すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【代表3月シリーズ総括】日本は縦への求心力がほしい

2023-03-30 06:43:52 | サッカー日本代表
日本の「自滅」に終わった3月シリーズ

 ウルグアイもコロンビアも、そう前から激しいプレスをかけてくるチームではなかった。そう考えるとこの2戦は「日本が実験したことで自滅した」という形だ。

 印象としては、特にコロンビア戦では相手の「個の力」を感じた。守備面では寄せる、自由にさせない。攻撃では球際の強さ、インテンシティの高さ。そういう根源的でベーシックな能力だ。基本である。

 一方、日本には、2戦通じて攻撃面で突出して前へ出て行くこと、縦パスが欠けていた。また日本には彼らのような個はなかった。やはり「個」の力を上げるのが最優先だろう。日本は基本が欠けている。

仏作って魂入れず

 そう考えると偽SBにこだわっている現状は、いかにも仏作って魂入れず、という感じだ。「それをやるまえに、やることがあるだろう」というのが素朴な感想。偽SBという形を作ることが目的化している。なんだか子供が難しいおもちゃを手に入れて喜んでいるかのような印象だ。

 だいいち、そもそもの目的はビルドアップなのだ。別に偽SBを使わなくてもビルドアップはできる。とすれば「偽SBにこだわる」というのは、結局は「自分たちのサッカー」ではないか?

 そうではなく、目指すべきは例えばクロアチア代表のように相手のやり方に合わせて対応を変えられる柔軟性が重要なのではないか? 抜け目のなさだ。

欲しいのは縦への求心力だ

 いちばん痛かったのは、2戦を通じて縦への求心力が致命的に足りなかったことだ。縦パスもそうだし、縦への動きもそう。これらが欠けている。(ボールを持たされている)自陣でのパス回しではなく、高い位置でのポゼッションが求められる。

 そんななかで新戦力のバングーナガンデ佳史扶には、すがすがしい思いがした。彼は攻撃的なSBだ。所属のFC東京では攻撃時、かなり高い位置取りをする。最後はシュートまで頭に描いているSBである。大きく育ってほしい。

 問題は左SHの三笘薫とどう絡むかだが、例えば三笘がハーフレーンを上下動し、バングーナガンデが大外を上がるというパターンはかなり攻撃的になるだろう。もちろんバングーナガンデがハーフレーンをインナーラップするのもアリだ。そう考えると愉しみな左サイドである。

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【第2次森保ジャパン】若き左SBがデビューする 〜日本 1-2 コロンビア

2023-03-29 08:05:20 | サッカー日本代表
三笘のゴールで先制するが……

 日本代表は28日、キリンチャレンジカップでコロンビア代表と対戦し、1-2で敗戦した。MF三笘薫のゴールで先制したが、逆転負けを食らった。

 この日の日本はビルドアップに四苦八苦した前回のウルグアイ戦に比べ、最終ラインからスムーズにビルドアップできていた。ウルグアイ戦の時のような偽SBを「やらされている」感もなく、伸び伸びプレイした。

 日本は相手ボールになれば素早くプレスをかけ、マイボールになればボールを広く展開している。右SBの菅原由勢は適宜、偽SB化し、一方の左SBバングーナガンデ佳史扶は攻撃的で縦に高い位置取りをすることが多い。

 A代表デビューした21才のバングーナガンデはバネがあり、躍動感豊かにプレイする。同じ左サイドの三笘といい関係を作って積極的に攻撃した。日本の左SBはこれで「解」が出た感じだ。

 そんな前半3分。菅原が縦に計算されたロングボールを入れる。町野がこれを収めてはたき、横の西村へ。西村はまた町野へリターンパス。町野は上がってきた守田に落とし、守田が右ペナ角からファーサイドに大きくクロスを入れる。これにジャンプ一番、三笘が反応し、ゴール左スミへディングシュートを叩きつけた。1-0。先制だ。

 この日、セントラルMFに入った鎌田はデキがいい。的確にボールをさばき、ゲームに馴染んでいる。

 日本のフォーメーションは4-2-3-1。GKはシュミット ダニエル。最終ラインは右から菅原由勢、板倉滉、伊藤洋輝、バングーナガンデ佳史扶。

 CMFは鎌田大地と守田英正。2列目は右から伊東純也、西村拓真、三笘薫。ワントップは町野修斗だ。

コロンビアが鋭い動きで追撃する

 コロンビアの選手はコンディションがいいのか、鋭い動きで日本の要所を突いた。

 前半33分。縦に突破したコロンビアのマチャドが左からマイナスの折り返しを入れ、これをデュランが左足でゴール左スミに決める。1-1。同点だ。

 続く後半16分。コロンビアがペナルティエリア右にロングボールを入れる。これを収めたアリアスが反転し、シュートするがGKシュミットの胸に当たる。

 するとこぼれたボールが宙に浮き、これをゴール前のボレが絵に描いたようなバイシクルシュートでゴールに沈めた。これがこの日の決勝点になった。1−2で日本の敗戦だ。

空気に飲まれた日本

 いい意味でリラックスして試合に入れていた日本は、バングーナガンデが負傷し交代した後半14分あたりから雰囲気がおかしくなって行った。緊張感が走り、落ち着かない空気が流れる。

