すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【アジア杯決勝】敵のビルドアップを制限できず ~日本1-3カタール

2019-02-02 11:51:04 | サッカー日本代表
元栓を締めず水がジャブジャブ

 日本はトルクメニスタン戦の再来か? と思わせるような散々なデキだった。カタールの3バックによるビルドアップに対し、日本はそれを規制するための前線での第1プレッシャーラインがまったく機能していなかった。

 敵の3枚のビルドアップに対し「盾」が数的不利なら、中を切って狭いサイドにボールを誘導しハメに行くような対策が必要だった。日本はそれがまるでできず、カタールはバックラインでボールを回すまでもなく簡単に縦パスを入れていた。やりたい放題だ。

 水道の蛇口の元栓を締めることができず、水がジャブジャブ流れ出す状態では堤防は決壊する。日本は前から敵を規制する組織的な守備がまったくできていなかった。

 ヨーロッパの最前線では、「敵のビルドアップをいかに止めるか?」が1大テーマになっている。FWによるプレッシングはマニュアル化されている。トレーニングの段階から、森保監督がそのプレー原則をハッキリ示していればできるはずだ。

 最初の1年は「選手に自由にやらせて様子を見よう」という方針なのかもしれないが、最低限の原則さえないのは大問題だ。

ニアゾーンをめぐる攻防がない

 カタールは3バックでアンカーを1枚置き、前線の11番が自由に動いて中盤に下りてくる。日本はこの動きを捕まえられなかった。

 一方、彼らは守備になればウイングバックが引いて5-3-2になる。トランジションが速く、ボールを奪うと鋭いカウンターを繰り出す。日本は彼らのカウンターを食らうと簡単に数的同数を許した。あらかじめ偽SBをCBの前に配置しておくような、予防的なカバーリングができていないからだ。

 また日本はコンビネーションでサイドを使って敵のウイングバックを釣り出し、空いたニアゾーンを突くような攻めをしなかった。ひたすら分厚い敵の中央に突撃しては、弾き返される。その繰り返しだった。このチームの真ん中フェチは深刻だ。

 あまり機能してなかった堂安は、もっと早いタイミングで伊東と代えてもよかった。まっすぐ縦に攻める香車の伊東がいれば、敵のウイングバックが釣られてニアゾーンが空いたかもしれない。選手交代の遅さも致命的だった。

監督の無策が招いた敗戦だ

 とはいえ日本にはツキもなかった。1失点目はオーバーヘッドを食らった交通事故。3失点目のハンドによるPKも運がなかった。

 防げるとすれば2失点目だったが……あのシーンでは裏抜けしようとした19番に吉田が食いつきかけ、正対していたボールホルダーにシュートを打つに十分なスペースをやってしまった。敵ボールホルダーの周囲には近距離に5人の日本選手がいたが、誰も寄せようとしない。完全なボールウォッチャーだった。

 スタメンを完全固定してきた疲れからか、この試合、日本の選手はボールウォッチャーになるシーンが散見された。ターンオーバーで選手の疲労を取るような対策をしてないのだ。スタメン固定のツケが出た。あれでは敗戦もやむなしだろう。

 後半になると2点のリードをもらったカタールはゾーンを下げ、日本にボールを持たせて試合を殺しにかかった。後半、日本は押し込んでポゼッション率が上がったように見えたが、敵の手のひらの上で踊っているだけ。完全にカタールのゲームだった。

 今大会、日本は試合ごとの出来不出来の差が激しかったが、決勝にきてその「暗黒面」が出た。大会を通じて不出来な試合をひっくり返すような監督の修正もなく、ただスタメンを機械的に固定してレミングのように海に飛び込んで行った。南無阿弥陀仏だ。
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