すちゃらかな日常 松岡美樹

すちゃらかな視点で世の中を見ます。

【カタールW杯2次予選】前半の日本は眠っていた ~タジキスタン0-3日本

2019-10-16 07:34:32 | 日本サッカー
控え組の起用で層の厚いチーム作りを

 タジキスタンは過度に引いて守るわけでもなく、真っ向勝負を挑んできた。彼らは特にアタッキングサードで鋭く、日本のニアゾーンへのフリーランニングで好機を生んだ。おかげで日本は何度か危ないシーンを作られた。GK権田がファインセーブで防いだが、失点しなかったのはラッキーだった。

 特にタジキスタンはカウンターの形になるとチャンスを作った。彼らは俊敏性とアグレッシブさがある闘志豊かなチームで、日本は特に前半はむずかしかった。前半の日本は切り替えが遅く、集中力を欠いているかのようなぼんやりした戦いぶりだった。

 日本のフォーメーションは4-2-3-1。スタメンはGKが権田。最終ラインは右から酒井宏、植田、吉田、長友。セントラルMFは柴崎岳と橋本。2列目は右から堂安、南野、中島。ワントップは鎌田だ。

後半の日本はワイドな展開でスペースを作った

 前半、ペースをつかめなかった日本は、後半に修正してきた。後半の日本はワイドな展開を心がけ、敵を横に広げさせて攻めた。これでスペースができた。特に日本はダイアゴナルな長いサイドチェンジが利いており、日本にもやっとああいう大きな展開をするサッカーが定着したかと感じた。

 ワントップで試合に入った鎌田は、途中からトップ下の南野とポジションチェンジしてからお互いによさが出た。特に南野は後半に2ゴールし、ゴール前での嗅覚を見せつけた。南野の勝負強さは頼もしい。

 また一方の鎌田も下がり目になってボールをよく引き出してポイントを作るなど、明らかにトップ下のほうが特徴を生かせる感じだった。

 日本は前線でのポストワークでタメを作ってくれる大迫の控え探しが難しいが、鎌田に大迫の機能をそのまま求めるのは無理があるだろう。というわけでこの難題は課題としてまた持ち越しになった。

右SB酒井のクロスに目を見張る

 驚かされたのは右SBの酒井宏樹だ。後半11分には右サイドから彼が速いグラウンダーのクロスを入れ、南野の2ゴール目をアシストした。それだけでなく後半37分には今度は山なりのクロスをファーにいた途中出場の浅野拓磨に合わせた。この試合での酒井はクロスの質が傑出していた。

 選手交代に関しては、堂安があまりよくなかったので久保と早めに替えてもよかった。というか、久保にはもっと長い時間プレーさせるべきだろう。また後ろの選手ではGKシュミット・ダニエルと畠中槙之輔、安西幸輝がもっと見たい。

 以前から繰り返し書いているが、相手が弱いアジア2次予選はガチガチのメンバーで行く必要はない。控えの彼らを積極的に使い、層の厚いチーム作りをめざすべきだろう。
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むなしい戦い、W杯アジア2次予選

2019-10-12 05:38:36 | 日本サッカー
 相手チームが高校生レベルのW杯アジア2次予選なんて、観ても意味ないし時間の無駄だ。

 というか、モンゴル戦はすっかり観るのを忘れていた(笑)

 日本代表の公式戦で、こんなことは初めてだ。やれやれ。

 次のタジキスタン戦は、なんとかガマンして観よう。
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【CL 2019/20】アンチェロッティ、してやったり E組・第1節 ~ナポリ 2-0 リバプール

2019-09-18 09:36:22 | 海外サッカー
攻守の切り替えが速い好ゲーム

 UEFAチャンピオンズリーグ(CL)は各地でグループリーグが開幕した。E組のナポリ対リバプール戦は内容的には接戦だったが、ナポリがPKとパスカットで2点を上げてラッキーな快勝をした。

 両チームともプレースピードとボールスピード、攻守の切り替えが非常に速く、息もつかせぬスペクタクル劇が展開した。これぞCL、という白熱した極上のエンターテインメントだった。

 ナポリのフォーメーションは守備時4-4-2、攻撃時3-4-3。スタメンはGKがメレト。最終ラインは右からディ・ロレンツォ、マノラス、クリバリ、マリオ・ルイ。セントラルMFはアランとファビアン・ルイス。SHは右がカジェホン、左がインシーニェ。2トップはメルテンスとロサーノだ。

 一方、リバプールのフォーメーションは4-1-2-3。スタメンはGKがアドリアン。最終ラインは右からアレクサンダー・アーノルド、ファン・ダイク、マティプ、ロバートソン。アンカーはファビーニョ。インサイドMFは右がヘンダーソン、左がミルナー。3トップはサラー、フィルミーノ、マネだ。

激しいプレッシングとカウンターの応酬

 ナポリはビルドアップ時に左SBのマリオ・ルイが高い位置を取り、最終ラインの残り3枚が左へスライドして3バックを形成する。両SHのインシーニェとカジェホンは互いにバランスを取るつるべの動きをし、片方が最前線に上がり3トップのWG化すれば、他方が引いてSHを務める。

 特に守備の際インシーニェは、時には最終ラインに入って左SBのカバーリングまでこなす。非常に運動量が多い選手である。また最前線のメルテンスは、攻撃時には適宜、中盤に下りてゲームメイクもする。

 これでナポリは攻撃時には3-4-3に可変し、ショートパスをつなぎながら目まぐるしくボールを動かして攻める。他方、守備時には美しい4-4-2になる。

 一方、リバプールのビルドアップは両SBを高く上げ、2-5-3のような形で攻める。ナポリのビルドアップに対しては、3トップが激しくハイプレスをかけ組み立てを壊そうとする。

 かたやナポリもそれは同じで、時にはインシーニェが1列上がった3トップの形でハイプレスをかけてハメようとする。プレッシングサッカー信者にはこたえられない展開だ。

2つのミスが勝敗を分けた

 試合が動いたのは後半37分。リバプールのロバートソンがボックス内でカジェホンを倒し、ファウルを取られてPKに。キッカーのメルテンスは冷静にゴールへ沈めた。

 続くナポリの2点目は後半47分だった。ファン・ダイクの迂闊なバックパスを途中出場のジョレンテがダイレクトでさらい、右足で鮮やかに決めた。

 かくて激しいカウンターの応酬になったオープンな好ゲームは、2回のミスで2ゴールが決まって終わった。力が拮抗している試合はミスで決着がつく。そんな法則を絵に描いたようなゲームだった。