 バングーナガンデの代わりに瀬古歩夢が入ってCBを務め、代わって伊藤が左SBを担当した。また左SBに本職ではない伊藤が入った。イヤな予感が走る。同時に久保建英が投入され、西村に代わってトップ下に入った。久保はよく動いたが、ひとり相撲。運動量を生かし前線で意欲的にプレスをかけた同じトップ下の西村の方が光っていた。

 コロンビアがオーバーヘッドで決勝点を挙げた辺りでは、日本のプレッシングがちょっとずつ甘くなり、競りが効かなくなっていた。いいようにボールを回された。

 コロンビアが2点目を取って以降は完全に彼らのゲームになり、ボールを支配された。また彼らは激しいプレスで日本の攻めをことごとく寸断した。日本は球際で負けていた。

 後半33分に浅野拓磨が投入されたシーンでは、浅野が森保監督のメモ書きを持ってピッチに入り、途中出場の遠藤に渡す。これでフォーメーションをどうするのか、混乱する場面があった。日本は完全に空気に飲まれていた。選手たちはメモを見ながらピッチ上で相談している。もはや試合にならない雰囲気である。

 この試合、日本は負けたが、前半のスムーズなビルドアップには期待が持てた。ウルグアイ戦とくらべ、縦パスもよく入った。バングーナガンデの登場も希望の光だ。途中出場した上田綺世も超絶的なヘディングシュートを2度見せた。第2次森保ジャパンはこれで2試合目。まだまだこれからである。

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【第2次森保ジャパン】コロンビア戦に向けてのテーマは何か?

2023-03-26 05:00:13 | サッカー日本代表
伊東と上田、西村はスタメンで見たい

 あのウルグアイ戦の内容を受けて、28日のコロンビア戦では日本はどう戦えばいいのだろうか? まずスタメンを見直したい。MFの伊東純也、FWの上田綺世と西村拓真はスタメンがいい。

 ウルグアイ戦でサイドを疾走した伊東と、アグレッシブでインテンシティが高く運動量が豊富な西村は見ての通り。西村は2022年7月に行われたEAFF E-1サッカー選手権の決勝大会でA代表デビューし、初戦でいきなり2ゴールを上げている。

 そして目立たないが上田も効いていた。ウルグアイ戦、日本代表は前線に基点ができなかった。ボールを保持してゴールを目指す上でこれでは苦しい。コロンビア戦ではボールを収めて基点になれる上田綺世が必要だ。

 FWの浅野拓磨はスピードが速いだけでシュート精度が低く、(裏抜け以外の)ボールの受け方もトラップの技術もイマひとつだ。何年たっても変わらない。(カタールW杯ドイツ戦でのあのゴールはまさに「奇跡」の一発である)。

 おそらく前プレにこだわる森保監督は、ウルグアイ戦で前田大然がケガで使えないため同じスピード系の浅野を起用し前からプレスをかけようとしたのだろうが……浅野は攻撃では輝けない。すでに結論は出ている。

伊藤と鎌田も問題を抱えている

 一方、左SBの伊藤洋輝は、相変わらず同サイドのMF三笘薫とうまく絡めてない。バックパスも多い。やはり彼はCBなのだ。SBじゃない。(ただしウルグアイ戦での最終ラインは伊藤以外は全員合格だが)。

 そしてもう一人、問題なのは鎌田大地である。鎌田はウルグアイ戦でまったく消えていた。カタールW杯でもそうだった。

 カタールW杯も含めてそれ以降もずっと、おそらく森保監督は「あのフランクフルトの鎌田大地」という看板だけで鎌田を使っている感じがする。

 この2人はコロンビア戦では試しに外し、新顔を使ってみてはどうだろう。伊藤の代わりに左SBにバングーナガンデ佳史扶を、鎌田の代わりにトップ下に西村拓真をスタメンで入れてみよう。

 他方、三笘がドリブルを始めると三笘頼みになり、誰もサポートがつかないのも問題だ。ワンマンショーである。三苫という武器をもっとグループの中でうまく使うことが求められる。トップ下が寄るなりFWが流れるなりして、三笘をフォローする動きが欲しい。

偽SBは続けてトライしてほしい

 第2次森保ジャパンでは、新しいビルドアップの形を試している。

 セントラルMFが両CB間に落ちて3枚回し、かたやSBが偽SB化して両SHが大きく開くビルドアップだ(この形なら両SHへのパスコースが空く)。

 ウルグアイ戦では実ったとは言えなかったが、結論を出すのはまだ早い。このまま腐らず精度を高めて今後も続けてみてほしい。

 なおバックパスの多寡が、コロンビア戦における戦術の進捗度を物語ることになるだろう。多ければ失敗だ。これはわかりやすい目安である。

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【第2次森保ジャパン】ビルドアップが大きな課題だ 〜日本 1-1 ウルグアイ

2023-03-25 01:10:53 | サッカー日本代表
なぜ浅野がスタメンなのか?

