すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【移籍のウワサ】久保健英のマドリー移籍には絶対反対だ

2023-10-30 08:59:01 | その他の欧州サッカー
成長が止まるのではないか?

 レアル・ソシエダの久保健英と切っても切れないのが、古巣レアル・マドリードへの復帰の噂だ。おそらくこのテのネタはメディアなるものが存在する限り、絶え間なく続くのだろう。

 だがマドリーへ行かせたいメディアのみなさんには誠に申し訳ないが、個人的には久保のマドリー行きには絶対反対だ。

 レアル・マドリードという巨大クラブは、ラ・リーガでプレイする選手にとっては双六の上がりだ。そこへ行ってしまったら最後、満足し「ひと息ついて」しまうのではないか? 

「やり切ったぞ」という達成感とともに、久保はマドリーの選手という地位に安住するのでは? そして選手としての成長が止まってしまうのではないか? 久保は22歳。まだまだ伸びるはずの選手だ。そんなことになってはもったいない、と感じる。

ストイックさに欠けて見える久保

 特に久保という選手は外から見ていると、自己肯定感が非常に強いタイプのように感じる。裏を返せば、ややもすると自分を厳しく律するストイックさに欠けて見える。いかにも大らかなスペイン風味だ。

 例えば彼の属するレアル・ソシエダは、10月24日に行われた欧州チャンピオンズリーグのグループD第3節でベンフィカ・リスボンに圧勝した。彼は良いプレイをしたがゴールだけがなかった。惜しいシュートがバーを叩いた。で、試合後に彼は、「もしあのゴールを決めていれば僕が王様だった」と言い放った。

 あの発言には、違和感を覚えた。

 試合に勝ちメディアに持て囃され、ちょっといい気になってしまっている感じがした。もしストイックな選手なら、そんなセリフはぜったい口にしないだろう。逆に「なぜ自分はあの場面でシュートを決められなかったのか?」を自己分析し、黙ってさらなる努力を続けるはずだ。

 もっとも、あの発言は久保なりのメディアに向けたリップサービスだったのかもしれないが。

 この件と同じで、彼がマドリーへ行けばある意味「いい気」になり、そこで満足してしまうのではないか? マドリーへ移籍し、ある種の強い自己肯定感を味わってしまうと「それなりの選手」で終わってしまうのではないか? と杞憂する。

 まだまだ果てしなく伸びるはずの選手だけに、そうなってしまうのはとても惜しい。

プレミアリーグなら伸びる余地はある

 で、もし彼が移籍するとしたら、個人的にはイングランド・プレミアリーグの上位クラブあたりがいいのではないかと感じる。具体的には、今季のデキでいえばマンチェスターシティかアーセナル、スパーズの3択だ。

 とにかくプレミアリーグは世界中から選りすぐりの「化け物たち」が集まる巣窟であり、上を見ればキリがない世界である。

 久保はそんな世界の化け物たちと切磋琢磨し、「まだまだ自分には足りないところがある」と自覚すれば、努力を続けて成長するだろう。彼がこれまでやってきた自己研鑽を振り返ればそう想像はつく。

 例えばあえて言うが、久保がまだローンでマジョルカやヘタフェなどのクラブを渡り歩いていた時代、彼は高い技術はあってもハンパな選手だった。

 ちょっと接触プレイがあると両手を広げて大げさに倒れプレイをやめてしまう。で、ファウルをアピールする。だがゲームはまだ進行中なのだ。倒れた彼はそのぶん試合から取り残されてしまう。久保のチームは10人で戦っているのと同じだ。そこがわかってない。トランジションが悪い。

 また彼はボールさえ持てば鬼に金棒だが逆にいえばオフ・ザ・ボールが悪く、ボールのないところでは「どこ吹く風」で足を止めてゲームに関与しないケースがあった。守備の意識も高くなかった。

 そんな「技術だけはある」がハンパだった選手がその後、それらの自分の欠点を見事に修正し、いまや世界のトップ・オブ・ザ・トップに手の届くところにいる。彼は大きく成長した。

 そのせっかくの成長を止めないためにも、マドリーへ行くのだけはやめたほうがいいと感じる。

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【分析コラム】遠藤航が「攻撃好き」なクロップを唸らせるには?

2023-10-28 05:00:07 | イングランド・プレミアリーグ
攻撃的だが守備は苦手なマクアリスター

 現地時間10月26日に行われたヨーロッパリーグ第3節のトゥールーズ戦で、リバプールの遠藤航が移籍後初ゴールを決めてメディアが大はしゃぎだ。「遠藤が凄い! これでレギュラーまちがいなしだ!」とばかりに、天地がひっくり返ったように騒いでいる。

 だが慎重なクロップは、たった1回ゴールを決めた程度では考えを変えないだろう。「継続的」に攻撃的なプレイを見せ続けなくては、遠藤のレギュラー獲りは遠いままだーー。

 さて残念ながら、目下、アンカーの遠藤はヨーロッパリーグとカップ戦要員に収まっている。プレミアリーグには相変わらずマクアリスターがアンカーとして先発する日々だ。この構図が完全に固定化している。

 だがマクアリスターは本来攻撃の選手であり、ぶっちゃけ守備は苦手だ。本ブログでは過去に何度も具体的に彼の守備面でのミスを指摘しているが、彼は守備の選手なら絶対にやらないような「致命的なやらかし」をアンカーの位置で何度もやり、チームをたびたび失点の危機に陥れている。

 マクアリスターのミスのおかげでチームのリズムがすっかり狂い、不安定になることがしばしばある。いや別に私は彼に個人的な恨みがあるわけじゃない。ただ淡々と客観的に状況を分析しているだけだ。サッカーチームというものは、まず守備が安定していなければ本領を発揮できないものなのだ。

 現在、レッズはプレミアリーグで6勝2分け1敗の4位と上位にいるため、結果的に彼のミスは目立たない。だが試合の内容をつぶさに見れば、彼の失敗が足を引っ張っているのは一目瞭然だ。赤いシャツのチームはギクシャクと不安定な試合を繰り返しながら、それでもなんとか勝ち続けている状態である。

「攻撃好き」なクロップが選ぶのは?

