すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【J1首位決戦・第2戦結果】最新戦術と強いメンタルで川崎Fが圧倒する ~川崎F 3-2 名古屋

2021-05-04 17:58:34 | Jリーグ
点差以上の力の開きがあった

 リーグ首位決戦の天王山。

 その第2戦目を迎えた川崎フロンターレは、第1戦とまったく同じメンバーとシステムで臨んだ。一方、名古屋は陣容を大きく変えてきた。

 この時点で「勝負あったな」と感じた。

 川崎Fはもう「これ以上は変えようがないぞ」ということ。俺たちはこれだ、どこからでもかかってこい、と。キモの座り方がちがう。

 逆に名古屋は小手先から変えてきた。ジタバタしている。

 それは名古屋の3失点目になったオウンゴールにすべて表れていた。

 われわれ外野は「矛盾対決」などと無用に煽り、名古屋に過分なものを背負わせてしまったのではないか?

 振り返って考えてみる必要があるように思う。

 さて3点先取された名古屋は追い上げたものの、2点止まりで3-2にて試合終了。首位の川崎Fと2位・名古屋の勝ち点差はついに「9」となった。

 全チームが気合いを入れて川崎F戦を戦わなければJ1の火が消えてしまう。

 深刻な事態である。

川崎F、名古屋ともに4-1-2-3

 川崎Fのフォーメーションは4-1-2-3。スタメンはGKがチョン・ソンリョン。最終ラインは右から山根、ジェジエウ、谷口、登里である。

 アンカーにはジョアン・シミッチが入り、右インサイドMFは田中碧。左インサイドMFは旗手が務める。

 3トップは右から家長、レアンドロ・ダミアン、三笘である。

 一方、名古屋はフォーメーションを4-1-2-3といつもとは変え、ミラーゲームにしてきた。中盤3センターで守備を厚くする狙いだろうか。

 スタメンはGKがランゲラック。最終ラインは右から宮原、木本、丸山、吉田だ。

 アンカーは米本、右インサイドMFは稲垣、左インサイドMFは長澤。3トップは右からマテウス、山崎、前田である。

 名古屋は、ふだんリードして守り切り、勝ち逃げするときのフォーメーションだ。そういう形で、今日は試合の頭から臨んだ。さて、これがどう出るか? だ。

名古屋はどうもメンタルが弱い

 名古屋は立ち上がりからミスが多い。なんだか大舞台に弱く、浮足立って見える。

 第1戦と同じで、首位決戦を迎え彼らはメンタルが弱くバタバタし、過去の落ち着いた試合とはまったくちがう腰の浮いた展開になっている。

 反対に川崎Fはインテンシティが高く、プレッシングも彼らの方に強さがある。

 その川崎Fの1点目は前半31分だ。

 川崎Fの左CKから田中碧がクロスを上げる。これをファーでジェジエウが叩くようにヘッドで決めた。1—0である。

名古屋はディフェンディングサードまでリトリートする

 今日も名古屋は川崎Fがポゼッションすると、ディフェンディングサードまでリトリートする。守備位置が深すぎる。

 逆に名古屋がボールを奪い「すわ、カウンターのチャンスか?」というときには、川崎Fの田中碧がきっちりチャンスの芽を潰していた。

 名古屋は速いカウンターをかけたい局面でも、ボールを後ろに下げてやり直してしまう。速いトランジション(攻守の切り替え)を理解していない。 

 彼らの辞書には「速いショートカウンター」という文字がないのだ。

 相手ボールのときプレスをかける位置も低く、ハイプレスやカウンタープレスという文字も辞書にない。

 相手ボールになれば、ただひたすらリトリートし自陣にブロックを組む。

 彼らは一度、戦術を見直してみる必要があるのではないか? どうも戦術が古色蒼然としている感じだ。

「詰み」が決まったあと、ただ「指してみた」だけ

 川崎Fは1点リードしたあと、後半に入って立て続けに2点を連取する。

 特に2点目は左からの三笘の折り返しに、右SBの山根がゴール前まで侵入してゴールを決めた。彼はハーフスペースをインナーラップしてきたのである。

 このあたり、両者の戦術の鮮度のちがいが際立って見えた。

 名古屋のオウンゴールで川崎Fが3-0と決定的にリードしたあと、名古屋は2点を取って追い上げたが時すでに遅し。

 将棋でいえば、すでに「詰み」が決まっているのに「まだ指してみた」という感じがした。

 川崎Fは三笘のドリブルも速さが光ったし、3対2という競った点差以上の開きのある勝負だった。

 これで名古屋は首位・川崎Fとの勝ち点差が「9」に開いた。

 力の差を実感した試合だった。

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【J1天王山・第2戦プレビュー】ラインの高さとトランジションをめぐる戦いに ~川崎F vs 名古屋

