイルがちがうだけで、どっちがいい悪いの問題ではない。

ならば監督が「プレー原則」を示せ

 だが両者の融合を果たすには、このスタイルのちがいを乗り越え、ある局面では片方がもう片方のリズムに合わせる必要がある。しかし選手にとって、長い選手生活で身についたカラダのリズムを変えるのはそう簡単ではない。

 そこで監督の出番だ。

 もし融合させるとすれば、監督が率先してリーダーシップを取り、「前からプレスをかけて高い位置で相手からボールを奪った局面では、切り替えを速くして速攻を仕掛けよう」などと、局面ごとにチームとしての「プレー原則」を選手に徹底させる必要がある。

 だが、よくいえば選手の自主性を尊重する、悪くいえば選手まかせの森保監督に、最も欠けているのはこのプレー原則の徹底なのだ。さて、果たして森保監督はリーダーシップを発揮し、選手たちにしかるべきプレー原則を植え付けることができるのか? 森保ジャパンの浮沈は、ここにかかっている。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【森保ジャパン】「戦術=大迫」に加えて深刻な「中島依存」へ 日本1-0ボリビア

2019-03-27 08:46:06 | サッカー日本代表
初スタメン組は収穫もあった

 コロンビア戦からスタメンを総入れ替えして臨んだキリン杯・ボリビア戦は、新戦力発掘のためのテストになった。

 だがこの日のスタメン組は、足元につなぐばかりでウラを狙う動きがない。安全にポゼッションするだけで遅攻一辺倒の日本は前半、ボリビア守備陣をほとんど崩せなかった。スタメン出場した香川と乾、宇佐美のロシアW杯組は落第だろう。

 だが一方、若い新規参入組には、興味深い選手が何人かいた。まずCBの畠中槙之輔はフィードがいい。すばらしい長い縦パスをもっている。CBにはこの日スタメンだった三浦もいるし、ふだんのスタメン組には吉田、昌子、冨安もいる。日本のCB陣は豊作だ。

 またオーバーラップに鋭さを見せた左SBの安西幸輝は、周囲とのコンビネーションさえ合えば攻撃の重要なコマになる。攻から守への切り替えも速い。あとは周りの選手との連携を磨き、どこまでスムーズにプレイできるかどうかだろう。特にSHとのコンビネーションがカギだ。

 待望のスタメン出場したGKのシュミット・ダニエルは、前にいる味方ボールホルダーから自分のところへ落ちてきたボールをほとんどダイレクトで前のSBに足でフィードしていた。足元の技術が確かで、ビルドアップの第一歩として非常に魅力的な選手だ。もし私が監督なら彼をスタメン固定するだろう。

 一方、ボランチの橋本拳人は粘っこい守備で対人プレイの強さを見せた。球際の粘りには見るべきものがある。自分が後ろにステイしてバイタルを埋めながら全体のバランスを取る「長谷部スタイル」のプレイができれば、スタメンに近づきそうだ。

途中出場の中島がチームを変えた

 さて前半はゾーンのギャップでボールを待つ間受けばかりで前への推進力がなかった日本だが、後半16分以降に中島翔哉と堂安律、南野拓実が途中出場するとまったく別のチームになった。この若い2列目の3人はよく連動し、同じ絵を描ける。

 彼らのキーワードは縦への速い仕掛けとシュートへの強い意識だ。現状、森保ジャパンは、彼ら若いユニットの力を借りなければ敵を食い破る形にならない。

 特に中島はボールを保持して攻撃の起点になれるだけでなく自分でも行け、縦への推進力という意味では日本のなかで傑出している。

 前で時間を作るFW大迫のポストワークの大きさから「戦術は大迫頼み」と言われ続けてきた森保ジャパンだが、ここへきて深刻な「中島依存」が加わった。森保ジャパンは病気が増えるばかりでなかなかスッキリしない。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【森保ジャパン】若い選手を大胆に起用する積極采配を 日本0-1コロンビア

2019-03-23 11:24:00 | サッカー日本代表
もっと見たい選手がたくさんいる

 森保ジャパンはチーム立ち上げから昨年のキリンチャレンジカップで勝ちまくり、ところがそのあとのアジアカップでは内容のない苦戦続きで優勝もできなかった。ホームで行われるラクな親善試合のキリンチャレンジカップでいくら勝っても意味はないのだ。勝敗に意味はない。

 それよりこのコロンビア戦の最大のポイントは、途中出場した香川にメドが立ったことだろう。まだ彼特有のキレの鋭さは見えなかったが、大きく展開する5本のパスがすばらしかった。

 同じトップ下でも点の取れるセカンドトップ的な南野に対し、香川はパスで試合を大きく展開させ、また自分も前へ飛び込めるというよさが出ていた。

 このほか個人的には、ビルドアップの第一歩になれるGKのシュミット・ダニエルを試合に出し、大きく育ててほしい。ビッグセーブのある中村航輔も使ってほしい。また安西は短時間での出場だったが、もっと見たい気にさせられる選手だった。小林祐希ももっと見たい。

 繰り返すが、ホームでラクなキリンチャレンジカップでいくら勝っても意味はない。森保監督にキリン杯で求めたいのは勝つための采配ではなく、若い選手を大胆に使って大きく育てる選手起用だ。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする