すちゃらかな日常 松岡美樹

すちゃらかな視点で世の中を見ます。

【森保ジャパン】ポジショナルプレイとストーミングを兼ね備えた異端児

2018-11-27 09:30:40 | 日本サッカー
森保ジャパンは2つの概念のいいとこ取りだ

 日本代表はもう長い間、攻撃的なアクションサッカーをするチームはポゼッション率が高く、守備的なリアクションサッカーをするチームはポゼッション率が低い、と相場が決まっていた。前者の例がジーコジャパンやザックジャパンであり、後者の例は岡田ジャパンやハリルジャパンである。

 で、そうした過去の例から日本では、「ポゼッション率が高いチームは攻撃的で強い」という命題が定着し、常識とされてきた。そのため日本人の間にはポゼッション原理主義が岩盤のように定着し、「ゴールをめざすのでなくポゼッション率自体を高めること」を重視するような、目的を忘れた愚かなポゼッション信仰が蔓延してきた。

 そんなゆがんだ日本の常識を吹っ飛ばしたのが森保ジャパンである。なぜなら彼らは、「ポゼッション率はそう高くないのに攻撃的で強い」からだ。ではなぜ森保ジャパンは、そんなサッカーができるのか? それは彼らがポジショナルプレイとストーミングのいいとこ取りをしたスタイルだからである。

中島と堂安はハーフスペースをうまく使う

 ポジショナルプレイとストーミングは、いまヨーロッパ最先端のフットボールを二分している対立した概念だ。つまりこの2つのコンセプトがサッカー界でせめぎ合っているわけだ。

 ポジショナルプレイという言葉は日本でもポピュラーになってきた。ポゼッションを大事にするこの概念を取り入れたチームとしては、プレミアリーグのマンチェスター・シティやチェルシーなどがあげられる。

 一方、例えば森保ジャパンでも、中島と堂安というサイドの2人が絞り気味のポジショニングをしてハーフスペースをうまく使っている。またセントラルMFがSBとCBの間に下りてビルドアップしたりする。このことから、森保ジャパンもポジショナルプレイを志向していることは明らかだ。

 だがそれだけでは話は終わらない。なんと彼らは、ポゼッション率を重視するポジショナルプレイとまったく相反する考え方であるはずのストーミングの影響も強く受けているのである。

嵐のように敵に襲いかかるストーミング

 ストーミングとは、ポゼッション率はそう高くないのに暴力的に点を取る「ストーム」=嵐のような激しいプレイスタイルのクラブを指す。ヨーロッパでいえばリバプールやローマ、RBライプツィヒのほか、森保ジャパンでトップ下をつとめる南野が所属するRBザルツブルクもこのカテゴリーに入る。

 ストーミングは、トランジション・フットボールとも呼ばれる。つまり攻守の切り替えの速さを重視するスタイルだ。ストーミングに分類されるチームは、(中島や堂安、南野がそうであるように)ボールを失うことを決して恐れない。「ボールを確実につなぐ」のでなく、失敗を恐れず成功率が50%以下のプレイにも積極的に挑む。

 そしてひとたびボールを失えば、リトリートして自陣にブロックを作ったりしない。ボールをロストした瞬間に素早く攻守を切り替え、相手ボールに対し複数の選手が次々に襲いかかる嵐のようなゲーゲンプレッシングをかける。で、ボールをその場で即時奪回し、ショートカウンターを見舞う。どうだろうか? そう、森保ジャパンのスタイルそのものである。

 一般にポジショナルプレーを重視するチームは、敵からボールを奪うといったんパスをつないでポゼッションを確立しようとする。森保ジャパンのようにポジショナルプレーを志向していながら、ボールを奪うと鋭い縦パスを入れて一気に速いショートカウンターを狙うチームはいわば異端児だ。

 その意味で森保ジャパンは既成概念を超えている。ポジショナルプレイとストーミングのいいとこ取りをしたこの極東の異端児は、はたして次のワールドカップでどんな成績を収めるのか? いまから楽しみである。 
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【森保ジャパン】アジアカップのメンバー選びと展望は?

2018-11-22 05:53:42 | 日本サッカー
大迫の控えには武藤嘉紀を

 森保ジャパンの11月シリーズは、研究されて苦しんだベネズエラ戦、レギュラー組と控え組の対比が際立ったキルギス戦だった。勝敗うんぬんは別にして、いろんな意味で収穫と教訓を得られた強化試合といえる。さて、では森保ジャパンはその11月シリーズを終えたいま、来年1月のアジアカップに向けメンバー選びの序列と大会への展望はどう変わっただろうか?

