えくぼ

ごいっしょにおしゃべりしましょう。

走りだす竹中優子

2016-10-20 09:36:09 | 歌う

              走りだす竹中優子

 昨日の夕刊朝日「あるきだす言葉たち」は竹中優子の「小倉駅」8首。今年の角川短歌賞の受賞に決まった人である。9月9日、このブログで既にご紹介した彼女は「未来短歌会」の会員。受賞作✿「輪をつくる」はまだ発表されていないので未来9月号の竹中作品を引用した。「あるきだす言葉たち」は角川賞を背負った竹中の「走り出すだす言葉たち」だ。

  小倉駅で祖母のこいびと待つ日中 金平糖を買ってもらえり

 連作「小倉駅」8首の第1首である。「祖母のこいびと」に驚く。おばあちゃんが孫娘を連れて恋人に会う、真昼のデート、金平糖は星形の砂糖の小さな塊。色とりどりの飴である。

  入学の祝いにもらったスカーフを一度も使わなかった東京
  ぜんぶじぶんの目で見て来たよばあちゃんが豆大福をやわらかく裂く

 東京で学んだ彼女が帰郷しておばあちゃんと会う。東京のあれこれを自分の目で見た東京のことを話す。おばあちゃんが豆大福を裂く、やわらかく裂かれた大福、おいしそうだ。

  触るたび同じページがひとりでにひらくからだを生きる夕暮れ
  窓枠に春の気配はふくらんで母に冷たくあたり別れぬ

 竹中優子はいま女盛りの30代。掲出の2首は恋の歌か。<体を生きる夕暮れ><窓枠に春の気配がふくらんで>。妖しい雰囲気に私は包まれてしまう。

  きらいきらいと首をふるとき足もとに金平糖の匂いが満ちる

 太りたくない女たちは砂糖の塊の金平糖は食べないのではないか。私もその一人だ。スーパーの菓子売り場で見たことはあるが、買ったことはない。オシャレな箱や袋入りの菓子が
溢れている昨今、人気がない、でも懐かしい駄菓子である。竹中優子には金平糖はおばあちゃんの匂いなのだろうか。

                    10月20日  松井多絵子

    


内館牧子が語る定年

2016-10-19 14:05:15 | 歌う

             内館牧子が語る定年

✿ 散らぬまま萎えゆく黄色のバラがあり貴方にはもう肩書きがない 松井多絵子

 「定年って生前葬だな」という書き出しではじまる✿小説『終わった人』の著者・内館牧子が昨日の朝日新聞で読者に気軽に話しかけているが内容は重い。「よく定年のことを「卒業」というけど、潔くない言葉よね。会社的には、はっきり終わったのよ。そういう自分を明確に認識した上でやっぱり仕事をしたいとなればハローワークにいけばいい」

 「数年前から急に、同窓会に行く機会が増えて気づきました。あんなに秀才だった男も,あれだけきれいだった女も、横一列。60歳を超えると、みんな終わるし、これから先も見えてくる。着地点は一緒なんです」

 たしかに花が開いている時は美しさに差があるが萎えたらみな同じ。だと私はおもう。
エリートだった人の良き時代の自慢話はうるいのも同感だ。「それほどでもなかった人」のほうが以外と楽しみを見つけているからうまく着地できる。と語る内館牧子。

 「プロレスラーの武藤敬司さんが「思い出と戦っても勝てねンだよ」と言っているけど、みな、自分の絶頂期と比べるでしょ。でも、いまの世の中は、自分の次の世代が動かしている。私の周囲で定年後からあれもこれも始める人がいる。時間はたっぷりあるがお金はもう稼げない。能力も枯れてゆく。だから欲張らないようにと私は注意したくなる。

 私の若い頃、勉強もよくできて多趣味でカッコよかったA子もB子もC子も還暦をすぎたらだだのオバアサンになっていた。書道だけ、俳句だけが趣味だった地味な女がその道で活躍していたりする。この2人の女たちは終わることなく「続けてゆく人」だろう。

 「終わった」と認め、思い出ともたたかわないと決めることがすべてのスタートと語る
内館牧子はまだ終わってない人ですね。終わらない人でいてくださいね。

              始まりも終わりもないのか松井多絵子は   

                 


目出度いですよ92歳

2016-10-18 09:16:34 | 歌う

              目出度いですよ92歳

 町の音はいろいろ入り混じっている方がいい。うるさいくらの方がいい。それは我々の生活に活気がある証拠だからだ。 佐藤愛子 随筆集「九十歳。何がめでたい」から。    

 10月17日☀「折々のことば」で鷲田清一は佐藤愛子の随筆から引用し次のように、、。

 子どもは泣いたり叫んだり歌ったり、とにかくにぎやか。その喧噪をうるさいと怒る人がいれば、「天使の合唱」にいのちの熱を感じ温まる人もいる。がやがやした人いきれを不快に思う人がいる一方で、作家は、「黙々」と物を買い、支払い、袋に詰めて去るスーパーの静けさを、逆に不気味に思う。

 作家の佐藤愛子は1923年11月5日に生まれた。もうじき93歳になる。この不可解な人間の世界を93年も生きてきたとはスゴイ。しかもまだ元気で執筆している。出版不況のいま彼女の著書 「人間の煩悩」 がベストセラー。

