ジャズピアニストのジャズ批評

プロの耳で聞いたジャズをミュージシャン流に批評。

The Essential Herbie Hancock

2007-10-26 02:02:31 | Weblog
このアルバムは文字通りハービーハンコックの長いミュージシャン生活の中の代表作を集めたコンピレーションアルバムだ。'06年のリリースだ。確かブルーノートに似たような企画のアルバムが存在したけど、それはブルーノート時代の録音に限られていて、それに対してこのアルバムは販売会社が複数にわたっている。版権はどうなっているんだろうか?でもそういう法律上のことはもちろんちゃんとクリアーしてハンコックの半生をたどっているということがこのアルバムの「売り」なんだろう。まあそんな業界の裏をさぐるみたいなことはどうでもいい。まずはハービーの偉大な足跡を讃えよう。今世界中で活動しているジャズピアニストでハービーハンコックの影響を受けていない人は多分いないだろう。まあいろんな形の影響があるけど・・・。ボクが最初にハービーを聞いたのはソニーロリンズとのセッションのテイクだ。'64年の録音だと思う。すごく魅力を感じた。気になって一発で名前を覚えた。その後まわりのプロのピアニスト達があまりにもハービーの名前を連呼するのでちょっと引いてしまって、距離をおくようになった。だから彼の音楽を一応理解してるつもりではあるけど、本当にのめり込んで研究したミュージシャンのような評価はできないと思う。まあ一歩引いたところから話してみよう。このアルバムの最初の曲はもちろん「Watermelon Man」だ。'62年の録音だからなんと45年前だ。ブルーノートでの初リーダー作に収録されている。先日'07年のハービーをコンサートで聞いた。素晴らしかった。一番感じるのは、その驚くべき精神と肉体の「健全さ」だ。音楽のフィーリングの変化とか方向性のこととか、重箱の隅をつつくようなことは言いたくない。とにかく半世紀近くにわたって健全に活動し続けるというのは驚異としかいいようがない。ボクは'69年頃からリアルタイムでハービーの音楽に接してきた。このアルバムの曲目を見ると思い出が甦ってくる。まあでも肝心なマイルスバンドでのパフォーマンスが抜けてはいるけど・・。順番にちょっとずつ曲を辿って行こう。聞きなおしてみるとまた何か新しい発見があるかもしれない。ということで次から音楽の内容も含めて書いていきたいと思います。