 まず特記しておきたいのはベネズエラ戦の教訓である。アジアカップでは、アジアでトップの日本は当然各国から研究され、丸裸にされると考えたほうがいい。つまり日本は分析され、対策されたベネズエラ戦での苦戦が繰り返されるおそれがある。

 中島と堂安、南野の2列目は今でこそ飛ぶ鳥を落とす勢いである。だがアジアカップでも同様に研究され、抑え込まれる可能性もある。そのとき日本はいったいどうするのか? 森保ジャパンはプランAだけでなく、まさかのときのプランBの構築も求められる。一刻も早く用意して臨んだほうがいい。

 一方、キルギス戦では控え組の物足りなさが印象付けられたが、特に策を練る必要があるのは代えが効かない大迫の控えである。その大役は本来、ニューカッスルでプレイする武藤嘉紀がふさわしい。だが森保監督は所属チームでレギュラー争いしている彼の立場を考え、配慮して招集していないフシがある。

 もしそうだとすれば、その他の選択をするならば久保裕也や浅野拓磨あたりになるだろう。ちなみにレギュラー組と控え組を編成するなら、以下のような感じだ。


【レギュラー組】

      ◯大迫勇也
◯中島翔哉 ◯南野拓実 ◯堂安律
     ◯遠藤航 ◯柴崎岳
◯長友佑都◯吉田麻也◯冨安健洋◯酒井宏樹
(佐々木翔)
     ◯シュミット・ダニエル


【控え組】

     ◯武藤嘉紀(久保、浅野)
◯原口元気 ◯北川航也 ◯伊東純也
    ◯守田英正◯青山敏弘
◯山中亮輔◯槙野智章◯三浦弦太◯室屋成
     ◯東口順昭
 
 まずレギュラー組から。左SBの長友は肺気胸からの復帰が心配されたが、ガラタサライの公式ツイッターが現地時間21日に「長友はチーム練習に合流した」と報じた。なんとか間に合いそうである。続いてCB吉田の相方には、若く才能豊かな冨安を抜擢する。次のワールドカップまでを見据えたシナリオだ。

 またセントラルMFにはコンビネーションが高まりつつある柴崎と遠藤のコンビを。GKはベネズエラ戦で持ち味を存分に発揮したシュミット・ダニエルを選びたい。

 一方、控え組のトップ下には北川を、セントラルMFの片方には守田を当てる。2人ともキルギス戦で力を示した選手である。北川は俊敏で香川に近いクイックネスがある。ダイレクトプレイも得意だ。彼には勝負を決める決定的な仕事が期待できる。

 かたや守田は前へ出て相手ボールを奪ったりパス出しするだけでなく、全体のバランスを見て後ろに控えてカバーリングもできる。このまま伸びれば、彼ら2人は森保ジャパンのプランBになれる。

 なお一部に香川の待望論が根強いが、若手を優先的に招集している森保監督はおそらく香川をアジアカップには呼ばないだろう。森保ジャパンのゴールは別にアジアカップじゃない。次のW杯だ。

 ならば香川の実力はすでにわかっているのだし、この時期にあえて使う必要はない。W杯前になりコマ不足の緊急事態に陥れば、そのとき呼べばすむ話だ。とはいえ監督はすでにドイツ視察に行く予定を決めており、もし香川が招集されれば彼もプランBの急先鋒になるだろう。

 このほか図には入れなかったがセントラルMFの大島僚太と、CBの昌子源も重要な候補になる。森保監督は昌子をなぜ招集しないのかナゾだが、ロシアW杯で存分に発揮された彼の力はアジアカップでもむろん活かせる。さあ、このメンバーで優勝をめざそう。
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【森保ジャパン】喪失感しか残らなかった凡戦 〜日本4-0キルギス

2018-11-21 08:03:54 | 日本サッカー
バックアッパー不在が深刻だ

 ベネズエラ戦から11人を総替えし、控え組が先発したキルギス戦で露呈したのは深刻なバックアッパー不在だった。敵の陣形を崩すトライがない。「レギュラーを奪うぞ」という緊迫感もない。観る者をワクワクさせるような躍動感などまるでない。ないないづくしの前半だった。

 立ち上がり、左SB山中亮輔が放ったすばらしいシュートによる先制点でオッと思わせたが、それ以降はキルギスが構える5-4-1ブロックの外側をただひたすら安全にUの字を描くようにパスを回すだけ。鋭い縦パスを突き刺す試みもなければ、ドリブルで仕掛ける選手もいない。複数の選手が連動するダイナミズムやパススピードもない。パスの出し手と受け手の1対1の関係だけで、3人目の動きがない。

 最前線にいるワントップの杉本はボールがまるで足についておらず、トラップを弾きまくる。ボールが収まらない。かと思えばオフ・ザ・ボールになったらとたんに「気持ち」を切り、足を止めてラクをしたがる。激しい競争のないJリーグで「そこそこの給料もらってそこそこの人生送ってます」みたいな典型的なぬるま湯サッカーである。

