すちゃらかな日常 松岡美樹

すちゃらかな視点で世の中を見ます。

【コロンビア戦】日本の速いカウンターがPKを呼んだ 〜日本2-1コロンビア

2018-06-20 15:24:36 | サッカー
長谷部をボランチとリベロで使う可変システム

 ロシアには魔物が住んでいるようだ。開幕したロシアW杯。優勝候補のドイツが負け、強豪アルゼンチンやブラジル、スペインも勝てなかった。その魔物が今度は日本に味方した。ただしあのハンドによるPKは偶然の産物ではない。香川を起点にした日本の速いカウンター攻撃が生んだ贈り物だった。

 前半2分、コロンビアが左サイドからアーリークロスを上げるが日本がクリアした。このときコロンビアは前がかりになり、全員が日本陣内にいる。自陣はカラっぽ。日本のカウンターのチャンスだ。

 で、このクリアボールを受けた香川がダイレクトで山なりの縦パスを出す。これを拾った大迫がシュートしたリバウンドを香川がダイレクトでシュートし、相手のハンドを呼んだ。このPKで日本は先制する。しかもコロンビアはハンドによる一発退場で10人になった。

 コロンビアのアーリークロスを日本がクリアした瞬間、敵は前がかりになっていたためコロンビア陣内にはだれもいない広大なスペースが広がっていた。このカウンターの好機を逃さず、機転を利かせた香川の縦へのダイレクトパスがすべてを決めた。

 続く日本の決勝点は後半28分。途中出場した本田が左コーナーキックを蹴り、これをゴール前で大迫が力強いヘディングシュート。2-1になり、勝負は決した。

香川をトップ下に据えた4-2-3-1

 日本のフォーメーションは、香川をトップ下に据えた4-2-3-1だ。ディフェンスラインは右から酒井(宏)、吉田、昌子、長友。ボランチは長谷部と柴崎。右WGは原口、左WGは乾。ワントップは大迫だ。

 この試合、日本には2つの約束事があった。

 1つはコロンビアのビルドアップの局面だ。敵CBがボールを持つと、大迫と香川が2人並んでCBにプレスをかけた。ボールを奪うためのプレッシングではない。パスコースを限定し、中へのコースを切って相手ボールをサイドへ誘導するためのプレッシングだ。

 これでボールが狙い通りサイドに出たら、同サイドの日本のSBとSH、ボランチが挟み込んでハメるゲームプランだ。

 もう1つは日本のビルドアップ時である。ボランチの長谷部が両CBの間に下りて3バックを形成し、両SBを高く張り出させてビルドアップする狙いだ。西野監督が「隠していることもある」とコメントしていたのは、おそらくこのプレーだろう。

 ただし前半早々にコロンビアがハンドで1人退場になり、前からプレスをかけてこなくなった。これで必要がなくなったため、日本は3バックによるビルドアップを前半でやめている。

ラクな仕事のはずだったが日本はリスキーだった

 相手は1人少なくなり、しかも日本はPKで1点リードしている。ぶっちゃけ、あとはラクな仕事のはずだった。10人になったコロンビアは、日本ボールになればディフェンディング・サードまでリトリートしてブロックを作ったからだ。

 ならばリードしている日本は後ろ半分で安全にボールを回してうまく時間を使い、焦れたコロンビアが前に出てきたときに縦パスを入れて敵の崩れた陣形を突けばよかった。

 だが日本は非常にリスキーだった。とにかくカンタンにボールを失いすぎる。また相手ボールに飛び込んでかわされ、2~3人が瞬時に置き去りにされたり、局面によっては守備が非常に甘く1人少ないはずのコロンビアの選手をフリーにしてしまっていた。

 柴崎はいい縦パスを出していたが、「リードしている」という得点状況と「1人多い」という試合状況を考えれば、その縦パスが必然性もなくリスキーなケースがあった。また意味のない場面で、意味のないタックルをして負傷退場してしまった。今後は絶対に気をつけてほしい。

 また乾は効果的なボールのつなぎとシュート、守備をしたが、ファウルを期待して露骨に何度も転びすぎる。結果、審判にほとんどファウルを取ってもらえず、カンタンに相手ボールになっていた。あれでは敵にボールをプレゼントするだけだ。柴崎同様、今後は絶対に気をつけてほしい。

 一方、後半23分に香川と交代で途中出場した本田も、自身のCKから2点目を呼んだプレー以外は、目も当てられないデキだった。なぜか右サイドに開いてプレイし続け、同サイドの原口、酒井(宏)とポジションが被りまくり。おまけに立て続けに2本の致命的なパスミスを犯し、しかもそのうちの1本は敵への見事なパスになっていた。リスキーすぎてとてもトップ下では使えないし、スタメンも無理だ。

大迫はやっぱりハンパなかった

 選手別では、大迫は高さと強さで獅子奮迅の活躍をした。特にマーカーを背負った鉄壁のポストプレイは圧巻だった。世界に通用した。大会後、彼の「値段」はおそらくハネ上がるだろう。

 強さとフィジカルのある原口は、随所で粘りのディフェンスをした。よくハードワークしていた。また長友も、強さと無尽蔵のスタミナですごいカバーリングをしていた。グッジョブだ。

 香川は前半の立ち上がりから持てる技術をフルに発揮し、メンタルの弱い自分に勝った。前線でのパスコースを消すプレッシングも完璧だった。だが惜しむらくは……前半で完全に試合から消えてしまった。

 また前半14分、香川はドリブルで敵ペナルティエリア手前まで進んでいながら、自分でシュートせず乾にパスしてしまった。あそこで積極的にシュートを打てないとダメだ。これは彼に限った話ではない。遠目からでも、日本の選手はもっと積極的にシュートを打たなければ点は取れない。

 一方、昌子はビルドアップ時の効果的なドリブルによる持ち上がりと、堅実な守備で貢献した。結局、次の試合でも自信をもって「使える」と断言できるのは、ディフェンスラインの4人と大迫、原口くらいだろう(次点は柴崎と乾、長谷部あたり)

問題山積、GK川島と本田の起用はリスキーだ

 では次にこの試合で出た課題を振り返ろう。とにかく難問山積だ。日本はリードし、しかも1人多いという絶対的に有利な状況なのだから、もっと「うまい試合の殺し方」をしてほしい。上のほうでも書いたがリスキーなプレーのオンパレードだった。ただし試合が残り15分になって以降の試合運びはよかった。安全に後ろでボールを動かし、うまく時間を使った。これは今後に生かしてほしい。

 次は選手個人の問題だ。テストマッチでディフェンスラインとの連係ミスにより失点の原因を何度も作っているGKの川島は、明らかに消極的になっている。過去のテストマッチでは自分が前に出すぎてミスが続いたため、この試合では逆に前に出るべきシーンで出ていなかった。

 またFKから左を抜かれた失点のシーンでは、川島がもっと左寄りの適正なポジショニングをしていれば防げたはずだ。あんな当たり損ねの弱いシュートを止められないのでは話にならない。迷いのある彼の継続起用はリスキーだ。次の試合では、若くビッグセーブのあるGK中村航輔をスタメンで使ってほしい。

 続いて2人目は本田である。彼の問題点は上の方に書いた通りだが……本田のCKから得点が入るのを見て、西野監督が「次は本田をスタメンで使おうか?」などと考えないか、非常に心配だ。上記の通り、危ないプレーだらけの本田の起用は危険だ。(もしどうしても彼を使うなら)是が非でも点がほしい局面で、トップ下でなくCFとして途中投入するワンポイントでしか使えない。

カウンターに弱い「日本式ティキ・タカ」は通用するか?