 ではなぜ攻撃的なマクアリスターは、こともあろうに守備的なアンカーポジションの先発要員としてクロップに使われているのか? それはおそらくクロップ自身が「攻撃的な選手が好みだから」だろう。

 例えばマクアリスターは、アンカーの位置からでも試合を一発で決めてしまえるようなキラーパスが出せる。攻撃面だけに限定すれば、非常に高い技術の持ち主だ。具体例をあげれば、第6節のウエストハム戦でFWダルウィン・ヌニェスに放った、チームの2点目に繋がったような高度なパス出しだ。

 このときマクアリスターは中盤の底の深い位置から、最前線のヌニェスを狙って縦への鋭いロングパスを入れた。寸分の狂いもなく、ボールはヌニェス目がけて飛んで行く。

 一方のヌニェスは自分の頭上へと飛ぶボールの落下地点へ素早く移動し、目の前に落ちてきたボールを足の甲にうまく乗せてなんとダイレクトでシュートを決めた。超絶的なゴラッソだった。

 つまりマクアリスターは、こういう必殺のパスが出せるから先発で使われているわけだ。

クロップはレッズの欠陥を自覚しているが……

 さて、ここで思い出されるのは、遠藤を獲得したときクロップが彼に言ったというジョークだ。

 クロップは「うちのチームには守備的なMFが足りないんだ」といい、「つまりウチは、なんというか、攻撃的すぎるんだよ(笑)」と笑った。

 ユーモアのセンスがあるクロップは冗談に絡めて、「いまのリバプールは守備に欠陥がある」という現状分析をして見せたのだ。この分析はまったく正しい。冒頭で説明したように、レッズの守備には欠陥がある。

 そして皮肉なのは、クロップはこの自チームの欠陥を自分で重々わかっていながら、にもかかわらずアンカーという守備の要諦を握るポジションに攻撃的な、(だが守備はヘタな)マクアリスターを起用してしまっていることだ。

 つまりクロップは客観的には自チームの欠陥をわかっていながら、それでも攻撃好きな彼は「本能的に」マクアリスターを選んでいるわけだ。

いまのレッズには何が求められているか?

 攻撃的な能力でくらべれば、確かに遠藤はマクアリスターに一歩譲る。前述したようなFWヌニェスへマクアリスターが出したような超絶的なロングパスなどは遠藤にはマネできないだろう。

 だがいちばんに考えるべきは、いまのリバプールには何が求められているのか? だ。それはもちろん「守備の安定」であり、ならばアンカーに誰を使えばいいかは一目瞭然だろう。

 どう考えても両インサイドハーフにはマクアリスターとソボスライを起用し、より前の位置でマクアリスターの攻撃的な能力を生かすのがベストだ。と同時に、彼らより一列下がったアンカーには守備が安定している遠藤を使うのがいい。

 ならば遠藤はクロップに求められている縦パスなどの攻撃的な能力を今後高めながら、虎視眈々とレギュラー入りを狙ってほしい。

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【EL 23/24 第3節】遠藤が移籍後初ゴールだ 〜リバプール 5-1 トゥールーズ

2023-10-27 11:58:59 | CL/EL/EURO(世界規模のサッカーリーグ)
撃ち合いの結果大差がついた

 現地時間10月26日にヨーロッパリーグの第3節が行われ、ホームのリバプールがトゥールーズを5対1で一蹴した。

 遠藤航がアンカーでスタメン出場し、前半30分にはアーノルドからのアーリークロスを受けヘッドで叩き込んだ。移籍後初ゴールだ。54分にもボックス内へ侵入し、右足を振ったが惜しくも左に外れた。

 彼は際どいピンチにうまくスペースを埋めてしのぐなど、対人プレーやパス出しに好プレーを見せた。彼がプレーするたびサポーターからも拍手が起こっていた。

 対戦相手のトゥールーズは自陣に引いて守ってカウンターを狙うような戦い方を選ばず、まともに撃ち合いに出た。その結果が5-1の敗戦だが、後半は押し込む場面も見られた。

 レッズに得点力があるから点差がついただけで、トゥールーズはいいチームだった。スペースを作ってうまく攻め、際どい形を作っていた。ただリバプールの決定力が高いため、モロに打ち合いになり点差がついた。リバプールのポゼッション率は63%だった。

 レッズのフォーメーションは4-1-2-3だ。GKはケレハー。最終ラインは右からアーノルド、マティプ、ゴメス、チェンバーズ。アンカーは遠藤、インサイドハーフはカーティス・ジョーンズとフラーフェンベルフ。3トップは右からエリオット、ヌニェス、ジョッタだ。

 一方、トゥールーズのフォーメーションは4-2-3-1。守備時4-4-2だ。

右SBアーノルドが偽SB化する

 リバプールはビルドアップ時、右SBのアーノルドが一列上がって中へ絞り偽SB化し、遠藤と中央をカバーするのが基本形だ。これで3-2-5のような形で組み上げる。アーノルドはこの形からCBに降りてのプレーも見せた。