 ビッグクラブへの移籍を狙い、人生をかけてヨーロッパの底辺にいる中級クラブで「這い上がり」を狙う南野のような切迫したハングリー感がまるで欠落している。もはや生き方のちがいといえる。逆に何点奪われても、ファイティングポーズを取って食らいついてきたキルギスのひたむきさばかりが相対的に目立った。これでは日本代表はスタメン組がケガをすればそこで終わりだ。深刻な問題である。

守田と北川、山中は光ったが…………

 日本のフォーメーションは4-2-3-1。スタメンはGKが権田修一。最終ラインは右から室屋、三浦、槙野、山中。セントラルMFは三竿と守田。2列目は右から伊東、北川、原口。ワントップは杉本だ。

 まるでインパクトがなかった先発組のなかで気を吐いたのは、左サイドからドリブルでカットインしてチャンスを作った左SB山中亮輔のほか、ボールの引き出しと鋭い縦パスが光ったセントラルMFの守田英正、安定感とボールスピードのあった槙野智章。それから打点の高いCB三浦弦太のヘディングシュートも目を引いた。

 また3点目にからんだ北川航也もよかった。守田が中盤からダイレクトですばらしい縦パスを入れ、それを北川がダイレクトで落とす。途中出場の大迫が受け、正確にダイレクトシュートを放った。3つのスピーデイーなダイレクトプレイが光っていた。北川と守田は、力のある選手たちと組めばやるかもしれない。

 個人的に非常に残念だったのが、2本の決定的なシュートを外した右MFの伊東純也だ。あれをどちらか1本でも決めていればインパクトはまるでちがった。彼のケタちがいのスピードとドリブルは捨てるには惜しい。この日は絞り気味でハーフスペースをうまく使っていただけに、あの2回の逸機は痛い。また2点目は取ったが原口もこの日は持ち前のアグレッシブさが見えなかった。

 後半14分以降に途中出場し、3点目と4点目を奪った大迫や堂安、中島らのプレイには触れるまでもないだろう。彼らレギュラー組が出てくるととたんにプレースピードと展開の速さが変わり、試合に爆発的なダイナミズムが生まれた。先発組とレギュラー組とのあまりに大きすぎる落差は埋めようがない。

 一部報道によれば、日本サッカー協会の関塚隆技術委員長と森保監督は今週末からヨーロッパ視察に出るようだ。FWの武藤嘉紀や久保裕也、セントラルMFの小林祐希、場合によっては香川や乾の招集もあるかもしれない。いずれにしろ、来年1月に迫ったアジアカップで堂々優勝できるだけの陣容を整えてほしいものだ。
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【森保ジャパン】キルギス戦のスタメン予想と戦い方は?

2018-11-20 09:04:35 | 日本サッカー
スタメンは「センターラインまで変えるのか?」がポイントだ

 さあ今日は来年1月に行われるアジアカップに向けての最後の試合、キルギス戦だ。では日本のスタメンと戦い方はどんな展開になるのか? 予想してみよう。まずスタメン予想については、昨日の記事にも書いたが以下に再掲しておく。

【先発メンバー予想】

    ◯大迫
◯原口 ◯北川 ◯伊東
   ◯三竿◯柴崎
◯山中◯吉田◯三浦◯室屋
    ◯シュミット・ダニエル

 上記の予想をするにあたり留意したことは、大幅に選手は変えるとしても、ただしサッカーで最も重要なセンターラインだけは変えない、という点だった。つまりCB吉田ーMF柴崎ーFW大迫という3人のラインである。

 キルギス戦では大幅な選手の入れ替えが予想されるが、特にワントップの大迫だけは外しにくい。このチームは彼がいないと試合にならないからだ。逆にいえば森保監督がもし杉本をスタメンでワントップに使ったとすれば、それは「試合には負けてもいいから勝敗より選手のテストを優先しよう」と判断したことになる。キルギス戦にあたっての森保監督のスタンスを読む上で、ここは大きな見分け方のポイントである。

 ただし個人的には、杉本に関してはもう「見極め」の時期は過ぎていると考える。彼は前監督のハリルにも何度も使われ、まるでいいところがなかったからだ。逆に森保監督が彼を招集したのを見て、「ええっ? まだ見切ってないのか?」と非常に驚いた。ゆえにワントップやセカンドトップに関しては、層を厚くするならFWの武藤や久保を招集するしかテはないだろう。とはいえ杉本には、そんな私の予想をいい意味で裏切る活躍をしてほしいと考えてはいるが。

