すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【W杯アジア2次予選】シンガポール戦はメンタルを試される一戦だ

2015-10-30 05:31:13 | サッカー日本代表
引き分けに持ち込まれたネガティブな記憶に勝て

 ハリルジャパンは11月12日、あのシンガポールとの一戦を迎える。アジア2次予選の初戦、まんまと0点に抑えられ、引き分けに持ち込まれた相手である。当然、選手たちの頭にはその記憶が鮮烈に焼き付いている。試合当日の選手は、内心穏やかではないだろう。

「あの1点も取れなかった相手だ」

「また同じことになったらどうしよう?」

 そんなネガティブな心理にも陥りやすい。

 その意味では香川など、中軸にメンタルの弱い選手を抱えるチームの真価が問われる。この大きなプレッシャーを跳ね除け、彼らは伸び伸び力を発揮できるだろうか?

 シンガポール戦の結果がどう出るか? それは今後のハリルジャパンを占うものになるだろう。

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【サッカー日本代表】「支配している」=「デキがいい」から日本人は卒業すべきだ

2015-10-23 10:37:21 | サッカー戦術論
日本人に巣食うポゼッションへの根強い信仰

 日本人は伝統的に、ポゼッション型のサッカーに対する強いあこがれがある。

 そのため試合を支配していると「今日はデキがいいぞ」と感じ、反対に支配されると「押し込まれている」=「やられている」と思いがちだ。これは角度を変えてみれば、自分たちのポゼッション率が高ければ高いほど「優勢だ」と感じるということである。

 だがサッカー文化が十二分に発展し定着しているヨーロッパや南米ではどうか?

 例えばワールドカップの地区予選でブラジルやアルゼンチンと当たる可能性のある南米諸国は、当たり前のようにリトリートからのカウンター狙いのサッカーを身につけている。彼らにしてみれば試合を支配されている、イコール、「やらせている」のであり、自分たちのゲームプラン通りだと認識している。

 この埋めようのない日本と海外とのサッカー知能の差は、あらゆる局面に作用してくる。

 最近の例でいえば、世界の強豪ひしめくワールドカップの舞台で、無謀にも「自分たちのサッカー」=ポゼッション・サッカーを押し通そうとして惨敗したザックジャパンは記憶に新しい。

 結論から先にいえば、「押し込まれている」=「やられている」、あるいは逆に「支配している」=「優勢だ」のような単細胞な日本独特のサッカー観からそろそろ卒業するべきではないか? ということだ。

 そうすれば必然的に、試合運びからして変わってくるだろう。

 例えば日本人は「受けに回るのはよくない」という独特の感覚から、自分のチームがリードしていようがいまいが、攻めのサッカーをしようとする。だがそんな日本ならではの単純なサッカー観を卒業すれば、リードしていれば自然にリトリートして安全策を取るようになるだろうし、次にリードされたらまたやり方を変えるだろう。

 いちいち監督からそのつど指示されなくても、そのときの試合の状況に応じた試合運びができるようになるはずだ。また相手が自分たちより強ければカウンター狙いに切り替えるなど、相手チームとの兼ね合いを見てその試合のゲームプランを即興で変えられるようになる。つまり試合巧者への脱皮である。

「自分たちのサッカー」から卒業するというのは、そういうことを指すのだろう。

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【サッカー日本代表】イラン戦に見るクロスの威力

2015-10-17 18:16:57 | サッカー日本代表
点で合わせるフィニッシュは有力だ

 見るべきところの少なかったイランとの親善試合。フィールド全域で相手の激しいプレスを受けて消耗戦の様相を呈していたが、日本唯一の得点を記録したのは右サイドからアーリー気味に入れた本田のクロスだった。

 これにゴール前で武藤がよく競り、オウンゴールのようにも見えた得点が決まった。武藤は自分のカラダのどこに当てたかよくわからなかったろうし、競り合ったイランのDFにしても「なぜやられたのか?」見当がつかなかっただろう。サッカーというのはそういうものだ。

 点で合わせるクロスの威力をまざまざと見せつけられた。

 クロスが決まらないハリルジャパンには「もうクロスを使った攻めは諦めた」的な雰囲気が漂っていたが、やはりクロスの力はすごい。あんなふうに一発で決まるのだ。やっぱりクロスを諦めてはだめだ。