 最終ラインでボールを保持するリヴァプールに対し、トゥールーズは中途半端なハイプレスをかけてくる。だが彼らは最終ラインとの間にスペースが開いている。恐れて押し上げてない。ここが狙い目だ。

 レッズの1点目は9分だった。縦パスを受けたジョッタが中盤からドリブルで単独突破しゴールした。これに対しトゥールーズは16分、同点にする。FWタイス・ダリンガが裏抜けしGKの足元を撃ち抜いた。

 これでシーソーゲームになるかと思われたが、違った。レッズの2点目は30分の右CKからだった。ショートコーナーで一度ボールを下げ、受けたアーノルドが斜めの浮き球を出して遠藤がヘッドでゴールした。勝ち越し弾だ。

 続く34分には、フラーフェンベルフが中盤から持ち上がり、ジョーンズにパス。受けたジョーンズはシュートしたが敵に当たって跳ね返り、そのこぼれ球をヌニェスがニア上へ豪快に打ち込んだ。3-1だ。

レッズは3戦全勝でダントツの首位だ

 後半の半ばになると中盤のプレスが消失し、ボールは一方のボックスからもう一方のボックスへと目まぐるしく動いた。だが最後、ゴールを決めるのはレッズだった。

 彼らの4点目は65分だ。ヌニェスが1人かわして独走し、フリーでシュートを放つが右のポストを叩く。天を仰ぐヌニェス。だが、ポストから跳ね返ったボールを拾ったフラーフェンベルフがきっちり詰めた。

 本当に不思議なのだが、ヌニェスはなぜあんなカンタンなシュートを外すのだろう? かと思えば超絶的に難しいシュートをいとも容易く決めたり、謎の多いプレーヤーだ。

 さて締めの5点目は90+3分だった。右サイドからのカウンターでレッズは前進し、ゴール前でサラーがひとつ切り返して右足で軽く押し込んだ。

 かくてゲームセット。リバプールは3戦全勝の勝ち点9でダントツのグループ首位を守った。

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【CL 23/24 E組 第3節】オランダの巨人が首位に立つ 〜フェイエノールト 3-1 ラツィオ

2023-10-26 09:42:11 | CL/EL/EURO(世界規模のサッカーリーグ)
ハイプレスを活かすか殺すか?

 欧州チャンピオンズリーグのグループE、第3節が10月25日に行われ、フェイエノールトとラツィオが対戦した。3対1でフェイエノールトが完勝した。ハイプレスへの対処と活用法でハッキリ勝敗が分かれた試合だった。両チームともハイプレスを使ったが、フェイエノールトの方が1枚も2枚も上手だった。

 オランダの軍団は敵最終ラインへのハイプレスで主導権を握り、相手のビルドアップを断ち切りボールを奪う。これで攻撃を成立させ、自分たちだけがおいしい目を見た。エースのCFサンティアゴ・ヒメネスが2ゴール、MFラミズ・ゼルキが1ゴールして試合を決めた。彼らのフォーメーションは4-3-3。守備時4-4-2だが非常にコンパクトな陣形で相手の攻撃を寄せつけなかった。

 フェイエノールトはローマのチームの最終ラインにヒメネス、ステングスら3〜4枚でしつこくハイプレスをかける。ラツィオは1試合を通し、この対処に苦しんだ。プレスを剥がして攻めを続けられない。

 逆にフェイエノールトは、これで敵のビルドアップの1本目のパスをカットしてカウンターを狙う。ラツィオは仮に1本目のパスが通っても、パスの受け手が背中に敵を背負っているためバックパスしかできない。この繰り返しだ。結局、ハイプレスを生かし切ったオランダ人たちが敵を制圧し圧勝した。なお上田綺世は終盤に途中出場している。

 これでフェイエノールトは2勝し、勝ち点6で堂々グループEの首位に立った。一方のラツィオは勝ち点4の3位。2位のアトレチコとは勝ち点1の差だ。

間延びしたラツィオの陣形

 一方、ラツィオも同じように敵の最終ラインへハイプレスをかけた。CFインモービレと左IHルイス・アルベルト、左WGフェリペ・アンデルソンが先鋒だ。だが彼らの場合、第二陣が続かない。しかもラツィオの最終ラインは相手の勢いを恐れたのか、えらく低い。するとどうなるか?

 フェイエノールトはこの3人による第一陣さえすり抜ければ、ぽっかり開いた中盤のおいしいスペースを手に入れられる。あとはご想像の通りだ。

 なぜかラツィオはセリエAでのゲームがウソのように、この日はラインが低かった(セリエAでの彼らはラインを押し上げ非常にコンパクトな陣形を組んでいる)。

 そしてボールを失うと、ディフェンディング・サードまでリトリートしていた。これでは敵の攻めを受けると、バックラインがほとんどゴールのすぐ前になる。事実、この日の彼らはゴールエリア内で守備するシーンが頻出した。

 これだけ前線から最終ラインまでが間延びし、アコーディオンのように伸びきってしまっていては戦えない。一度、攻めを弾き返してもまたボールを拾われて攻めを喰らう。結局、サッリ監督はここを修正できなかった。

エースのヒメネスが堂々の2Gだ

 さてフェイエノールトの先制点は31分だった。エースのヒメネスがボールを受け、マーカーを背負い回転しながらゴールに押し込んだ。

 続く2点目は前半アディショナルタイム2分だ。彼らは右サイドでボールを繋ぎ、右ポケットを取ったMFゼルキがゴール左に叩き込んだ。

 3ゴール目は74分だった。中盤で何本もパスを回し、最後は左サイドへボールを振ってから中へクロスを入れた。GKプロベデルが触ったが、こぼれ球をヒメネスが押し込んだ。彼はこの日、2ゴールだ。

 一方、ラツィオの唯一の得点は82分、PKによるものだった。フェイエノールトのマルコス・ロペスがファウルした。キッカーのペドロはゴール左スミにきっちり決めている。

鎌田はサッリの構想外か?