 次にセントラルMFだが、大迫と同じくセンターラインの柴崎は変えなかった。理由は上記の通りだ。ただし今回招集されているセントラルMFの守田は、9月11日のコスタリカ戦で右サイドバックとして途中出場し、いいプレイをしていた。ゆえにここでもワントップと同様に、森保監督が勝敗よりテストを優先するなら柴崎の代わりに守田を使い三竿と組ませる選択はありうる。

 同じくセンターラインの1人であるCBの吉田についても、勝敗にこだわらないなら代わりに槙野を使う可能性はある。ただし槙野はもうすでに「どれくらいやれるか?」は十二分にわかっているのでテストの必要もなく、あえて今回使うとは予想しなかった。

 最後にGKのシュミット・ダニエルに関しては、個人的に「どうしてももう一度見たい」と強く感じたので選んだ。ゆえにもちろんこのポジションでも、東口の起用は十分に考えられる。

 もしキルギス戦で森保監督が「センターラインの保持」というセオリーを無視し仮に11人総入れ替えをやったとすれば、かなりの勝負師といえるだろう。と同時に森保監督は目先の勝ち負けにとらわれず、長い目で見たチーム運営を考えていると解釈できる。さて、スタメン選びの方針はどっちに転ぶだろうか? ここは見物である。

キルギス戦は引いた相手を崩す戦いになる

 一方、キルギス戦の試合展開については、日本との力関係を考えれば彼らは自陣に引いてカウンター狙いでくる可能性が高い。アジアでの日本の戦いはこのパターンになるケースが非常に多く、ここはアジアカップや、ひいてはW杯アジア予選のためのいいシミュレーションになるだろう。

 ではそんな相手に日本はどう戦えばいいのか? まず考えられるのはサイドを使い、敵のブロックを横に引き延ばすことだ。それにより自陣に引いて中央を固める敵の密度を薄めることができる。

 またGKシュミット・ダニエルが大迫にロングボールを入れ、そのこぼれ球を拾って二次攻撃をするテも有力だ。これなら日本は敵のゴールに近い高い位置でボールを回収し、シュートにもっていくことができる。その場合、日本はゾーンを高く取り、ボールの落下地点に「回収要員」になる複数の選手を配置しておくことがキモになる。

 逆にワントップにグラウンダーのくさびのボールを入れるような攻めは、密集した敵のブロックの中で集中守備を食らう可能性が高く、あまり効果は期待できない。やはり頼りはサイド攻撃だ。また遠目からでもミドルシュートを積極的に打てば、敵の守備者を食いつかせ、前に引っ張り出してバイタルエリアにスペースを作れる。これも有効な手段である。

 いずれにせよキルギス戦は勝敗より、起用した新戦力の見極めが主眼だ。彼らがどれくらいやれるのか? ここは楽しみだ。そして第二にキルギス戦は、引いた相手をどう崩すのか? というアジアでの日本の「永遠の課題」に向けたテストになる。実り多き結果を期待したい。
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【森保ジャパン】ベネズエラ戦の日本は実は3バックだった

2018-11-19 14:41:42 | 日本サッカー
GKシュミット・ダニエルは「リベロ」である

 先日のベネズエラ戦で先発したGKのシュミット・ダニエルは非常に足技に優れ、足で自由自在にパスを出していた。例えばCBから自分の足元に落ちてきたボールを、平気でダイレクトで普通に両SBへ展開する。またワントップの大迫めがけ、正確なロングボールも入れていた。彼のその姿はさながら、2人のCBの後ろに控えるリベロだった。

 してみればベネズエラ戦の日本のフォーメーションは4-2-3-1ではなく、実はGKも含めた3バックの3-4(両SB+2セントラルMF)-3-1で戦っていたことになる。つまり日本のフィールドプレーヤーはベネズエラより1人多かったわけだ。

 こんなふうに最終ラインからビルドアップの1本目になる正確なパス出しができるGKのシュミット・ダニエルは、明日行われるキルギス戦でもぜひ見てみたい選手の1人である。

 ちなみにGKがビルドアップの第一歩になる彼のようなスタイルは、何もシュミット・ダニエルの専売特許ではない。例えばバイエルン・ミュンヘンのマヌエル・ノイアーやマンチェスター・シティのエデルソン、リバプールのアリソンらの例をあげるまでもなく、現代フットボールの最先端では欠くことのできない必須のプレイである。そんな大仕事を代表初先発でサラリとやってのけたシュミット・ダニエルには、まばゆいばかりの将来性がある。

 森保ジャパンでは中島、堂安、南野という若い強烈な2列目ばかりが話題になる。だが彼らばかりでなくシュミット・ダニエルや、すばらしい縦パスを持ちカバーリングにも優れるCBの冨安など、若く将来性のある楽しみな大器が次々にデビューしてくる。森保ジャパンの実に楽しいところだ。まったく森保監督のスカウティング能力には脱帽するしかない。

キルギス戦の先発メンバー予想は?