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【サッカー日本代表】ファイトする選手を使え

2015-10-15 09:11:00 | サッカー戦術論
球際で泥臭く踏ん張れるファイティング・スピリットが必要だ

 ハリルジャパンが戦った先日の国際親善試合のイラン戦を振り返って実感されるのは、ギリギリの修羅場でファイトできる選手の必要性だ。苦しい中、カラダを張ってでも球際で泥臭く踏ん張れるファイティング・スピリット。日本に欠けている最大のポイントはそこである。

 高い位置からがんがんプレスをかけてきたイランに対し、前半の日本の選手は激しい接触プレイを恐れるかのように腰の引けた戦い方をした。その典型は、相手の猛威の前に完全に消えていた香川と宇佐美だ。

 飛び抜けた技術の高さはあるが、出来不出来の差が激しく体力の消耗する接触プレイを嫌がるーー。彼ら2人にはそんな傾向がある。根本的にはこれは彼らのメンタルの問題であり、それだけに解決するのがむずかしい。

 ひるがえってワールドカップというド本番で戦える選手像とは何か? ギラギラとした燃えるような闘志があり、本当の意味でファイトできる選手が求められる。小手先の技術以前に、まず大前提として必要なのはそこだ。とすれば厳しい修羅場で結果の出せない香川や宇佐美を切る勇気も必要なのではないか?

 日本がお上品で華奢なお公家さま集団でなく、真の意味で戦える野武士軍団になるために。

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【国際親善試合】敵のフォアプレッシャーに苦しみボールロストの嵐 ~イラン1-1日本

2015-10-14 08:47:22 | サッカー戦術論
「前からくる相手をどうかわすか?」という新たな課題

 またもハリルジャパンに大きな課題が突きつけられた。前からプレスをかけられたときの対応である。これまで日本はアジア2次予選で、リトリートしてくる守備的な相手に苦しめられた。だがこの日はまるで逆のパターンを突きつけられた。アグレッシブに前から来られ、日本はボールロストの山を築いた。

 自陣に引かれると点が取れない。だがこの日のように、逆にフォアプレッシャーを受けるとたちまち組み立てができなくなる。意図のあるパスが2本以上繋がらない。イランはそれほどボールに対する寄せが速かった。しかも複数の選手がユニットになり潰しにくる。彼らの球際の強さは特筆ものだった。

 日本は選手間の距離を短く取ったが、そこに上からプレスの網をザックリかけられ苦しんだ。その結果ボールが足につかず、ワンタッチコントロールが乱れた。で、ボールを2回、3回小突いてコントロールしようとしている間にボールをかっさらわれる。そんなシーンのオンパレードだった。

 イランがあれだけ執拗にガツガツ前からプレスをかけてくるのだから、日本の選手はもっとピッチをワイドに使い、相手選手を横に広げさせるべきだった。そうすれば敵選手の密度が薄まりスペースができる。すると必然的にプレスをかいくぐるチャンスも生まれる。

 例えばタッチラインいっぱいに開いたウイングに、逆サイドからダイアゴナルの長いサイドチェンジのボールを入れ、敵選手の密集地帯をすっ飛ばす。そんな「大きいサッカー」ができるようにならなければ今後も苦しむだろう。

 最終ラインからビルドアップできない問題点も相変わらずだ。味方のボールホルダーをただ突っ立って眺めているだけでボールをもらうアクションを起こさない。それなら例えばバックラインから意図的にロングボールを前に放り込む時間帯も作り、それによって相手の守備ブロックを下げさせるなど、困難な局面を打開するための工夫もまったくない。とにかく何も考えずにサッカーをやっている感じだった。

 選手別にみると、「一瞬だけ」でも光った選手をあげれば武藤に本田、柴崎、長谷部、清武くらい(ただし、ほんの一瞬だけだ)。そのほかの選手は総じて埋もれていた。特に宇佐美と香川の消え方は顕著だった。もちろんチーム全体が悪いのだから消える選手も出てくるわけだが、それにしても目を覆う惨状だ。

 あの衝撃的なシンガポール戦の引き分け以降、「引いた相手をどう崩すか?」がずっと日本のテーマだった。「相手が前から来てくれたほうが、むしろ日本のスタイルと噛み合う」などという楽観論まで聞かれた。だがこの日はまさにそれが実現したが、結果はさんざん。今度は「前からプレスをかけてくる相手をどうかわすか?」という新たな課題を突きつけられた。

 ロシアへと続く道は長くて険しい。

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【サッカー日本代表】日本がW杯本大会で勝てない5つの構造的欠陥とは?