 第2次森保ジャパンは24日、新政権で初陣になったキリンチャレンジカップ2023でウルグアイ代表と戦い、1−1の引き分けに終わった。

 フェデリコ・バルベルデ(R・マドリー)のヘディングシュートでウルグアイに1点先制されたが、途中起用になったFW西村拓真のダイナミックなワンタッチシュートで追いつき、引き分けとした。

 雨中の戦い。日本はしきりに最終ラインでボールを回すが、ビルドアップできず。今後に大きな課題を残した。パスを繋いでビルドアップしてからのポゼッション攻撃よりも、むしろカタールW杯で冴え渡ったカウンター攻撃の方にチームの適性があるように見えた。

 選手別では、劇的に活発だった伊東純也や西村拓真、上田綺世など、先発メンバーより途中投入された選手が気を吐き、意地を見せた。上田は伊東とワンツーを絡めた攻めを見せるなど、前線で起点になる働きをした。なぜスタメンが上田でなく、浅野なのだろう? 広島つながりの「コネ人事」はいい加減にして欲しいものだ。

 なお森保監督が編成した第2次政権では、MF中村敬斗(LASKリンツ)やDFの菅原由勢(AZ)、バングーナガンデ佳史扶(FC東京)、瀬古歩夢(グラスホッパー)など、2000年代生まれの若くフレッシュな選手が多く招集されているのが特徴だ。

 日本のシステムは4-2-3-1。スタメンはGKがシュミット・ダニエル。最終ラインは右から菅原由勢、板倉滉、瀬古歩夢、伊藤洋輝。CMFは遠藤航と守田英正。2列目は右から堂安律、鎌田大地、三笘薫。ワントップは浅野拓磨だ。

プレス回避とボール保持が大きなテーマだ

 この試合、日本には3つの大きなテーマがあった。

 1つはボール保持からの攻撃。2つめは足元のいいGKシュミットを生かし、最終ラインからパスを繋いでのビルドアップ。3つめは速攻(カウンター)できないときに遅攻に切り替え、プレス回避しながらポゼッションし攻めることだ。

 カウンターのチャンスは何度もあり幾度か成功しかけたが、残りのテーマに関してはほとんど落第だった。

 例えば前半18分のチャンスなどは典型だ。

 GKシュミットが三笘に素早くボールをフィードした。日本は速いロングカウンターのチャンスである。だが切り替えが致命的に遅く、うまくビルドアップできず攻めにならない。こういうところをしっかり作り込んで欲しい。

 シュミットが素早くフィードしたあの瞬間の「意味」を選手はまったく分かっていない(GKシュミットだけが分かっていた)。つまりロシアW杯でベルギーにやられた「ロストフの悲劇」とやらとまったく同じ、素早い超ロングカウンターができるはずの瞬間だった。急ぐべきなのだ。

日本はロングボールを禁じられていた?

 日本は悲しいほど最終ラインからビルドアップできない。この試合、おそらく森保監督からロングボールを禁じられていたのだろう(つまり「ていねいにパスを繋いで低い位置からビルドアップしろ」という意味だ。ビルドアップの「練習」である)。だが日本は最終ラインでしきりにグラウンダーのボールを回すだけで、前進がかなわない。

 第2次森保ジャパンではSBが一列上がって内に絞る偽SBを取り入れ、ビルドアップと被カウンター時のカバーリングに新味を持ち込んでいるが、この日は不発だった。

 そんな前半38分。ウルグアイ代表のバルベルデがこぼれ球を右足でボレーシュート。これが右のポストを叩き、その跳ね返りをバルベルデ自身がヘディングシュートしきっちり決められた。個の力をまざまざと見せつけられた瞬間だった。

 後半9分には、三笘が自陣から長いドリブルでボールを持ち運ぶ。最後は縦パスを出し、浅野がシュートするがうまくヒットせず。あれは決めて欲しい一撃だった。この試合、浅野は何度も馬脚を表しサポーターを失望させた。

 続く後半20分。伊東が上田とのワンツーをかましてペナルティエリアに侵入し、マーカーと足が絡んで倒れるがPKにならず。確かにマーカーはボールに行っていたが、そのあとの足が伊東の足を払っていたように見えたが……。

 そして後半30分。右サイドの敵陣深くで伊東がクロスを入れる。それに走り込んだ西村がワンタッチで完璧なシュートを叩きこむ。これで日本は1−1の同点に追いつくのがやっとだった。

 選手別ではトップ下の鎌田にまったく冴えが見られない。消えている。

 所属のフランクフルトでも彼は不振だが、これだけスランプが続くと「心はすでにドルトムントにあるのでは?」と勘ぐられてもおかしくない。次の28日、コロンビア戦ではイキのいい西村をトップ下のスタメンで使って欲しいものだ。

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【第2次森保ジャパン】ワントップの第一候補は誰か?