 さて、日本人としては気になるのがラツィオの鎌田大地の動向だ。彼は10月21日に行われたセリエAのサッスオーロ戦で、終盤に途中出場しただけだった。

 で、てっきり続く25日のCL・フェイエノールト戦には先発するものだと思っていたが、途中出場さえしなかった。ちなみに鎌田のライバルと目される同じインサイドハーフのゲンドゥージは途中出場している。

 これはいったい何を意味するのか?

 不吉な話だが、鎌田もリバプールにおける遠藤航と同じような立場に立たされつつあるのかもしれない。

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【CL 23/24 D組 第3節】ソシエダが1点で逃げ切りグループ首位を守る 〜ベンフィカ・リスボン 0-1 レアル・ソシエダ

2023-10-25 11:28:48 | CL/EL/EURO(世界規模のサッカーリーグ)
久保がマン・オブ・ザ・マッチに

 欧州チャンピオンズリーグは10月24日、グループDの第3節が行われベンフィカ・リスボンとレアル・ソシエダが対戦した。アウェイのソシエダが1点を守り切り、グループ首位を死守した。久保健英はマン・オブ・ザ・マッチに輝いた。

 ハイライン・ハイプレスのソシエダは終始コンパクトな陣形を保ち、敵に圧をかけてサッカーをさせなかった。

 彼らは前線でボールを失うとカウンタープレスを発動し、すぐボールを奪い返してはまた攻める。守っては相手にスペースと自由を与えないプレッシングで敵を単発の攻撃に抑えた。横綱相撲に近い完勝だった。久保はクロスとドリブルからのフィニッシュでベンフィカを脅かした。

 ソシエダのフォーメーションは4-1-2-3。スタメンはGKがレミロ。最終ラインは右からトラオレ、スベルディア、ル・ノルマン、ムニョス。アンカーはスビメンディ。右IHはブライス・メンデス、左IHはミケル・メリーノ。3トップは右から久保、オヤルサバル、バレネチェアだ。

ブライス・メンデスが虎の子の1点を上げる

 ラ・レアルはベンフィカのビルドアップに対し前からプレスをかけ、攻撃を制限した。これでアバウトなロングボールを蹴らせて回収する。試合の立ち上がりはベンフィカのボールだったが、逆にソシエダが敵陣内にプレスで押し込んでいた。このシーンが試合を象徴していた。

 前からのプレスが利けば、そのぶん最終ラインを上げられる。で、彼らはラインを高く保ち、敵が攻撃に使えるゾーンを圧縮した。そのためベンフィカの攻撃はアバウトで単調なものになった。対するソシエダはよくボールを保持し、決定機を作った。

 バスクのチームは前線でボールを失うと、リトリートせずにその場でプレスをかける。カウンタープレスだ。これにより高い位置でボールを奪い返して二次攻撃につなげる。一方、ベンフィカはボールを失うと、いったんミドルサードかディフェンディングサードまでリトリートしブロック守備に入るスタイルだ。

 ソシエダの得点シーンは63分だった。ボックス内でバレネチェアが1人かわして左からマイナスのクロスを入れ、受けたブライス・メンデスが押し込んだ。

 一方、久保は35分にボックス内へドリブルで切り込み、シュートを放った。ボールはDFの手に当たったがハンドのコールはなかった。また67分には右サイドからのドリブルでカットインし、ボールを浮かせたフィニッシュをしたが惜しくもバーを叩いた。久保の得意形だ。これは惜しかった。

 そして70分台になるとソシエダは1点を守り切る狙いで、時間を使うプレーが多くなる。敵陣へ押し込んでも安全にパスを繋いであえてフィニッシュに行かない。彼らは後半に失点して引き分け、または逆転されるケースが多いのだ。とはいえまだ20分もあるのに大丈夫か? と思わせたが、うまく無難に試合を終わらせた。

 これで彼らは勝ち点7とし、得失点差でインテルを抑えてグループ首位を守った。

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【プレミアリーグ 23/24 第9節】この試合の見出しがなぜ「三笘」なのか? ~マンチェスター・シティー 2-1 ブライトン

2023-10-24 09:04:31 | イングランド・プレミアリーグ
前半で終わっていた試合だ

 例によってメディアの見出しが「三笘!」「三笘!」の大合唱だ。で、試しにそのゲームを観てみることにした。ブライトンにはあんまり興味はないが確認のためだ。

 すると点差こそ「1点差」だが、驚いたことにマンチェスター・シティーの完全なワンサイドゲームだ。肝心の三笘は大半の時間帯でまったく消えていた。シティの左WGジェレミー・ドクがいつものようにサイドを食い破り続け、ブライトンは防戦一方だった。

 前半のアルバレスとハーランドの得点シーンでは、ブライトンはまるでアマチュアみたいな失点の仕方をしていた。まるで試合になってない。見どころといえば、ドクとマッチアップするミルナーの守備くらいだ(皮肉に言えば、だ)。

 前半早々に「0-2」とリードされ、ブライトンの選手たちはまるでゾンビのように生気なくピッチに佇むだけだった。

ペップのリップサービスを利用し「三笘!」の大合唱

 もし前半26分に放ったドクのあの惜しいシュートが決まっていれば、「3-0」となってゲームは前半で終わっていただろう。

 一点だけブライトンを褒めるとすれば、強敵シティと対戦したにもかかわらず、自陣にこもって「引いて守ってカウンター狙い」という(他のチームがやるような)極端な戦い方をしなかった点だけだ。

 繰り返しになるが、三笘は試合の大部分で「消えていた」。マッチアップしたDFカイル・ウォーカーに完全に抑え込まれていた。

 唯一、彼はアンス・ファティのゴールに関与したプレイで得点に絡んだが、なんであの試合のレポートでタイトルが「三笘が凄かった」になるのか?