 最後に、最大の問題点へ行こう。(このブログではすでに何度も指摘しているが)日本人はグラウンダーのパスが弱すぎる。ボールスピードがない。中盤に人が多い現代サッカーでは、もっと強いパスを出さなければ密集地帯を通せない。日本のような弱いパスでは、簡単にカットされてカウンターを食らう。

 となれば、あの弱々しいショートパスをつなぐ日本式ティキ・タカが、「11人の」セネガルとポーランドに通用するか? は最大の難問だ。このスタイルはカウンターにめっぽう弱いからだ。

 日本人は長いパスを蹴る・止めるのが下手だ。だから狭いエリアに複数の選手が集まり、味方に近寄ってやってショートパスを交換する。しかもそのパスは「どうぞカットしてください」といわんばかりに弱い。

 とすればそのパスをカットされてカウンターを食らえば、さっきまでボールに集まっていた3〜4人の日本の選手はまとめて置き去りにされる。日本はもっと強いグラウンダーのパスを身につけなければ世界で戦えない。

 これらの教訓は、ぜひ次のセネガル戦に生かしてほしい。
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【西野ジャパン】コロンビア戦のスタメン予想と戦い方は?

2018-06-19 09:53:02 | サッカー
試合の流れに応じて可変せよ

 いよいよ今日は運命のロシアW杯、初戦のコロンビア戦だ。まずスタメンは、非公開練習から漏れてくる情報を総合すると以下のような布陣になる。基本はパラグアイ戦のスタメンをベースに、香川をトップ下に置く4-2-3-1である。

    ◯大迫(岡崎)

 ◯乾 ◯香川 ◯原口

   ◯長谷部◯柴崎

◯長友◯槙野◯吉田◯酒井(宏)

     ◯川島

 ボランチの大島はケガの回復が間に合わないらしい。また同様にケガが治らず離脱も囁かれた岡崎は、実は問題なく全体練習に参加したようだ。彼はスタメン起用もあるかもしれない。このへんは情報戦なのだろうか。

 さて、まず上記のスタメンについてひとこと。GK川島はディフェンスラインとの連携ミスを何度も繰り返し失点のピンチを招いており、おそらく修正がきかない。これはかなりリスキーだ。

 ならば、ここは思い切って若くビッグセーブのある中村航輔を選んでほしかった。日本人はとかくベテラン重視。保守的で若手の起用に過剰に慎重だ。だが中村を選べばノリに乗ってラッキーボーイになるのでは? くらいのポジティブシンキングをしてほしいものだ。

 また右SH起用の原口が吉と出るか凶と出るか? 彼は運動量があり、泥臭く守備もこなしハードワークできる選手で貴重な存在だ。ただし左サイドが本職の彼は右に回るとプレイがぎこちなく、威力が4割減くらいになる。だったら右SHは武藤嘉紀を使うテもあった。

 西野ジャパンの致命的なところは、ライン裏に走り込むスピードのある選手がいない点だ。武藤にはそれができる。またフィジカルが強いので競り合いにも負けない。とすれば左SHの乾がバテたら原口を左サイドに回し、右に武藤を途中投入する方法もある。もちろん大迫が疲れたらCFでの起用もアリだろう。とにかく総力戦だから、選手起用は柔軟に考えてほしい。

大迫と香川のフォアプレスで前からハメろ

 一方、このフォーメーションでの戦い方へ行こう。まず敵のビルドアップの局面だ。相手CBがボールを持ったら、香川が前に出て大迫と2トップの形になり、CBにプレスをかける。これは過激なハイプレスをかけるという意味ではなく、あくまでパスコースを限定するのが目的だ。いきなりボールを奪うためのプレスではない。こうして前の2人がパスコースを切れば後ろの選手は守りやすいのだ。

 で、彼ら2人が中へのパスコースを消し、相手ボールを狭いサイドへ誘導する。ボールがサイドに出たら、同サイドの日本のSBとSH、ボランチで挟み込んでハメる。もし首尾よくボールが奪えなくても、これだけで相手の攻めを遅らせる効果はある。

 逆に日本のビルドアップの場面では、ボランチの長谷部が一列下がってリベロに落ちて3バックを形成し、そのぶん両SBを高く張り出させる、という方法もある。これなら敵が2トップでプレスをかけてきても1枚余り、余裕を持ってビルドアップすることができる。

コロンビア戦は「引き分け含み」で戦え

 次はゲームプランとの兼ね合いだ。日本はなんとか1勝1敗1引き分けの勝ち点4、できれば1勝2分けの勝ち点5でグループリーグ突破を目指したい。とすれば最大の難敵コロンビアとは「引き分け含み」で戦い、あわよくば、という試合運びをしたい。それにはまず慎重に守備から入り、絶対に先に失点しないことだ。

 もしチャンスがきて日本が攻め、仮にボールを失えば相手はカウンターのチャンスになる。そのとき日本はくれぐれも攻守の切り替えを速くして素早く帰陣したい。

 そして0-0のまま、あるいは同点で残り時間が少なくなれば、上記の手順で3バック(5バック)に変え、守備を固めて試合を終わらせるという考え方もできる。つまり勝ち点1狙いだ。今日の試合は、勝ち点1なら勝利に等しい。

 逆に弱い日本から勝ち点3を取りたいコロンビアからすれば、0-0のまま、あるいは同点というのは負けと同じだ。とすれば必ず自分から守備のバランスを崩して攻めに来る。こうなれば日本はカウンター攻撃のチャンスだ。ボールを奪ったら、相手が陣形を整える前に速く攻めたい。これでリードできれば一丁あがりだ。

 万一、先に失点しても、あせって無理攻めしてはいけない。あくまで陣形のバランスを保ち、じっくりチャンスを待つ。で、好機がくれば、場合によっては柴崎が1列上がり攻撃的な布陣に変える。とにかく負けてしまっては何の意味もないので、リードされ残り時間が少なくなったら最後は前がかりで攻めたい。

 今日は最低でも勝ち点1。

 ぶちかましてほしい。
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【西野ジャパン】いちばん攻撃的なスタメンは?

2018-06-14 09:22:44 | サッカー
パラグアイ戦で一気に光が

 あのパラグアイ戦で一気に光が見えてきた西野ジャパンである。「光」の意味は2つある。1つは足元でばかりボールを欲しがり、走らず守備もしない本田&宇佐美抜きのメンバー構成にメドが立ったこと。もう1つは香川の台頭でかなり攻撃的なフォーメーションを組むことも可能になった点だ。

 もちろん「パラグアイは本気じゃなかった」とか「彼らはW杯レベルじゃない」みたいなケチのつけ方はできる。だが対戦相手はともかく、少なくとも「日本のシステムが非常に機能した」ことだけは客観的事実である。これは大きな自信になる。本大会を戦う上で、メンタル面での起爆剤になった。「よーし、やってやろう!」と意気が上がる。これが大きい。

 そしてもう1つ大きいのは、本田を中心とする、本田がコンセプトを考えた、ムダな横パスとバックパスを多用し速攻のチャンスをつぶす「劣化バルセロナ」な遅攻から脱却するメドが立ったことだ。パラグアイ戦の日本は十分、タテに速かった。で、勝った。これが結論である。

いちばん超攻撃的なシステムがこれだ

 さて、ではパラグアイ戦の勝利で見えた最も攻撃的なシステムとは、どんなふうか? それは以下である。香川をトップ下に、また攻撃的な若いボランチコンビを2人並べた4-2-3-1だ。

     ◯大迫

◯乾   ◯香川 ◯武藤(原口)

   ◯大島 ◯柴崎

◯長友◯槙野◯吉田◯酒井(宏)

     ◯中村航輔

 どうです? これ。見ただけでワクワクしてきませんか? GKは川島が最終ラインとのコンビネーションでミスを繰り返しているので、中村航輔を選んだ。若い彼を起用すればノリにノリ、当たりまくって今大会のラッキーボーイになると予想している。

 ちなみにこのフォーメーションは、どうしても勝ち点3がほしいゲームで使える。右WGは武藤なら攻撃的、原口を使えば攻撃的にも守備的にもやれる。なおCB槙野のところにパラグアイ戦で健闘した昌子を入れるテもある。

最も固い守備的なシステムは?