2023-03-22 07:16:31 | サッカー日本代表
将来性も考えれば上田綺世の一択だが……

 第2次森保ジャパンとなった日本代表はカタールW杯後、初戦になる親善試合、24日ウルグアイ戦、28日コロンビア戦を戦う。

 そこで悩ましいのはワントップの候補である。

 カタールW杯に引き続き、前田大然の鬼プレスで前から行く、というやり方では先が見えている。将来性がない。前田はゴールが取れないからだ。

 点の取れるワントップがほしい……。これは日本の宿願である。

 ただ「前田はドリブルで仕掛けるようにもなった」とも言われており、確かにそのプレイも確認する必要があるが……さて。

 そして代表ではどちらかといえば前田と同じスピードタイプの浅野拓磨も、同様だ。

 となれば基準点タイプで、前でボールを収められるのは上田綺世と町野修斗しかいない。新人の町野には今後頑張ってもらうとして、あとは上田に期待するしかないというのが現状である。

 上田はここまでA代表12試合でゴールはゼロ。なぜかA代表ではゴールに縁がない。

 だがもはや上田にがんばってもらうしか、日本代表の未来はない、というところまで来ている。

 さて上田は今度の親善試合で、どんなプレイを見せるのだろうか? 果たして点が取れるのか?

 そこに注目して見ることにしよう。

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【リーグのレベル問題】森保監督の古橋、旗手への言及は実に不用意だった

2023-03-21 14:18:49 | サッカー日本代表
相手に思わぬ「予断」を与える発言だ

 いまや連日、スコットランドからの反響が刻々と日本に伝えられている。日本代表の森保監督が、セルティックの古橋亨梧と旗手怜央を代表招集しなかった件についてだ。

 いや、正確に言えば代表に呼ばなかったこと自体は「監督の方針」なんだから批判されるべきではないが、呼ばなかったことに関連して「リーグのレベル」という言葉を使ったことが問題なのだ。

 森保監督の主旨は、「選手によってリーグのレベルが違う」ということ。これだけを単体で読めば当たり前のことだ。

 だが呼ばなかった選手に言及するに当たり「リーグのレベル」なる言葉を添えて使えば、これすなわち「所属するリーグのレベルが低いから呼ばなかった」というニュアンスになってしまう。

 で、結局、スコットランドからの批判が届く。

 森保監督というのはこんなふうに言葉がヘタで、そのコメントはいつも抽象的で当たり前のことばかりだ。刺激がない。

 だが今回はたまたま代表招集に関して「選手によってリーグのレベルが違う」という当たり前のことに言及してしまったために、思わぬ予断を持ってスコットランドの人々に解釈されてしまった。

 これはサッカー的な国益や友好に関わる問題であり、非常に深刻だ。

 森保監督には、もっと考えて発言してもらいたい。

 いやむろん、戦術的な発言なら大歓迎だが。

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【J1 第5節】なぜ新潟は負けたのか? ~浦和 2-1 新潟【敗因分析】

2023-03-20 05:00:20 | Jリーグ
2つの大きなミスで2失点し自滅

 2勝2分けの無敗だったアルビレックス新潟が、今季、ついに初の敗戦をした。

 いや何も対戦した浦和レッズに冴えたパスワークがあったわけでも何でもない。単なるミスで負けたのだ。

 しかもミスはミスでも「トライしてのミス」ではなく「不作為のミス」。自陣に何人もの敵に押し込まれ、攻め続けられているのに大きくクリアしない、という子供でもしない不作為によって、である。

 このゲーム、新潟は幸先よく前半10分に先制する。

 ペナルティエリア右にこぼれたボールをMF太田修介が収め、右足でボレーシュートをゴールに叩き込んだ。1-0のリードだ。ところがこのあとがいけなかった。

 浦和に前半25分頃から自陣に押し込まれ続ける。しかも何度もCKを敵に与えた。ボールがこぼれ、新潟の選手が拾うと、自陣に何人もの敵がいるのにショートパスを繋ごうとする。で、奪われる。その繰り返しだ。

 新潟の選手は「大きくクリアする」というプレス回避の手段を取らなかった。

 そして新潟は前半25分から約20分間、自陣でそんな凡プレーを何度も犯す。その中で痛い2失点が生まれた。いや、彼らが浦和に2点を「プレゼントした」のだ。

クリアしていればなんでもなかった

 まず前半35分。新潟が自陣からボールをクリアしないため、どうしても自陣の狭いゾーンで混戦になる。で、そのこぼれ球を拾った浦和の酒井宏樹が、ペナルティエリア右から豪快なゴラッソ。これであっさり同点になる。1-1だ。

 もし新潟が敵陣に向けていったん大きくボールを蹴り出していれば、あんなゴラッソはなかった。

 続く前半47分の失点は、浦和の右CKからだ。浦和のMF岩尾憲が蹴ったボールを、新潟のDF舞行龍ジェームズがクリアミスした。なんと自陣ゴール前にいる敵に「どうぞシュートを打ってください」というコースにヘディングしたのだ。