 ◆ 「人間の煩悩」という本の広告は新聞の3分の1のすぺース。腹の底から笑っている佐藤愛子のハガキ大写真は私を見ている。「悩みの量こそが人間の深さ」だそうである。広告には第1章から第6章までの目次?が載っている。これを見ただけで、この本を読んだような気分になる。

 ♦ 「人間も死んだらゴミだ」 ♦ この世は不平等 ♦ 複雑な世を生きぬくコツ

 ♦ 人の値うちは物の捨て方に現れる ♦ 劣等感は必要な「毒」

 ♦ 死んでみなされ、そしたらわかる! ♦ 欲望が涸れると、らくになる

 広告の29の♦のなかから7つの♦を選んだ。私の古い記憶だが佐藤愛子の夫は事業に失敗し多額の借金を彼女に背負わせて離婚した。彼女はそれを小説に書きベストセラーに、転んでもタダでは起きない逞しい女である。失敗を成功に変えてしまう。魔法使いの女。

      「だから人生は面白い」そうである。佐藤愛子の場合は。

              10月18日  松井多絵子 

 

   


小池百合子の言葉

2016-10-17 09:41:49 | 歌う

             小池百合子の言葉

 ♠ 知らぬこと分からぬことの数多あり東京都庁、都知事という謎  松井多絵子

 PRESIDENT10月31日号 「超」ウケる言い方入門 信頼される、口説ける、仕事が、、。

    ☀小池百合子・都知事独白「人を動かす」言葉のテクニック公開

 わたしはまだPRESIDENTを見ていないが。小池百合子の就任会見の 「都民ファ―スト」に拍手を。今までの都知事たちは♦「自分ファースト都民ラスト」だった。超エゴイストの男を選んだ都民にも責任があるが、私利私欲のデタラメ都知事にはあきれるばかり。「都民目線による行政を進めるために仕事の進め方を改革していきたい」と小池百合子は当然のことを述べたが新鮮に聞こえる。各部局のさらなる情報公開や4年後の東京オリンピックに関する経費削減に取り組むように指示した。

 10月14日の記者会見で小池都知事は石原元知事から豊洲市場に関する質問状に回答があったことを明らかにした。「聞いていない、記憶にない、わからない」といった回答だったと説明。♦「都合の悪いことを教えていただかないと。知事を続けてこられたご功績を無にされないようにしてほしい」と小池知事はやんわりと、でも厳しい。石原慎太郎の「天才」という本はベストセラーが続いている。出版不況の昨今ベストセラーの本を書ける人は記憶力も抜群のはず、体調がすぐれない人がジョギングをするだろうか。身勝手な男をエリートなど有難がる人達もいる。こんな怪しい人気のある男たちの不始末を処理しなければならない小池百合子よ、ガンバってほしい。

       タワービルが鏡面ビルが強風に傾く路を行かねばならぬ 

                   10月17日 松井多絵子  


島田ばらの丘公園

2016-10-16 09:33:36 | 歌う

                 島田ばらの丘公園

 バラは初夏だけの花ではない。秋は特に香りが豊で色鮮やかである。10月から11月には各地でバラ展が。1昨日、私は伊良湖岬への途中、東名道の島田市のバラの丘公園を歩いた。1.9haの敷地に、約360種、8700株の世界各地のバラが植栽されており 「ミスシマダ」、などここで命名された島田生まれのバラも見ることができる。バラは虫がつき病気になりやすい。自分の世話だけでも大変な私はバラはバラ園で見ることにしている。

 ✿ 秋バラになぜか男の名もありてジョンエフケネディ、マルコポーロも

 いかにもバラらしい優雅な「クイーンエリザベス」。やや濃いピンクの花弁をゆったりひらいている。程よい華やぎが楽しい。「マリアカラス」は真っ赤な花弁。もろ手を挙げて夢見る眼差しでオペラを熱唱する。晴天の青空の下に真っ赤なバラが歌ってる。

 ✿ 怖いこと言ってくれるな紅バラは紅バラの木にしか咲かないなんて

 以前ある歌会でのこと。無記名で投票し1位になった作品が素晴らしかった。作者は著名な歌人の娘、つねにいい歌を詠んでいる。推敲を重ねた歌とは思えない。無理なく詠まれている。「紅バラは紅バラの木にしか咲かないのよ」と仲間の一人がつぶやくように私に言った。たしかに黄色のバラの木には黄のバラ、白のバラの木には白の花しか咲かない。「才能はやはり血筋なのか」 バラの花を見ているとついおもってしまう。

 ✿ 花壺の冬バラいつまで生きるのか切られてもなお青春の肌

 冬の切り花は長持ちする。年末から飾り正月が過ぎても萎えることなく咲き続けている。
なんだか造花のように見えてくる。10日経っても変わりなく咲いているバラ。その張りつめた花弁や変わりない色が何故か疎ましくなる。私は花に嫉妬しているのか。もうじき冬バラの売られる頃になるなあと思いながら島田バラ園を去った、2日前に。

          10月16日  松井多絵子

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