新宿シネマカリテで『ハーツ・ビート・ラウド たびだちのうた』を見ました。時代の移り変わりの中で、かつての生き方ができないことにとまどい先行きを悩み始める父親と、未来に向かい自分の選択をしなければならない娘が、最初で最後になるかもしれない親子バンドでの共演をします。未来が見えなくなった父親の再生の物語であり、不器用でぶざまな姿をさらしつつも、前向きにいきようとする姿が泣けてきます。
監督:ブレット・ヘイリー。
舞台はブルックリン。フランクはレコードショップを開いていたが、当然のごとく客はこない。しかしかつてミュージシャンであり、音楽に思い入れがあるフランクは店を閉める決断がにぶる。
レコードショップは私がこどものころはとても輝いている店でした。しかし、それがCDショップとなり、そして今はインターネットの時代になり、全く売れなくなってしまいました。とくに田舎にいればいやというほどわかるのですが、いまや小売店なんていつやめるかだけが問題になっています。それだけ時代の変化が激しいのです。
本は売れない、雑誌は廃刊だらけ。洋服は普段着だったらユニクロとGUとしまむらがあればいい。その他必要なものはネットで買ったほうが、早いし、安いし、品数豊富である。教育でさえベネッセだけあればいい。こんな時代にわれわれは何を楽しみにいきているのでしょうか。
いずれにしろ、インターネットの普及は生活を一変してしまい、自信を失う中高年が増えています。われわれ中高年はかつて自分をささえた楽しみを奪われた感覚に陥り、何を目的に生きていけばいいのか、得体のしれないさみしさの中にいます。
フランクのみじめさは私のみじめさである。だからこそ、フランクの生き方を応援したくなり、寄り添ってくれる友人のいることに喜びを感じます。フランクは自身を受け止め、なんとか前を向き歩き始めます。
再生のエネルギーをもらう映画でした。
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