 さて、明日はいよいよキルギス戦だ。来年1月に行われるアジアカップのために用意された最後の試合になる。では気になる先発メンバーはどんな顔ぶれだろうか? 勝手に予想すれば以下のような感じか。森保監督は、できるだけ平均的にまんべんなく出場機会を与えるタイプの監督だからだ。

【先発メンバー予想】

    ◯大迫
◯原口 ◯北川 ◯伊東
   ◯三竿◯柴崎
◯山中◯吉田◯三浦◯室屋
    ◯シュミット・ダニエル

 キルギスとの力関係を考えれば、気張ったフルメンバーで臨むのは惜しい。それよりも選手層の底上げを考えた、将来のためになる実験的なメンバーで挑みたい。

 ならば、ぜひ先発で使ってほしいのがまず右MFの伊東純也と、ベネズエラ戦でも途中出場して好プレイを連発した左MFの原口元気である。この2人にメドが立てば、中島と堂安に加えて左右両サイドの人材が厚くなる。

 次にワントップは杉本と行きたいところだが、やはりこのチームは大迫がいないと試合にならない。そしてトップ下には今回抜擢されている北川を置く。彼はベネズエラ戦でも途中出場し、鋭い反転からのシュートを見せていた。ぜひ一度先発で使って時間を与え、どれくらいできるのか見てみたい。

 次に中盤の底は熟成されてきた柴崎&遠藤のコンビは一回お休みし、スタメンで三竿に時間を十分やってデキをチェックしたい。三竿がセントラルMF争いに力強くからんでくれば、選手層はグンと厚くなる。なお所属チームで出場機会を失っている柴崎には、試合勘の補充の意味もあり代表ではフルに働いてもらいたい。

 GKはもちろんシュミット・ダニエル。CB吉田の相方には三浦を、左右両SBは山中と室屋にチャンスをやりたい。彼らも今後代表に定着できれば選手層のいっそうの底上げになる。

 さて、この大胆な先発メンバーで一体どこまでやれるのか? なんせ日替わりヒーローが次々に登場する森保ジャパンのことだ。ヤツらは、案外やってくれるんじゃないかと睨んでいる。
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【森保ジャパン】3-0で勝てた試合だった 〜日本1-1ベネズエラ

2018-11-17 21:52:34 | 日本サッカー
3つのミスで勝ちゲームを逃す

 来年1月のアジアカップに向け、いよいよ最後の強化試合となる「11月シリーズ」が始まった。まずは16日に行われた、歯ごたえのあったベネズエラ戦。日本代表は中島、南野、堂安の2列目が躍動しチャンスも作った。だが痛いミスも犯し、3つの大きなミスで勝ちゲームを逃した。

 ひとつめのミスは前半25分。堂安の逸機だ。南野が大迫に縦パスを通し、大迫は横についた堂安にパス。その堂安は軽やかに反転しながらGKの上を狙うシュートを放つが、コースが左に逸れた。GKとの完全な1対1。決めておきたい絶好のチャンスだった。

 ふたつめのミスは前半33分。中島が外した絶好機だ。CBの冨安がハイボールを競ったこぼれ球をMF遠藤が拾い、ワントップの大迫にすばらしい縦パスを通す。受けた大迫は裏抜けを狙い走り込む中島の前のスペースにスルーパスを出す。中島はGKと完全な1対1になったがシュートを弾かれた。これも決めたい一発だった。

 第3のミスは後半35分。自陣ペナルティエリア内で、SBの酒井が意味のないファウルを犯しPKを取られた。あの局面では酒井は敵ボールホルダーの進路を単にふさぐだけでよく、チャージする必要などまったくなかった。酒井は前半39分にすばらしいダイレクトボレーで日本の1点目をもぎ取ったが、1失点の契機も作ってしまった。完全なひとり相撲だ。

 とはいえ日本は素早いトランジション(攻守の切り替え)や爆発的なゲーゲンプレッシング、柴崎&遠藤が組む中盤の底のコンビネーションの熟成など収穫も目立ち、驚いたことにマンチェスター・シティとリバプールのいいとこ取りをしたようなチームになりつつある。

 確かに森保監督が就任してからこれまでの3試合とくらべ、課題は多く残った。ベネズエラの「日本研究」の前によさを消された。また前の選手を4人代えた後半22分以降は試合の流れをつかめず、層の薄さも露呈した。だが、あとは終えた試合の分析を今後に活かせばいい。その意味では引き分けに終わったとはいえ、相対的に実り多かったといえるテストマッチだった。