 アンチェロッティはしてやったり。晩酌の1杯はさぞかし美酒だろう。
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【プレミアリーグ】ノリッジのコレクティブ・カウンターが炸裂する 2019-20/第5節 ~ノリッジ 3-2 マンチェスターC

2019-09-16 08:40:32 | 海外サッカー
シティは圧倒的に押し込むが……

 立ち上がりからマンチェスター・シティは圧倒的なポゼッションで、昇格組のノリッジを自陣に押し込んだ。だがいつもと違いスムーズにボールを運べない。

 これでひとたびシティがボールを失うと、前線に次から次へと人が湧き出してくるノリッジのコレクティブ・カウンターが炸裂。3発を叩き込んで王者シティを粉砕した。

 シティのフォーメーションは4-1-2-3。スタメンはGKがエデルソン。最終ラインは右からカイル・ウォーカー、ジョン・ストーンズ、オタメンディ、ジンチェンコ。

 またこの日のアンカーはロドリ。インサイドMFは右がギュンドアン、左がダビド・シルバ。3トップは右からベルナルド・シウバ、アグエロ、スターリングだ。

プレスを受けシティのパスワークが各駅停車に

 シティのビルドアップは左SBのジンチェンコと右SBのウォーカーが、アンカーのロドリの高さまで1列上がって内に絞り、偽SB化して2-3-5で攻める。これでインサイドMFがサイドに開いて内側にスペースを作り、そのスペースにSBがインナーラップしハーフスペースを使う形だ。

 ところがこの日のシティはボールの運びがスムーズじゃない。いつもの縦への速さがない。シティは通常2タッチ以内で流れるようにパスをつなぐが、この日はシティのボールホルダーがマーカーと正対してたっぷり3秒間、考え込んだりしている。

 で、あげくノリッジのプレッシングを受けてひんぱんにバックパスしているのだ。こんな各駅停車のシティは見たことがない。この形でシティは、ノリッジ陣内でボールを失ってはカウンターを食らうことになった。

アグレッシブなノリッジは前へ前へと真っ向勝負

 一方、ノリッジのフォーメーションは2センターの4-4-2だ。彼らはていねいにビルドアップしグラウンダーのパスでポゼッションしようとする。非常にアグレッシブで躍動感があり、前へ前へと真っ向勝負してくる。気持ちで戦う素晴らしいチームである。

 ノリッジは終始シティに攻め込まれ自陣に押し込められているため、自陣でボールを奪うと長い距離を運んでカウンターに移る。その際、ロングボールをトップに当てたりするのでなく、ポジティブ・トランジションで選手が前へ前へと続々湧き出し、グラウンダーのボールを次々につないでコレクティブ・カウンターをかける。

 シティの高い最終ラインの背後にはたっぷりスペースがあり、ノリッジはこのスペースをうまく使っておもしろいようにカウンターを決めた。

シティは守備の崩壊が痛い

 ノリッジは前半28分に2点目を奪って以降、ボールを失うと明確にディフェンディングサードまでリトリートし自陣に4-4-2のブロックを作るようになった。守備固めの逃げ切り策だ。そのため逆にシティがますますノリッジ陣内に押し込み、完全にハーフコートマッチの様相を呈して行く。

 そしてシティは前半45分にアグエロがゴールを奪い反攻の狼煙を上げたが、どうもうまく行かない。特に後半5分の3点目の点の取られ方はひどかった。シティのビルドアップ時にCBのオタメンディがハイプレスを受けてボールを失ない、ノリッジのプッキにゴールを決められたのだ。

 シティはその直前にもライン裏のスペースを狙われ決定機を与えるなど、どうにもリズムがおかしかった。シティは8月31日に行われた第4節のブライトン戦でCBのラポルトが右膝を負傷し、長期離脱したばかり。そのため守備に変調をきたしている。

 さて第5節を終え、首位を走るリバプールは開幕から5戦全勝の勝ち点15。それを追う2位のシティはすでに1分け1敗しており勝ち点10だ。昨季のシティとリバプールの優勝争いは、リバプールがたった1敗しただけで優勝を逃す僅差だった。それだけに今季のシティは早くも雲行きが怪しくなってきたかもしれない。
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【カタールW杯2次予選】「黄金のカルテット」のスタメン完全固定に反対だ

2019-09-12 06:43:26 | 日本サッカー
選手層を厚くしながら勝つ

 カタールW杯アジア2次予選で、同組になった国々と日本の間にはかなり力の開きがある。例えばFIFAランキング33位の日本に対し、キルギス95位、タジキスタン119位、ミャンマー135位、モンゴル187位である。ゆえに日本はこの2次予選を突破できるはずだーー。

 これは過信や驕りではなく、客観的な分析である。

 で、この客観的分析に基づき、選手層の厚みを作る目的で「スタメンの入れ替え」という一定の負荷をかけてこの2次予選を戦うべきだと私は考えている。

「予選は内容でなく結果」の正論に隠れた落とし穴

「予選は、内容でなく結果がすべて。ゆえに勝てば内容は問わない」

 むろんこれは正論だ。だが同時に日本代表は海外のチームに所属する選手が圧倒的に増え、いまや代表チームは昔とくらべまとまった強化活動をすっかりしにくくなった。

 であればミャンマー、キルギス、モンゴル、タジキスタンという日本とはるかに力の差がある格好のスパーリング・パートナーを得た2次予選は、「実戦練習の場だ」と考え長期的な視野に立った戦い方をするべきだ。

 つまりスタメンを入れ替えることで有望な選手に次々チャンスを与え、戦力を上積みしながら選手層を厚くして勝って行く。目先の予選のためではなく、すべてはカタールW杯「本大会」のためである。

 このやり方なら予選が終わるころには、だれが試合に出ても一定以上のレベルでプレイできるようになっているはずだ。これによりW杯本大会の戦いがぐっと楽になる。つまり目先の予選だけに囚われるのでなく、W杯本大会から逆算して予選の戦い方を考えるわけである。