 こんなプレゼントボールを浦和が逃すはずはない。DF明本考浩が左足ボレーでゴール左に叩き込んだ。これで浦和が逆転だ。もし舞行龍ジェームズがゴールラインの外へきっちりボールを出してプレーを切っていれば、明本のあんな見事なゴールはなかった。

 そして両者ほぼ互角で無得点だった後半は、静かに終わった。2-1で浦和の勝利である。

「魔の20分間」を反省すべきだ

 こんなふうに新潟の2失点は、前半25分からの「魔の20分間」で立て続けに起こった。

 浦和というチームは、敵陣でボールを失うとカウンタープレスでボールに殺到し即時奪回を狙うゲームモデルだ。そんな相手に自陣に押し込まれたとき、「大きくクリアしない」というのは自殺行為である。

 たしか新潟の松橋力蔵監督は、「敵のプレスは『技術』でかわせ」というような趣旨のことを言っていた記憶がある。

 確かに新潟の2タッチ以内でグラウンダーのパスをテンポよく繋ぐサッカーは魅力的だし、その意気やよし。だが、時と場合がある。

 敵陣で攻撃時なら話は分かる。だが自陣に敵が何人も押し込んできている守備時に「あれ」はない。

 新潟が常用するグラウンダーのパスには、天敵がある。それは強度の高いプレッシングだ。よって繋ぐところとクリアするところ、局面を読んで緩急を使い分けなければサッカーにならない。

 前節、新潟が勝った対川崎フロンターレ戦のレビュー記事で、私は以下のように書いた。

>この試合で出た新潟の今後の課題としては、(中略)
>自陣に押し込まれてどうしようもないときは、
>割り切ってハッキリ大きくクリアすること。
>彼らはどんな状況でも「繋ごう」としてバタバタし、終盤に失点するのがパターンだ。

 奇しくも予言のようになってしまったが、前節の川崎F戦でも同じような場面は何度もあった。前節は運よく失点しなかっただけ。ならば今節のような失点のしかたは今後もあり得る。

 新潟はこの「病巣」を改めない限り、またピンチに見舞われるだろう。チームでよく話し合い、自陣でショートパスを繋いでOKなのはどんな局面か? あるいは逆にセーフティ・ファーストで行くべきなのはどの場面か? それぞれプレー原則をしっかり決めておく必要がある。

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【J1 第5節】横浜FM、雨中の逃げ切り ~横浜FM 2-1 鹿島

2023-03-19 05:00:36 | Jリーグ
「王者」が辛くも鹿島を振り切る

 J1リーグ第5節が18日に行われ、日産スタジアムで横浜F・マリノスと鹿島アントラーズが対戦した。Jリーグ創設から1度も降格したことがない両チームの一戦だ。ともに2勝1分1敗の勝ち点7で両者が並ぶ好カードである。

 試合はハイライン・ハイプレスの横浜FMがポゼッションして圧をかけ、鹿島は受けてカウンターを狙う構図になる。後半17分に鹿島のオウンゴールもあり、2点を先制した横浜FMが2-1で鹿島の追撃を振り切った。

 横浜FMのフォーメーションは4-2-1-3。スタメンはGKが一森純。最終ラインは右から松原健、畠中槙之輔、角田涼太朗、永戸勝也。

 CMFは喜田拓也と渡辺皓太。トップ下は西村拓真。3トップは右から水沼宏太、アンデルソン・ロペス、エウベルだ。西村と角田は日本代表に選ばれたばかりである。

 一方、鹿島のフォーメーションは4-1-2-3だ。

トランジションがカギを握る一戦に

 横浜FMは攻撃時にSBが高いポジショニングをするため、鹿島のカウンターを食らうと帰陣が間に合わなくなる場面も出る。トランジション(攻守の切り替え)がカギを握っている。

 一方の鹿島もマイボールになると、左SBの安西幸輝がものすごい勢いで高い位置を取る。狐と狸の化かし合いである。

 横浜FMの右SB松原は、攻撃時に適宜、1列上がって中に絞りアンカー脇を埋めて偽SB化する。横浜FMはビルドアップ時、2-2-3-3のような形になる。また逆に相手ボールになれば、アンデルソン・ロペスがスイッチを入れてハイプレスをかける。

 他方、鹿島のFW鈴木優磨は、横浜FMの最終ラインが保持するボールに対し外切りのプレスをかける。これでボールを中央へ誘導し、選手の厚みのあるセンターレーンでボールを絡め取ろうという作戦だ。

 鹿島は雨を考慮してか、細かい組み立てをせず、ロングボールを縦に入れるダイレクトなビルドアップをしている。

後半11分に横浜FMが先制する

 日本代表に呼ばれた横浜FMのCB角田涼太朗は、プレスを受けても落ち着いたいいパス出しをしている。横浜FMのポゼッション率は52%。見た目の保持ぶりは数字を上回っている。

