ジャズピアニストのジャズ批評

プロの耳で聞いたジャズをミュージシャン流に批評。

Stolen Moments Ⅱ

2008-02-22 03:10:24 | Weblog
この曲は「マイナーブルース」だ。この言い方はいわば俗語になるのかな?よりマイナーキーいわゆる短調に近いブルース、というかブルースの形式を持った楽曲ということだ。ミュージシャンの間ではそれで通じる。ソロパートは12小節だけど、テーマはドミナントの部分が引き伸ばされて全部で16小節になっている。このドミナントの部分はコードネームはつけられない。無理やりコードネームで分からせようというのはナンセンスだ。4度を積み重ねた和声を半音で上げ下げしながらメロディーはブルーノートを使ったシンプルなフレーズの繰り返しだ。ここはおたまじゃくしで書けばいい。この曲のような4度の和声、ブルーノートがからんでいるもの、そして対位法的なもの、和声的ではあるけど掛留が複雑化したワーグナーのトリスタン和音みたいなもの、こういうものはコードネームで書くのはあまりなじまない。コードネームの成り立ちを考えたらしょうがないことだ。まあどんな書き方をされていてもプレイヤーのやることはその楽曲の構造を理解してインプロヴァイズするということだ。オリヴァーネルソンはブルースという音楽の詩的な面そして純粋に音楽構造としての面をうまく組み合わせて音楽を作っている。ジャズにとってブルースはこういう存在だということだ。最初の8小節、まず気になるのはドリアの6度だ。この音がこの曲の色合いを決定づけている。ドリアというのはギリシャ旋法から来た名前だけどこれについては、ううん・・・異論というほどではないけどちょっと違った考え方も持っているのでまた次回に・・。


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