2次予選から長期的な視野を持て

 ゆえに私は中島と堂安、南野の3人に大迫を加えた「黄金のカルテット」を機械的に毎試合スタメンで使い、漫然と2次予選を戦うことには反対だ。むしろ2次予選を利用して幅広く選手を育成し、チームに厚みを作るという方向性を取りたい。

 では具体的にどんなやり方が考えられるのか? 一例だが、ひとつにはBチームを作り、中島らのAチームと適宜入れ替えて予選の試合を戦う。例えばBチームには以下のようなメンバーはどうか。このメンバーでも十二分に2次予選を戦えるはずだ。

【Bチーム】

     〇鎌田大地
 〇原口 〇久保 〇伊東
  〇柴崎 〇遠藤航
〇安西〇畠中〇冨安〇室屋
   〇シュミット・ダニエル

 上図で例えば左SHの原口がサイドに開いて幅を取り、その内側を左SBの安西がインナーラップしハーフスペースを使う、というようなポジショナルでロジカルな戦い方をしたい。一方、あるいは以下のような3バックのチームを作り、相手チームとのフォーメーションの噛み合わせに応じてAチームと入れ替えるという方法もある。

【3-4-2-1】

      〇鎌田大地
   〇伊東  〇久保
〇原口〇柴崎〇遠藤航〇安西
  〇畠中〇植田〇冨安
     〇シュミット・ダニエル

 これなら選手層が厚くなるだけでなく、異なるフォーメーションが使えて戦い方そのものにもバリエーションができる。

 繰り返しになるが、日本はスタメン変更という負荷をかけても2次予選を勝ち抜ける。これは過信ではなく客観的な分析だ。ならば日本は2次予選で長期的視野に立ち、随時スタメンを入れ変えて選手層を厚くしながら戦う一手である。
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【カタールW杯2次予選】プランBの構築が急務だ ~ミャンマー 0-2 日本

2019-09-11 08:37:16 | 日本サッカー
プランAの威力はもうわかった

 カタールW杯アジア2次予選がついに始まった。その初戦。どしゃ降りの雨とぬかるむピッチという、どアウェイの悪条件の中、まったくそれを感じさせない強靭な試合運びで森保ジャパンは完勝した。ミャンマーに勝ったというより、悪条件に打ち勝った。

 と同時に、大迫と中島への強い依存がまたも印象付けられるゲームになった。プランAの威力はもうわかった。残るプランBの構築が急がれる。

 日本のフォーメーションは4-2-3-1。スタメンはGKが権田。最終ラインは右から酒井宏、冨安、吉田、長友。セントラルMFは柴崎岳と橋本拳人。2列目は右から堂安、南野、中島の3人。ワントップは大迫だ。先日のパラグアイ戦とまったく同じメンバーである。

 ミャンマーは前半は自陣に低く構え、後半は最終ラインを高くしてきた。だが日本の攻撃力はまるで相手などいないかのように機能した。ポゼッション率は71%。日本は30本のシュートを放ち、中島と南野が2点を奪った。ミャンマーのゴールキーパーが素晴らしいセーブを繰り返したため2点で終わったが、日本は5~6点を防がれたような印象だった。

ケガ人が出れば終わってしまう

 この試合でハッキリしたことは、中島と堂安、南野の3人に大迫を組み合わせた「黄金のカルテット」の連動性と破壊力はやはり強力だということだ。森保ジャパンが看板にしているプランAの力がまたも証明された。

 だがそれ以外といえば、セントラルMFの橋本がバランス感覚のあるポジショニングと強くて速い縦パス、2本のすばらしいミドルシュートでレギュラー取りが見えたくらい。黄金のカルテットに取って代わる存在が出てこない。

 このままではカタールW杯の本大会でも、ピッチに立っているのは今回と同じスタメンだ。中島か大迫がケガすれば、このチームはたちまち終わってしまう。なぜなら黄金のカルテットの存在そのものが森保ジャパンなのだから。しかも彼らの存在が「戦術」でもある。

 逆にいえば森保監督はチームのコンセプトを策定したり、戦術を組み立てたりする必要はないのだ。黄金のカルテットさえ集めて、「君らのインスピレーションで自由にやってくれ」とさえ言えばいい。あとは気合を入れるだけだ。

スペアのネジがネジ穴にハマらない

 だがこのままバックアッパーが育たないのでは、繰り返しになるがケガ人が出れば終わってしまう。現にパラグアイ戦とこのミャンマー戦では後半に選手交代を入れたが、少しメンバーをいじると途端にチームとしての機能が落ちた。

 このチームは属人性(特定の選手への依存度)が強すぎて、「いつものメンバー」を一部入れ替えただけでまるで別のチームになる。あのアジアカップ2019でも、中島がケガで欠場しただけで森保ジャパンはまったく別のチームと化し、非常に苦しんだ。

 誤解を恐れずにいえば、もうチームは出来上がってしまったのだ。あとはどの選手を途中出場させても、黄金のカルテットが生み出すあの連動性は生まれない。パーツを変えるといい意味での化学反応を起こすのでなく、逆に全体が劣化してしまう。

 まるでねじ穴の規格が違うとネジがハマらないのと同じように、どの控え選手も機能しないのではないか? ネジがほんの1本ちがえば、森保ジャパンという名の精密機械は正常に動かないのではないか? そんな危機感に囚われる。

 プランBの構築。この難題はどうすれば解決できるのだろうか?
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【カタールW杯2次予選】ミャンマー戦は割り切った戦い方を

2019-09-10 06:20:19 | 日本サッカー
相手がベタ引きで来たらロングボールを

 さて、いよいよカタールW杯アジア2次予選初戦、ミャンマー戦が今夜に迫ってきた。ミャンマーは日本をリスペクトし、自陣に引き込み「引き分けならよし」という戦い方をしてくる可能性がある。アジア2次予選ならではの「引いた相手をどう攻めるのか?」がテーマになる。

 もし相手がベタ引きで来たら割り切って、ロングボールをガンガン放り込むのもテだ。

 ミャンマーの選手は身長が低い。そこでハイボールを競り、こぼれたセカンドボールを拾って二次攻撃したい。ボールを敵陣に放り込んだら、あとは1対1の個の戦いだ。技術のある日本が有利なのは言うまでもない。