 すると後半11分。左サイドのエウベルがペナルティエリア手前で中央のぽっかり空いたスペースに横パスを出す。これに呼応し走り込んだ松原が右足を強振。はじけるような弾丸シュートをゴール左に叩き込んだ。横浜FMが先制だ。

 続く後半17分。横浜FMの喜田がペナルティエリア右からクロスを上げる。鹿島の右SB常本佳吾がクリアしようとしたが、なんとこれがオウンゴールになる。これで横浜FMが2-0とリードした。

 スコアが動いてから両者白熱し、切り替えの激しい速い展開になる。次第に鹿島がボールを保持するようになった。

 そして後半23分。途中出場した鹿島の松村優太が、縦にドリブルしてからグラウンダーのクロスを入れる。これにCFの鈴木優磨が右足で合わせてゴール。鹿島が2-1と追い上げた。

 雨中の激戦はさらに熱を帯び、どこかのんびりしていた立ち上がりとはかけ離れた試合模様になる。リードしている横浜FMは敵陣で事あるごとにポゼッションしてはうまく時間を使うシーンが頻出する。かくてタイムアップ。横浜FMが雨中の逃げ切りを決め込んだ。

 これで横浜FMは3勝1分1敗の勝ち点10として、暫定3位に浮上した。

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【第2次森保ジャパン】スコットランドは「レベルが低い」か?

2023-03-18 10:24:55 | サッカー日本代表
森保監督の発言が物議を醸す

 第2次森保ジャパンの招集メンバー発表に当たり、スコットランドのセルティックで活躍するFW古橋亨梧とMF旗手怜央を選ばなかったことについて、森保監督が「リーグのレベル」という表現を使ったことが波紋を呼んでいるようだ。

古橋ら日本代表不選出の波紋…セルティック指揮官が森保監督の「リーグのレベル」発言に反論』(東スポWEB)

 セルティックのアンジェ・ポステコグルー監督が怒っている。

 そりゃそうだろうな。

 スコットランドはフットボールの歴史に関しちゃ、日本なんて足元にも及ばないんだから「リーグのレベルが低いから選ばなかった」的なニュアンスの表現をすれば怒るに決まってる。

 それにしても森保監督っていつも抽象的でどーでもいいことばかり言って、ハッキリした物言いをしない人だったはずだが……今回の代表メンバー選出に関しては、珍しくずいぶん具体的で突っ込んだ発言をしている。

 例えば「速攻できなかったとき遅攻に切り替えた際のプレス回避」がどうとかこうとか。森保監督ってこんな戦術的な発言はしなかったはずだが、いったいどういう風の吹き回しなんだろう?

 まあその流れで「リーグのレベル」なんて言っちゃって余波を食らってるわけだが……これに懲りずに戦術的な発言に関してはどんどんやってほしい。そうすればそれを聞いた国民のサッカーIQが上がり、社会的な啓蒙にもなる。

 どうぞお願いします。

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こんなおもしろいインタビューは初めて読んだ

2023-03-18 00:04:47 | Jリーグ
コンサドーレ札幌の小林祐希が吐く「本音」

 こんなおもしろいインタビュー記事は初めて読んだ。

 スポーツ選手のインタビューといえば、みんな「いい子チャン」になって繕った自分を語るものばかりだ。

 ところがこのインタビューは、ビッグマウスの小林祐希が本音を吐き出し、顔を歪めて悪態をつきながら「自分」を語り読者に迫ってくる。

 思わず2度も読み直したインタビューなんて、これが初めてだ。

 必読です。

■小林祐希インタビュー(前編)

■小林祐希インタビュー(後編)

※いずれも「Web Sportiva」より

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【第2次森保ジャパン】FW古橋亨梧はなぜ呼ばれないのか?

2023-03-17 07:06:48 | サッカー日本代表
「リーグのレベル」が言われるが……

 セルティックで点を取りまくっているFWの古橋亨梧が、今回の「第2次森保ジャパン」立ち上げで代表招集されなかったことが物議をかもしている。

 森保監督は選ばなかった理由のひとつとして「リーグのレベル」なる言葉を使っているが、その同じリーグの同じチームに所属している前田大然は代表招集されている。

 もっとも前田の場合は森保監督にとっては、ハイプレスをかける戦い方をするためのスペシャルなFWであり、(点は取れなくても)別格なのだろう。

 一方、「点が取れてない浅野拓磨は呼ばれるのに、ゴールを圧倒的に取っている古橋はなぜ呼ばれない?」という疑問に対する答えは、「浅野は広島つながりの森保チルドレンだから特別だ」ということなのだろう。

 なんだか「特別扱い」ばかりでスッキリしない。

結局は監督の好みか?

 結局、本当の理由としては、過去、代表に古橋を何度か呼んでみたが「点が取れなかったから」ということなのだろう。これは事実だ。

 スピードがあり、裏抜けが得意な古橋に対し、タイミングとコースのいい絶妙なスルーパスを出してやれる選手が代表にいなかったからだ。

 選手のスタイルとチームとの相性の問題である。

 ただ、これに関しても今は自チームでアシストを量産している三笘薫や久保建英、鎌田大地という「超」のつくパスの出し手がいるのだから、おそらく古橋は機能すると思うのだが。

 となると結局のところ、代表招集は森保監督の「好み」で行われている、という答えしかないのかもしれない。

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【第2次森保ジャパン】GK権田は「J2だから代表招集しない」は本当か?