 では一方、いちばん守備的なフォーメーションはどれか? それは以下のような感じだろう。長谷部アンカー、山口&柴崎のインサイドハーフで3センターを組み、バイタルエリアを埋める4-1-4-1だ。

     ◯岡崎

◯乾 ◯山口 ◯柴崎 ◯原口

     ◯長谷部

◯長友◯槙野◯吉田◯酒井(宏)

     ◯川島

 柴崎のかわりに大島もアリだが、柴崎はスペインでゾーンディフェンスを完全にマスターしている点(これが大きい)、またフィジカルが大島より強いだろう点で柴崎を選んだ。GKは経験を重視して川島で。

 敵のビルドアップの場面では、パラグアイ戦みたいに岡崎と柴崎が2トップの形で前に出て、ボールをキープする相手CBにプレスをかけてパスコースを制限する。これで相手ボールを狭いサイドに誘導してハメる。万一、縦パスが出たら山口、長谷部がカットする。

4-1-4-1は中盤の横幅を5人で守れる

  このフォーメーションは、中盤の横幅を5人で守れるのがキモだ。日本の選手は人に食い付いてサイドに引っ張られ、いちばん重要なバイタルエリアを空けてしまう傾向がある。で、中央を3センターで固め、真ん中が空かないようにする。相手ボールになって押し込まれたら、自陣に4-5の堅固なブロックを作って守備対応する。

 またこのフォーメーションは、両サイドハーフのポジショニングがキモだ。乾と原口が自陣に引いてくれば守備的に戦えるし、逆にチャンスの場面で彼らが高い位置に張り出せば攻撃的にもふるまえる。別に3バック(5バック)なんて使わなくても、このフォメなら攻守両面でかなり柔軟に戦える。また、もっと攻撃的にしたければ、山口のところに大島を使えばいい。

 まとめると、このフォメはどうしても負けられないゲームで使える。例えば引き分け含みで戦う必要がある初戦のコロンビア戦や、グループリーグが進み「ここで勝ち点1を取れば決勝トーナメント進出が決まる」というような試合で有効だ。

 こんなふうにフォーメーションとメンバーは、グループリーグがどんな経過で進むか? また、その試合の時点で日本は何勝何敗何引き分けか? によって千変万化する。なので、まだグループリーグが始まってもいないのに「ポーランド戦はこのフォメとメンバーで戦え!」なんて予想するのは実はナンセンスなのだ。

 でもおもしろいから、近いうちにその企画もやります(笑)

 どうぞお楽しみに。
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【西野ジャパン】これで本番スタメンは混沌か? 〜日本4-2パラグアイ

2018-06-13 06:41:38 | サッカー
レギュラー組との差なんてない

 サッカーにとって「ゴールとはいかに大切か」を思い知らされたゲームだった。得点はこれほど人を幸せにするものなのだ。

 パラグアイはいかにも「練習試合」てな緩い感じで厳しいプレスもなくインテンシティが低かったので参考外ではあるが……乾が2点、香川1点、柴崎のCKからのオウンゴール1点(半分は柴崎の得点みたいなもの)。理屈抜きに快哉を叫んだ試合だった。ただし、またセットプレイから2失点したのは大きな課題だが。

 フォーメーションは4-2-3-1。GKは東口。最終ラインは右から遠藤航、植田、昌子、酒井(高)。ボランチは柴崎と山口蛍。右WGが武藤、トップ下は香川、左WGは乾。ワントップは岡崎だ。

 試合は日本が最終ラインから丁寧にビルドアップし、ポゼッションして押し込んだ。ただしパラグアイは意図的に引き気味のカウンター狙いでやっていたので、いちがいに優劣は言えない。パラグアイがもっとガムシャラに来てくれれば日本との力関係がハッキリ判別できたが、まあ彼らのゲームプランなのでしかたない。

柴崎はセンスの違いを感じさせた

 さてスイス戦のスタメン組との最大のちがいは、全体にダイアゴナルな縦パスを積極的にぐいぐいつけてゴールに迫って行くところだ。本田が大好きな意味のないバックパスなどほとんどない。「前へ」のアグレッシブな息吹がひしひしと感じられた。明らかに今日のメンバーのほうがモチベーションが高い。一体感もあった。

 なかでもいちばん違いを感じさせたのは柴崎だ。試合開始たった5分で、縦パスのセンスが傑出していることが早くもわかる。他の選手とはボールスピードがまるで違うのだ。ズドン、と来る。

 とてもムリだと思える狭いところをよく通すし、突然とんでもない場所にサイドチェンジする。「えっ? あそこが見えてるんだ?」と視野の広さに驚かされる。この選手をスタメン出場させないなんて日本の損失だろう。

香川は本田を凌駕したか?

 ファーストディフェンダーとしての、岡崎と香川の守備のうまさにも感心した。パラグアイのビルドアップの局面になれば彼らが2トップの形になり、前へ出てボールを保持する相手CBに対しパスコースを切る。これで後ろは守りやすくなる。香川と本田の守備のレベルは天と地ほどの落差がある。

 乾の1点目を演出した香川のポストからの落としはすばらしかったし、乾の2点目を呼んだ香川のフリックも巧妙だった。本田より香川のほうがはるかに動きが軽快だし、これでトップ下の力関係も変わったのではないか? ただ西野監督は(日本サッカー協会上層部の命を受けて?)本田ありきでチームを作っているようなので、序列はきっと変わらないのだろう。やれやれ。

 そういう「悪の安倍政権」的なダークなところが、国民のワールドカップ熱がクールダウンしまくっている原因なのだが。

日本代表は本番で「気持ち」を見せてほしい

 一方、途中出場したGKの中村航輔も実にキビキビしたゴールキーピングで気持ちよかった。若い彼あたりをW杯本番で起用してやれば、意気に感じてバカ当たりしてラッキーボーイになりそうな予感がするのだが。西野さん、どうですか?

 あとはCBコンビも危なげなかったし、武藤のフィジカルも目を引いた。レギュラー組との差なんて、ないんじゃないだろうか? ただ遠藤航が(守備はいいが)攻撃に転じるとやや不自由そうにプレイしていたのと、乾と岡崎はやはりまだコンディションが厳しいか? とは感じさせた(ただし乾のシュートのうまさは相変わらずだが)。

 いずれにしろ、これで日本は勝ってワールドカップを迎えられる。たとえ海外列強と技術の差はあっても、ひたむきな走りの量と質、汗をかく泥臭いハードワークでなら「気持ち」を見せられるはずだ。日本代表の選手には、ぜひそんな見る者のハートをぶち抜く(下手でも)熱いプレイを期待したい。
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【西野ジャパン】パラグアイ戦に勝つ5つのコツ

2018-06-12 06:36:33 | サッカー
ピッチを広く使ってワイドな展開を

 まずパラグアイ戦の予想スタメンはこの記事に書いた通りだ。以下に再掲しよう。香川をトップ下に置く4-2-3-1である。このフォーメーションのポイントは、香川がスイス戦で壊滅的だった本田のポジションを奪う活躍ができるかどうかだ。

     ◯武藤(岡崎)

 ◯乾 ◯香川 ◯岡崎(武藤)

   ◯山口蛍 ◯柴崎

◯長友◯昌子◯植田◯酒井(宏)

     ◯中村航輔

 ただし上記はあくまで「予想」であり、「私が監督ならこの選手を選ぶ」という意味ではない。もし私が監督なら、すでに選手の見極めは終えている。本田や香川、宇佐美は選ばず、この記事で書いたように長谷部アンカー、柴崎&大島がインサイドハーフを務める4-1-4-1(下図)を選択する。で、パラグアイ戦ではこの固定メンバーにより熟成を高める。

      ◯大迫

◯原口 ◯大島 ◯柴崎 ◯武藤
 (乾)
      ◯長谷部

◯長友 ◯槙野 ◯吉田 ◯酒井(宏)

      ◯中村航輔

 さて今夜は最後のテストマッチ、パラグアイ戦である。いったい日本はどう戦えばいいのか? まず西野ジャパンの問題点は、すでにガーナ戦とスイス戦でほぼ出尽くしたと思われる。それらは以下の通りだ。この欠点を修正したい。