 あるいはサイドの選手が高いポジショニングをし、サイドからハイクロスの雨を降らせるのも一案だ。これも原理はロングボールと同じである。

 もしこれでボールを拾われ、攻め込まれたら、「相手を自陣から引っ張り出した」ことになる。こうなれば逆に日本はカウンターのチャンスだ。敵の背後にできたスペースを積極的に狙いたい。

きれいに勝とうとするな

 場は、2次予選。「きれいに攻めよう」などと考えないことだ。見てくれは悪くても、効率的な勝ち方をしたい。1点は1点だ。

 まちがっても、いつぞやのロシアW杯アジア2次予選初戦・シンガポール戦のときのように、グラウンダーのショートパスをきれいに繋いで中央突破を図ろう、などと考えては敵の思うツボだ。敵は自陣に3重の壁を作っているのだから、グラウンダーのボールは足で引っかけられて攻めが完遂できない。

 しかも現地はボールが走らないデコボコのピッチだ。ましてやスコール(雨)などが降ってきたら、泥で滑りが悪いグラウンダーのパスはますます餌食になる可能性が高い。気をつけてほしい。
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【森保ジャパン】相手が弱いW杯2次予選、鉄板メンバーの固定は滅びの道だ

2019-09-09 12:12:14 | 日本サッカー
選手層を厚くしながら勝つ

 いよいよカタールW杯アジア2次予選初戦、ミャンマー戦が明日に迫ってきた。前回の記事でも書いたが、おそらく森保監督はパラグアイ戦のスタメンをミャンマー戦でそのまま出すつもりだろう。中心は中島と堂安、南野の3人に、大迫を組み合わせた鉄板カルテットである。

 だが相手がはるか格下の2次予選の段階から、そんないっぱいいっぱいの戦い方をしていてはチームとしての積み上げが生まれない。

 過去歴代の代表チームを振り返っても、2次予選から「そのときの最強チームで戦う」という近視眼的なパターンにハマり、鉄板メンバーを繰り返し使っては最後に先細りして行った例は枚挙にいとまがない。

 相手が弱い2次予選では、軸になる選手はそのままでも、ふだん出場機会の少ない有望な選手を数人ずつ使いながら選手層を厚くして行くべきだ。で、だれが出ても一定以上の戦い方ができるようにしておきたい。

 でなければ最終予選やW杯本大会になって、主軸にケガ人が出たりするとたちまちお手上げになってしまう。

 以下のメンバー表は「予想」ではない。森保監督はミャンマー戦で前述のメンバーをスタメンに使うのだろうから、それに対するアンチテーゼである。まだ2次予選なんだから長期的視野に立ち、これぐらいのことをした上で勝てないと選手層は厚くなりませんよ、ということだ。

【ミャンマー戦・裏スタメン】

    〇大迫
〇原口 〇久保 〇伊東
  〇柴崎 〇橋本
〇安西〇吉田〇畠中〇冨安
    〇シュミット・ダニエル

 さあ、本番が楽しみである。
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【森保ジャパン】W杯アジア2次予選を占う深刻な「2つの論点」とは?

2019-09-07 08:45:52 | 日本サッカー
メンバー固定は避けるべきだ

 今回、キリンチャレンジ杯のパラグアイ戦に関し、いろんな識者の方からいろんな意見が出たが、重要なものに絞ればおよそ以下の2つの論点に絞ることができるように思う。2つの論点とは以下の通りだ。

【論点1】

 中島翔哉と堂安律、南野拓実の3人と大迫勇也を組み合わせたカルテットが「どれ位できるか?」はすでに分かっていたことであり、今さらパラグアイ戦を見て驚くような話じゃない。

【論点2】

 ゆえにこのままカタールW杯アジア2次予選に前述のカルテットを出し続けてふつうに勝っても、何の発見もないし積み上げもない。ならば相手が格下の2次予選は、いろんな新しいトライや実験をやりながら勝つのでなければ意味がないのではないか?

「三銃士」はチーム立ち上げ時からのメンバーだ

 では、まず【論点1】に関して見て行こう。中島と堂安、南野ら3人の組み合わせについては、森保ジャパン立ち上げのこけら落としになったコスタリカ戦(2018年9月11日)で早々にスタメン出場し、彼らは3-0と大爆発している。

 一方、上記の3人と大迫のユニットに関しては、森保ジャパンの立ち上げから3試合目に当たるウルグアイ戦(2018年10月16日)にスタメン起用され、あの南米の強豪相手に4-3でみごと競り勝っている。

 つまり中島と堂安、南野の3人やそこに大迫を加えたカルテットは、森保ジャパンのスタート当時からすでに試され実績を残してきたユニットである。逆にいえば森保ジャパンは彼らとともに始まった、と言っても過言ではない。

 そしてそのユニットが先日のパラグアイ戦で久々に顔合わせし、目算通り、2-0と結果を出した。なるほど確かに今さら驚くような話ではないと言える。通用するはずのものが、「確かに通用します」と確認できただけの話だ。何かが上積みされたわけでも何でもない。

ではどうやって上積みするか?

 では一方、【論点2】はどうか? そんな上積みはないが最強のカルテットを、対戦相手がかなり格下のW杯アジア2次予選に固定メンバーとして起用し続け、ふつうに勝ち進んだとしていったい何の上積みや進化があるのか? これも甚だ疑問である。

 2次予選の段階からこれでは、最終予選では当然、同じ最強の固定メンバーになるのは目に見えている。となれば「この11人が売り切れたら終わりです」みたいなことになる。これでは2次予選から鉄板の海外組を総動員し、固定メンバーで戦ったハリルジャパンと同じ轍を踏んでしまう。

 とすれば【論点2】で示した通り、たとえメンバーの大枠は変えられなくても、そこに新しいトライや実験を加味しながら上積みを稼いで行くべきだ。

 例えばパラグアイ戦で試したような冨安のSB起用だったり、久保のオプション起用、MF原口やFW永井、SB安西の登用などである。このほかにもGKシュミット・ダニエルやCBの畠中、MF伊東なども見たい。これらの選手は何も途中出場でなくても、スタメン起用してもおかしくない選手たちだ。