「あのペップが三笘を褒めた」などと、試合後のペップのリップサービスに乗っかり「三笘! 三笘!」の大合唱。このメディアによる強大な「スターシステム」には、まったく呆れてモノが言えない。

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【第2次森保ジャパン】対照的だった南野拓実と中村敬斗【10月シリーズ】

2023-10-19 14:13:46 | サッカー日本代表
余計な雑念がシュートをミスさせる

 カナダ、 チュニジアと対戦した10月シリーズの南野拓実を見ていると、どこか彼には「気負い」や「焦り」があるように感じられた。

 どういうことか?

 これは南野をめぐる状況を考えればわかりやすい。ただし推論だ。

 所属チームのモナコで昨季不振だった彼は、今季、就任した新監督が彼を理解する馴染みのアドルフ・ヒュッター監督に代わった。

 で、彼に合わせてポジションも変わり、プレイしやすくなり絶好調になった。その流れで落選していた日本代表にもまた選ばれた。

「ここで絶対に結果を残し、代表に定着しなければ」

 彼はそんな心境だったのではないか? で、その強い思いが逆に気負いや焦りとなり、肩に力が入って肝心のシュートチャンスで決められないーー。

 こういうメンタルの流れが手に取るようにわかる。

 比較対照すると理解しやすいのが、中村敬斗だ。

「氷の心臓」をもつ彼はシュートを打つとき、まったく余計なメンタルの動きに左右されない。雑念がない。平易な言葉でいえば「平常心」でシュートすることができる。だからあんなに高確率でゴールを決められるのだ。

 とすれば南野が代表に定着できるかどうかは、どこまで彼が「無の境地」になれるか? にかかっているような気がする。

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【国際親善試合】ワンサイドゲームの快勝 〜日本 2-0 チュニジア

2023-10-18 09:29:12 | サッカー日本代表
クリーンシートで試合を終えた

 サッカー日本代表は10月17日にチュニジア代表と対戦し、FW古橋亨梧とMF伊東純也のゴールで2-0と勝利した。

 日本がボールを保持し、チュニジアが5-3-2で引いて守ってカウンターを狙う展開だった。だがピンチらしいピンチもなく、クリーンシートで試合を終えた。懸案の左SBは、中山雄太がレギュラー獲りに前進した。前からよくプレスをかけた古橋も点を取りアピールできた。途中出場の浅野もよかった。一方、トップ下の南野は微妙なところだ。

 日本は90分間、集中して前からプレスをかけ、高い最終ラインを維持。終始、コンパクトだった。遠藤と守田、冨安、板倉の中央部がよく、引き締まった試合だった。前半は小競り合いが続いたが、思わぬラッキーが起こり日本に先制点が入る。後半、チュニジアは4バックに変えて勝負に出たが、日本が加点し危なげなく逃げ切った。

 日本のフォーメーションは4-2-3-1だ。GKは鈴木彩艶。最終ラインは右から菅原由勢、板倉滉、冨安健洋、中山雄太。CMFは遠藤航と守田英正。2列目は右から伊東純也、久保建英、旗手怜央。ワントップは古橋亨梧だ。

前からのプレスが効きコンパクトな陣形

 日本は前からのプレスがよく効き、ゆえにラインを上げてコンパクトにやれた。やはり冨安、板倉のラインコントロールと前からのプレスの相性はいい。前半20分過ぎからはハイプレスをかけ始めた。そして25分には旗手が低い位置から逆サイドの伊東に向け、素晴らしいサイドチェンジのボールを入れた。彼はパス一発で数人の相手守備陣を置き去りにした。

 チュニジアは守備が堅く、日本はなかなか打開できない。だが逆に言えば大きなピンチもない。40分にカウンターを食いそうになったが、久保がしっかり戻って守備をした。彼はこの日、全2得点に絡んだ。

 先制点は前半43分だった。旗手が出したパスが敵に当たり、計ったように古橋のもとへボールが届いた。2人のDFに挟まれた古橋はワントラップし、落ち着いて右足インサイドでゴールに沈めた。

 2点目は後半24分だ。浅野からパスを受けた久保が左サイドをドリブルで進んでボックス左へ侵入し、マイナスのパスを出す。フリーで受けた伊東がワンタッチできっちり決めた。守っては90分間で相手にシュート1本しか許さず、危なげなく無失点で試合を終えた。これで日本は6連勝。敵が引いて守ってくるW杯アジア2次予選の予行演習を終えた。

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【チュニジア戦予想スタメン】現状の最強布陣で臨む

2023-10-17 07:54:59 | サッカー日本代表
左に旗手、久保はトップ下か?

 第2次森保ジャパンは、10月17日に行われるテストマッチでチュニジアと対戦する。ではスタメンはどうなるのだろうか? 

