からちゃん<その一>
♪♪♪ 柿の実はまだ小さくて青いのに、このままがいいのに10月になる (松井多絵子)
世田谷のマンション2階2LKに27歳のアキが住んでいる。あの「あまちゃん」が結婚して3歳の娘「からちゃん」のママ。タレントの仕事は続けている、今日は予定がない。
✿ アキ 「からちゃーん。いま2時よ。山田先生の教室へそろそろ行く時間よ」 キッチンでア
キが呼んでも返事がない。部屋の中にはからちゃんはいない。アキは玄関を開けて外へ 出てドアーを閉める。表札には「水口」 住まいの隣はプロダクション「はるこ」 彼女のママの春子が社長、その事務所のインターホンを押すアキ。
✿ 春子 「からちゃん? 来てないわよ。そうか今日は「おんがく教室」の日ね。ひろ美さんのところにいるんじゃないの。彼女、この間ロケが終わって今ヒマだから」。
女優の鈴鹿ひろ美は同じマンションの最上階12階の中古を買い、改装してまるでホテルのような部屋に住んでいる。眺めのよい廣いベランダには、白のガーデンチェアーとテーブル。夏にはビニールプールを置いて水浴、からちゃんも水遊びをたのしむ。ここは別荘。
✿ ひろ美 「えっ?いないの。今、からちゃんの好きなババロアを作っているところ。そうだ今日は火曜日か。<おんがく教室の日>ね。そこの図書館にいるかもしれないわよ」
アキはひろ美邸を出てエレベーターで12階からマンションの1階のフロントへ。 2時20分。山田先生の教室は3時から4時まで、ここから歩いて10分足らずだが。公園の隣の図書館へ向かうアキ。3歳の子が一人で図書館なんて。アキはあまり本を読まないし中学も高校生の頃も図書館に行ったことなどなかったのに。 今日はここまで。 明日もよろしく
※パソコンがうまくいかなくて、読みにくくてすみません。、 松井多絵子 10月1日