 本来ならアジア2次予選には五輪組を当てるような大胆策がほしかったが、それがムリなら上記のようなトライは最低限、必要だろう。そうした実験こそが選手層を厚くし、ワールドカップ本大会での力になる。森保監督にはぜひ考えてほしい。
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【森保ジャパン】ユルさが目立った花試合 ~日本2-0パラグアイ

2019-09-06 08:01:13 | 日本サッカー
体が重いパラグアイは亡霊のようだった

 イングランドのプレミアリーグを見慣れた目には、選手の動きがスローモーションに見えた。プレースピードが遅く、インテンシティが低い。

 ことにピッチを漂うパラグアイの選手はカラダが重く、まるで亡霊のようだった。運動量もない。あれでは2失点するのも当然だろう。あのユルさを見れば、キリンチャレンジ杯はもはや強化にならないことが自明になった試合だった。

 日本のフォーメーションは4-2-3-1。スタメンはGKが権田。最終ラインは右から酒井宏、冨安、吉田、長友。セントラルMFは柴崎岳と橋本拳人。2列目は右から堂安、南野、中島。ワントップは大迫だ。

 日本はボールを奪うと縦に速く攻めるいつものリズムで試合をしている。ポジティブ・トランジション(守→攻の切り替え)がいい。ただし問題は逆のパターンだ。

ネガティブ・トランジションの欠如

 例えばミスをして「ああっ!」などと足を止めて天を仰ぐ時間など現代サッカーにはない。だがヘディングシュートをミスった吉田や、パスミスした途中出場の永井は見事にそれをやっていた。ネガティブ・トランジション(攻→守の切り替え)がなってない。

 特に日本のコーナーキックを競った吉田は敵ゴール前でヘディングシュートをミスったあと、天を仰いで動きを完全に止めていた。

 だが、もしあの瞬間にボールをキャッチした敵ゴールキーパーが素早くフィードしてカウンターを食らったら、あのロシア・ワールドカップのベルギー戦とまったく同じ展開になっていた。選手は何も学んでないし、その自覚さえもない。

中島のポジショニングは釈然としない

 また左SHの中島は2ゴールの起点になったが、ただしポジショニングに関しては釈然としない。ハーフスペースを意識しているのかもしれないが、相変わらずサイドに開き幅を取る位置取りをしない。バランスを無視して中へ移動し、トップ下の位置に居座り真ん中に渋滞を招いていた。

 彼はサイドからドリブルしながらカットインしてシュートに行く自分の得意形が敵にすっかり読まれているので、新たなシュート機会を求めて中へ、中へと入ってくるのだろう。「サッカーを楽しみたい」が彼の口癖だ。パラグアイの選手を怒らせたあの意味のないリフティング・ドリブルが典型だが、彼は自分さえ楽しければそれでいいのだろうか?

 一方、もちろん感心させられた選手もいた。例えば大迫と南野の決して動きを止めない献身性とシャープさ、柴崎のゲームコントロールには目を見張った。そして後半から右SHで途中出場した久保である。

久保はどう考えてもレギュラー確定だろう

 データ分析会社の「Opta」によれば、久保はドリブルと被ファウル数でチーム最多を記録した。またシュート数とデュエル数でもチーム最多タイだった。

 彼はボールが足に吸い付いていたし、コンディションがよくカラダもキレキレ。メンタルもアグレッシブで、積極的に仕掛けて5本のシュートを打ちまくった。惜しくもバーを叩く一撃もあり、GKを強襲したシュートもあった。

 もしあのうち1本でも入っていたら、今朝の新聞の見出しは決まっていただろう。相変わらずオフ・ザ・ボールと守備は課題だが、客観的に言って彼はどう考えてもレギュラー確定だ。

 おそらく森保監督は4日後に控えたW杯アジア2次予選初戦のミャンマー戦では、一部を除きこのパラグアイ戦のスタメンをそのまま使うつもりなのだろう。だが、もし久保が出場しないようなことがあれば、それはただの日本的な年功序列にすぎない。森保監督にはよく考えてもらいたい。
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【プレミアリーグ】今季のブライトンには注目だ 2019-20/第4節 ~マンチェスターC 4-0 ブライトン

2019-09-03 08:10:40 | 海外サッカー
ていねいにビルドアップするブライトン

 マンチェスター・シティが精巧なビルドアップとフィニッシュで、ブライトンを大差で破った。だが、ていねいにビルドアップしポゼッションしようとするブライトンのサッカーにはなかなか見どころがあった。彼らはビッグ6以外との対戦では健闘しそうだ。

 シティのフォーメーションは4-1-2-3。スタメンはGKがエデルソン。最終ラインは右からカイル・ウォーカー、オタメンディ、ラポルト、ジンチェンコ。

 またアンカーにはロドリを置き、インサイドMFは右がデ・ブライネ、左がダビド・シルバ。3トップは右からマフレズ、アグエロ、スターリングだ。

シティは2-3-5に可変する

 立ち上がり、ブライトンは最終ラインからていねいにビルドアップしようとするが、シティはハイプレスで襲いかかり敵のビルドアップを無効化する。

 ブライトンは前線でボールを失うとミドルサードまでリトリートし、5-2-2-1に変化してブロック守備に移行する。ただブライトンはこのあとボールを奪うとパスをつないでポゼッションしようとするが、なかなか最前線のFWにボールが入らない。

 ブライトンの守備ゾーンが低いため、シティは完全に2バックで最終ラインからビルドアップする。両SBのウォーカーとジンチェンコがともに1列上がり、中に絞って偽SB化し2-3-5で攻める形がひとつ。

 あるいはウォーカーだけが偽SB化してロドリと2人でバイタルを埋める。一方、前ではダビド・シルバが左に大きく開いて幅を取り、左SBのジンチェンコがその内側をインナーラップしてハーフスペースをボックス付近まで上がる。これで2-2-3-3の形で圧をかけるパターンもよく見られた。

シティに勝つには2タッチ以内が基本だ

 試合開始2分、まさにその形で早くもシティに1点目が入る。左WGのスターリングが引いてくる動きで作った左前のスペースめがけ、インサイドMFのダビド・シルバがダイアゴナルランして縦パスのコースを作る。

 そして左サイドをブライトン陣内までドリブルで持ち上がったSBジンチェンコがそのダビド・シルバにパス。シルバがマイナスの折り返しを入れ、デ・ブライネがどフリーで楽々シュートを決めた。