日本の攻撃を引っ張る3つの積極性

 日本のフォーメーションはこの日も4-2-3-1だ。スタメンはGKがシュミット・ダニエル。最終ラインは右から酒井(宏)、冨安、吉田、佐々木。セントラルMFは柴崎岳と遠藤航のコンビ。2列目は堂安と南野、中島。ワントップは大迫だ。

 さて森保ジャパン最大の売りは3つの積極性である。それは仕掛けと奪回、そして縦への意欲だ。

 まずひとつめ。日本は中島や堂安、南野ら前の選手が敵陣でボールを持てば、前さえ向けたらどんどんドリブルやスルーパスで仕掛けて行く。非常に貪欲だ。ボールロストを決して恐れない。

 そして日本はボールを失ってもリトリートせず、その場で激しくプレスをかけて即時奪回を狙う。ゲーゲンプレッシングである。ボールをロストした瞬間に素早く切り替え、「攻撃的な守備」に突入する。1人目が外されれば2人目がボールに襲いかかり、それでもだめなら3人目が行く。これで相手ゴールに少しでも近い位置でボールを奪い、ショートカウンターをかける。

 残る第3の積極性は、選手のベクトルが常に前を向いている点だ。日本のボールホルダーはまず第一選択として意欲的に縦パスを狙う。これは最終ライン発のビルドアップから中盤、アタッキングサードに至るまで一貫している。

 例えば足元に優れるGKのシュミット・ダニエルが、正確無比なロングボールをワントップの大迫めがけて射し込んで行く。リバプールのようなダイレクト攻撃である。これに大迫は胸トラップ一発で応えて簡単に前を向き、ボールを収める。と、日本はたちまちアタッキングサードでボールをキープできる。

 それだけでなくCBの吉田やセントラルMFの柴崎は、スキさえあれば裏抜けを狙う味方に対し敵DFの背後を突く鋭いスルーパスを放っていた。若いCBの冨安も縦パスが非常にいい。

 これに呼応して堂安は機敏に動き出し、敵のゾーンのギャップを突く。彼はボールが来るより先に走り出し、自分がもらいたい前のスペースをカラダで示す。「ここに出せ」と。スペースでもらうのが決定的にうまい選手である。

トランジションが勝負のカギを握る

 森保ジャパンの2列目の3人はいずれも攻守の切り替えが速いが、なかでも南野はトランジションの申し子のような選手である。彼はワンプレイ終わっても絶対に足を止めない。攻撃でも守備でも、二の矢、三の矢を狙って必ず次の動き出しをする。非常にハングリーだ。

 そしてこれは南野に限った話ではなく、いかにネガティブ・トランジションとポジティブ・トランジションの時間差を縮め、時間軸をシームレスにすることで攻守を活発化させるか? がチームのプレイ原則として一貫している。

 だから森保ジャパンでラストパスが出る局面では、最低3〜4人がいいポジショニングをしてゴール前に詰めているし、逆に守備では、この試合の前半10分に日本のミスから放たれた致命的な敵のシュートにゴール前でスライディングしながらボールを自ゴールから掻き出したCB冨安のような超ファインプレイも生まれる。

 すべては「次の瞬間に自分は何をすべきか?」を絶えず頭の回転を止めずにイメージしているから起こることだ。そして敵は、そんな日本の素早いトランジションについて行けずに失点する。こんなふうに現代フットボールにおいてトランジションは決定的に勝負のカギを握っている。

見応えある中盤の底のコンビネーション

 最後にこのゲームの収穫としてあげておきたいのは、柴崎と遠藤の2人で組む中盤の底のコンビネーションである。

 柴崎はロシアW杯での華麗なレジスタぶりが印象に残るため「消えている」かのように感じてしまうが、よく観察すると森保ジャパンの若い強烈な2列目を生かすための地道で黒子的なポジショニングをしていることがわかる。注意深くバイタルを埋め、最終ラインからボールを引き出し、シンプルに前につないでいる。

 かたや遠藤は積極的に前へ出てアグレッシブに相手ボールを刈り取るチェルシーのカンテ的なスタイルを発展させてきており、そのとき柴崎は後ろにステイしてしっかりバランスを取っている。また、その逆もしかり。いわゆる、つるべの動きがきれいに成立している。

 彼ら2人はたがいの動きを細かく見ながら自分のポジショニングを決めている。そのコンビネーションの完成度がどんどん高まってきている。これは大きい。

 さて最後の最後に選手別で3人だけに触れれば……途中出場した原口はよく走って多くのチャンスを作った。ドリブルもキレている。実にアグレッシブで、意欲とガッツが気持ち良かった。彼ならではの泥臭い守備面も込みで考えれば、ライバルの同じ左サイド・中島といい勝負だろう。