【西野ジャパンはここがダメだ】

1. ムダな横パスとバックパスが多い遅攻偏重。

2. 弱いグラウンダーのショートパスを多用する「劣化バルセロナ」化。

3. フィニッシュへ行かず、ボールを繋ぐこと自体が目的化している。

4. ジーコジャパンや悪い時のザックジャパンそっくりのスタイル。

5. 総評すれば、ガラパゴス化した日本式の「小さいサッカー」だ。

6. おそらく本田が現場監督になり、このサッカーを実質指揮している

7. 走らず、守備もしない本田と宇佐美は切るべきである。

 例えば上記1を修正するには、もっと縦パスを増やすことだ。2を直すには、ミドル〜ロングパスを織り交ぜ攻めのリズムを変える。3については遠目からでも積極的にシュートを打ちたい。5の修正策についてはリンク先を見てほしい。


パラグアイ戦はこう戦え

 では次はパラグアイ戦の具体的な戦い方へ行こう。まずはビルドアップからだ。スイス戦の日本は、頑なにグラウンダーのショートパスを使って最終ラインからビルドアップしようとした。で、縦のパスコースを切ったスイスの選手にこれを引っ掛けられ、カウンターを食らった。まずここを変えたい。

 ハリルジャパンで実証されたように、日本の最終ラインの選手はすでに正確なロングパスを前線につける技術がある。ならば使わないテはない。ボールを保持したCBの選手が、左右にワイドに開いた両ウィング(乾、武藤)の足元やウラに放射状のロングパスを入れたい。ピッチを広く使ったワイドな展開だ。

 念のためにいっておくが、これはアバウトな「放り込み」ではない。正確に前線の選手の足元やウラを狙う精度の高いロングパスだ。

 これによりパラグアイの前からのプレスを回避し(彼らの頭上を越すパスで)、まずミドルサードからアタッキングサードにかけたゾーンでボールをキープできるようにする。つまりミドル〜ロングパスを使い、まずサイドの高い位置でボールを保持し基点を作るわけだ。これでスイス戦のように、ビルドアップ時に低いゾーンでボールを奪われショートカウンターを食らうリスクはなくなる。

サイドを使ったフィニッシュを

 あとはサイドを使った攻撃だ。正確なクロスを入れてフィニッシュに行きたい。「本田ジャパン」のフィニッシュはグラウンダーのボールによる真ん中偏重。これを変えたい。

 よく「クロスを入れろ」と言うと、「いや日本人は身長が低いからクロスはムダだ」と否定する人がいる。だがクロスへの対応は必ずしも身長で決まるのではない。むしろポジショニングとタイミングが重要なのだ。

 なかでも特に有効なのは、敵の守備組織がまだ整ってないうちにアーリークロスを入れる攻めである。アーリークロスを入れれば、中で何が起こるかわからない。なぜならサッカーは手が使えないスポーツゆえ、入れたクロスボールを敵は手でつかめないからだ。

 つまりクロスからの一発でシュートを決められなくても、必ずゴール前でセカンドボール(こぼれ球)が発生する。これに俊敏に反応し、詰めてしまう。武藤や岡崎が得意なプレーである。

 こんなふうに敵の守備隊形が整わない速いタイミングでフィニッシュに行くのがキモだ。「本田ジャパン」のように、中盤でムダな横パスとバックパスを繰り返しボールをこね回すのでは、敵に「どうぞこの間に守備の組織を固めてください」というのと同じだ。まったくのナンセンスである。

敵のビルドアップを狙う

 次は守備へ行こう。例えば日本が攻撃し、アタッキングサードでボールを失ったとする。つまり攻から守への切り替えの局面だ。このとき日本はその場でプレスをかけるのでなく、縦のパスコースを切りながら敵の攻めを遅らせ、まずミドルサードまでリトリートしたい。そのほうがリスクが少ない。で、このゾーンにブロックを作り、あらためて組織的なプレッシングを行う。

 この場面では、パラグアイの最終ラインがボールをキープしているとする。ならば、まずパラグアイのビルドアップに対し、日本のワントップがボールを保持する敵のCBにプレスをかけてコースを限定する。つまりボールを奪うためのプレッシングではなく、相手最終ラインからの1本目のパスを制限するためのプレスだ。

 次いでトップ下の香川は敵CBからボランチへの縦パスを牽制し(彼はこのプレーが得意だ)、日本のワントップが中へのパスコースを切る。これで相手ボールをサイドへ誘導する。

 ボールをサイドへ追い込んだら、あとは同サイドの日本のSBが縦へのパスコースを切る。また同サイドの日本のWGとボランチが横のパスコースを切る。これで囲い込みが完成し、うまくハメることができる。

ボールサイドにスライドしろ

 一方、守備で気をつけたいのは、スイス戦でPKのきっかけになったようなミスだ。このとき日本の右サイドの酒井高徳が体を入れ替えられて抜かれ、そのあと吉田が対応しPKを食らった。つまり高徳が抜かれたら、もうカバーがいないのだ。

 そうではなく、酒井高徳がボールに正対している時点で、日本の選手はボールサイド(右サイド)へ順にスライドし、ボールサイドの守備を厚くしたい。これにより高徳が抜かれたときのカバーリングができる。要はゾーンディフェンスのキモであるディアゴナーレとスカラトゥーラが必要だ、というお決まりの問題になる。

 ただしA代表の選手選考でだれを選んでも即、これが自然にできる環境を整えるためには、育成年代から手をつけて50年かかる。現状、乾や柴崎などすでにマスターしている選手がチームメイトに伝え、急ごしらえでもやるしかない。

 最後に強調しておきたいのは、日本には汗臭いハードワークが絶対に必要だということだ。下手くそなら下手くそなりに相手より多く走り、泥のように粘り強く守り、カラダを投げ出してでもボールをゴールにねじ込む。どんなに苦しくても、「最後の1歩」を出す。

 そんな泥臭いサッカーで勝利をもぎ取ってほしい。
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【西野ジャパン】パラグアイ戦の予想スタメンはこれだ

2018-06-11 07:33:04 | サッカー
乾、武藤、香川、岡崎に注目

 西野監督は「パラグアイ戦では控え組をスタメンに使う」と明言している。とすれば、パラグアイ戦の予想スタメンは以下のような感じだろうか。香川をトップ下に据えた4-2-3-1だ。


     ◯武藤(岡崎)

◯乾 ◯香川 ◯岡崎(武藤)

  ◯山口蛍 ◯柴崎

◯長友◯昌子◯植田◯酒井(宏)

     ◯中村航輔


西野監督は選手を見る目がない

 はっきり言って、スイス戦で先発したレギュラー組より強いと思うが(笑)、まあそれだけ西野監督には見る目がないってことだ。西野監督は左サイドが本職の原口は、右サイドで使うと「別人」になり力を発揮できないことをわかってない。だから当ブログでは、レギュラー組の右WGにはしきりに武藤を推しているのだが……それはともかく。

 さてパラグアイ戦スタメンのポイントは、コンディションが心配された乾と岡崎、香川、酒井(宏)がどれくらいできるか? だろう。彼らがベストコンディションでチームに戻って来れば百人力だ。

 個人的にはメンタルの弱い香川は買ってない。だが、あの攻めを遅らす横パスとバックパスを繰り返し、動きが鈍重で走らないし守備も中途半端な本田などより、香川のほうがはるかにマシだ。香川にはぜひ本田を追いやり、レギュラーを取ってほしい。

岡崎と武藤は右サイドもできる

 一方、西野監督は岡崎と武藤が右サイドもできることをわかってないんじゃないか? 右サイドで持ち味を殺された原口より、岡崎か武藤の右サイドのほうがよほど破壊力がある。

 また岡崎はもしワントップに入ればファーストディフェンダーとして、中間ポジションを取って敵MFへのパスコースを消しながらボールを保持するCBにプレスをかけるのがうまい。