 続くシティの2点目は前半42分だ。右SBのウォーカーがマフレズに縦パスを出し、マフレズは2タッチで右に開いたデ・ブライネにパス。そのデ・ブライネが今度は中央に折り返し、受けたアグエロがゴールをぶち抜いた。

 ブライトンは立ち上がりにいきなり失点した後、前半ずっとよくガマンしていただけに痛い2失点目だった。敵への寄せが甘かった。とはいえ彼らはビルドアップの形をもっているし、ただ守っているだけではない。中位のチームとはいい試合をしそうだ。

 ただブライトンはプレースピードがやや遅い。シティはボールホルダーへの寄せが速いため、2タッチ以内でプレーしないと引っかけられてしまう。そこが上位と戦う場合の課題だろう。

 このあと後半にはアグエロと途中出場したベルナルド・シウバが1点づつを決め、終わってみればシティが4-0で大勝した。しかしブライトンも一方的にやられたわけではなく、しっかり自分たちのゲームモデルを貫いた興味深い試合だった。
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【プレミアリーグ】エメリ監督の慎重策が裏目に 2019-20/第3節 ~リバプール3-1アーセナル

2019-08-26 06:23:07 | 海外サッカー
カウンター狙いのアーセナルが沈没する

 第2節までを全勝している唯一のチーム同士の対戦になった。アーセナルは相手をリスペクトし、中盤の底にMFを3枚並べる守備的な布陣でカウンターを狙う。だが3点を失い、リバプールに格の違いを見せつけられた。

 アーセナルは後半4分に2-0とリードされた時点で、攻撃的な布陣に変えるかと思われた。だが、この日スタメンから外していた核弾頭、ラカゼットを途中投入したのは後半36分。最低でも勝ち点1を拾いに行くカウンター戦術自体はあり得る選択だとしても、選手交代などリードされてからの対応策が後手を踏んだ。後悔の残るエメリ采配だった。

 リバプールのフォーメーションは4-1-2-3。スタメンはGKがアドリアン。最終ラインは右からトレント・アレクサンダー=アーノルド、マティプ、ファン・ダイク、ロバートソン。アンカーはファビーニョ、インサイドMFは右がヘンダーソン、左がワイナルドゥム。3トップは右からサラー、フィルミーノ、マネである。

 一方、アーセナルのフォーメーションは4-3-1-2だ。スタメンはGKがレノ。最終ラインは右からエインズリー・メイトランド=ナイルズ、ソクラテス、ダビド・ルイス、モンレアル。中盤の底はゲンドゥージ、ジャカ、ウィロック。トップ下はセバジョス。2トップはオーバメアンとペペである。

リバプールが見せる猛プレッシング

 リバプールは立ち上がりから、前からのものすごいプレッシングを見せる。アーセナルのビルドアップに対してはアーセナル陣内でハイプレスをかけ、ボールロスト時には同じくアーセナル陣内でゲーゲンプレッシングする。すべての攻守がアーセナル陣内で進んで行く。

 逆にアーセナルはボールを奪うと、速いパスワークから2トップにボールを預けて逆襲を狙う。リバプールは両SBを高く上げ2バックで攻撃してくるため、アーセナルはボールを奪ったら早めに2トップに当て、リバプールの2CBに対し2対2の同数を作る作戦である。

 そしてアーセナルは敵陣でボールを失った場合、その場でプレスをかけてリバプールのビルドアップを制限することはしない。逆にスルスルとディフェンディングサードまで素早くリトリートし、自陣に4-4のブロックを作る。

 アーセナルは第2節までは持ち前のポゼッション志向だったが、今節は強敵リバプールを前に完全にカウンター狙いのゲームモデルを選択している。

ダビド・ルイスが試合をぶち壊す

 だが前半41分、リバプールの左コーナーキックからマティプにヘッドで先制ゴールを叩き込まれ、リードを許す。アーセナルとしては、あのまま前半は0-0で終えたかったはずだが、これで目算が大きく狂った。

 続く後半4分には、アーセナルのゴール前でCBダビド・ルイスがサラーのユニフォームを引っ張り、なんとPKを取られて2点目を失う。

 この2失点目を境にアーセナルは攻撃的なシフトチェンジをするかと思われたが、それでもやり方は変えない。このあと後半14分にはボールをキープするサラーに、またもダビド・ルイスが一発で飛び込んでかわされ、痛い3点目を失う。

 明らかにダビド・ルイスは、自分のファウルでPKを取られた2失点目でプッツンしているのがアリアリとわかった。いかにもブラジル人らしい我慢のきかないキレやすさだ。この試合を壊したのは、そのダビド・ルイスと、3失点するまで守備的なプランを引っ張り続けたエメリ監督の消極策だろう。

 アーセナルは前で張るFWにボールさえ出れば、完全な決定機になるケースが前半から数回あった。あそこで決められなかったのが運命を分けた。「決定力」は、なにも日本代表だけのテーマではないようである。
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【サッカー戦術論】ゲームモデルとプレー原則とは何か?

2019-08-24 07:12:09 | サッカー戦術論
「機械のようにプレーせよ」ではない

 ゲームモデルやプレー原則という言葉がよく聞かれるようになったが、これらは誤解されることが非常に多い。人によっては「機械のように決められた通りプレーしろというのか?」「選手の創造性を否定するのか?」などと拒否反応を示す人もいるが、実はまったくそんなことはない。

 ゲームモデルとはひとことで言って、「チームとしてどんなサッカーをしたいのか?」である。つまり同じ戦術に基づきチームがコレクティブに戦うためのガイドだ。これなしで11人揃えても、そんなものは単なる烏合の衆にすぎない。基本的な方向性すらないのでは、意思疎通のある集団プレーのしようがない。

 例えば私がもし監督なら、攻守の切り替えが早く相手を自由にさせないプレッシング・サッカーをやりたい。トランジションを重視する時点で、足を止めて「お休みする時間」はない。また状況に応じて機敏にポゼッションとカウンターを使い分け、選手には考える力を要求する。これがゲームモデルである。

 一方、プレー原則というのは、そのゲームモデルを実現させるための約束事だ。これは攻撃時、守備時、攻→守の切り替え(ネガティブ・トランジション)、守→攻の切り替え(ポジティブ・トランジション)の4つの局面で設定される。つまり「この場面では、ウチのチームはこうプレーしましょう」という最低限の決まりである。

 逆にいえば最低限の約束事だから、そこから先は個人の応用力が求められる。細かく選手を縛るわけでも何でもなく、「創造性がない」なんてことにはなりようがない。

ボールを失ったときのプレー原則は?