2015-10-10 09:59:27 | サッカー戦術論
5つのポイントが無限ループする魔のサイクル

 ハリルジャパンがスタートして以降、日本がW杯本大会で勝てない構造的な欠陥が徐々に明らかになりつつある。このままでは、おそらく日本は100年たっても本大会で勝てない。ではその構造的欠陥とは何か? 今回は5つのポイントごとに、症状とその処方箋を書いてみよう。

【ポイント1】 日本はアジア予選用と本大会用の2つの戦術を使い分ける必要がある。

 アジア予選(特に2次予選)では格上の日本に対し、アジア各国はリトリートしてロングカウンター、あるいは引き分け狙いでくる。下で説明するポイント3、ポイント4とも関係するが、こういう戦い方でくるアジア各国に対し日本はグラウンドを広く使い、低いゾーンに密集する敵の守備者を横に広げさせる必要がある。

 だが一方、W杯本大会では、ドイツやブラジルはアジア予選のように日本をリスペクトしてくれない。逆に前からがんがんプレスをかけてくる。するとこれまたポイント4と関係するが、「大きなサッカー」が苦手な日本人はマイボールになったら選手間の距離を縮め、敵のプレスを避けて互いにサポートし合う必要が出てくる。グラウンドを広く使わなければならないアジア予選とまったく逆だ。

 とすれば日本は、アジア予選用と本大会用の2つの戦術を使い分ける必要がある。だが「たかが」アジア2次予選でアップアップしている今の日本には、アジア予選の段階からそれと並行してあらかじめ本大会用の戦術を仕込んでおく余裕などない。

 するといったい何が起こるか? やっとアジア予選を勝ち抜けば、すぐ本大会が始まるのだ。その時点で本大会用の戦術を練習し始め、それを熟成させて行くなどという時間的猶予なんてない。結果、日本はぶっつけ本番で本大会に臨み、予選リーグで敗退してしまうーー。この魔のサイクルから抜け出すのは容易ではない。

 第二次・岡田ジャパンのように、本大会では割り切ってリトリートする守備的なサッカーに徹するなら話は別だが、そうでなければ日本がこの魔のサイクルを打ち破るのはカンタンじゃない。W杯のたびにまったく同じ負けのサイクルを繰り返し、あっというまに100年たつだろう。

【ポイント2】 アジア予選は、勝ちながら「若手育成の場」にしなければならない。

 ハリルジャパンのようにアジア2次予選からもう「いっぱいいっぱい」で、海外組を完全固定するのでは若手は育たない。結果、前回大会で負けた同じベテランメンバーで次の本大会を戦うことになる。しかも彼らは前回より4歳年を取っているのだ。そんなメンバーで勝てるわけがない。

 とすれば処方箋は2つしかない。「たかが」アジア2次予選では積極的に若手を登用し、テストしながら勝って行く。そして本大会を勝ち抜くフレッシュな人材を育てる。これがひとつ。

 そしてもうひとつは根源的な問題だ。Jリーグ自体が優れた若手の供給源になることである。だがあの東アジア・カップでの惨状を見ればわかる通り、現状ではJリーグ・レベルの選手は「世界」では通用しない。とすれば長期計画を立て、Jリーグのレベルアップを地道に進めて行くしかない。

 代表選手の供給源である国内リーグを盛り立てるーー。これを実現しない限り日本に明日はない。それには途方もない時間がかかるが、根気よく長期計画でやるしかない。にもかかわらずワールドカップが迫るたび、「次の大会はベスト4が目標だ」などどノーテンキな空気が横溢する怪奇現象が日本ではしょっちゅう起る。まったく笑止千万だ。

 本大会で勝つためには、なにより日本は100年計画でJリーグを強化する必要がある。

【ポイント3】 日本はサイドからのクロスで勝負できない。

 さてポイント3からは技術的な問題になる。日本にはテクニカルで有能なクロッサーがいない。これはサイドから勝負できないことを意味する。アジア予選ならいざ知らず、レベルの高いW杯本大会で中央突破に頼るしかテがないなんてありえない。それでは勝てるはずがない。

 ゆえに日本はこれまた長期計画で、育成段階から強く意識して優良なクロッサーを育てる必要がある。これには数十年単位の時間がかかるだろう。

【ポイント4】 日本人は「大きなサッカー」ができない。

 日本人選手は正確なロングボールを蹴る技術がない。そのため必然的に選手間の距離を詰め、どうしても「小さいサッカー」をすることになる。つまりブラジルW杯で勝てなかったザックジャパン=「バルセロナの劣化バージョン」スタイルである。