 例えば彼が中へのパスコースを切りながらプレッシングし、相手ボールを左サイドに誘導する。で、左サイドでは同サイドの長友が縦のパスコースを切り、山口蛍が横を切る。そして乾が後ろから囲んでプレスをかければうまくハメられる。岡崎を使えば、こうした前からの組織的な守備が実現できるのだ。

 またCBの昌子がどこまで復調しているかも見ものだ。ライバルの槙野はガーナ戦で意味のないファウル癖をまたぞろ出し、不安定さを露呈した。ゆえに昌子がベストコンディションで使えるとなれば選択肢が大きく広がる。植田に関しても同じだ。

 最後にGKだが、個人的にはメンタルの弱い東口より、若くビッグセーブがある中村航輔に期待したい。レギュラーの川島はデイフェンスラインとの連携ミスを繰り返し失点の原因を作っているだけに、パラグアイ戦で中村がファインセーブを連発すればレギュラー取りは十二分にある。がんばってほしい。
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【スイス戦】本田、宇佐美と心中する西野ジャパン 〜日本0-2スイス

2018-06-09 13:26:30 | サッカー
あれだけ攻めを遅らせては勝てない

 敵は守備隊形が崩れている。速いカウンターのチャンスだ。なのに日本はムダな横パスとバックパスを繰り返し、攻めを遅らせてしまう。かくて、その間に敵は守備組織を整えてしまい、日本の攻撃ははじき返されてしまうーー。ガーナ戦もまったく同じ展開だったが、この試合でもそんなシーンのオンパレードだった。

 典型的なシーンは前半31分にあった。ハイボールの競り合いのこぼれ球を大迫が拾う。スイスはまだ守備の態勢が整っていない。この時点では4対3で日本が数的優位だった。ここで速いカウンターをかければ一発で決まる。

 だがなんと日本はここから2~3メートルの弱い横パスを4本、バックパスを3本もムダに繰り返し、タテに速く攻めようとしない。ボールをつなぐことに夢中で、攻めが前に進まないのだ。

 結果、その間にスイスはどんどん選手が自陣に戻り、最後にはスイスは11人全員が自陣に引いた。繰り返すが、日本ボールにした時点では4対3だったのだ。日本はムダにボールをこね回し、スイスが守備の態勢を整えるのをわざわざ待ってやってから攻めている。

 で、そのうちにリトリートしてきたスイスの選手にがっちり守備ブロックを作られ、日本はそのブロックの外側で安全に横パスを回しているだけになる。こうなる前に、速く攻めたいのだ。どうタテに速く攻めるか? そのアイデアがない。単に「ボールを大事にして」横につないでいるだけだ。これでは勝てない。

 ポゼッション率だけが意味もなく高い、ゴールを目指さないサッカーだ。そう、この記事でも解説した、ガラパゴス化した日本式パスサッカーなのである。

 どうやら日本のサッカーは、ハリルが来日する前の姿にすっかり戻ってしまったようだ。現にハリルはこのありさまを見て、「もっとタテに速く」「速いカウンターをかけろ」と修正策を出したのだからーー。

 なぜ時計の針は戻ったのか? ハリルジャパン時代は縦に速かった日本代表は、なぜ弱い横パスとバックパスをムダに繰り返すようになったのか? 元凶はだいたい想像がつく。本田がチームメイトに「距離感」が大事だと触れ回り、遅攻をやろうと洗脳したのだろう。

 オシムは「腐ったリンゴを取り出さなければ、周囲のリンゴも腐ってしまう」と言った。かくて日本代表はオシムが予言した通りになったわけだ。

 腐ったリンゴだらけのこのチームに未来はない。まずやるべきことは、足元にばかりボールを欲しがり、走らず守備もしない本田と宇佐美を切ること。そして以下の修正策を講じることだ。

【日本を救う6つの対策】

1. ムダな横パスとバックパスをなくす。

2. カウンターのチャンスには、相手の守備隊形が整わないうちに速く攻め切る。

3. グラウンダーの弱いショートパスを減らす。

4. 放射状のミドル〜ロングパスで、ピッチを広く使ったワイドな展開をする。

5. フィールドを斜めに横切るダイアゴナルな長いサイドチェンジをする。

6. 柴崎と大島をインサイドハーフ、武藤を右WGで3人同時にスタメンで使う。フォーメーションは長谷部アンカーの4-1-4-1。

 なお4バックの守備は、ガーナ戦の3バックよりはるかにマシだった。もはや時間がない。3バックはきっぱり捨て、トレーニングの時間を4バックによる連携の熟成に集中させるべきだ。それしかない。
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【西野ジャパン】まず守備の「原則」を決めろ

2018-06-08 09:15:34 | サッカー
どこからプレスをかけるのか?

 報道によれば、合宿中の選手たちから口々に「どこからプレスをかけるのか?」という言葉が発されている。ジーコジャパンの時代からエンエンと繰り返される、日本にとっての永遠の課題だ。

 だがこのお題は実は永遠でもなんでもない。守備の原則を知っていればカンタンに解決できる。まずザックリ2つのケースに大別して考えてみよう。

 ひとつは、自分たちがボールを失った瞬間にその場でかけるプレッシングだ。そしてもうひとつは、局面が落ち着いて敵が最終ラインからビルドアップしようとしているときにかけるプレッシングである。

 前者の場合、ボールを失った場所はそのときによって違うのだから、当然、どこからプレスをかけるのか? もケースバイケースになる。

 例えばアタッキングサード(前線)でボールを失った場合、守備対応はこれまた2つに分類できる。ひとつはブロックの高さを変えず高い最終ラインを保ったまま前線からプレッシングするケース。いわば「攻撃的な守備」である。ただしラインが高く背後に広大なスペースを抱えているぶん、リスクはある。

 一方、もうひとつの対応は、ボールを失ったアタッキングサードでプレスをかけ始めるのでなく、縦へのパスコースを切りながら自分たちの守備ゾーンへとリトリート(後退)し、まず守備の隊形を整えるやり方だ。こうして守備組織を整えてから、組織的なプレッシングを開始する。

 この場合、ミドルサード(ピッチの真ん中)へ後退し守備ブロックを作るケースと、ディフェンディングサード(自陣ゴール前)までリトリートする2パターンがある。

敵のビルドアップへのプレスは?

 では局面が落ち着き、相手チームが最終ラインからビルドアップしようとしているときにかけるプレッシングの位置はどうか? ご推察のとおり、これはボールを失い守備に回った自分たちのチームが「どこまでリトリートしたか?」によって決まる。

 例えばミドルサードへ後退した場合、ボールを保持した敵CBに対し、自軍のFWがミドルサードの敵陣側からプレッシングを開始するのがふつうだ。このときFWとMF、DFが協力し組織的にプレスをかけ、自分たちがボールを奪いたいゾーンへ相手ボールを誘導してハメる。

 以上、ボールを失ったその場でプレスをかけ始めるのか? それともリトリートするのか? リトリートするならどのゾーンまでか? これらの原則は監督が決めることだ。「うちのチームはこれで行く」。それがそのチームの守備のコンセプトになる。

 もちろんケースバイケースで選手が状況に合わせて臨機応変に対応すべき局面もあるが、基本的には以上の守備の原則は西野監督がきっちり決めておくべきだ。そこのオーガナイズがなければサッカーにならない。
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【西野ジャパン】頼むからこのスタメンで行ってくれ

2018-06-07 13:06:40 | サッカー
選手とシステムの見極めは終わった

 ガーナ戦で選手とシステムの見極めは終わった。いったいだれが戦える選手なのか? だれが守れるのか? あの試合を見ればもう十分だろう。その結果、決定したスタメンは以下の通りだ。攻撃的にやる場合、守備的にもできる場合、の2パターンを挙げておく。以下、どの選手も攻撃だけでなく守備の意識も高い。頼むからこれで行ってくれ。

【パターン1】(攻撃的)

     ◯大迫

 ◯原口 ◯柴崎 ◯武藤
 (乾)

   ◯長谷部 ◯大島

◯長友 ◯槙野 ◯吉田 ◯酒井(宏)

