ボールが足につかず、プレスも利かず
カタールW杯を目指す日本代表は、キリンチャレンジカップ2022・エクアドル戦を苦しみながら引き分けた。前節のアメリカ戦からスタメンを総入れ替えし、「あわや敗戦か?」という危なっかしい試合を演じた。
なんとかGKシュミット・ダニエルのスーパーセーブで引き分けに持ち込む始末である。
だが森保監督は逆にこれでスタメン選びにスッパリ踏ん切りがついただろう。ちなみにこの試合はカタールW杯に臨むメンバー決定前の最終戦だ。その意味では、内容は悪いながらも後につながるゲームになった。
さて快勝したアメリカ戦から4日後、日本はがらりとスタメンを変えてきた。
フォーメーションは同じ4-2-3-1だ。メンバーはGKがシュミット・ダニエル。最終ラインは右から山根、谷口、伊藤、長友だ。
またダブルボランチには柴崎岳と田中碧を置き、右SHには堂安、左SHには三笘薫を入れた。そしてトップ下に南野を。ワントップには古橋である。
腰のひけたバックパスのオンパレード
キックオフの笛が鳴る。日本は落ち着かない立ち上がりだ。
相手に延々とボールをキープされ、奪ってもパスのつなぎがたどたどしい。チャレンジしない安全なバックパスが目立つ。ボールを持ち、前をうかがいながらも結局はバックパスを繰り返す。
また最終ラインがボールを保持しても、ビルドアップがままならない。前半30分を過ぎても、この悪い流れはまるで修正されなかった。
日本はボールを引き出す動きがまったくない。棒立ちでボール保持者をただ眺めているだけだ。
三笘は得意のドリブルがほとんどできない。なぜかパスばかり繰り返している。
そもそもスタメンの顔ぶれを変えすぎなのだ。せめて心臓部を担当する守田か遠藤航のどちらか1人を残すべきだったのではないか?
そうこうするうち、あっというまに前半が終わった。
後半は立ち上がりから、3枚替えも必要な情勢だろう。
途中出場の上田綺世がボールを収める
日本は後半の頭から、ワントップの古橋に代えてまったくタイプの違う、タメを作れる上田綺世を投入してきた。
すると後半立ち上がりから、日本は相手ボール時のプレッシングが目に見えて速く、強くなった。インテンシティが一気に2倍になったような感じだ。ハーフタイムに監督から巻きを入れられたのだろう。
上田はボールが収まっていい。彼は代表では、今日が過去いちばんのデキだ。
だが5分もたたないうちに、また日本に前半の悪い流れが蘇ってきた。パスがつながらず、相手ボールの時にはプレスがハマらない。ボールがまったく足につかない。ないないづくしだ。
後半20分。日本は三笘に代えて相馬、南野に代えて鎌田、柴崎に代えて遠藤航を同時投入する。なんとか形勢を逆転しようと森保監督も必死だ。
入った相馬はよく走ってボールを受け、またプレスをかけている。
後半37分、DFの谷口がエリア内で相手選手を倒しPKを献上したが、シュミット・ダニエルが絶体絶命のPKストップを見せた。鬼神のようなセービングだった。
続く後半39分、日本は堂安に代えて伊東、長友に代えて吉田を投入し、吉田と谷口、伊藤の3バックにした。伊東はFWに入り、上田との2トップに変えた(上田は2トップで生きるタイプだ)。
レギュラー選びに踏ん切りがついた
かくて日本は苦しみながらも0-0の引き分けに持ち込んだ。
内容は悪いながら、収穫はあった。
まずシュミット・ダニエルがPKを止めたほか攻守を連発し、レギュラー争いに名乗りを上げた。
また上田はボールを受けては収め、時間を作れる長所を見せた。ほかにも相馬は安定したボール処理とドリブル、急所での鋭い攻めで持ち味を出した。
一方、柴崎と南野、古橋は残念ながらスタメン落ち濃厚だろう。
柴崎は攻守ともに精彩を欠き、悲しいほど存在感に乏しい。才能ある偉大な選手だが、峠を越えた感がある。
またオフ・ザ・ボールはいいがオン・ザ・ボールが苦手な南野は、ストーミングのようなプレッシング・サッカーなら威力を発揮するがこの日のようにボールを持つポゼッション・スタイルは苦手だ。
また、もし南野を起用するなら左サイドなどでなく、得意なセンターポジションに置く必要があるが、センターラインの選手がこの日のようなデキではチームが死ぬ。
一方、彼にボールを配給する周囲の選手が悪いのだから気の毒だが、裏抜けが得意なスピード・タイプの古橋は代表ではまったくいいところがない。日本代表のFWには、逆に上田や大迫のようにポストになりタメを作れるタイプが必要だ。
さて日本はスタメンを総入れ替えしたせいでまったく試合にならなかったが、これでかえってスタメン選びに結論が出た。テストマッチはまだ11月17日のカナダ戦を残しているが、あとは本番で思い切り暴れるだけだ。