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【J1天王山・第2戦プレビュー】ラインの高さとトランジションをめぐる戦いに ~川崎F vs 名古屋

2021-05-04 10:08:39 | Jリーグ
現在の勝ち点差は「6」だ

 いよいよすべてを決める本当の天王山がやってきた。変則日程のせいで実現した、J1リーグの首位攻防2連戦の第2戦だ。

 2チームとも13試合を終え、川崎フロンターレは第1戦に勝って11勝2分0敗の1位。

 一方の名古屋グランパスは第1戦に負け、9勝2分2敗の2位である。

 そして現在の勝ち点差は「6」だ。もし名古屋が負けたら「9」になる。どこかのテレビ局ではないが、名古屋にとっては「絶対に負けられない戦い」になるだろう。

先制点がすべてを決める

 名古屋としては最終ラインがズルズル下がって負けた第1戦の教訓を生かし、ラインを高く保って戦いたい。こうして前からプレスをかけるのだ。

 逆に川崎Fとしてはそのライン裏を狙い、速い攻撃を仕掛けて先取点を取りたい。

 この試合、先制点の意味は大きい。

 川崎Fが先制すれば、名古屋は「ああ、またか」と第1戦の記憶がよみがえる。そこからまたメンタルが崩壊し、ズルズル行くかもしれない。

 こうなれば川崎Fとすればしめたものである。

 逆に名古屋が先制点を取れば、「よし、行けるぞ!」とメンタルが冴え渡り、勢いがつく。すべては先取点が決めるといっても過言ではない。

最終ラインをめぐる戦いになる

 もし名古屋が高いラインで戦ってくれば、川崎Fはそのラインの裏を狙いたい。選手が裏に走り込み、よーいドン、でスルーパスを出すのだ。

 川崎Fにとって、こういう戦い方は慣れているだろう。

 逆に名古屋側から見れば、裏を狙えないようにしなければならない。それには中盤からプレスをかけ、ボールをクローズ(ボールにプレスがかかった状態)にさせる必要がある。

 この状態にすれば川崎Fはスルーパスを出せない。

 逆に守備が得意な名古屋にとっても、プレッシングしながらのこういう戦いは慣れたものだ。

 つまりこの第2戦は、名古屋の最終ラインをめぐる戦いになると見る。

トランジションが決める速いカウンター

 川崎Fはチームのコンセプトから考えて、ボールを保持し、ポゼッションしてくるはずだ。とすればポゼッション率は6:4で川崎Fが上回るだろう。

 ならば名古屋とすれば中盤でプレッシングし、川崎Fを自由にさせない。ラストパスを出させない。

 それだけでなく中盤の攻防で、できればボールを奪ってしまいたい。

 ポゼッション率で上回る川崎Fは、前にかかって攻めてくるはずだ。

 ならば中盤でボールを奪えれば、相手は守備の態勢が崩れている。で、前がかりになった川崎Fのライン裏を狙い、速いカウンターを仕掛けたい。

 機敏なトランジションにより、名古屋はボールを奪ったら守備から攻めに素早く切り替える。

 そして人とボールを速く動かし、速いショートカウンターを打って川崎Fの高いライン裏を狙いたい。

点の取り合いになれば川崎Fが有利だ

 こんなふうに試合は最終ラインの高さとトランジションをめぐる攻防になる。

 もし点の取り合いになれば川崎Fが圧倒的に有利になるだろう。

 逆に0-0で1点をめぐる息詰まる攻防になれば、名古屋に勝算が生まれる。

 このゲーム、果たして終わった時には勝ち点差が「3」になるのか? それとも「9」になるのか?

 文字通り、J1リーグの今季を占う戦いになりそうだ。

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