      ◯川島


【パターン2】(守備的にもやれる)

      ◯大迫

◯原口 ◯大島 ◯柴崎 ◯武藤
 (乾)
      ◯長谷部

◯長友 ◯槙野 ◯吉田 ◯酒井(宏)

      ◯川島


 まずシステムに関しては、この短期間で3バックを極めるのはやはり無理だ。ただでさえ時間がないのに3バックのトレーニングのためにムダな時間を費やされてしまう。

 そこでスタメンは上記の4バック(4-2-3-1、または長谷部アンカーで柴崎と大島がインサイドハーフの4-1-4-1)で行き、守備時には自陣に4-5のブロックを敷く。

 このうち【パターン2】の4-1-4-1はアンカーの長谷部とインサイドハーフの柴崎、大島による3センターでバイタルエリアを埋められるメリットがある。また両SHが前線に上がれば攻撃的にでき、逆に両SHが引けば守備的にもやれる融通の利くフォーメーションだ。

 これで試合の途中にもしどうしても3バックに変えなければならない状況(例えば相手が2トップのときや、リードして5バックに変え守備的にし逃げ切りたいとき等)になったら、3バックに可変する。

 すなわち【パターン1】から、長谷部を1列下げてリベロにし、代わりにトップ下の柴崎をボランチに下げて3-4-2-1に。あるいは【パターン2】から同じく長谷部を1列下げてリベロにし、柴崎と大島がダブルボランチを組む。これで3-4-2-1になる。

 一方、選手起用に関しては、アグレッシブな武藤とアイデア豊かな柴崎、大島を同時にスタメン起用するのがキモ。走らず守備ができない本田と宇佐美、大舞台でメンタルの弱さが憂慮される香川は使わない。

 もしこの3人を使うとすれば、リードされてどうしても点がほしいときだ。その場合、本田は中盤でなくCFとして、また宇佐美は左SH、香川はトップ下で使う。一方、守備のうまい岡崎のコンディションがもし戻れば、リードして逃げ切りたいとき途中起用するワントップのカードとして使える。

 大丈夫、これで日本はグループリーグを必ず突破できる。
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【西野ジャパン】どんなサッカーをするのか見えない

2018-06-06 08:30:49 | サッカー
危惧される「自分たちのサッカー」化

 西野ジャパンはいったいどんなサッカーを志向しているのか? 西野監督のコメントを読んだり、初戦のガーナ戦を見たりしてもさっぱり方向性が伝わってこない。

 例えば(1)自分たちが試合を支配しようとするサッカーなのか? それとも(2)相手にボールを持たせてカウンターを狙うサッカーか? あるいは(3)状況に応じてそれらを使い分けるハイブリッド型なのか?

 西野監督は「W杯では主導権を握られることが多くなる」と言い、3バック(5バック)をオプションにしようとしている。とすれば(2)なのか? とも思う。だが本田や香川を重用し、中盤を重視してボールをつなぐことを目指している点を見ると、(1)なのか? とも感じる。なんだかジーコジャパンやザックジャパンの匂いがする。

 要するに、監督自身が「これで行く」という方向性が定まっていないのだろう。

 現に「西野監督は選手の自主性を尊重している」「選手の聞き役に回っている」などと盛んに報道されている。「本田のリーダーシップは頼もしい」とも発言している。

 そこから推察すると、おそらく内部的には例によって本田が政治力を発揮し監督を取り込んで実権を握り、チームメイトと監督をオルグした上で、弱いショートパスを足元でばかりつなぐ(本田が大好きな)「自分たちのサッカー」をやろうとしているのだろう。

 この記事で指摘したように、本田が実権を握ろうとする気配はハリルジャパンの頃からあった。だが一部報道であったようにハリルと激論になり、クーデターは否定されたのだろう。

 で、監督がナアナアの日本人に変わり、いま着々と「本田ジャパン」化が進んでいるのではないか? よくも悪くも自分がない西野氏が監督になり、その環境が整ってしまったのだろう。

 だが本田だけが気持ちいい、本田が生きる本田のためのサッカーを見せられるのでは、たまらない。

 願わくば柴崎と大島には、ピッチ上のプレイで「おれたちが中心だ」ということを示してほしい。いや、誰々が中心、などというサッカーはもう古い。そうではなく柴崎と大島がゲームの流れを作り、彼らのプレイで「自分たちのサッカー」を吹っ飛ばしてほしい。

 足元だけでつなぐ弱いショートパスばかりの「小さいサッカー」でなく、ウラを突く鋭いスルーパスやフィールドを斜めに横切るロングボールで自在にサイドを変え、ボールスピードの速い中長距離のパスを駆使してピッチを広く使ったワイドな展開で試合を決定付けてほしい。

 今度のロシアW杯では、そんなサッカーが見たいと強く願っている。
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【西野ジャパン】中島翔哉が代表に選ばれない「本当の理由」

2018-06-04 08:07:22 | サッカー
はき違えた「組織性」が排除の論理を生む

 日本人はとかく集団でコトに当たろうとする。そのため「日本人は組織的だ」とよく言われる。それが日本人の長所だとされる。ゆえに「日本人らしいサッカーをめざせ」という場合の筆頭に上がってくるのがこの組織性である。サッカー日本代表・西野監督の言動を見ればよくわかる。

 だがその組織性なるものは、実は大きな弊害と裏腹の関係にある。組織性は裏を返せば「自分がやらなくても誰かがやるだろう」という、誰も責任を取らない無責任体制=甘えの構造を生むのだ。

 例えばゴール前なのに、自分でシュートせず他人にパスしてしまう責任回避行動が典型だ。また「ゾーンディフェンスでやろう」と言った瞬間に「自分がやらなくても誰かが見るだろう」と責任の所在があいまいになり、結局最後の1対1が甘くなり守備が決壊するのも同じ構造。ついでにいえば、戦争責任を「誰かが取るだろう」といってだれも取らないのも底流では同じだ。

中島翔哉は日本人らしくない?

 その意味ではゴール前で「自分が責任を取る」ポルティモネンセの中島翔哉は、極めて「日本人らしくない」珍しい選手のひとりである。

 ゆえに「日本人の長所は組織性だ」と高邁な主張をする代表監督は、「ポリバレントじゃないから」などというわけのわからない理由をつけて彼を日本代表に選ばない。いや実はポリバレントなんて取ってつけた理由であり、監督が彼を代表に選ばない真の理由は、自分で責任を取る中島は「日本人らしくない」からなのだ。

 ゴール前で他人のことを考えてパスしてあげる「強調性」「組織性」が日本人の「長所」なのに、そこでシュートしてしまう中島は空気が読めず「組織を乱す人間だ」と捉えられてしまう。

 忖度して他人に「ボールを回してあげない」中島は、「エゴイスティックだ」「日本人らしい強調性がない」と異物扱いされ排除されてしまう。実はサッカー日本代表がいつまでたっても強くならない最大の理由がここにある。極めて深刻な問題である。

日本人の「個の弱さ」は組織性と裏腹だ

 ここ数年、「日本人は個が弱い」という問題がずいぶんクローズアップされている。だがこの場合の「個」とは、何もドリブルで敵を抜く個人技や、日本人が苦手なフィジカルの問題だけを指すのではない。

「他人任せでなく自分がやるんだ」「おれがシュートを決めて勝つんだ」という独立心旺盛な「自決型」のメンタル=精神性のことも「個」と呼んでしかるべきはずだ。つまり日本人は「俺らの長所は組織性だ」などといって、空気を読み他人を忖度してばかりいるから、いつまでたっても「個」が弱いのだ。

 サッカーに限らず、「日本人の長所は組織性だ」などというリーダーは強い日本人を作れない。

 今後は日本代表の強化指針の第一項目に、「空気を読まず忖度しない選手を育てる」という一文を大書して入れるべきであることはいうまでもない。
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【裏・西野ジャパン】武藤、柴崎、大島を生かす可変システムで勝て

