えくぼ

ごいっしょにおしゃべりしましょう。

穂村弘の「めんどくさい」

2017-03-14 12:12:23 | 歌う
      穂村弘の「めんどくさい」
 
 ✿ めんどくさいという気持ちに、どうしても負けてしまうのだ。これはもう一種の犯罪。。。。他人ではなく自分に対する犯罪だ。

 3月15日朝日「折々のことば」は穂村弘エッセイ集「野良猫を尊敬した日」から

 哲人の鷲田清一は「片づけのように、しなければとわかっていても、このままだと危ういとの予感があっても、目先の面倒くささに負け、ついに動かない。小銭を落としてもちゃんと捜すさずに なかったことにしてしまう。そんなつるんとした無感覚は、社会との向き合い方についてもいえる?」と述べている。

 わたしの知る限り優等生は 面倒くさがらない。「穂村弘が面倒くさがるなんて、ホンマ?めんどうくさいという気持ちは自分に対する犯罪だ。とまで思うのは、彼が自分に厳しいからだ。会社に所属しないフリーターは、だらだらしていたらこの世から落ちこぼれてしまうだろう。穂村弘は言葉の達人だけでなく、おしゃれも行き届いている。「まだ若いなあ。スリムだなあ。彼は当分わたしのビタミンCだ」とおもう。

 なりふり構わず野暮でも魅力のある男もいる、が共に話していて、もっと一緒にいたいという男は少なくなってきた。男が見た目のいい女を好むように、老女といえども、いや老女ほど見た目のいい男をありがたがる傾向がある。穂村弘よ老人にならないでね。

♥ めんどうくさい、めんどうくさいというように歩いているかも泥ネギさげて
  
             3月14日 松井多絵子 、

いつよりか「二人っ子」

2017-03-12 10:00:59 | 歌う
      いつよりか「二人っ子」

♥ 中国のことにしあれどいつよりか「二人っ子政策」さもあれど嗚呼 松井多絵子
                              

 中国は人口抑制のため1979年に、1組の夫婦が1人の子供しか産めない「1人っ子政策」を始めた。だが、少子高齢化が急速に進んで労働力減少、将来の労働力の確保のため「二人っ子政策」を2016年に始めた。出生数は政府の期待通りに上昇に転じたが、出生後も働きたい女性の子育て支援が課題として浮上している。

 10年余り前に私は気軽に中国の旅をした。3泊4日、料金も日本の国内旅行並み。現地のガイドさんは既婚女性が多かった。子供の世話を親に任せて働く。ただ1人の孫は甘やかされて食べ物の好き嫌いが多い。「自己中心で我儘、贅沢で困る」と彼女たちは嘆いていた。将来の中国の労働力のため、というだけでなく子供の躾のためもあり「二人っ子」が多くなり始めたのではないか。

 「一人」と「二人」はすごく違う。何かと比較される。女子の場合は、まず容姿、そして性格。才能、好み、親も長女は、次女はと話題にし、周囲も興味を持つ。例えば朝日歌壇の松田梨子、わこ姉妹の歌は、長女と次女だから面白い。思春期の多感な女子の心の動きが鮮やかに伝わってくる。それぞれ優劣をつけがたく梨子が好き、わこが好き、なのだ。しかし、たとえば長女だけ容姿端麗、学力も才能もゆたか、そんな場合の次女の劣等感は強くなるばかりだ、むしろ2人とも平凡な方が本人も親のこころも長閑かもしれない。

 結婚して平穏に暮らしていた女性が、友達が優秀な男と結婚し、豪邸で優雅に暮らしはじめてから、2dkの社宅暮らしの自分がお粗末に思えてきた。他者と比較することは自分をダメにする場合も多い。競争はレベルアップするがケガもする。爆買いの好きな中国のひとびとは親しい人を意識しすぎるのではないか。中国人だけではない、私たちだって絶えず誰かを意識し、振り回されて自分を疲れさせているかもしれない。

 ♥ ふたりより独りで見たい山桜、枝垂れる桜の花に触れつつ

         3月12日 松井多絵子、


あの刻のアリバイ

2017-03-11 09:54:37 | 歌う
     あの刻のアリバイ

 今年の3月11日は土曜日だ。晴れているが気分は暗い。東日本大震災発生から6年を迎えたが、いまも約3万4千人がプレハブの仮設住宅で避難生活をつづける。2553人が行方不明である。と朝日朝刊の一面に。