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      上田綺世

旗手怜央  久保建英  伊東純也


   守田英正   遠藤航


中山雄太 冨安健洋 板倉滉 菅原由勢

       鈴木彩艶

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 まずFWはまだ出場がない上田綺世で順当だろう。次にけが人続出の左サイドは、マルチな旗手で決まりだ。

 問題は右サイドから中央にかけてだが、久保を右サイドで使いトップ下で南野に再度チャンスを与えるテもある。だがここは最強布陣ということで伊東を右サイドに入れ、トップ下を久保にした。もしかしたら試合の途中で久保を右サイドに回すポジション替えもあるかもしれない。

 また中央の2CMFは鉄板の遠藤、守田で決まりだ。これで守田が一列前に上がれば4-1-4-1にもなる。

 一方、左SBは中山以外に本職がいないし、もう一度彼を見たいので中山を入れた。CBと右SBは鉄板の冨安と板倉、菅原で。GKは鈴木彩艶で決まりだ。ただし左SBに冨安を入れ、入れ替わりで左のCBに谷口を入れる組み方もある。さて、どうだろなるだろうか?

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【第2次森保ジャパン】カナダ戦で浅野が起こしたブレイクスルーとは?

2023-10-16 11:03:36 | サッカー日本代表
彼は自分のプレイスタイルをついに発見した

 浅野拓磨は従来、偶発的な一発はあるが「当然決めるところを決め切れない速いだけのFW」というイメージだった。

 だがカナダ戦ではプレイスタイルに一本筋が通り、自分はどうやるべきか? を発見したのだろうな、と感じた。

 森保監督が辛抱に辛抱を重ねて起用してきたのが結実した。28歳で迎えたブレイクスルーだ。

前線で基点になる機能を果たした

 彼のカナダ戦での収穫は、大きくは2つ。前からのプレッシングと、前線で基点になる機能を果たした点だ。しかもインテンシティが非常に高かった。

 前線において単独で敵からボールを奪い、味方の攻撃に繋げた出色のプレイのほか、縦パスを受けては展開し攻めの出発点になっていた。

 浅野のあれを「ポストプレイ」と呼ぶと大迫勇也に怒られそうなので「基点になる働き」と記述するに留めるが、いずれにしろ彼はひと皮むけた感じだ。自分の目指すべきところを見つけたのだろう。

 そんな彼が今回新たに搭載した機能は、持ち前のスピードによってより生きる。相乗効果を生む。

 ひと粒で2度も3度もおいしい「使える選手」へと伸びて行きそうだ。

 残る課題は、ひとつひとつのプレイを確実にしっかりやり切ること。堅実性とプレイ精度の向上だ。逆にいえばまだまだ伸びしろがある。

 楽しみである。

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【W杯アジア2次予選】国内組で臨むべきだ

2023-10-15 13:33:04 | サッカー日本代表
カナダ戦とチュニジア戦はその布石にすべきだった

 11月から始まるW杯アジア2次予選は「国内組で臨むべし」論がすでに何人かの識者から提言されている。だが、具現化する様子がない。

 森保ジャパンは、本気で遠路、海外組を招集するつもりなのだろうか?

 繰り返しになるが招集されるのはW杯本大会ではない。「アジア2次予選」だ。本当にそこへ海外組を全投入するのだろうか?

 欧州チャンピオンズリーグやヨーロッパリーグなど過密日程のなか行われる今回のカナダ戦、チュニジア戦では国内組を招集し、W杯アジア2次予選への国内組参戦の布石を打つべきだった。

 そして代表国内組を本格的に立ち上げ、アジア2次予選へのレールを敷くべきだった。「Bチーム」の必要性は昔から言われてきたが、そのいい機会なのだ。新戦力の発掘や底上げになる。

 ちなみにカナダ戦で招集され、乱暴なチャージでケガを負わされた中村敬斗などは、この負傷のせいで所属チームの試合に出られなくなるのではたまったもんじゃないだろう。

 早い回復を祈りたい。

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【親善試合】クリーンシートで終えたいゲーム ~日本 4-1 カナダ

2023-10-14 11:02:46 | サッカー日本代表
「締まった試合」ではなかった

「日本は直近5試合全てで4点以上、計22ゴール」とハデな数字が踊った。だが6-0で勝った6月のエルサルバドル戦以降、完封なし。日本はゴールは取るが失点もするチーム状態が続いている。

 ライン設定が低くコンパクトではない。相手ボールへの寄せも甘い。点は取れたが緩い試合だった。中村敬斗が国際Aマッチデビューから4試合で4ゴールをあげる快挙を実現する一方、ゲームのほうは「締まった感じ」ではなかった。

 試合は開始2分に敵のクリアボールをボックス手前で田中碧が収めてゴールして以降、前半の日本は押される場面もあったが相手のオウンゴールと中村の得点による3点リードで折り返した。

 後半も立ち上がりに田中がこの日2ゴール目を取り、試合を決めた。だがゲーム終了間際にホイレットに一発を食らい1失点している。

4-3-3から4-2-3-1へ可変した

 この試合、日本は4-3-3(4-1-4-1)で入った。心臓部はアンカーが遠藤航、右インサイドハーフが南野拓実、左インサイドハーフは田中碧だった。一方、カナダは5-3-2だ。

 だが相手との噛み合わせが悪く、カナダは中盤に人数をかけてくる。そこで田中が自主的に一列降りて遠藤とフラットなダブルボランチになり、かたや南野が相手のアンカーを見るよう修正した。

 これで敵の3バックにはワントップの浅野拓磨と、右は伊東純也、左は中村敬斗の両ウイングが対応した。また後半に入ると立ち上がりから日本は守備時4-4-2のブロックを明確に作った。

 そして後半16分には遠藤に代えて伊藤敦樹を、中村に代えて旗手怜央を投入したが、この時点ではっきり4-2-3-1の形を取った。田中と伊藤敦の2ボランチだ。

 一方、バイエルン所属の左WBアルフォンソ・デイビスは速くて鋭い。そこで日本は右SBの毎熊晟矢と右ウイングの伊東がダブルチームで対応した。

課題は守備と試合運びだ

 収穫としてはやはり中村だろう。シュートの場面で彼は氷の心臓を持っていることが判明してきた。非常に冷静で精密機械のようだ。

 また田中の得点力や伊東の前への推進力と献身的な守備が光った。伊東は後半アディショナルタイムになっても前からプレスをかけていた。そのほか浅野はスピードに乗った突破と前線で基点になる機能を果たした。

 途中出場した旗手怜央は後半25分に、逆サイドの伊東に向けダイアゴナルなすばらしいサイドチェンジのボールを入れた。彼は守備でも相手によく寄せていた。いい選手だ。

 一方、日本の課題は守備とゲームの駆け引きだろう。日本は行く行かないの試合運びのところで終始、イケイケだった。もっと失点を防ぎながら、ボールをキープしてうまく時間を使うシーンもあっていいのではないか?