2018-06-03 08:48:44 | サッカー
柴崎と大島の縦パスが局面を打開する

 虎は死んで皮を残すというが、ポジティブに考えれば西野監督は武藤と柴崎、大島の3人をワールドカップという舞台に送り出しただけでも価値はあった。柴崎と大島が急所をえぐる縦パスを出し、前線で武藤がカラダを張るーー。実際、チームが低調なパフォーマンスに終始したあのガーナ戦でも、彼ら3人の存在感は傑出していた。

 ならば日本が勝つためのキモは、攻撃力があり、かつ粘り強い守備もできる大迫と武藤、原口、柴崎、大島、長谷部を中盤から前線にかけて同時起用することだ。そうすればメンバー交代なしでも点がほしいときには前がかりになるだけでゴールを狙えるし、逆にリードして逃げ切りたいときには全体が引き気味でやればいい。西野監督の口グセの「対応力」のある戦い方を実現できる。

 例えば、彼らを最大限に生かした布陣は以下の通りだ。

【3-4-2-1】

             ◯大迫

      ◯原口         ◯武藤



   ◯長友   ◯大島   ◯柴崎   ◯酒井(宏)


        ◯槙野      ◯吉田

             ◯長谷部


             ◯川島


 長友と酒井(宏)による縦への攻撃力をフルに活かせる3バック・システム。ボールを保持したリベロの長谷部は、2シャドーの原口や武藤に正確な放射状のロングパスを出せる。加えてこのフォーメーションの優れた点は、試合展開に応じてリベロの長谷部が1列上がりアンカーに変身すれば、以下の図のように大島、柴崎をインサイドハーフとし前線がワイドに開く4-3-3へカンタンに変化できることだ。

 例えばもし対戦相手が1トップでくれば、日本のCBは2枚でいいからリベロの長谷部が前へ出てアンカーを務める。あるいは試合の立ち上がりは極力失点しないよう3バック(5バック)で慎重に入り、もし日本が先に失点して点がほしい局面になれば4-3-3に変化する、という考え方もできる。このように相手の戦い方や戦況に応じて柔軟に対応できる点が魅力のフォーメーションだ。


【4-3-3】

             ◯大迫
    ◯原口               ◯武藤

          
     
         ◯大島    ◯柴崎


             ◯長谷部

    ◯長友                ◯酒井(宏)

         ◯槙野    ◯吉田


             ◯川島


 最上段に挙げた3-4-2-1から、リベロの長谷部が1列上がり他の選手が4バックを形成する可変システム。こう変化すれば長谷部がアンカー、大島、柴崎がインサイドハーフを務める3センターを組める。これならバイタルエリアが空きにくく、かつ大島と柴崎がより攻撃的にプレイできる。

 ガーナ戦では、前線でポストになる大迫への縦パスのコースを2シャドーがふさいでしまっていた。だが両ウイングがワイドに張るこのフォーメーションなら、3センターとワントップ間が直通のホットラインで結ばれる。これで相手ボールになれば大島と柴崎が敵の中盤の選手をチェックし、そこから後ろにこぼれてくる敵を長谷部がスイープする。


【4-1-4-1】

            ◯大迫
           

   ◯原口   ◯大島   ◯柴崎   ◯武藤


             ◯長谷部

    ◯長友               ◯酒井(宏)

         ◯槙野   ◯吉田


            ◯川島


 上で挙げた3-4-2-1や4-3-3は、この4-1-4-1にもカンタンに変化できる。このフォーメーションのカギはSHだ。守備に回れば原口、武藤の両SHが上下動して相手SBのオーバーラップや敵SHを牽制する。逆に日本のボールになればSHが前へ出る。SHの運動量しだいで攻撃的にも守備的にもなる柔軟な形だ。スタミナがありアグレッシブな原口と武藤なら十分に機能するだろう。


【4-4-2】

         ◯武藤   ◯大迫


  ◯原口                 ◯岡崎(柴崎)


        ◯長谷部   ◯柴崎(大島)


   ◯長友                 ◯酒井(宏)

         ◯槙野   ◯吉田


            ◯川島


 この武藤と大迫の2トップも魅力だ。ちなみに冒頭にあげた3-4-2-1も、前線にいるワントップ2シャドーの3枚をトップ下+2トップに組み替えれば2トップは実現できる。武藤はポストプレイもできるので、武藤がクサビのボールを落として大迫がシュートに行く(その逆もありえる)相互補完の関係が成立する。大迫が下がってボールを受け、右サイドの機敏な岡崎が裏抜けを狙ってもいい。あるいは長谷部と大島をボランチで組ませ、柴崎を右サイドで使うテも有力だ。

 もし敵にボールを奪われ、相手が最終ラインからビルドアップしようとする局面になれば、敵の2CBに武藤と大迫の2トップがプレスをかける。ワンサイドカットしかできないワントップとくらべ、2トップなら相手の2CB同士の横パスも牽制できるため前からハメやすい。


【4-2-3-1】

            ◯大迫


   ◯原口(宇佐美)   ◯柴崎(香川、本田)   ◯武藤


        ◯長谷部    ◯大島(柴崎)

  ◯長友                 ◯酒井(宏)

         ◯槙野   ◯吉田


            ◯川島


 オーソドックスだが、ハリル時代に慣れ親しんだ4-2-3-1を組むならこういう感じ。本田は(中央での守備の不安はあるが)右サイドよりトップ下のほうが明らかにいい。香川もトップ下がいちばん得意なので2人は排他起用になる。本田と香川を同時に起用すると、たちまち「自分たちのサッカー」を繰り広げるので危険なのだ(笑)

 要するに問題は、西野監督が選んだ本田、香川、宇佐美という足元でばかりボールを欲しがる使いにくい3枚のコマをどう生かすかだ。彼らを起用するなら、例えばリードされて点がほしいときに大迫に代えて本田をCFで途中投入し、宇佐美、武藤の両WGと組ませる3トップはありえる。

 逆に試合の頭から引き分け含みで戦うとき(例えばコロンビア戦)や、日本がリードし残り時間を守備的にやりたい場合には前線に岡崎を途中(または先発)起用する。岡崎はスピードのある裏抜けができるほか、ワントップでの守備に回れば中間ポジションを取り相手MFへのパスコースを切りながらボールを保持する敵CBにプレスをかけるのがうまい。守備の芸術家だ。

 なお、ゾーンディフェンスは苦手だが対人プレイにはめっぽう強い山口蛍を、ハメス・ロドリゲスやマネ、レバンドフスキら相手のエース封じにマンマークでつけるという考え方もありえる。

 まとめると、裏・西野ジャパン最大のキーマンは可変システムの核になる長谷部だ。そして彼の周囲ではイキのいい武藤と柴崎、大島がアーティスティックに攻撃のタクトを振る。2トップにすれば大迫と武藤の共演も見ものだ。

 どうです?

 日本はぜんぜん負ける気しないでしょ?
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【ロシアW杯】これ、いい記事だね。感動して涙が出た

2018-06-02 13:01:21 | サッカー
これ、いい記事だね。

感動して胸が熱くなった。

もちろん、応援するさ。
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【ガーナ戦&ロシアW杯メンバー発表】チャンスをふいにする遅攻のオンパレード 〜日本0-2ガーナ

2018-05-31 16:21:46 | サッカー
つまらないミスから2失点

 負けたが結果は関係ない。この西野ジャパンという急造チームに超短期間で3バックを作りガーナに勝て、というのは罰ゲームに等しい。とはいえ日本が点を取れないことはこれでよくわかっただろう。より守備を重視して極力失点しない慎重な試合運びをすべきだ。でないと本番では「勝ち点1」すら取れない。一方、31日に発表されたロシアW杯メンバー32名からは井手口と浅野、三竿が落選した。

 結論から先に言えば、ガーナ戦の日本はつまらないミスから2失点して負けた。1失点目は前半8分、槙野のファウルによるFKを決められたもの。槙野はなぜあんなゴール近くで意味のないファウルをするのか? 彼はハリルに仕込まれて無駄なファウルは減ったはずだが……試合を壊した失点だった。

 2失点目は後半6分。ガーナのゴールキックから中盤で競ってこぼれたボールが日本のライン間にいたガーナの選手に間受けの形で渡り、そこから日本のライン裏に浮き玉のラストパスを出された。

 あわてたGK川島がこれに飛び込みPKを取られたが、川島はまったく飛び込む必要などなかった。また間受けしたガーナの選手には大島が下がってついておくか、長友が中に絞ってマークしておけば防げた失点だった。

 こういうムダな失点をひとつひとつ無くして行く。粘り強く守る。いまの日本がロシアW杯で一定の成績を収めるためには、それしかない。

新ネタの3バックは形になったか?

