えくぼ

ごいっしょにおしゃべりしましょう。

手帖のスゴ技

2016-10-08 09:33:30 | 歌う

              手帳のスゴ技

 ♠ この秋の旅の予定の記されぬ手帳の空白、白がふるえる  松井多絵子

 7年も前のわたしの歌である。そのころ妹は癌の末期だった。私は人と会う約束をせず、日帰りの旅もしなかった。手帖を開くと空白が震えていた。白が目にしみ、怖かった。

 11月号 WOMANの広告は ✿ 手帳のスゴ技~時間リッチになる、毎日が楽しくなる♪
          ♪ デキる人の「使い方、選び方」すべて公開します 

<部署別> ウソのように仕事上手になる

    ▴ 営業→先手を打つ ▴ 秘書→抜け漏れがなくなる
    ▴ 企画→予定が一目瞭然 ▴ PR→自分時間を確保する 

<目的別>お金、ダイエット 簡単に計画倒れグセが治る

    ▴ お金メンテ→無理なく貯められる ▴ ToDo管理→時間に振り回されなくなる
    ▴ ダイエット、英語記録→夢がかなう

この手帳は2017年完全保存版である。スゴ技が身につくのは来年。鬼が笑ってますね。

♠ メモ帳もカメラも持たずただ歩く縄文人も歩いたかこの丘

 私は時々メモ帳を持たずに散策する。小さなな旅を楽しみたい。短歌を忘れていたい。短歌を作るための旅などしたくない。だから旅をしているとき手帳には見たこと、気が付いたことを断片的に記すだけ。帰ってから、思い出しながら詠むことが多い。

♠ 出土品「縄文ポシェット」ひき寄せて私の手帳を入れたくなりぬ

 著名な歌人が駅の構内で、立ちながら手帳に何か書いているのを見たことがある。絶えずメモをしているらしいという噂を聞いていたが、気がついたこと、思いついたことはすぐに記さないと脳は保存してはくれないのだ。ただし手帳が雑然としていたら駄目か。デキる人の使い方をマネしてみたくなる。✿「なりたい私に近づく最高の手帳」、この広告につられて私は京の午後に駅前の本屋へ行くかもしれない。雨よ降らないでね。

              10月8日 松井多絵子