2023-03-15 16:04:34 | サッカー日本代表
「ビルドアップできないから」が真相では?

 日本サッカー協会(JFA)は15日、キリンチャレンジカップを戦う日本代表メンバー26人を発表した。カタールW杯で代表の守護神だったGKの権田修一(清水)は、メンバーから外れている。

 森保監督は権田について、すでに「彼はJ2だから代表招集しない」旨を過去に語っていた

 だが本当にそうなのだろうか?

 ひとつ思い当たるフシがある。

 森保監督は同時に「(第2次政権では)ボールを握り、自陣からパスを繋いでビルドアップするサッカーをめざす」と語っていたからだ。

 一方、当の権田はいつも、代表の試合でアバウトなロングボールを大きく放り込むプレーに終始していた。

 つまり森保監督が権田を外したのは、「GKが権田では、自陣から丁寧にパスを繋いでビルドアップするサッカーができないから」ではないのか? 権田ではプレイスタイルが合わないのだ。

シュミット・ダニエルならビルドアップも楽勝だ

 その証拠に権田と同じ30才代で、権田とともに代表に選ばれてきた「足元のいい」シュミット・ダニエル(シントトロイデン)は、今回も選ばれている。なぜなら、足で自在にボールをコントロールする技術のあるシュミットなら、ビルドアップも楽勝だからだ。

 すなわち「権田はJ2だから」というのは方便ではないのだろうか?

 ではなぜ森保監督は、「GKが権田ではビルドアップするサッカーができないから外す」と言わないのだろう? それは、穏当で温和な森保監督の性格を考えればわかる。森保監督は「あいつは使えないから呼ばない」などとは言えないのだ。

 いかにも波風を立てることを嫌う、平和主義者の森保監督らしい。

 だが森保氏は代表監督なのだから、選手の評価ぐらい「本当のこと」を言ってもいいのではないか? よそ行きの方便はやめて、本音で語ってほしいものだ。

 なぜなら代表監督が本音でサッカーを語ることは、その国の国民のサッカーIQを向上させることにつながるからだ。

 例えば森保監督がこの件について本音で語れば、国民は「なるほどGKというものは、ビルドアップの第一歩になる駒なんだ!」と知り、啓蒙される。

 つまり代表監督の言葉はそれだけの重みがあるのだ。

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【J1 第4節】アルビレックス新潟が「台風の目」だ ~新潟 1-0 川崎F

2023-03-12 08:17:45 | Jリーグ
豪快にニア下をぶち抜く

 見せ場は前半22分にきた。左サイドの高い位置で新潟の左SB渡邊泰基がハイプレスで競ったボールを、エースの伊藤涼太郎に託す。受けた伊藤は間髪入れずニア下を狙い、強烈なミドルを叩き込んだ。これで伊藤は貴重な2戦連発。チームは今季負けなしだ。

 これでチームは勝ち点8の暫定2位。新潟を相手に星を取りこぼしたチームが、優勝戦線から脱落するかのような様相を呈してきた。

 新潟のフォーメーションは4-2-3-1。力のある川崎が押し込み、受けた新潟が鋭いカウンターを見舞う展開で進んだ。新潟のサッカーはグラウンダーのボールを2タッチ以内でテンポよく繋ぐスタイルだ。

 のっけから新潟ボールに川崎が激しいプレスをかけまくるが、新潟は少ないタッチ数ですいすいと包囲網をかいくぐる。

 試合は川崎が6割方ボールを支配し敵陣に圧をかけるが、実は「試合を支配」しているのは新潟のほう。その証拠に自陣深くでボールを奪うと、ショートパスを立て続けにつないでの新潟によるコレクティブなロングカウンターが鮮やかに何度も決まりかける。

 ほかにGKの小島亨介は足元がよく、ビルドアップの第一歩になるパス出しがすばらしい。またCBトーマス・デンの絶妙なフィードがバシバシ決まっていた。

サポートの角度とアジリティがキモ

 新潟の強くて速いグラウンダーのパスを2タッチ以内で繋ぐサッカーは、常にボールホルダーの周囲にサポートがいなくては実現できない。

 サポートの運動量、サポートの角度、スピード、アジリティが必要だ。

 開幕戦を見て「彼らはいいサッカーをしているが、このスタイルだとプレッシングとカウンターを受けたときが課題だろうな」と予想した。だがこのチームはかなり厳しくプレッシングをかけられてもボールを失わない。

 この試合で出た新潟の今後の課題としては、狭いほうのサイドへワンタッチで向かってしまうシーンが目についた点。そうでなく常にフィールド全域を観察し、広いサイドへボールを展開するようにしたい。

