南 十二国さま
はじめまして、南十二国さま。10月8日朝日夕刊の「あるきだす言葉たち」を読みました。読みながら私は短歌から俳句へ越境したくなりました。短歌より更に小さな詩なのに、貴方は俳句で大きな世界を創ってしまう。
★星空はおほきな時計山眠る
この句は貴方の会心の作でしょう。掲載された十五句のタイトルが「時計」ですものね。
★切株のあかるき楕円秋めきぬ
大きくなりすぎて隣家に越境する木を根元から切り、晒されている切株が狭庭には二つあります。真夏は乱反射で目につかなかったのに、秋になり、日差しがやわらかくなると切り口が目立ちますね。円ではなく楕円、初秋のひかりの中のあかるい楕円。
★どんぐりに空正直な青さかな
秋空の色を「正直な青さ」とはお見事。青は清潔、すっきり、いかにも正直な色ですね。
★研ぎ洗ひ切り剥き刻み冬はじめ
さてこの句の主語は何でしょうか。切り剥き刻まれたのは大根かもしれませんね。冬のはじめの包丁の動き、その鋭さに寒気がただよう。年末は包丁も忙しい時期です。
南十二国さまはのプロフィールは1980年新潟県生まれ。2006年「鷹」入会、小川軽舟に師事、現在「鷹」同人
10月10日 今日の空は正直な青なので私は外出しません。 松井多絵子