 そして唯一の失点シーンでは後半44分にジョナサン・ディビッドに左からクロスを入れられ、GK大迫敬介が弾いたものの、ホイレットに押し込まれた。こういう勝ち試合はクリーンシートで終えたい。今後のテーマだ。

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【カナダ戦のスタメンは?】久保が中心だ ~鉄板バージョン

2023-10-13 07:33:04 | サッカー日本代表
4-1-4-1と4-2-3-1の可変ならコレだ

 第2次森保ジャパンは、10月13日に新潟で行われるテストマッチでカナダ代表と対戦する。ではスタメンはどうなるのか? シミュレーションしてみた。

 森保監督は「4-1-4-1スタートだが、相手との噛み合わせも考え4-2-3-1との可変もある」という趣旨のコメントをしていたようだ。そこを考えると、メンバーと構成は以下のような感じになる。

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      上田綺世
中村敬斗        伊東純也
  旗手怜央     久保建英
       遠藤航
中山雄太 冨安健洋 板倉滉 毎熊晟矢

       鈴木彩艶
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 まず三笘薫がいない左ウイングの第一選択は中村敬斗だ。彼のチェックポイントは、(1)ゴールが取れるか?(2)90分間、消えずにプレイできるか?(3)守備はどの程度できるか? の3点だ。

 また右SBの第一候補は菅原由勢だが、彼の力はすでにわかっている。ゆえに毎熊がどれくらいできるか(攻撃面のよさは観たので特に守備面)を見たい。

 左インサイドハーフはボランチが本職の守田英正もあるが、旗手をまず確認したいというのがひとつ。加えて4-3-3(4-1-4-1)により慣れているであろう旗手のほうを第一選択とした。もちろん彼なら可変後のボランチも支障なくできるだろう。

 またGKは鈴木彩艶が観たいので彼を入れたが、GK小島亨介も足元がよくビルドアップを主導できるので魅力的だ。

 さて、これで4-2-3-1に変化するには、久保が中央にスライドしてトップ下を務め、旗手が一列下がって遠藤とダブルボランチを組む形になる。簡単な変化だ。

 また右インサイドハーフ(兼トップ下)は南野拓実もあるが、まずは久保で始めたい。例えばスタートは久保で、試合途中で伊東を下げて(伊東の力はすでにわかっているので)久保を右ウイングに入れ、トップ下(兼右インサイドハーフ)に南野を投入するパターンもある。

 これなら久保を右インサイドハーフとトップ下、右ウイングの3ポジションで観られる可能性が残り、ひと粒で三度おいしい。

 なお左SB中山雄太の攻守に渡るデキも重要なカギを握る。そこにも注視したい。

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【プレミアリーグ 23/24 第8節】スターリングが冴え渡る ~バーンリー 1-4 チェルシー

2023-10-12 05:02:04 | イングランド・プレミアリーグ
ホームのバーンリーが先制するが……

 プレミアリーグ第8節が10月7日に行われ、バーンリーとチェルシーが対戦した。チェルシーが4ゴールを奪って勝利した。

 試合はホームのバーンリーが先制し、前半のチェルシーは相手のコンパクトな守備ブロックに手を焼く展開になった。ブルーズの面々はなんだか不安そうだった。だが前半の終わりに同点に追いつき、そこからチェルシーは急速度に加点し彼らのポゼッションだけが冴える展開で終わった。

 この日、1ゴールのスターリングは全得点に関与する働きが光った。

 チェルシーは立ち上がり、ハイプレスで入った。14分には左WGのスターリングが左サイドからカットインしシュートするが右に逸れる。これがこの日の彼らの攻撃の象徴になった。本日の主役はスターリングだ。

 だが先制したのはバーンリーだった。左サイドから中央へ展開し、最後はボックス内のゴール左からFWウィルソン・オドベールがフィニッシュした。彼らはかつてのクラシカルなサッカーから変身し、すっかりポゼッション・スタイルを身につけたようだ。

 チェルシーのフォーメーションは4-1-2-3だ。GKはロベルト・サンチェス。最終ラインは右からマルク・ククレジャ、アクセル・ディサシ、チアゴ・シウバ、レビ・コルウィルが構える。

 アンカーはモイセス・カイセド。右IHはコナー・ギャラガー、左IHはエンソ・フェルナンデス。最前線は右からコール・パルマー、アルマンド・ブロヤ、ラヒーム・スターリングだ。

スターリングだけが戦意をたぎらせる

 チェルシーは自陣でボールを奪い返して速いカウンターのチャンスになっても、誰も爆発的なスプリントをする選手がいない。カウンターは彼らの辞書にはないのだろう。「俺たちはポゼッションだ」と自分たちのリズムを自分で決め込んでしまっている。局面に応じた臨機応変な戦い方ができない。まるでルーティーンワークを淡々とこなすサラリーマンのようだ。

