すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【ザック・ジャパン】新コンセプトで勝ち切った大きな躍進 ~日本3-2ベルギー

2013-11-21 12:32:35 | サッカー日本代表
競り合いをものにした「足が止まらない」新生日本代表

 彼らは足が止まらなかった――。前節のオランダ戦で敵のボール保持者にしつこくプレスをかけ、奪ったボールを複数の選手が2タッチ以内で前線へ運ぶコンセプトを打ち出した新生日本代表。ベルギー戦では相手の守備がオランダのようにルーズではないだけに押したり引いたりの展開になったが、ばったり動きが止まるシーンは日本にはなかった。ひと安心だ。

 個々の技術レベルはオランダより劣るが組織的に戦うベルギー相手に、シーソーゲームを勝ち切れたのは大きい。袋小路に入っていた柿谷が点を取れたのも朗報だ。

 ただしこのチームは基本を再確認をする必要がある。自陣ゴールを背にしたフィールドの後ろ半分で、安易に出したビルドアップのパスを簡単にカットされるシーンが目立つからだ。

 サッカーの攻撃とは、自分たちがチーム全体のバランスを 「意図的に崩して」 行うものだ。反対に守備では、チーム全体のバランスを 「いかに保つか?」 がカギになる。

 こんなふうにサッカーでは、大胆にバランスを崩さなければアグレッシヴな攻撃はできない。だがその際、攻撃の第一歩になるビルドアップのパスを敵にカットされたらどうか? 攻めにかかり始めた瞬間はバランスを崩した状態だから、簡単に相手のカウンターを食らってしまう。この場合致命傷になりやすく、失点に直結してしまう。

 今の日本代表は、セーフティ・ファーストであるはずのフィールドの後ろ半分で、簡単にボールを失いすぎる。オランダ戦で起きた内田の判断ミスからの失点などはその典型だが、ベルギー戦でもビルドアップの第一歩、第二歩になるパスが敵にカットされるシーンがたびたびあった。

 前回、「ミスするチームに勝利の女神は微笑まない」 と書いたが、同じように基本をおろそかにするチームに勝利はない。ザッケローニはくれぐれも基本を再確認してほしい。

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【ザック・ジャパン】前からのプレスと第三の動きが生きた価値ある引き分け ~日本2-2オランダ

2013-11-17 01:25:00 | サッカー日本代表
新しい方向性を示した手応えあるゲーム

 前からプレスをかけてボールを奪い、攻めては第三の動きを入れながら複数の選手が同時に連動して前線へボールを運ぶ――。この新しいコンセプトがオランダ相手にうまく機能し、日本が可能性を示した試合だった。

 オランダは前半立ち上がりからデキが悪かったせいもあり、日本は面白いようにボールを奪えた。その相手にミスも含めて前半2失点したのは余計だったが、この試合でトライした新しいやり方に選手は手応えをつかんだだろう。

 特に後半は足が止まって最終ラインからまったくピルドアップできないオランダと、逆に高い位置からプレスをかけて前でボールを取りたい日本の思惑がガッチリ噛み合い、後半は日本のワンサイドゲームと言っていい内容だった。

 奪ったボールを効率的に前へ運ぶ日本の攻撃も光った。相手から取ったボールを前にいる味方Aに当てる。このパスが出ると同時に日本の選手B、C、Dが前へスタートを切る。そして選手Aがもらったボールを、加速をつけて上がってきた選手Bにダイレクトで落とし、Bがさらに前へとボールを運ぶ。この3~4人がワンブロックになって連動する日本の動き(ショートカウンター)に、オランダ守備陣はことごとく取り残された。

 特に後半、日本の選手は足が折れてもボールにかじりつこうとする気迫をみなぎらせ、魂を見せた。この新しいコンセプトと死に物狂いのガッツを続ければ、チームは必ずいい方向へ動くだろう。

足を止めない連動性が90分間続くか? が今後のカギ

 さてカギは、試合配分だ。足を止めない連動を複数の選手が90分間続けるのはむずかしい。どこかで体がバテてがっくり動きが落ち、形勢逆転してしまう可能性がどうしても残る。この課題はサッカーでは永遠のテーマだ。

 かつて加茂監督が指揮を執った日本代表や、ベンゲル時代に一時代を築いた名古屋グランパス、そして近くは南アフリカW杯に挑んだ岡田体制の日本代表も、このまったく同じ課題に悩まされた。

 とすればゲームの展開や流れに応じ、守備では前から積極的にプレッシングへ行くところと、行かないところを作る。そして攻撃でも、複数の選手がアグレッシヴに前へ出る動きをする時間帯と、逆にためる試合運びでうまく時間を使う強弱のつけ方が重要になる。

 付け加えればこの日の1失点目のような、高校生でもしない判断ミスをなくすことだ。(あんな自陣ゴールに近いゾーンで、守備者がヘディングで味方にパスしようとするなんて……)。

 いい試合をしても、ミスをするチームに勝利の女神は決して微笑まない。今日のゲームのように「勝てたのに」、「惜しかったなぁ」で終わってしまう。いかにミスを少なくするか? 同じくサッカーでは永遠のテーマである。

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