カタールW杯を目指す日本代表は、キリンチャレンジカップ2022・エクアドル戦を苦しみながら引き分けた。前節のアメリカ戦からスタメンを総入れ替えし、「あわや敗戦か?」という危なっかしい試合を演じた。
なんとかGKシュミット・ダニエルのスーパーセーブで引き分けに持ち込む始末である。
だが森保監督は逆にこれでスタメン選びにスッパリ踏ん切りがついただろう。ちなみにこの試合はカタールW杯に臨むメンバー決定前の最終戦だ。その意味では、内容は悪いながらも後につながるゲームになった。
さて快勝したアメリカ戦から4日後、日本はがらりとスタメンを変えてきた。
フォーメーションは同じ4-2-3-1だ。メンバーはGKがシュミット・ダニエル。最終ラインは右から山根、谷口、伊藤、長友だ。
またダブルボランチには柴崎岳と田中碧を置き、右SHには堂安、左SHには三笘薫を入れた。そしてトップ下に南野を。ワントップには古橋である。
腰のひけたバックパスのオンパレード
キックオフの笛が鳴る。日本は落ち着かない立ち上がりだ。
相手に延々とボールをキープされ、奪ってもパスのつなぎがたどたどしい。チャレンジしない安全なバックパスが目立つ。ボールを持ち、前をうかがいながらも結局はバックパスを繰り返す。
また最終ラインがボールを保持しても、ビルドアップがままならない。前半30分を過ぎても、この悪い流れはまるで修正されなかった。
日本はボールを引き出す動きがまったくない。棒立ちでボール保持者をただ眺めているだけだ。
三笘は得意のドリブルがほとんどできない。なぜかパスばかり繰り返している。
そもそもスタメンの顔ぶれを変えすぎなのだ。せめて心臓部を担当する守田か遠藤航のどちらか1人を残すべきだったのではないか?
そうこうするうち、あっというまに前半が終わった。
後半は立ち上がりから、3枚替えも必要な情勢だろう。
途中出場の上田綺世がボールを収める
日本は後半の頭から、ワントップの古橋に代えてまったくタイプの違う、タメを作れる上田綺世を投入してきた。
すると後半立ち上がりから、日本は相手ボール時のプレッシングが目に見えて速く、強くなった。インテンシティが一気に2倍になったような感じだ。ハーフタイムに監督から巻きを入れられたのだろう。
上田はボールが収まっていい。彼は代表では、今日が過去いちばんのデキだ。
だが5分もたたないうちに、また日本に前半の悪い流れが蘇ってきた。パスがつながらず、相手ボールの時にはプレスがハマらない。ボールがまったく足につかない。ないないづくしだ。
後半20分。日本は三笘に代えて相馬、南野に代えて鎌田、柴崎に代えて遠藤航を同時投入する。なんとか形勢を逆転しようと森保監督も必死だ。
入った相馬はよく走ってボールを受け、またプレスをかけている。
後半37分、DFの谷口がエリア内で相手選手を倒しPKを献上したが、シュミット・ダニエルが絶体絶命のPKストップを見せた。鬼神のようなセービングだった。
続く後半39分、日本は堂安に代えて伊東、長友に代えて吉田を投入し、吉田と谷口、伊藤の3バックにした。伊東はFWに入り、上田との2トップに変えた(上田は2トップで生きるタイプだ)。
レギュラー選びに踏ん切りがついた
かくて日本は苦しみながらも0-0の引き分けに持ち込んだ。
内容は悪いながら、収穫はあった。
まずシュミット・ダニエルがPKを止めたほか攻守を連発し、レギュラー争いに名乗りを上げた。
また上田はボールを受けては収め、時間を作れる長所を見せた。ほかにも相馬は安定したボール処理とドリブル、急所での鋭い攻めで持ち味を出した。
一方、柴崎と南野、古橋は残念ながらスタメン落ち濃厚だろう。
柴崎は攻守ともに精彩を欠き、悲しいほど存在感に乏しい。才能ある偉大な選手だが、峠を越えた感がある。
またオフ・ザ・ボールはいいがオン・ザ・ボールが苦手な南野は、ストーミングのようなプレッシング・サッカーなら威力を発揮するがこの日のようにボールを持つポゼッション・スタイルは苦手だ。
また、もし南野を起用するなら左サイドなどでなく、得意なセンターポジションに置く必要があるが、センターラインの選手がこの日のようなデキではチームが死ぬ。
一方、彼にボールを配給する周囲の選手が悪いのだから気の毒だが、裏抜けが得意なスピード・タイプの古橋は代表ではまったくいいところがない。日本代表のFWには、逆に上田や大迫のようにポストになりタメを作れるタイプが必要だ。
さて日本はスタメンを総入れ替えしたせいでまったく試合にならなかったが、これでかえってスタメン選びに結論が出た。テストマッチはまだ11月17日のカナダ戦を残しているが、あとは本番で思い切り暴れるだけだ。