 34分にもブルーズは早いタイミングでフィニッシュする機会があったが、彼らは遅攻にしてしまった。相手に時間を与えたおかげでゴール前に人垣を作られ好機をフイにした。彼らはバーンリーの4-4の守備ブロックに手を焼いている。ならばリズムを変えて緩急をつけるべきなのに、まったく同じリズムでただパスをゆったり回しているだけだ。

 そんな沈滞した空気を打ち破ったのはスターリングだった。42分に彼は左サイドでドリブルし、左足で鋭いクロスを入れる。するとバーンリーのDFアミーン・アル・ダキルにボールが当たってゴールに入った。オウンゴールだ。これで同点に追いついた。

 さて前半を終わり、ブルーズのポゼッション率は68%だった。だが彼らは敵ブロックの外周をただ安全に「コ」の字型を描きながらパスを回しただけだ。有効なポゼッションではない。後半、そこが改善できるかどうかがポイントだ。

ブルーズが逆転し初の2連勝へ

 チェルシーは後半の頭から、CFのブロヤに代えてニコラス・ジャクソンを投入した。すると48分、スターリングの突破に右SBビチーニョがファウルし、PKを得る。キッカーはパーマーだ。彼はグラウンダーのボールでゴール右に決めた。逆転である。

 現金なもので、ブルーズは2-1と1点リードしたら、とたんにきっちりブロックを作って守り始めた。選手の心理が透けて見える。

 続く65分、チェルシーは中盤でのボール奪取からギャラガーが左のスターリングにボールを振り、スターリングがゴールエリア左角からゴール右にきっちり決めた。3点目だ。

 そして仕上げは75分だった。またもスターリングが左サイドを切り裂き、逆サイドのパーマーにパス。次にボールはパーマーから中央のジャクソンへ。彼はワントラップして切り返し、ゴール右に叩き込んだ。チーム4ゴール目である。

 かくてタイムアップ。終わってみればチェルシーの大勝だが、バーンリーの先制点から次の1点をどちらが取るかが勝負だった。前半のブルーズは自信なさげだっただけに、同点にできたのは大きかった。

 あそこでメンタルが解放され、4ゴール圧勝に繋がった試合だった。サッカーでは、やはりメンタルの影響が大きい。これでチェルシーは初のプレミア2連勝。さあ追い上げだ。

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【プレミアリーグ 23/24 第8節】「アンカー遠藤航」は本格実現するか? ~ブライトン 2-2 リバプール

2023-10-11 05:20:21 | イングランド・プレミアリーグ
遠藤が先発かと思われたが……

 プレミアリーグ第8節が10月8日に行われ、ブライトンとリバプールが対戦した。試合は2-2の引き分けで終わった。

 10月5日に行われた、チャンピオンズリーグ第2節のユニオン・サン=ジロワーズ戦。アンカーで先発していた遠藤は前半で交代したので、てっきりその次に来るこの試合で先発すると思っていたから意外だった。

 やっぱりクロップは、まだ遠藤の新しい環境への適応度を気にしているのだろうか?

 確かクロップは記者会見で「IHのエリオットの調子がいいのでこの試合でスタメン起用した」と言ったらしい。ゆえに「遠藤は使えなかった」という意味だ。

 つまり遠藤がアンカーに入ると、必然的にマクアリスターとソボスライが両インサイドハーフになる。

 ところがそこにハーベイ・エリオットが左IHとして割り込んだため、マクアリスターがはみ出す形で一列下がってアンカーを務め、ソボスライが右IHに回ったのだ、という示唆だろう。

 つまり遠藤はあくまでこの「玉突き」によって先発をはみ出したのであり、遠藤がよくないから起用しなかったのではない、という間接的なクロップの説明だ。

マクアリスターは致命的な「やらかし」がある

 だがクロップは南野拓実がリバプールに在籍したときも、「なぜ使わないのか?」という質問にこのテの当たり障りのない説明をしてお茶を濁していた。

 クロップは決して選手のことを悪く言わないのだ。だから今回もそのテの取り繕いのような気がする。だがいずれにしろ遠藤にアンカーが務まるかどうかで、リバプールの運命は大きく変わってくる。

 現状、マクアリスターがアンカーをやっているが、彼はもともと攻撃の選手だけに守備に関するミスが多い。しかも守備の選手なら絶対にやらない「致命的なやらかし」が目立つ。

 例えばこのブライトン戦でも25分に、ヘディングでボールを収めようとしたが奪われかけ、ルイス・ディアスに助けられている。場所はバイタルエリアだ。

 また30分にはポジションを空けてしまい、ディフェンスラインがむき出しになり失点しかけた。そして80分にはジョアン・ペドロに抜かれてファウルで止めた。これはボックスのすぐ手前だ。

 とにかく彼がアンカーをやっている試合を観るたびキモを冷やす。

 特に第5節のウルブズ戦はひどかった。

ウイン・ウインの形は?

 前にも一度書いたが、リバプールが遠藤を獲ったとき、クロップの頭の中には「遠藤をアンカーで使う。そしてマクアリスターを左インサイドハーフ、ソボスライを右のインサイドハーフで起用する」という青写真があったはずだ。

 マクアリスターがIHとして今の位置より前でプレイできれば、彼の攻撃的な高い技術がいかんなく発揮され、チームの得点力はハネ上がるだろう。

 かたや堅実で安定性の高い遠藤がアンカーでハマれば、シーズン開幕から不安定な試合を繰り返すレッズに安定感がもたらされる。

 完全なウイン・ウインなのだ。

 さて、このいいことづくめの青写真はいつ実現するのだろうか。

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