 また自陣に押し込まれてどうしようもないときは、割り切ってハッキリ大きくクリアすること。彼らはどんな状況でも「繋ごう」としてバタバタし、終盤に失点するのがパターンだ。

 いやそれにしても彼らの2タッチ以内のテンポのいいサッカーは、ご飯がおいしく2度食べられる。それくらい楽しいサッカーだ。今後も強豪チームを倒して、下克上を起こしてほしいものだ。

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【プレミアリーグ 22/23 第7節】アーセナルが4発完勝する ~アーセナル 4-0 エヴァートン

2023-03-03 05:00:00 | イングランド・プレミアリーグ
フォーメーションは4-1-2-3

 プレミア・リーグの第7節(延期分)、アーセナル対エヴァートンの試合が現地時間1日に行われ、アーセナルが4-0で完勝した。

 アーセナルはほとんど敵陣でポゼッションし、ビルドアップはジンチェンコ、攻撃は3トップが中心になりハードワークした。

 アーセナルのフォーメーションは4-1-2-3。スタメンは最終ラインが右からベン・ホワイト、ウィリアン・サリバ、ガブリエウ、オレクサンドル・ジンチェンコ。

 アンカーはジョルジーニョ。右IHはマルティン・ウーデゴール、左IHはグラニト・ジャカ。3トップは右からブカヨ・サカ、レアンドロ・トロサール、ガブリエウ・マルティネッリだ。

ビルドアップは3-2-5に可変して行う

 アーセナルはビルドアップを3-2-5に可変して行う。「2」はジョルジーニョとジンチェンコだ。ジンチェンコは左SBの位置から1列上がって絞り偽SB化し、アンカー脇を埋める。

 あるいはジョルジーニョが最終ラインに落ち、右SBのベン・ホワイトが上がるビルドアップのパターンもある。

 ジンチェンコはハーフスペースを上下動して自在に動く。彼がボールを運ぶ「血液」の役割を果たす。チームの心臓だ。

 アーセナルのポゼッション率は73%。相手ボール時、彼らが自陣へリトリートしてブロック守備をする光景はほとんど見られなかった。

 アーセナルは前線でボールを失うと、リトリートせずその場でゲーゲンプレスをかけて即時奪回を試みるのだ。これでボールを奪ってショートカウンターを見舞う。

2位・シティとの勝ち点差を「5」に広げた

 さて、そのアーセナルの1点目は前半40分だった。ジンチェンコからの縦パスを受け、サカが振り向きざまにシュートを放つ。ボールはゴール上方へ弾丸のように飛び、吸い込まれた。

 続く2点目は前半アディショナルタイムの46分。いったんオフサイドと判定されたマルティネッリのゴールが認められた。これで2—0となり試合は前半を折り返す。

 そしてアーセナルは後半の頭からジョルジーニョを下げ、トーマス・パーティを投入した。

 アーセナルのゴールはまだまだ続く。後半26分だ。また発火点はジンチェンコである。

 彼の持ち運びからマルティネッリ、ジャカへと繋がり、ボールは左サイドを駆け上がったトロサールへと渡る。そのトロサールは右へマイナスの折り返しを入れ、ウーデゴールが右足ワンタッチでゴールを決めた。

 かくて4点目は後半37分。ジンチェンコが途中出場のエンケティアにスルーパスを入れる。受けたエンケティアは短く右へ折り返し、マルティネッリがワンタッチで押し込んだ。

 これで試合は終了し、勝ったアーセナルはリーグ戦3連勝。2位マンチェスター・シティとの勝ち点差を「5」に広げた。

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【FA杯5回戦】三笘がドリブル封印。新スタイルを開拓 ~ストーク 0-1 ブライトン

2023-03-02 05:21:02 | その他の欧州サッカー
「ハーフスペースの魔術師」と化す

 三笘薫といえば、大外を「くねくねドリブル」で突き進むイメージがある。実際、このスタイルでプレミアリーグでも無双してきた。だが各チームの「三笘対策」が進み、消える試合も次第にちらほら。

 そこで三笘は2月28日に開催されたFA杯5回戦のストーク戦で、「対策への回答」を鮮やかに出して見せた。

 4-2-3-1の左SHに入った三笘は、この試合唯一の得点を演出した。

 前半30分。CBルイス・ダンクが中央やや左のスペースにスルーパス。三笘はそれに呼応して裏抜けし、GKを引きつけてから真ん中に折り返すと、FWエバン・ファーガソンが無人のゴールにボールを流し込んだ。

 この試合、彼は「三笘といえば大外レーン」のイメージを捨て、ハーフスペースを縦横無尽に躍動した。またセンターレーンで裏抜けするというFWみたいな動きまで見せた。

 こうなればマーカーからすると、「次は得意のドリブルか? それとも裏抜け? パスか?」と、三笘の次のプレイを読めなくなる。迷いが出る。そうなったらもう三笘の独壇場だ。

 ついに「ゾーン」に入りつつある三笘。次はいったいどんなプレイを見せてくれるのだろうか?

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