 では私が上で例示したゲームモデルを実現させるには、どんな場面でいかなるプレー原則が必要なのか? わかりやすい例をひとつ挙げれば、ネガティブ・トランジション時、つまり前線でボールを失ったときのチームとしてのふるまいである。

 自分たちはボールを保持して攻撃していた。で、そのとき最前線でボールを失った。では、そのあとチームとしてどうプレーするのか?

 私のチームはトランジションを重視する。ゆえにその場で足を止めずに集団でゲーゲンプレッシングし、ボールの即時奪回をめざす。で、ボールを奪えば高い位置から素早くショートカウンターをかける。

 反対にもしボールをすぐ回収できない場合には、背中で敵のパスコースを切りながらミドルサードまでリトリートし、ブロック守備に移る。これが我々のプレー原則だ。

 一方、これとは正反対の考え方もある。例えばボールを失ったら初めからディフェンディングサードまでリトリートし、低い位置にブロックを組むことだ。これにより組織的な守備からボールを奪い返し、ロングカウンターをめざす。そんなプレー原則に基づいた戦い方もある。

 粘り強い組織守備が得意なチームなら、こっちを選択するのもアリだろう。ただしこのプレー原則を選ぶ場合は、そもそも元になるゲームモデル自体が私のチームとは異なることになる。

ポゼッションとカウンターをどう使い分けるか?

 また私のチームは状況に応じてポゼッションとカウンターを使い分ける。ゆえに選手には状況を読む力が求められる。

 例えば敵ががっちりブロックを作り、守備態勢を整えている場合には、あわてて攻める必然性がない。そこでこんな局面では、ポゼッションによる遅攻を選択することがプレー原則になる。じっくりボールを動かし揺さぶりをかけ、敵の陣形にほころびを作ってからフィニッシュに行く。

 一方、ボールを奪った時点ですでに敵の守備隊形が崩れている場合は、一気に攻め崩すチャンスだ。そこでこの場合なら、速いカウンターを選択することがプレー原則になる。ざっくりいえば、ポゼッションとカウンターの使い分けはこんなふうになる。

プレー原則が違えば別のチームになる

 少し話を戻そう。さあ、我々はボールを失った。そのとき、その場で集団でのゲーゲンプレッシングをプレー原則とするのか? それともディフェンディングサードまでリトリートすることをプレー原則とするのか? それによってチームとしてのふるまいは180度ちがってくる。

 そもそもボールを失ったとき、個人の裁量でめいめいがバラバラな動きをするのでは収拾がつかない。意思統一が必要だ。そこで上に書いたように「その局面ではゲーゲンプレッシングしましょう」というような最低限のプレー原則を決めておく。で、意思統一して有機的にチームとして動こう、ということだ。

 こんなふうに局面に応じて最低限の原則を決めておくだけだから、プレー原則は別に選手を縛るモノでも何でもない。「守備の時にはチャレンジ&カバーを心がけましょう」みたいな基本と同じだ。

 こうしたプレー原則まで否定するなら、もはや「戦術などという選手を縛るものは必要ない」というのと同じだ。それではサッカーにならないだろう。
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【2019-20プレミア展望】野獣・マンUは番狂わせを起こす(ただし気分が乗れば)

2019-08-22 06:55:58 | 海外サッカー
カギはメンタルと相手との相性だ

 誤解を恐れずに言えば、マンチェスター・ユナイテッドは獰猛な野獣の集団だ。それだけに平均点の仕事ができず、出来不出来の非常に激しいチームである。

 ではなぜそうなるのか? それは彼らが2つの要素に大きく左右されるからだ。(1)モチベーション(メンタル)と、(2)相手チームとの噛み合わせである。

 その意味で2019-20シーズン・プレミアリーグ第1節のチェルシー戦(4-0)と、第2節のウルブス戦(1-1)は今季の彼らを占う上で貴重なサンプルになるゲームだった。

マンUはカウンターのチームである

 まず大前提として、ユナイテッドはカウンター型のチームである。そして4-0で圧勝した相手のチェルシーは、ポゼッション型のチームだった。ゆえにこの試合では、噛み合わせ的に「盾と矛」の関係が成立した。

 つまりカウンターが得意なユナイテッドにとって、チェルシーのようにパスをつないでポゼッションしてくるチームはやりやすい相手なわけだ。

 流れるようなパスワークで前にかかって攻めてくるチェルシーの背後には、広大なスペースがたっぷりある。ユナイテッドからすればボールを奪い、カウンターをかければ、このスペースを使うことができる。

 フィニッシュが甘く攻撃を完結できない今季のチェルシーは、こうしてボールを奪われユナイテッドの格好の餌食になった。

 獰猛な野獣の集団であるユナイテッドは、チェルシー戦のように1点、2点と得点を連取し、相手が血しぶきをあげてのたうち回るのを見て、ますます精神が高揚する。いよいよメンタルが上がり、ゴールするたびに味方同士が集団で抱き合い喜びを爆発させる。5~6人の選手が繰り広げるユナイテッドのあの抱擁の塊は、さながら野性的な原始の儀式を思わせる。

 相手チームとの噛み合わせがハマり、モチベーションが上がって激しい肉体の競り合いになれば劇勝する。これが野獣ユナイテッドの勝ちパターンである。

気勢が上がらない「盾と盾」の関係

 一方、ユナイテッド戦を1-1の引き分けに持ち込んだウルブスは、ユナイテッドと同じカウンターのチームである。ゆえに噛み合わせ上、前半はユナイテッドが仕方なくポゼッションしていたが、得意でない戦い方だけにパスのつなぎがぎこちない。

 しかも自陣に引きこもり、守備ブロックを作って待つ専守防衛のウルブス陣内にはチェルシー戦のようなスペースがまったくない。

 ユナイテッドはボールを持たされ、苦手な戦い方を強いられたあげく、敵陣には自分たちの好物であるスペースがないのだ。当然、試合運びがギクシャクし、思ったように攻められない。展開のしかたも雑だった。

 これではさっぱりメンタルが上がらない。高揚感がない。チェルシー戦のようなノリノリの展開ならば疲れていても「出るはずの1歩」が、出ない。「まあいいか」と足を止めてしまうーー。これでは勝てるはずがない。かくてウルブス戦は、まんまと引き分けに仕立て上げられてしまった。

5位、6位あたりが指定席か?