 そして瞬発力のあるすばらしいロングキックを連発したGKのシュミット・ダニエルと、いい縦パスとナイスカバーを見せつけたCB冨安の2人はぜひ今後も続けて起用し、大きく育ててほしい。森保監督への切なる願いだ。
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【なでしこ】彼女たちの伸びしろはデカい 〜日本女子代表4-1ノルウェー女子代表

2018-11-12 08:47:33 | 日本サッカー
1年前の課題はかなり修正された

 いろんな意味で、すごくいい試合だった。

 10代の選手が途中出場してくる彼女たちの伸びしろは、とんでもなくデカい。しかもいいサッカーをやっている。高倉監督が進めてきた世代交代がスムーズに回り、大輪の花を咲かせるようになった感じだ。課題だらけだったEAFF 女子E-1サッカー選手権(2017年12月)の頃とくらべると、まるで隔世の感がある。

 まず感じるのは、意味のない消極的なバックパスがめっきり減ったことだ。「前へ」「縦へ」の積極性をもち、2タッチ以内でテンポよくパスをつなぐサッカーが小気味いい。特に急所を突くグラウンダーの長い縦パスが目を引いた。それが最終ラインからビルドアップの1本として出ているのがいい。

 また以前はパスの出し手と受け手の1対1の関係だけだったが、3人目の動きも増えてきた。ファーストタッチで次のプレイをいちばんしやすい場所にボールを置く「次を読む」技術や、ピッチを広く使ったワイドな展開も目につく。持ち前のショートパスだけでなく、フィールドを斜めに横切るダイアゴナルな中長距離のパスが利いていた。

 戦術的にも見るべきものがあり、清水が偽SB化したり、アンカーが最終ラインに落ちてビルドアップしているのを見てびっくりしてしまった。そしてなにより高倉ジャパン立ち上げの頃とくらべ、チーム全体に強いメンタルが身についたのがすごく大きい。

 もちろんインテンシティの高さはさらに求めたいし、球際の強さはもっと必要だ。ボールスピードもまだまだ速くしたい。だが彼女たちの今後の伸びしろを考えれば、それらもなんなくクリアされそうな感じがして頼もしい。

 サッカー日本代表は女子も男子も、輝ける豊穣な未来に向かっている手応えが強くある。それがとてもうれしい。
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【プレミアリーグ】鬼気迫るアーセナルのファイティグ・スピリット 18-19/第11節〜アーセナル1-1リバプール

2018-11-08 07:51:27 | 海外サッカー
アーセナルのパスワークが冴え渡る

 両チームともボールを失ってもリトリートせず、その場でプレッシングして即時奪回を狙う激しい展開になった。

 アーセナルは持ち前の美しいパスサッカーでペースを握った。だがリバプールのCBファン・ダイクにあわやゴールシーンという惜しいシーンもあり、前半は0-0で折り返す。そして逆に先制点を取ったのはリバプールだった。後半16分だ。

 その後は一進一退の攻防が続き、リバプールが押し切るかに思われたが、後半37分にアーセナルが1点を取りゲームは引き分けで終わった。アーセナルは気合い十分でポゼッション率も高く、おそらく今季、彼らのベストゲームのひとつではないだろうか。

 これでリーグは第11節を終わり、マンチェスター・シティが勝ち点29の首位。それを勝ち点27で並び得失点差での2位チェルシー、3位リバプールが追う混戦が続く。4位のトッテナムも勝ち点24と迫り、5位のアーセナルは勝ち点23だ。

威力十分、リバプール3トップのハイプレス

 リバプールのフォーメーションは4-1-2-3。スタメンはGKがアリソン。4バックは右からアレクサンダー=アーノルド、ゴメス、ファン・ダイク、ロバートソン。中盤3センターはアンカーがファビーニョ、右がワイナルドゥム、左がミルナー。3トップはサラー、フィルミーノ、マネである。

 一方、アーセナルのフォーメーションは4-2-3-1。スタメンはGKがレノ。最終ラインは右からベジェリン、ムスタフィ、ホールディング、コラシナツ。セントラルMFはルーカス・トレイラとジャカ。2列目は右からムヒタリアン、エジル、オーバメヤン。1トップはラカゼットだ。

 アーセナルは上位リバプールが相手とあって選手にエネルギーがみなぎり、速いパスワークが非常に利いていた。彼らは最終ラインから時間をかけ、サイドチェンジも交えながらていねいにビルドアップする。ざっくりSB経由とセントラルMF経由の2ルートだ。