 急造の3バックは思ったよりマシだった(もっと酷いと思っていた)。ただ日本のビルドアップの場面では、ガーナはワントップなのだから日本のCBは2人でよかった。ならばリベロの長谷部は一時的に一列前に上がるなど、「後ろは3枚」という固定観念にとらわれず相手の対応を見て臨機応変にポジショニングしてほしかった。また3バック自体にしても、ビルドアップのときには両側の2CBがもっとサイドに開いてパスコースを作るべきだ。3人の距離が近すぎた。

 一方、ガーナによる最終ラインからのビルドアップに対しては、ワントップの大迫がミドルサードの敵陣側にポジショニングしてタテを切った。そしてダブルボランチと2シャドーが横一列になり、同様にタテへのパスコースを消していた。

 一方、敵に押し込まれると自陣に5-4のブロックを作る時間帯があったが、ライン設定が低すぎるシーンもあった。また事前合宿での情報では「極力5バックにならないようにする」という話だったが、方針変更したのだろうか? よくわからない。個人的には5-4のブロックを作ることには賛成だが、よく意思統一しておいてほしい。

 またこの日は前半の3-4-2-1のほかに3-4-1-2や4-4-2などのフォーメーションを試したが、2トップに変えれば前への推進力が増すことがわかった程度で、どれも「形になった」とまではいえない。とはいえ2トップは攻撃だけでなく、守備における前からのプレッシングの意味でも捨てがたいオプションといえる。3バックだけでなく、2トップもさらに熟成させてほしい。

ショートパスをこね回す遅攻ふたたび

 総評すれば、「また昔のショートパスをこね回す遅攻のチームに戻ったな」という印象だ。それを「日本らしい」というなら、もはや皮肉にしか聞こえない。特にゴールへ向かう強い求心力がなく、ボックス外だがそこで短くドリブルしてシュートを打ってほしい局面なのにパスしてしまう。「自分で」「前へ」の積極性がない。

 日本はせっかく速いカウンターのチャンスなのに、いったんバックパスして攻めをスローダウンさせてしまう。で、完全な遅攻オンリーと化す。そのうちにせっかくあったスペースを埋められ、2〜3メートルの弱いショートパスを足元につなぐことしかできなくなる。「劣化バルセロナ現象」である。この繰り返しで攻めに変化がなくリズムがまったく同じ。緩急がない。あれでは日本の遅攻にすっかり目が慣れた敵の陣形を崩せない。

 後半にともに途中出場したFW岡崎がウラのスペースへ鋭く走り込み、柴崎がそこへ速いスルーパスを出すシーンはあったが、全体としてそんなタテへの速さは数えるほど。特に本田はえらく動きが鈍重で、フラフラとよく倒れる。敵にボールを奪われるだけの鈍いドリブルと、攻めを遅らせるバックパス、横パスを繰り返してばかりいた。西野監督は本気であのコンディションの本田をW杯へ連れて行く気なのだろうか?

 それとは対照的に途中起用されたFWの武藤はキレのよさとアグレッシブさ、鬼プレスが目を引いた。ハリルジャパン時代には速攻カウンターの起点として、前に張った大迫に奪ったボールをまず預ける速い縦パスがチームの「攻めのスイッチだ」という共通理解があった。だがカウンターをやめた西野ジャパンではその機能がなくなり、大迫は前線で孤立気味になり位置づけが曖昧になっている。であれば、よりゴールに迫る個の力がある武藤の起用(1トップか2トップでの)も考えていいのではないか?

ロシアW杯メンバー23名の最終発表があったが……

 このほか選手別では、ボランチの大島はいい縦パスを出していたが、ボールの競り合いになるとデュエルが弱くインテンシティが低い。そこが彼の大きな課題だろう。一方、途中出場したボランチの柴崎はセンスがピカイチで局面を打開する魅力にあふれていた。

 左ウイングバックを務めた長友はキレキレでコンディション、メンタルともに上デキ。ひょっとしたらキャリア最高値ではないか? 彼を生かしたい。対照的に酒井高徳のボールを持ったときのあわてぶりは目も当てられないが、DFは人数の関係で彼もW杯メンバーに選ばれている。

 レギュラー確定と見られていた山口蛍は、何度もリスキーな横パスとバックパスを繰り返して狙われていた。非常に不安定だ。またコンディションが心配された若手の井手口は最終メンバーから外れた。彼は致命的なバックパスをした以外はボール奪取力、組み立てともに見るべきものがあり、落選は果たしてどうだろうか?

 一方、途中出場した香川と岡崎は「気持ち」は感じられたがコンディションがどうか? 香川は冴えたサイドチェンジとプレッシングで「おっ」と思わせたが、そのうちに試合から消えてしまった。かたや岡崎はウラへの飛び出しが光ったが……。とはいえベテランの経験重視な西野監督のこと、両者ともW杯メンバーに選ばれた。

 3年間かけてハリルが進めた若手への世代交代だったが、今度の新監督は日本人らしい保守性と無難さで時計の針をまた一気に巻き戻した。たとえ満足な結果は残せなくとも、せめて「未来」に向けた光のあるロシアW杯にしたかったが……。
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【ロシアW杯】策士・西野監督に見るメンタルコントロールの妙

2018-05-29 05:42:06 | サッカー
沈滞ムードを吹き飛ばした3バック

 ほんの十数日前、日本代表には重い沈滞ムードが垂れ込めていた。

 ハリルが解任され、さまざまな陰謀説がメディアを賑わせる。暗い話題ばかりが世間を覆い、しかも本番であるロシアW杯まではもう間がない。

「万事休すか?」

 そんな重苦しい空気が日本中に満ちていた。

 そこに西野監督が持ち出した飛び道具が、3バックだった。

 馴染みのない、新鮮な「素材」を世間に提供することで、人々の興味を惹く。それって何だ? いったいどんな戦い方をするんだろう? 日本は勝てるのか? 3バックとシャドーを含む新システムの採用で目先を変え、世の中の流れをすっかり変えた。

 暗い要素にばかり反応しがちだった人々のアンテナにはたちまちエネルギーが宿り、新戦術に好奇心をかき立てられた。また再び勝つための意欲が日本中に満ちてきた。

 これだけ短期間で地に落ちた多くの人々のメンタルをプラス方向に誘導した例は、歴史上でも珍しいのではないか? メディア・コントロールがうまかった点も含め、危機管理的な視点から西野監督を見ればまさに天才的な策士といえる。

 おそらくシャドーの採用も、愛弟子・宇佐美のもつ攻撃力を最大限引き出すためだ。西野監督に引き立てられた宇佐美も、心中、胸に期するものがあるだろう。「よし、やってやろう」とメンタルが躍り上がる。これで当の宇佐美が点を取りまくって日本が勝てば、西野監督は稀代の名将として歴史に名を刻むことになる。

 今後はガーナ戦、スイス戦、パラグアイ戦という強化試合が控えているが、すべては本番のための単なるテストにすぎない。仮にこの3戦で悪い結果が出たとしても、「本番前に日本の課題がしっかり把握できた」「これで欠点をキッチリ修正できる」と喜ぶべきだ。練習試合でいくら負けようが、W杯本番で勝てばだれも文句は言わない。

 運命のロシア・ワールドカップまでは、もうすぐそこだ。
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