 例えば日本はサイド(特に前のウイング)の選手がタッチラインめいっぱいに開き、そこに逆サイドのサイドバックからダイアゴナルなピンポイントの長いサイドチェンジを入れるような攻めがまったくできない。技術的に無理だ。

 それでも前々回のW杯で優勝したスペイン代表やバルセロナみたいに飛び抜けた技術があるなら、ショートパスの連続ワザで局面を打開できるだろう。だが日本はあくまで彼らの劣化バージョンでしかない。そんなレベルのチームがW杯本大会で勝てるわけがない。

 結論として日本人は小さいサッカーしかできないが、我々の小さいサッカーは本大会でワールドクラスの組織的なプレスをかけられれば粉砕される。ゆえに日本はロングボールを駆使した大きなサッカーができるようになるまで、本大会で勝つのは容易ではない。これにも長期計画が必要だ。

【ポイント5】運動量が絶対的に足りない。

 現代サッカーに「休み時間」はない。相手にボールを奪われれば、次の瞬間にすばやく相手ボールをクローズするための守備体形に入る必要がある(ネガティヴ・トランジション)。逆に相手からボールを奪ったら、すかさず攻撃のためのポジショニングをしなければならない(ポジティブ・トランジション)。これをやるには相当な運動量がいる。

 翻って日本はどうか? ネガトラのほうはまだマシだが、ポジトラの悪さは致命的だ。

 例えば相手からボールを奪えば、まずバックパスや横パスをしてひと休み。相手の守備体形が十二分に整うのを待ってやってから遅攻をかけるクセが治らない。この点も日本がブラジルW杯で勝てなかった要因のひとつだ。

 そこへハリルが就任し、「縦に速いサッカーを」、「ハイプレスからのショートカウンターを」と言い出した当初こそ戦い方が変わる兆しがあった。だが時間が経ち、いまや元の木阿弥に戻ろうとしている。なぜなら相手が引いてくるアジア2次予選で「縦に速いサッカー」や「ハイプレスからのショートカウンター」は相手の戦術とかみ合わないから当然である。

 では本大会になったら急にそれができるのか? そんなワケがない。とすれば本大会が始まる前にあらかじめ戦術を仕込んでおく必要があるが、ここで問題は【ポイント1】へと戻って無限ループする。

 果たして日本はこの魔のサイクルから抜け出せるのか?

「ハリルがなんとかしてくれる」でなく、日本人自身が真剣に考えなければならない構造的な課題である。

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【W杯アジア2次予選】「勝ったこと」だけに意味がある凡戦 〜シリア0-3日本

2015-10-09 09:55:36 | サッカー日本代表
ポジティブ・トランジションの悪さが致命的だ

 レビューを書く気にもなれないような凡戦だった。特に前半の日本は展開の遅さとサッカーの小ささが目についた。

 マイボールになっても周囲の選手は棒立ちのまま味方のボールホルダーを眺めているだけ。フリーになる動きやスペースを作る動きがない。その結果、パスをもらってはボールの出しどころを探して立ちすくむ光景がひんぱんに見られた。ポジティブ・トランジションが致命的に悪い。全員がゾンビのように歩いている。

 そのため意味のない短い横パスやバックパスが必然的に多くなり、そこを狙われるケースもあった。また同じ理由で最終ラインからのビルドアップもできず、ボールをキープしたCBの吉田が「もっと動け」と前線の味方に指示を出す場面が目立った。

 シリアのブロックは高くもなく、低くもなく。中庸だった。日本はシリアとは地力が違うためそれなりに決定機は作れていたが、もしシリアに徹底的にリトリートされベタ引きで来られたら例によって苦戦したかもしれない。そんな格下のシリアに決定機さえ作られたが、相手の拙攻に助けられた。そもそも日本の選手はカラダが重く感じられ、フィジカル・コンディションに問題を抱えているように見えた。

 宇佐美が途中出場した後半は前半になかった選手間のコンビネーションと連動性が生まれ、意図のあるパスが2本以上つながるようになった。だが「すごくいい」と賞賛に値するようなレベルではない。前半から通じて総体的に日本の選手からは「勝ちたい気持ち」が感じられず、「これは本当にW杯予選なのだろうか?」と愕然とさせられた。

 ただし日本が属するE組の死命を制する、グループ首位のシリア戦に「勝ったこと」だけはとてつもなく大きい。悪いながらも、苦しみながらも、勝って行くーー。今の日本にはそれしかない。試合内容に失望感は深いが、今はそこに一縷の望みを託すしかない。

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