 さて、ここから導き出せる今季ユナイテッドの行く末はどうか? まずマンチェスター・シティやアーセナルなど、格上、または同格でポゼッションしてくるチームとは案外いい試合になるだろう。

 まあ圧倒的な王者シティに勝てるとは思えないが、それでもユナイテッドのカギになるメンタルの盛り上がり、精神の高揚さえ試合で呼び起こすことができれば何が起こるかわからない。中心選手のポグバが典型だが、彼らは気持ちさえ乗れば奇跡も起こせる(が、気持ちが乗らなければヤル気のない凡百のチームに成り下がる)

 一方、ウルブスのようにビッグ6をうかがう中位のチームが守備的な戦いをしてくれば、ユナイテッドはけっこう苦戦するだろう。実力がそう変わらない上に、戦い方がまったく噛み合わないのでは苦しい。

 ただし下位のチームがゴール前にバスを停めてディフェンディングサードにブロックを作るようなやり方をしてきたとしても、さすがに下位なら力の差があるだけに何とかしてしまう可能性は高い。

 とすれば総合的に考えれば、シティやリバプール、トッテナムには勝てなくても、それを追う第二グループを形成する5位、6位あたりがユナイテッドの指定席になりそうだ。

 いやいや、気持ちがグイグイ乗り、上位を食いまくる彼らの暴虐的な野生の戦いが本当は見たいのだが……と個人的な希望を最後に書き添えておこう。
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【プレミアリーグ】早くも開幕のヤマ場がきた 2019-20/第2節~マンチェスターC 2-2 トッテナム

2019-08-19 07:52:56 | 海外サッカー
両者一歩も譲らず

 第2節にして早くも優勝決定戦のような切迫した展開になった。マンチェスター・シティは1試合を通じてハイプレスをかけ続け、トッテナム・ホットスパーのビルドアップを制限する策に出た。

 シティの5レーン戦術と、ライン間でボールを受ける動きにトッテナムが幻惑されやや後手を引いたが、どちらが勝ってもおかしくない引き締まったいい試合だった。

 シティのフォーメーションは4-1-2-3。スタメンはGKがエデルソン。最終ラインは右からカイル・ウォーカー、オタメンディ、ラポルト、ジンチェンコ。アンカーにはロドリ。インサイドMFは右がデ・ブライネ、左がギュンドアン。3トップは右からベルナルド・シウバ、アグエロ、スターリングだ。

 一方、トッテナムのフォーメーションは4-2-3-1。スタメンはGKがロリス。ディフェンスラインは右からカイル・ウォーカー・ピータース、 アルデルヴァイレルト、ダヴィンソン・サンチェス、ローズ。セントラルMFはウィンクスとエンドンベレ。2列目が右からシソコ、ラメラ、エリクセン。ワントップはハリー・ケインだ。

敵のウラをかく巧妙なフィニッシュ

 試合の立ち上がりから、シティが激しくハイプレスをかけてトッテナムのビルドアップを壊そうとする。

 逆にシティのビルドアップに対しては、トッテナムは守備時に4-4-1-1へ変化しミドルプレスでパスコースを制限する対応をする。トップ下のラメラが、シティのアンカーのロドリを見ている。

 シティの1点目は前半20分だった。シティは左サイドから最終ラインに落ちてきたボールを今度は右サイドに展開した。まずCBオタメンディが右WGのベルナルド・シウバにパス。シウバは寄せてきたデ・ブライネにボールを落とし、デ・ブライネがダイレクトでアーリークロスを入れる。

 これに対し逆サイドに走り込んだスターリングが、どフリーのヘッドでファーサイドに叩き込んだ。スターリングは前節のハットトリックに続き早くも4ゴール目だ。彼はボールのある(シティの)右サイドを見ている敵DFの背後から、死角を突いてうまくライン裏に走り込む動きをした。好調だ。

 一方、トッテナムも負けじとその3分後に追いつく。セントラルMFのエンドンベレがトップ下のラメラに縦パスを入れ、ラメラは軽く運ぶドリブルをしてからゴール中央、ボックスのすぐ外から左スミにきれいなシュートを決めた。

 このときは前にいたエリクセンが、マーカーを引っ張ってラメラのためのスペースを作った。このエリクセンの動きが、ラメラにフリーでシュートを打たせる事前の仕込みになった。

 両チームのこれら1点目を見ると「シュートってこんな簡単に入るのか?」と感じさせるが……それだけ完全に敵のウラをかいた巧妙なフィニッシュだったということだ。

シティの5レーン戦術が威力を発揮する

 この後も両チームは点を取り合う。まずシティだ。前半35分。右サイドでベルナルド・シウバからパスを受けて裏抜けしたデ・ブライネが、敵GKと最終ラインの間を狙って絵に描いたような強くて速いグラウンダーのクロスを入れる。アグエロはダイレクトでただゴールに流し込むだけだった。2-1だ。

 シティは大外から右SBのカイル・ウォーカーが、その内側のハーフスペースからはデ・ブライネが圧をかける。(トッテナムから見て)これら左サイドを突くダブルの動きに、トッテナムは左SBのローズとCBサンチェスのコンビネーションに迷いがあり、しきりにデ・ブライネにニアゾーンを狙われる。シティの5レーン戦術が奏功していた。

 これに対しトッテナムは後半11分、左コーナーキックから途中出場したばかりのルーカス・モウラがヘッドで押し込んで2-2とする。

 その後、途中出場したジェズスのゴールが、今シーズンからプレミアリーグに導入されたVAR判定でハンドを取られ取り消される一幕も。結果、シティは決勝ゴールを召し上げられた。これにて2-2の引き分け、痛み分けだ。

 とはいえジェズスは前節もVARでゴールを取り消されており(このときはオフサイド)、きわどいところを狙うシティにVARの導入は凶と出ているかも? もっとも圧倒的な王者シティには、それくらいのハンデがあったほうがリーグがおもしろくなるかもしれないが。
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