 一方、リバプールのビルドアップも同様にその2ルートのほか、局面によっては3トップにロングボールを当てるダイレクト攻撃もよしとしている。両チームとも、プレイスピード、ボールスピードともにトップクラスのデキである。

 ただアーセナルは2CBが横に広がってビルドアップし、そこへリバプールの3トップがハイプレスをかけて2対3の場面を作られ、あわやのシーンもあった。アーセナルは通常、セントラルMFのルーカス・トレイラが左SBとCBの間に下りたり、2CB間に落ちて数的優位を作っていた印象があったが……。

 それだけリバプールの3トップの破壊力はすさまじく、3人だけでショートカウンターを成立させてしまう攻撃力がある。

 さて試合が動いたのは後半16分だった。リバプールだ。左サイドで裏抜けしたマネがクロスを入れる。これをリバプールGKとDFが弾いたこぼれ球に、ミルナーがゴール正面から低い弾道のシュートを叩き込んだ。

 だがこの日のアーセナルは気迫がすごく、その後何度もリバプールゴールに襲いかかる。そしてどん詰まりの後半37分。アーセナルは途中出場のアレックス・イウォビが出した縦パスで裏抜けしたラカゼットが、一度GKをかわして反転してからゴール右スミに突き刺すビューティフルゴールで同点に追いついた。

 その後もアーセナルはボールを保持して一方的に攻め立てたが、惜しくも逆転はならず。1-1の引き分けに終わった。アーセナルのファイティグ・スピリットには敬意を表したい。
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【プレミアリーグ】バーンリーの魂に敬意を 18-19/第10節〜バーンリー0-4チェルシー

2018-11-02 09:48:40 | 海外サッカー
バーンリーのラッシュにチェルシーが動揺

 立ち上がり、バーンリーが激しくラッシュした。チェルシー陣内にどんどんボールを放り込んでくる。で、ボールを失ってもチェルシーの選手に激しくデュエルを挑んでくる。

 そんなバーンリーの勢いに押され、前半のチェルシーはボールを保持してもパスがつながらない。だが次第に試合の展開に慣れ、前半10分頃から落ち着いた。決してデキがいいわけではないが、尻上がりに調子を上げて行く。

 そんな矢先の前半22分にあげたモラタのゴールを皮切りに、結局、後半には3点を追加し、終わってみればチェルシーの圧勝で終わった。

 これでプレミアリーグは第10節を終わり、勝ち点26で並んだマンチェスター・シティとリバプールが得失点差でそれぞれ1位、2位を分け、3位のチェルシーが勝ち点24。4位のアーセナルが勝ち点22、5位のトッテナムが勝ち点21となった。相変わらずマンC、リバプール、チェルシーの3強が激しいつばぜり合いを繰り広げている。

巧みに斜めのパスコースを作るチェルシー

 チェルシーのフォーメーションは4-1-2-3。スタメンはGKがケパ。4バックは右からアスピリクエタ、リュディガー、ダビド・ルイス、マルコス・アロンソ。中盤3センターはアンカーが不動のジョルジーニョ、右インサイドハーフが同じく不動のカンテ、左インサイドハーフがバークリー。3トップはペドロ、モラタ、ウィリアンだ。

 立ち上がり、バーンリーに押されたチェルシーは前半22分に均衡を破る。カンテが左のバークリーに展開し、受けたバークリーが縦パスを出す。これに3人目の動きでダイアゴナルランしながらボールを受けたモラタがダイレクトでゴールを撃ち抜いた。

 これで立ち上がりのドタバタは落ち着き、完全にチェルシーがボールを保持し、バーンリーが自陣に引いて待ち受ける展開になった。チェルシーはトライアングルを作り、巧みに斜めのパスコースを作ってきれいにボールを回す。

 特にウィリアンは左サイドに開いてボールを受け、攻撃の幅を取る。かと思えば2ライン間に引いてボールをもらい基点になる。非常にいい動きをしている。

 後半、バーンリーはボールを保持しても、チェルシーの守備ブロックの外側でUの字を描くように安全にボールを回すだけだ。最後は焦れてロングボールを縦に放り込んでくるが、チェルシーにあえなく回収されてしまう。

 チェルシーの2点目は後半12分だった。中盤でこぼれ球を拾ったチェルシーはカンテがドリブルしながら左にいたバークリーにパス。バークリーは短くドリブルしてから、ペナルティエリアの外から豪快なシュートをゴール右スミに決めた。彼はリーグ戦3試合連続ゴールである。

 この後、後半17分、同47分にもチェルシーは得点をあげ一方的に攻め立てるが、バーンリーの選手は何点取られてもあきらめず球際で激しく競る。まったくメンタルが衰えない。バーンリーは最後まで試合を捨てず、サポーターに魂を見せつけた。熱い彼らには敬意を表したい。
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