 ▲ 壁のごと迫る津波を語るとき海辺の女は瞼を閉ざす 松井多絵子

 私は津波を見たことがない。だから3・11を詠むのは気がひける。しかし3月になり桜前線が近づいてくると津波も私に絶えず近づいてくる。寝ても覚めても。

 ◉ 近づいてくる桜ばな、近づいてくる高波、逆巻く荒波

 ◉ あの刻のアリバイのなき女いて3・11の話を避ける

 老女3人寄れば3・11のあの日あの時どこで何をしていたか、に話が及ぶことが多い。あれは、お昼過ぎだったので買い物、書店で立ち読み、銀行の窓口など、私は近くに開店したコンビニで卵を買っていた時だった。向いの3階の雑居ビルがくねるように左右に揺れ始めた。もし前後に揺れたら私はビルに押し潰される、怖くてレジのカウンターにしがみついていた。振動が止まってからコンビニを出た。
 
 ◉ あと5分歩けば辿り着けるのに家がだんだん遠くなりゆく

 ◉ 震源地も震度もわからぬレジ袋の10個の卵よ割れないように

 あの刻にコンビニにいたのは仲間で私だけ。「店の商品は散らばったの?」と訊かれても記憶にない。帰路の歩道橋が揺れていたのが恐ろしく渡らず遠回りした。
 
 ◉ 地デジ工事を昨日終えし我が家のしろがねのアンテナするどく光る

 自宅に戻っても安全ではないかもしれないのにホッとした。あの昼のあのとき。 

 ◉ 天災ではない、人災なのだ、フクシマの後遺症はいつまで続く

 ◉ 天才も怖いですねと云う我にひびきやまざる津波の轟き

          3月11日 松井多絵子 

「サライ」の桜

2017-03-10 09:42:36 | 歌う
     「サライ」の桜
 
✿近づいてくる桜ばな近づいてくる波、高波、逆まく荒波 、松井多絵子

 朝刊を開けば桜の花ひらく「サライ」の広告・桜の便り、~大特集「桜と人の物語」~

「桜の便りに心がざわめくのは、日本人が古来、この木に人生を重ね、喜びも悲しみも託してきたからだ」さくら花のひろがる紙面に白文字で書かれたこの言葉が目に染み心に沁みる。日本列島に桜がひらき春が始まる3月が6年前から恐ろしい3月になってしまったのだ。
 
 「サライ」の大特集は「花に秘めた人の”想い”が胸を打つ

 ◓ ”桜伐る馬鹿”を押し通した弘前公園の桜守

 ◓ 小津安二郎が思索にふけった蓼科の一本桜

 ◓ 大庭みな子が夢見た日本平の春景色

 ◓ 湖底に沈む村から救い出された2本の老桜 
 
 ◓ 出征兵に捧げる手植えの2000本

 ◓ 大津波に耐え抜いた三陸の美しき並木道

 ◓ 震災後初めての春を待つ熊本城の桜

 
 桜の花は春の始めに咲く。枯れ木の多いなかに咲く桜は何とも華やかだ。全身で咲く。長い間恵まれなかった人が大成功したような満開の桜。私たちに希望を与えてくれる。ドラマになる桜。不遇な人でも一生に1度は桜が咲くのではないか。満開にならず散ってしまった、次に咲く時は満開になる、などと願いながら私は生きている。希望と夢をあたえてくれる花だ。この花の季に二度と災害が起こらないで欲しい。

 ✿はつ夏の高田の松原あの昼の海はおっとりしていたけれど 

            3月10日 松井多絵子

募集してます短歌作品

2017-03-08 10:20:31 | 歌う
      募集してます短歌作品

 ✿ 3月に種子を蒔くこそたのしけれ初夏に盛夏にとりどりの花  松井多絵子

 花の種子を蒔かなけらば花は咲かない、短歌も応募しなければ入選しない。「うた新聞」で見つけた作品募集のお知らせ を。

 ◆ 第43回 佐佐木信綱祭短歌大会
  
 自由題、題詠「駅」の未発表作品一人何首でも可。出詠料1首につき千円(00230-8-136786・佐佐木信綱短歌大会実行委員会の郵便振替口座に振り込むこと)
締切日3月31日必着。
 選者は藤岡武雄、佐佐木幸綱、柴田典昭、谷岡亜紀、藤島秀憲,松井千也子
 B4判原稿用紙の右側に短歌、都道府県名、名前、左側に名前、住所、電話番号、郵便振替領収書のコピーを添付。

 大会は6月10日(土)午後1時より 熱海市の「起雲閣」にて。

 ◆ 第30回夕暮祭短歌大会 未発表作品1人1首のみ。応募料無料。完成葉書に作品、郵便番号、住所、氏名(ふりがな)年齢(学年)電話番号を明記。締切日4月15日必着。選者は村岡嘉子、山田吉郎の二氏。大会は6月24日(土)午後1時半より。秦野市立図書館にて。
応募先は〶257-0015 秦野市平沢94-1・秦野市立図書館「夕暮れ祭係」
 
✿ 詠むならば思いを押さえ押さえつつ夕日が窓を去らないうちに

              3月8日 松井多絵子